ひねもす俳句:冬うらら

2024/10/27

風船葛密かに愛を宿しけり
風船葛密かに愛を宿しけり /勝美

爬虫類とても人並み日向ぼこ /勝美
爬虫類とても人並み日向ぼこ
冬うらら伸び伸び伸びと伸びあがり
冬うらら伸び伸び伸びと伸びあがり /勝美
吊り花や毒のある実は美しく /勝美
吊り花や毒のある実は美しく
どんぐりの転ぶや童謡口の端に
どんぐりの転ぶや童謡口の端に /勝美

ひねもす俳句:秋さやか

2024/10/15

とりどりに鳥のゐる沼秋うらら
とりどりに鳥のゐる沼秋うらら /勝美
実ざくろは憤怒の色を極めけり /勝美
実ざくろは憤怒の色を極めけり

凄まじや喘ぐ如くに出る気根
凄まじや喘ぐ如くに出る気根 /勝美
橋上にモネの池観るさやけしや /勝美
橋上にモネの池観るさやけしや
落魄の身とはなりけり栗の毬
落魄の身とはなりけり栗の毬 /勝美

ひねもす俳句:時は過ぎゆく

2024/09/30

名月や涙止まらぬ巌窟王
名月や涙止まらぬ巌窟王 /勝美
秋霖の銀糸は水輪織りにけり /勝美
秋霖の銀糸は水輪織りにけり
ハロウィンや味画一の規格品
ハロウィンや味画一の規格品 /勝美
秋袷さらりとぼろを脱ぎ捨てて /勝美
秋袷さらりとぼろを脱ぎ捨てて
鈴なりの銀杏落つる時期待てり
鈴なりの銀杏落つる時期待てり /勝美

ひねもす俳句:残暑厳し

2024/09/15

イベントの栃の実を搗く山仲間
イベントの栃の実を搗く山仲間 /勝美
巧妙なネットの手口女郎蜘蛛 /勝美
巧妙なネットの手口女郎蜘蛛
増殖のきのこはアート形成す
増殖のきのこはアート形成す /勝美
公園の小径愉しも秋日影 /勝美
公園の小径愉しも秋日影
コスモスの一揆の如く蜂起せり
コスモスの一揆の如く蜂起せり /勝美

ひねもす俳句:819(俳句)の日

2024/08/19

秋祭りとて交通ルール破らざり
秋祭りとて交通ルール破らざり /勝美
あばら家といへど鬼灯点しをり /勝美
あばら家といへど鬼灯点しをり
むくつけき男の肌へ蔦かづら
むくつけき男の肌へ蔦かづら /勝美
居住の地得たりと蜥蜴穴に入る /勝美
居住の地得たりと蜥蜴穴に入る
寝乱るる髪を気にせず昼寝覚め
寝乱るる髪を気にせず昼寝覚め /勝美

ひねもす俳句:行事多し

2024/08/10

亡き人の在す高きに登らんか
亡き人の在す高きに登らんか /勝美
阿波踊衣装揃へて飛び出せり /勝美
阿波踊衣装揃へて飛び出せり
天高し此処UFOの着陸地
天高し此処UFOの着陸地 /勝美
饅頭を夜食の足しにしたりけり /勝美
饅頭を夜食の足しにしたりけり
文化の日囚はれゐても花は咲く
文化の日囚はれゐても花は咲く /勝美

ひねもす俳句:虫虫虫

2024/07/27

夏暑きゆゑ大仏の螺髪落つ
夏暑きゆゑ大仏の螺髪落つ /勝美
サファイアの宝飾展示黄金虫 /勝美
サファイアの宝飾展示黄金虫
オオセンチ黄金臭い仲間の集ひけり
オオセンチ黄金臭い仲間の集ひけり /勝美
黒滲みまだ濡れゐたる羽化の蝶 /勝美
黒滲みまだ濡れゐたる羽化の蝶
変身を前の青虫食べ盛り
変身を前の青虫食べ盛り /勝美

ひねもす俳句:逞しき生きざま

2024/07/17

日盛りに並ぶ食欲満たすため
日盛りに並ぶ食欲満たすため /勝美
梅雨明けて歓び弾けゐる如し /勝美
梅雨明けて歓び弾けゐる如し
テーブルに視線集まり夏座敷
テーブルに視線集まり夏座敷 /勝美
きちかうの群れて雨待つひと日かな /勝美
きちかうの群れて雨待つひと日かな
熱風に赤銅色の漁師たち
熱風に赤銅色の漁師たち /勝美

ひねもす俳句:優曇華のころ

2024/06/30

雨粒の嬉嬉と滑るや梅雨最中
雨粒の嬉嬉と滑るや梅雨最中 /勝美
天国への階段梅雨の朝の弥撒 /勝美
天国への階段梅雨の朝の弥撒
一念を徹す気概ぞ涼しけれ
一念を徹す気概ぞ涼しけれ /勝美
優曇華や尻落ち着かぬ金の椅子 /勝美
優曇華や尻落ち着かぬ金の椅子
端居して旅のあれこれ追憶す
端居して旅のあれこれ追憶す /勝美

ひねもす俳句:梅雨に入る

2024/06/19

梅雨晴れ間誘ひ合はせてフラダンス
梅雨晴れ間誘ひ合はせてフラダンス /勝美
夕焼の街に切り絵のやうな鳩 /勝美
夕焼の街に切り絵のやうな鳩
横丁の飲み屋をはしご走り梅雨
横丁の飲み屋をはしご走り梅雨 /勝美
激雷や近づく勿れ大樹下 /勝美
激雷や近づく勿れ大樹下
手花火や散る瞬間に在る豪華
手花火や散る瞬間に在る豪華 /勝美

ひねもす俳句:気分一新

2024/05/25

捥ぎたての茄子や紫紺を深くして
捥ぎたての茄子や紫紺を深くして /勝美
花しとね眠るが如く蜂死せり /勝美
花しとね眠るが如く蜂死せり
落雷の火の粉の飛んでブラシの木
落雷の火の粉の飛んでブラシの木 /勝美
水盤に花花浮かべ春惜しむ /勝美
水盤に花花浮かべ春惜しむ
衣替へ制服楚楚と女学生
衣替へ制服楚楚と女学生 /勝美

ひねもす俳句:北海道晩春その2

2024/05/01

青嵐追はるるやうに栗鼠走る
青嵐追はるるやうに栗鼠走る /勝美
見参や青銅製のやうな蟻 /勝美
見参や青銅製のやうな蟻
人知らね白根葵のひとり咲く
人知らね白根葵のひとり咲く /勝美
バリケード作りし昔五月祭 /勝美
バリケード作りし昔五月祭
惜春の遠眼差しや故国(くに)のこと
惜春の遠眼差しや故国(くに)のこと /勝美

ひねもす俳句:北海道晩春

2024/04/30

水芭蕉己が姿を水鏡
水芭蕉己が姿を水鏡 /勝美
鳥の巣のやうに寄生木在りにけり /勝美
鳥の巣のやうに寄生木在りにけり
リラ冷えの空は重たく伸し掛かり

リラ冷えの空は重たく伸し掛かり /勝美

受け入れの余地はたつぷりこどもの日 /勝美

受け入れの余地はたつぷりこどもの日
暮なづむ市街に春を惜しみけり

暮なづむ市街に春を惜しみけり /勝美

ひねもす俳句:五月くる

2024/04/11

此処は何処寝ぼけ眼の朝寝覚め
此処は何処寝ぼけ眼の朝寝覚め /勝美
入学や歩一歩一歩の子の前進 /勝美
入学や歩一歩一歩の子の前進
メーデーや一致団結せし昔
メーデーや一致団結せし昔 /勝美
整列の苦手な子ども一年生 /勝美
整列の苦手な子ども一年生
五月くるお洒落真珠の縁飾り
五月くるお洒落真珠の縁飾り /勝美

ひねもす俳句:伊豆の旅その1

2024/03/20

春の伊豆南国風のヴィラ泊り
春の伊豆南国風のヴィラ泊り /勝美
春遅遅と仕上げ待たるるとんぼ玉 /勝美
春遅遅と仕上げ待たるるとんぼ玉
大室山を盾と成したるさくらかな
大室山を盾と成したるさくらかな /勝美
岩壁を打ちて春濤砕けけり /勝美
岩壁を打ちて春濤砕けけり
春愁や要塞人を寄せ付けず
春愁や要塞人を寄せ付けず /勝美

ひねもす俳句:生命の鼓動

2024/02/27

春愁の瓶詰め各種見本品
春愁の瓶詰め各種見本品 /勝美
彼岸へと歩む蹌踉ならずして /勝美
彼岸へと歩む蹌踉ならずして
ひつそりと生活(たつき)の気配日は永し
ひつそりと生活 ( たつき ) の気配日は永し /勝美
山茱萸の花のアーチを潜りませ /勝美
山茱萸の花のアーチを潜りませ
席に着きワイン待ちをり花の宴
席に着きワイン待ちをり花の宴 /勝美

ひねもす俳句:二月さらば

2024/02/16

凛凛と溢るる希望未開紅
凛凛と溢るる希望未開紅 /勝美
モノクルに映ゆる景色は春景色 /勝美
モノクルに映ゆる景色は春景色
大口を開き春風招じけり
大口を開き春風招じけり /勝美
街のどか津波寄すればひと呑みか /勝美
街のどか津波寄すればひと呑みか
サイクリングの土手や薫風欲しいまま
サイクリングの土手や薫風欲しいまま /勝美

ひねもす俳句:春の胎動

2024/01/30

鳥帰る心残せし馴染みの地
鳥帰る心残せし馴染みの地 /勝美
春の海より浮かれ出でたりオクトパス /勝美
春の海より浮かれ出でたりオクトパス
春一番待たずも動き出す彫刻
春一番待たずも動き出す彫刻 /勝美
春北斗いのちあるもの目覚め初む /勝美
春北斗いのちあるもの目覚め初む
佐保姫の好みの紅の艶やかさ
佐保姫の好みの紅の艶やかさ /勝美

ひねもす俳句:令和六年始動

2024/01/12

昼火事や目白御殿の焼失す
昼火事や目白御殿の焼失す /勝美
水仙の色慎ましく簡素の美 /勝美
水仙の色慎ましく簡素の美
ジャムに良し赤く丸き実山法師
ジャムに良し赤く丸き実山法師 /勝美
桃源郷へ山茶花の道しるべ /勝美
桃源郷へ山茶花の道しるべ
忽然と天女や冬の草蜉蝣
忽然と天女や冬の草蜉蝣 /勝美

ひねもす俳句:令和五年終る

2023/12/23

冬来たる椋鳥(むく)の如くに深眠り
冬来たる椋鳥(むく)の如くに深眠り /勝美
寒風裡老鴉柿めく顔真つ赤 /勝美
寒風裡老鴉柿めく顔真つ赤
つがひかも寒鴉離れず墨絵めく
つがひかも寒鴉離れず墨絵めく /勝美
冬ミサの燭台の火は平和の火 /勝美
冬ミサの燭台の火は平和の火
歳晩や赤塚名物店さらば
歳晩や赤塚名物店さらば /勝美

ひねもす俳句:街師走

2023/12/05

ありたけのランプ点して年惜しむ
ありたけのランプ点して年惜しむ /勝美
日は注ぐ冬着ふたりのランウエイ /勝美
日は注ぐ冬着ふたりのランウエイ
晴着子の色さまざまや七五三
晴着子の色さまざまや七五三 /勝美
歳晩や出入り自由の門潜る /勝美
歳晩や出入り自由の門潜る
冬籠り偶に厚き扉開けもして
冬籠り偶に厚き扉開けもして /勝美

ひねもす俳句:年の瀬近し

2023/11/28

枯葉蛾へ擬態完了枯れ落葉
枯葉蛾へ擬態完了枯れ落葉 /勝美
口開くや虫歯に滲むる空つ風 /勝美
口開くや虫歯に滲むる空つ風
巣篭もりのやうやヒュッテの冬支度
巣篭もりのやうやヒュッテの冬支度 /勝美
水澄みて街水中に在る如し /勝美
水澄みて街水中に在る如し
新調や親子狐の冬衣裳
新調や親子狐の冬衣裳 /勝美

ひねもす俳句:知らぬ間に

2023/11/12

ぼろ市や買ひ手のつかぬゴブラン布
ぼろ市や買ひ手のつかぬゴブラン布 /勝美
天空や定位置探す冬星座 /勝美
天空や定位置探す冬星座
霜降るを潜望鏡の窺へり
霜降るを潜望鏡の窺へり /勝美
寒暖異常に閉口したり冬はじめ /勝美
寒暖異常に閉口したり冬はじめ
下戸はすぐ足をとらるる秋あかね
下戸はすぐ足をとらるる秋あかね /勝美

ひねもす俳句:急ぐべし

2023/10/31

秋思募らばムンクの空へ叫ぶべし
秋思募らばムンクの空へ叫ぶべし /勝美
蟷螂の一途に枯れを急(せ)く運命(さだめ)/勝美
蟷螂の一途に枯れを急(せ)く運命(さだめ)
貴賓室の壁は唐草唐花草
貴賓室の壁は唐草唐花草 /勝美
飯桐の実は瓔珞か秋日燦 /勝美
飯桐の実は瓔珞か秋日燦
黄葉は注意信号車止め
黄葉は注意信号車止め /勝美

ひねもす俳句:日短のあれこれ

2023/10/12

落書きと見へて作品秋の風
落書きと見えて作品秋の風 /勝美
爽やかや異国情緒の散歩道 /勝美
爽やかや異国情緒の散歩道
ハロウイン飾り怪しくあどけなく
ハロウイン飾り怪しくあどけなく /勝美
日短の天蛾(スズメガ)花を愛づるかに /勝美
日短の天蛾(スズメガ)花を愛づるかに
紫陽花の枯れて孤高の美を保つ
紫陽花の枯れて孤高の美を保つ /勝美

ひねもす俳句:秋あれこれ

2023/09/19

空焼けて異常気象のつづく秋
空焼けて異常気象のつづく秋 /勝美
鳥渡る空防空の監視塔 /勝美
鳥渡る空防空の監視塔
故なくて磔刑に遭ふ秋の虫
故なくて磔刑に遭ふ秋の虫 /勝美
秋の沼灯り点りて舞台めく /勝美
秋の沼灯り点りて舞台めく
緊急放送朝顔の拡声器
緊急放送朝顔の拡声器 /勝美

ひねもす俳句:秋のさなか

2023/09/05

探査機の着地は何処残る月
探査機の着地は何処残る月 /勝美
地の神の捧げ物めくなつめの実 /勝美
地の神の捧げ物めくなつめの実
山牛蒡掘るぞ牛蒡を掘るやうに
山牛蒡掘るぞ牛蒡を掘るやうに /勝美
撤退の後の地雷の如く毬(いが) /勝美
撤退の後の地雷の如く毬(いが)
踏跡をひと筋残しゆく花野
踏跡をひと筋残しゆく花野 /勝美

ひねもす俳句:用意万端

2023/08/20

露しとど一夜の夢の醒めずゐて
露しとど一夜の夢の醒めずゐて /勝美
手作りのクレー散弾秋日和 /勝美
手作りのクレー弾丸秋日和
シェルターの暮らしよさらば終戦日
シェルターの暮らしよさらば終戦日 /勝美
宵闇の蛇食鷲や何食らふ /勝美
宵闇の蛇食鷲や何食らふ
盆用意故人を偲ぶ銀燭器
盆用意故人を偲ぶ銀燭器 /勝美

ひねもす俳句:夏の夢うつつ

2023/08/06

一生の極楽極め昼寝覚め

一生の極楽極め昼寝覚め /勝美

昆布干すマチスの切り絵めく昆布 /勝美

昆布干すマチスの切り絵めく昆布
イソップの水瓶探す鴉の子

イソップの水瓶探す鴉の子 /勝美

茶房再開再会の冷コーよ /勝美
茶房再開再会の冷コーよ
流れ星墜つ抜け殻の宇宙船

流れ星墜つ抜け殻の宇宙船 /勝美

ひねもす俳句:夏盛り

2023/07/18

夏服の腕颯爽と開きけり
夏服の腕颯爽と開きけり /勝美
シトロンのオーデコロンを風呂上り /勝美
シトロンのオーデコロンを風呂上り
行水の水をせがんでゐる鴉
行水の水をせがんでゐる鴉 /勝美
香水の夜間飛行をまとふ夜 /勝美
香水の夜間飛行をまとふ夜
デザートはシュー・ア・ラ・クレーム銀座夏
デザートはシュー・ア・ラ・クレーム銀座夏 /勝美

ひねもす俳句:まどろめば

2023/07/02

大国主の話を聞かせ裸の子
大国主の話を聞かせ裸の子 /勝美
衛兵の猫の威嚇や夏の午後 /勝美
衛兵の猫の威嚇や夏の午後
晩夏濃しハワイの色を帯ぶる花
晩夏濃しハワイの色を帯ぶる花 /勝美
梔子を求めオオスカシバの恋 /勝美
梔子を求めオオスカシバの恋
買物に行くも帰るも踏む茅の輪
買物に行くも帰るも踏む茅の輪 /勝美

ひねもす俳句:梅雨入りの町

2023/06/19

階段を一足跳びに汗拭ふ
階段を一足跳びに汗拭ふ /勝美
休憩の祭ばやしの練習所 /勝美
休憩の祭ばやしの練習所
清純は白に行き着く夏椿
清純は白に行き着く夏椿 /勝美
一仕事終へて庫入り半夏生 /勝美
一仕事終へて庫入り半夏生
廃屋となりしよ四万六千日
廃屋となりしよ四万六千日 /勝美

ひねもす俳句:昼下がりの惰眠

2023/05/30

燕の子我も我もと口開く

燕の子我も我もと口開く /勝美

三尺寝疲れは睡眠促進剤 /勝美

三尺寝疲れは睡眠促進剤
梅雨空の重きを支へ確と枝

梅雨空の重きを支へ確と枝 /勝美

鬱屈は顔に出でけり梅雨の寒 /勝美

鬱屈は顔に出でけり梅雨の寒
紫の鎮静効果得て昼寝

紫の鎮静効果得て昼寝 /勝美

ひねもす俳句:夏なればこそ

2023/05/16

一杓のもてなし嬉し洗ひ飯
一杓のもてなし嬉し洗ひ飯 /勝美
時の日のさなぎは羽化の時を待つ /勝美
時の日のさなぎは羽化の時を待つ
花虻や花のしとねを拠りどころ
花虻や花のしとねを拠りどころ /勝美
白青の小花の浴衣一少女 /勝美
白青の小花の浴衣一少女
芥子の花開発阻止を主張して
芥子の花開発阻止を主張して /勝美

ひねもす俳句:発射オーライ

2023/04/26

農業の擬似体験や麦の秋
農業の擬似体験や麦の秋 /勝美
夏空へ二段ロケット点火せり /勝美
夏空へ二段ロケット点火せり
不協和音放つアネモネ拡声器
不協和音放つアネモネ拡声器 /勝美
失恋か悲恋かしらず恋の薔薇 /勝美
失恋か悲恋かしらず恋の薔薇
捩れたる心ほぐれず苔の花
捩れたる心ほぐれず苔の花 /勝美

ひねもす俳句:旅立ちの春

2023/04/12

艦船の抜錨憲法記念の日
艦船の抜錨憲法記念の日 /勝美
まんさくと言はれ二度見や緋色濃き /勝美
まんさくと言はれ二度見や緋色濃き
珈琲のカップに映ゆる松の花
珈琲のカップに映ゆる松の花 /勝美
薫風に応へてちりめん皺の波 /勝美
薫風に応えてちりめん皺の波
帰らざる日日や蜜蜂旅立つる
帰らざる日日や蜜蜂旅立つる /勝美

ひねもす俳句:伊勢志摩の旅〜その2〜

2023/03/21

白内障の海獣ガバと山笑ふ /勝美
白内障の海獣ガバと山笑ふ /勝美
春の海のたり出航龍宮へ /勝美
春の海のたり出航龍宮へ /勝美
磯笛の鋭く響く志摩の海女 /勝美
磯笛の鋭く響く志摩の海女 /勝美
夫婦して捻り鉢巻花疲れ /勝美
夫婦して捻り鉢巻花疲れ /勝美
春天を統ぶるやドローンめくとんび /勝美
春天を統ぶるやドローンめくとんび /勝美

ひねもす俳句:伊勢志摩の旅〜その1〜

2023/03/21

新緑の生垣城へつづく路 /勝美
新緑の生垣城へつづく路 /勝美
卒寿子の機織り体験のどけしや /勝美
卒寿子の機織り体験のどけしや /勝美
菜の花に浮かれて走る電車かな /勝美
菜の花に浮かれて走る電車かな /勝美
春惜しむ伊勢河崎のしるべ石 /勝美
春惜しむ伊勢河崎のしるべ石 /勝美
クルーズの卒寿米寿に夏近し /勝美
クルーズの卒寿米寿に夏近し /勝美

ひねもす俳句:春の夢

2023/03/13

墨流しゆらゆら揺れて水温む
墨流しゆらゆら揺れて水温む /勝美
佐保姫の姿グランド大歓声 /勝美
佐保姫の姿グランド大歓声
日を求め犇めきあひて蝌蚪群るる
日を求め犇めきあひて蝌蚪群るる /勝美
春の夢薄紅色にほぐれけり /勝美
春の夢薄紅色にほぐれけり
花曇シーラカンスに乗る河童
花曇シーラカンスに乗る河童 /勝美

ひねもす俳句:春の旅立ち

2023/02/20

しがらみをぬけ春天へ脱出す

しがらみをぬけ春天へ脱出す /勝美

北窓を開けて首出す目覚めかな /勝美

北窓を開けて首出す目覚めかな
我がゲノム斯く単純や春愁ひ

我がゲノム斯く単純や春愁ひ /勝美

春雷や自転車影を落とし行く /勝美

春雷や自転車影を落とし行く
故郷の生家は空き家鳥雲に

故郷の生家は空き家鳥雲に /勝美

ひねもす俳句:早春のひととき

2023/02/01

春昼の花見小路の闇透かす
春昼の花見小路の闇透かす /勝美
武士と遭ふ鎌倉古道花曇 /勝美
武士と遭ふ鎌倉古道花曇
早春の色香満ちけり一服す
早春の色香満ちけり一服す /勝美
雲払ひ天空狭しとつちふれり /勝美
雲払ひ天空狭しとつちふれり
春風に舞ふ足取の軽やかに
春風に舞ふ足取の軽やかに /勝美

ひねもす俳句:令和5年の幕開け

2023/01/09

胸襟を開く露座仏初詣
胸襟を開く露座仏初詣 /勝美
龍天に昇る一瞬腹晒す /勝美
龍天に昇る一瞬腹晒す
はや灯す街を俯瞰す初鴉
はや灯す街を俯瞰す初鴉 /勝美
星雲は分裂重ね春の星 /勝美
星雲は分裂重ね春の星
空を掃く箒や冬の月残り
空を掃く箒や冬の月残り /勝美

ひねもす俳句:令和4年の終わり

2022/12/28

皺伸ばす卒寿米寿や日脚伸ぶ
皺伸ばす卒寿米寿や日脚伸ぶ /勝美
冬ざれの天と地つなぐオベリスク /勝美
冬ざれの天と地つなぐオベリスク
除夜の湯やこの一年の垢流す
除夜の湯やこの一年の垢流す /勝美
コロナの世象徴めきしマスクかな /勝美
コロナの世象徴めきにマスクかな
ゆるぎなき胎動ひそと春隣
ゆるぎなき胎動ひそと春隣 /勝美

ひねもす俳句:年末雑感

2022/12/13

煤払ひ終へて輝くシャンデリア
煤払ひ終へて輝くシャンデリア /勝美
新札の三枚ほどをお年玉 /勝美
新札の三枚ほどをお年玉
黄昏のともしび浮かべ冬の沼
黄昏のともしび浮かべ冬の沼 /勝美
健気かな霜に耐へ花凛と /勝美
健気かな霜に耐へ花凛と
冬ざれや墓標立ちたる戦禍の地
冬ざれや墓標立ちたる戦禍の地 /勝美

ひねもす俳句:1年の歩み

2022/11/27

バス停の鍼灸院で寒の灸
バス停の鍼灸院で寒の灸 /勝美
ウクライナは国旗を空へ春を待つ /勝美
ウクライナは国旗を空へ春を待つ
故郷や雪の便りのちらほらと
故郷や雪の便りのちらほらと /勝美
御火焚きや庭掃き残すひとところ /勝美
御火焚きや庭掃き残すひとところ
狼煙上げ行くひと年を惜しみけり
狼煙上げ行くひと年を惜しみけり /勝美

ひねもす俳句:寒気到来

2022/11/15

動くものなき一瞬や小春凪
動くものなき一瞬や小春凪 /勝美
クリスマスパーティドレス黄が似合ふ /勝美
クリスマスパーティドレス黄が似合ふ
手拍子の農兵節や忘年会
手拍子の農兵節や忘年会 /勝美
綿虫の集合住宅此処に在り /勝美
綿虫の集合住宅此処に在り
ネックレス仕立て鶉の寒卵
ネックレス仕立て鶉の寒卵 /勝美

ひねもす俳句: 豊年満作

2022/10/27

明日在ると思はば愉し末枯れて
明日在ると思はば愉し末枯れて /勝美
寒風の身に行き渡る薬用酒 /勝美
寒風の身に行き渡る薬用酒
ハロウインメイクの如し熟茘枝
ハロウインメイクの如し熟茘枝 /勝美
日に射られ影が根を張る冬大樹 /勝美
日に射られ影が根を張る冬大樹
豊年や顔綻ばす食事どき
豊年や顔綻ばす食事どき /勝美

ひねもす俳句:文化の秋を楽しむ

2022/09/29

稲架襖(はざふすま)端から端へあかね雲
稲架襖(はざふすま)端から端へあかね雲 /勝美
口切や由緒の香合鑑賞す /勝美
口切や由緒の香合鑑賞す
秋風や地雷は此処よ近寄るな
秋風や地雷は此処よ近寄るな /勝美
口融けの淡きメレンゲ白秋忌 /勝美
口融けの淡きメレンゲ白秋忌
薬用や昆虫入りの新酒出来
薬用や昆虫入りの新酒出来 /勝美

ひねもす俳句:忍び寄り忍び去る秋

2022/09/16

新蕎麦や話絡まる電話切る
新蕎麦や話絡まる電話切る /勝美
四次元の世界は此処に月宮殿 /勝美
四次元の世界は此処に月宮殿
秋の夜に読むべし源氏物語
秋の夜に読むべし源氏物語 /勝美
暮早き陽明門や眠り猫 /勝美
暮早き陽明門や眠り猫
落鮎の頭並べて皿に座す
落鮎の頭並べて皿に座す /勝美

ひねもす俳句:馬肥える秋

2022/08/29

料理には好みのソース文化の日
料理には好みのソース文化の日 /勝美
生身魂グレイヘアに在る威厳 /勝美
生身魂グレイヘアに在る威厳
中秋の名月雲を割つて出づ
中秋の名月雲を割つて出づ /勝美
糸瓜忌やワイン色して糸瓜水 /勝美
糸瓜忌やワイン色して糸瓜水
魂まつりベトナム珈琲供へけり
魂まつりベトナム珈琲供へけり /勝美

ひねもす俳句:秋の日の物憶い

2022/08/15

手捻りの効き目は如何に蚊遣香
手捻りの効き目は如何に蚊遣香 /勝美
瘡蓋の剥がれて安堵生身魂 /勝美
瘡蓋の剥がれて安堵生身魂
旅立ちは大樹によらず蝉の殻
旅立ちは大樹によらず蝉の殻 /勝美
秋思濃し憶ふは狩の日のむかし /勝美
秋思濃し憶ふは狩の日のむかし
囚れて売られゆく日を待つ狸
囚れて売られゆく日を待つ狸 /勝美

ひねもす俳句:急ぎ足の夏

2022/07/28

ふる里の泉の水を記念とす
ふる里の泉の水を記念とす /勝美
縄文の象形文字のいと涼し /勝美
縄文の象形文字のいと涼し
水澄みて変幻自在の雲映す
水澄みて変幻自在の雲映す /勝美
鉄柵に距つ基地あり敗戦日 /勝美
柵に距つ基地あり敗戦日
ひと夏を使ひ古して白日傘
ひと夏を使ひ古して白日傘 /勝美

ひねもす俳句:はちゃめちゃ

2022/07/11

ひまはりや昼といふのに眠たさう
ひまはりや昼といふのに眠たさう /勝美
沈みゆく日や夕涼のアッシャー家 /勝美
沈みゆく日や夕涼のアッシャー家
綿あめのやうな雲刷く秋隣
綿あめのやうな雲刷く秋隣 /勝美
風抜くる座敷に鱧の湯引きかな /勝美
風抜くる座敷に鱧の湯引きかな
冷酒に餡パン食へと言はあれても
冷酒に餡パン食へと言はれても /勝美

ひねもす俳句:星に願いを

2022/06/29

黄昏に街は溶けゆく黄金虫
黄昏に街は溶けゆく黄金虫 /勝美
丼ぺろり夏痩せ知らぬ健啖家 /勝美
丼ぺろり夏痩せ知らぬ健啖家
暗黒に誓ふ平和や蛍の火
暗黒に誓ふ平和や蛍の火 /勝美
連発の花火満天大団円 /勝美
連発の花火満天大団円
果てしなき空想夢想星涼し
果てしなき空想夢想星涼し /勝美

ひねもす俳句:イミテーションの夏

2022/06/09

お値打の夢のシェルター午睡用
お値打の夢のシェルター午睡用 /勝美
紙製のディッシユで祝ふ巴里祭 /勝美
紙製のディッシユで祝ふ巴里祭
三伏の過去への通路白昼夢
三伏の過去への通路白昼夢 /勝美
蔦茂らせて隠れ家の小商ひ /勝美
蔦茂らせて隠れ家の小商ひ
口口に抗議の叫び五月祭
口口に抗議の叫び五月祭 /勝美

ひねもす俳句:薔薇の香を乗せ風薫る

2022/05/24

栴檀の花の降り敷く樹下の径
栴檀の花の降り敷く樹下の径 /勝美
親を待つ鳰の子のゐる昼下り /勝美
親を待つ鳰の子のゐる昼下り
忍冬や旅にあがなふ薬用酒
忍冬や旅にあがなふ薬用酒 /勝美
一刀を手挟む野武士夏の果 /勝美
一刀を手挟む野武士夏の果
午睡には相応し蜜も有り候
午睡には相応し蜜も有り候 /勝美

ひねもす俳句:静かな昼下がり

2022/05/13

紫雲英野や遊子悲しむこと非じ
紫雲英野や遊子悲しむこと非じ /勝美
コロナ禍は下火か日傘集ひけり /勝美
コロナ禍は下火か日傘集ひけり
睡蓮が咲いて静かな昼下がり
睡蓮が咲いて静かな昼下がり /勝美
オードブル冷えてワインの白も冷え /勝美
オードブル冷えてワインの白も冷え
夏木立中天高く空の帯
夏木立中天高く空の帯 /勝美

ひねもす俳句:一刻の安らぎ

2022/04/26

玄関の一隅照らす花空木
玄関の一隅照らす花空木 /勝美
貴婦人のフリルのドレス夏めける /勝美
貴婦人のフリルのドレス夏めける
春の野に園児笑顔で集ひけり
春の野に園児笑顔で集ひけり /勝美
童謡の聞こえさうなり春の川 /勝美
童謡の聞こえさうなり春の川
オランダは霞の彼方風車塔
オランダは霞の彼方風車塔 /勝美

ひねもす俳句:おいちにいさん

2022/04/06

一輪車乗れて万歳二輪草
一輪車乗れて万歳二輪草 /勝美
由緒ある寺なり三ッ葉躑躅咲く /勝美
由緒ある寺なり三ッ葉躑躅咲く
春夜枕辺母は童話の頁繰る
浅利飯母の味には及ばずも /勝美
ペリカンも雄叫びするぞ夏来ると /勝美
ペリカンも雄叫びするぞ夏来ると
彗星の軌道を廻る夏夜かな
彗星の軌道を廻る夏夜かな /勝美

ひねもす俳句:四国島旅その2

2022/03/19

春の果てエンジェルロード踏みにけり
春の果てエンジェルロード踏みにけり /勝美
長閑けしや浜に漂着せしかぼちや /勝美
長閑けしや浜に漂着せしかぼちや
モネの絵のごとき光や春夕焼
モネの絵のごとき光や春夕焼 /勝美
餌に群るる花見鯛ゐる城の堀 /勝美
餌に群るる花見鯛ゐる城の堀
降臨は意表つく場所春愁ひ
降臨は意表つく場所春愁ひ /勝美

ひねもす俳句:四国島旅その1

2022/03/19

岸壁の母を偲べば鳥雲に
岸壁の母を偲べば鳥雲に /勝美
醤油まだ蔵に眠れり山笑ふ /勝美
醤油まだ蔵に眠れり山笑ふ
休日の魔女の散歩風光る
休日の魔女のお散歩風光る /勝美
オリーブの島へ着岸して日永 /勝美
オリーブの島へ着岸して日永
金比羅へ佐保姫裳裾靡かせて
金比羅へ佐保姫裳裾靡かせて /勝美

ひねもす俳句:一気に春だ

2022/03/02

竜天に昇り屋根ども平伏す
竜天に昇り屋根ども平伏す /勝美
鳩と為る鷹眼光を隠し得ず /勝美
鳩と為る鷹眼光を隠し得ず
鳥曇春の曲吹くプレイヤー
鳥曇春の曲吹くプレイヤー /勝美
赤富士の裾は遥けし水温む /勝美
赤富士の裾は遥けし水温む
友禅のなびく工房春の川
友禅のなびく工房春の川 /勝美

ひねもす俳句:ススメススメ

2022/02/12

楼蘭は砂漠に埋もれ鳥雲に
楼蘭は砂漠に埋もれ鳥雲に /勝美
何処までも続く線路をゆく日永 /勝美
何処までも続く線路をゆく日永
初午や還暦祝ふ狐どち
初午や還暦祝ふ狐どち /勝美
遠足に非ず一家の総家出 /勝美
遠足に非ず一家の総家出
滑り台すべり尻焼く四月馬鹿
滑り台すべり尻焼く四月馬鹿 /勝美

ひねもす俳句:渋茶で一服

2022/01/25

灯の入らぬ常夜灯めく巣箱かな
灯の入らぬ常夜灯めく巣箱かな /勝美
春うらら天使の羽の宙に舞ふ /勝美
春うらら天使の羽の宙に舞ふ
葬送の列ゆく木立凍返る
葬送の列ゆく木立凍返る /勝美
造影の血管黒し春寒し /勝美

造影の血管黒し春寒し

落雁は渋茶の友や雁帰る
落雁は渋茶の友や雁帰る /勝美

ひねもす俳句:いざ出発

2022/01/15

晴着てふ派手な色合ひ着て春着
晴着てふ派手な色合ひ着て春着 /勝美
恵方へとつづく足跡一直線 /勝美
恵方へとつづく足跡一直線
昭和遠し急階段に在る余寒
昭和遠し急階段に在る余寒 /勝美
大試験門扉の広く開け放ち /勝美
大試験門扉の広く開け放ち
デゴイチの黄砂降る地へ発車ベル
デゴイチの黄砂降る地へ発車ベル /勝美

ひねもす俳句:ゆく水は還らず

2021/12/23

もどかしさ募るばかりや年の暮
もどかしさ募るばかりや年の暮 /勝美
公園といふ空間の冬日影 /勝美
公園といふ空間の冬日影
冬空を映す銀盆銀象嵌
冬空を映す銀盆銀象嵌 /勝美
ゆく年の流れや涸るること知らず /勝美
ゆく年の流れや涸るること知らず
餅花に似し寒風の置き土産
餅花に似し寒風の置き土産 /勝美

ひねもす俳句:変わりゆくもの

2021/12/15

水涸れて日の目見たりし竜宮城
水涸れて日の目見たりし竜宮城 /勝美
空にして疎は淋しかり年暮るる /勝美
空にして疎は淋しかり年暮るる
メデューサの魔力に硬化春待てり
メデューサの魔力に硬化春待てり /勝美
水都いま眠りに冬の寒さかな /勝美
水都いま眠りに冬の寒さかな
寒林の影絵朝日の上るまで
寒林の影絵朝日の上るまで /勝美

ひねもす俳句:メタモルフォセス

2021/11/25

柿色の珠玉の飾り冬館
柿色の珠玉の飾り冬館 /勝美
恥多き身を恥ぬれば紅葉す /勝美
恥多き身を恥ぬれば紅葉す
冬めくも裸一貫只沈思
冬めくも裸一貫只沈思 /勝美
月食を知るや知らずや炬燵猫 /勝美
月食を知るや知らずや炬燵猫
風来れば風に靡けり枯尾花
風来れば風に靡けり枯尾花 /勝美

ひねもす俳句:止まるも行くも

2021/11/09

陣形を作る相談鴨寄り来
陣形を作る相談鴨寄り来 /勝美
稲干すや鳥除けの網怠らず /勝美
稲干すや鳥除けの網怠らず
オブジェの鯰動かず冬日差
オブジェの鯰動かず冬日差 /勝美
水門の開かずなりけり水涸れて /勝美
水門の開かずなりけり水涸れて
寒風に雲流されて散り散りに
寒風に雲流されて散り散りに /勝美

ひねもす俳句:賑やかな晩秋

2021/10/25

ひと時の安堵を得たり枝の鵯
ひと時の安堵を得たり枝の鵯 /勝美
秋の山華やぐ色をとりどりに /勝美
秋の山華やぐ色をとりどりに
小道具の撒き菱手裏剣村芝居
小道具の撒き菱手裏剣村芝居 /勝美
土嚢より草の顔出す冬ぬくし /勝美
土嚢より草雀は蛤に
二の足を踏むぼろ市の露悪品
二の足を踏むぼろ市の露悪品 /勝美

ひねもす俳句:雲の晴れ間

2021/10/01

月光の光りの塵を載せ団子
月光の光りの塵を載せ団子 /勝美
冷ややかや卓に聖書の置かれゐて /勝美
冷ややかや卓に聖書の置かれゐて
すさまじや断頭台上鶏瞑目
すさまじや断頭台上鶏瞑目 /勝美
小鳥来る色の違へど相集ひ /勝美
小鳥来る色の違へど相集ひ
叢雲の剣の一振り露はるる
叢雲の剣の一振り露はるる /勝美

ひねもす俳句 :番外編「小さな秋見つけた」

2021/09/18

憶良らは罷らむ北の風ぞ吹く
憶良らは罷らむ北の風ぞ吹く /勝美
お供への月見団子や我も乞ふ /勝美
お供への月見団子や我も乞ふ
不用品あれど捨てざり秋惜しむ
不用品あれど捨てざり秋惜しむ /勝美
水引きし田も時すぎて刈田なる /勝美
水引きし田も時すぎて刈田なる
秋雨や耳ほとほとと研ぎ澄ます
秋雨や耳ほとほとと研ぎ澄ます /勝美

ひねもす俳句:秋深きもろもろ

2021/09/13

鵯上戸小鳥は艶めく実を好む
鵯上戸小鳥は艶めく実を好む /勝美
切り株に残るや秋の日の想ひ /勝美
切り株に残るや秋の日の想ひ
木道の標識めきし益母草
木道の標識めきし益母草 /勝美
龍淵に潜めど少年大志抱く /勝美
龍淵に潜めど少年大志抱く
首飾り緒の切れ露の玉こぼる
首飾り緒の切れ露の玉こぼる /勝美

ひねもす俳句:さあ爽やかに

2021/08/27

肺胞にみなぎる命原爆忌
肺胞にみなぎる命原爆忌 /勝美
爽やかや顔を洗へば今日の顔 /勝美
爽やかや顔を洗へば今日の顔
苧殻焚く煙は天へ昇るなり
苧殻焚く煙は天へ昇るなり /勝美
鯉跳ねて飛ばす飛沫の澄めりけり /勝美
鯉跳ねて飛ばす飛沫の澄めりけり
囚はれて蟄居の家や蔦の檻
囚はれて蟄居の家や蔦の檻 /勝美

ひねもす俳句:夏さらば

2021/08/11

炎熱はいかに生気を奪ひしか
炎熱はいかに生気を奪ひしか /勝美
行水の烏イソップ逸話めく /勝美
行水の烏イソップ逸話めく
夕焼けの街やそろそろ夜の蝶
夕焼けの街やそろそろ夜の蝶 /勝美
夏茸降る神兵の落下傘 /勝美
夏茸降る神兵の落下傘
木下径つづく公園晩夏光
木下径つづく公園晩夏光 /勝美

ひねもす俳句:すべては秋へ

2021/07/25

ひと筋の道ひたすらに秋遍路
ひと筋の道ひたすらに秋遍路 /勝美
時折は穴より出でて蚯蚓鳴く /勝美
時折は穴より出でて蚯蚓鳴く
恐竜に追はれ逃げ込む秋の蛇
恐竜に追はれ逃げ込む秋の蛇 /勝美
魂の抜け殻積まれゐて残暑 /勝美
魂の抜け殻積まれゐて残暑
すぐそこの秋へ木道続きけり
すぐそこの秋へ木道続きけり /勝美

ひねもす俳句:梅雨のひと時

2021/07/13

源義忌の石の砦や秋燕
源義忌の石の砦や秋燕 /勝美
夕虹に出逢ひ旅人安らぎぬ /勝美
夕虹に出逢ひ旅人安らぎぬ
原爆忌オバマの鶴のいと小さし
原爆忌オバマの鶴のいと小さし /勝美
浅漬けの茄子や胡瓜や食すすむ /勝美
浅漬けの茄子や胡瓜や食すすむ
梅雨の夕空ビルの谷間に刻移り
梅雨の夕空ビルの谷間に刻移り /勝美

ひねもす俳句:虫の季節

2021/06/24

芋虫の刺青モダンアートめく
芋虫の刺青モダンアートめく /勝美
蟻や蟻蟻蟻蟻の平和郷 /勝美
蟻や蟻蟻蟻蟻の平和郷
蟷螂の独り遊びや所在なく
蟷螂の独り遊びや所在なく /勝美
かなぶんにレースの玉座提供す /勝美
かなぶんにレースの玉座提供す
雲の神何やら叫ぶ山開き
雲の神何やら叫ぶ山開き /勝美

ひねもす俳句:思い描く夏

2021/06/06

大凶をきれいさつぱり送り梅雨
大凶をきれいさつぱり送り梅雨 /勝美
五合目に人待つ馬や富士登山 /勝美
五合目に人待つ馬や富士登山
海の日や上陸舟艇なほ浜に
海の日や上陸舟艇なほ浜に /勝美
五輪の輪描くダイバー夏の海 /勝美
五輪の輪描くダイバー夏の海
亜麻色の髪の少女やゼリー揺れ
亜麻色の髪の少女やゼリー揺れ /勝美

ひねもす俳句:夏の色夏の音

2021/05/20

夏の夜の街の刻止め救急車
夏の夜の街の刻止め救急車 /勝美
クレープの花束母の日の母へ /勝美
クレープの花束母の日の母へ
血色の良き子すくすく不断草
血色の良き子すくすく不断草 /勝美
シェルターにこもりて避くる梅雨湿り /勝美
シェルターにこもりて避くる梅雨湿り
更衣選ぶとすれば黄のジャケツ
更衣選ぶとすれば黄のジャケツ /勝美

ひねもす俳句:夏の植物図鑑

2021/05/02

踏みしめて登る箱根や花空木
踏みしめて登る箱根や花空木 /勝美
はつ夏の色濃く匂蕃茉莉 /勝美
はつ夏の色濃く匂蕃茉莉
寄つて来る牧の羊や風薫る
寄つて来る牧の羊や風薫る /勝美
夏めくや花粉を飛ばすブラシの木 /勝美
夏めくや花粉を飛ばすブラシの木
檜扇を翳せば雨のひとしづく
檜扇を翳せば雨のひとしづく /勝美

ひねもす俳句:メタモルフォーゼ春

2021/04/26

菜の花は蝶に化すことなく蜂に
菜の花は蝶に化すことなく蜂に /勝美
蓋を開け春をうかがふ雪持草 /勝美
蓋を開け春をうかがふ雪持草
銭湯の破風の天地に残る鶴
銭湯の破風の天地に残る鶴 /勝美
脱ぎしもの畳みもせずに更衣 /勝美
脱ぎしもの畳みもせずに更衣
夏近し突如噴火の桜島
夏近し突如噴火の桜島 /勝美

ひねもす俳句:独立自尊の春

2021/04/05

屈託のなき顔嬉し一年生
屈託のなき顔嬉し一年生 /勝美
穴出づる蜥蜴無心の貌をして /勝美
穴出づる蜥蜴無心の貌をして
一人静モットー独立自尊なり
一人静モットー独立自尊なり /勝美
洋菓子に叶ふ新茶は芽茶なりし /勝美
洋菓子に叶ふ新茶は芽茶なりし
八十八夜茶壺茶箱を取り揃へ
八十八夜茶壺茶箱を取り揃へ /勝美

ひねもす俳句:異次元の世界に

2021/03/19

旅立ちを待つ天球や復活祭
旅立ちを待つ天球や復活祭 /勝美
ままごとのやうな彩り春御膳 /勝美
ままごとのやうな彩り春御膳
陽炎となる噴煙の沸きやまず
陽炎となる噴煙の沸きやまず /勝美
ぽつかりと春の浮雲整列す /勝美
ぽつかりと春の浮雲整列す
此れが彼の医者の仮面や謝肉祭
此れが彼の医者の仮面や謝肉祭 /勝美

ひねもす俳句:魅惑の春あれこれ

2021/03/08

晴れ晴れと顔のほころぶ合格子
晴れ晴れと顔のほころぶ合格子 /勝美
クラインの壷の入り口春満月 /勝美
クラインの壷の入り口春満月
朝焼の空の渚や波しづか
朝焼の空の渚や波しづか /勝美
花にらや嘘は素知らぬ顔で吐く /勝美
花にらや嘘は素知らぬ顔で吐く
防護衣をまとふ草餅桜もち
防護衣をまとふ草餅桜もち /勝美

ひねもす俳句:陽炎の世

2021/02/27

映像は二次元なべて陽炎へる
映像は二次元なべて陽炎へる /勝美
雪割草心のひだをほぐしけり /勝美
雪割草心のひだをほぐしけり
巣籠りの何時まで続くことかしら
巣籠りの何時まで続くことかしら /勝美
直下型地震の予感花ぐもり /勝美
直下型地震の予感花ぐもり
ボヘミアングラス春愁閉ぢゐたり
ボヘミアングラス春愁閉ぢゐたり /勝美

ひねもす俳句:此岸より彼岸へ

2021/02/15

此岸より彼岸へ空中散歩かな
此岸より彼岸へ空中散歩かな /勝美
一条の紐花冷えの天目指す /勝美
一条の紐花冷えの天目指す
伝聞は増幅招く目借り時
伝聞は増幅招く目借り時 /勝美
臘梅に主役をゆづる空の青 /勝美
臘梅に主役をゆづる空の青
剣山にまがふ棘棘春の蟹
剣山にまがふ棘棘春の蟹 /勝美

ひねもす俳句:春よ来れ!

2021/01/26

春寒や抜け殻めきしアーケード

春寒や抜け殻めきしアーケード /勝美
枯葉掃く高野箒や作務衣僧 /勝美
枯葉掃く高野箒や作務衣僧
道と化す暗渠の秘むる春の闇
道と化す暗渠の秘むる春の闇 /勝美
水墨の現代アート寒の鵯 /勝美
水墨の現代アート寒の鵯

春三日月宇宙の広さ独り占め

春三日月宇宙の広さ独り占め /勝美

ひねもす俳句:仲睦まじく

2021/01/10

冬日差縁側で食ぶ砂糖菓子
冬日差縁側で食ぶ砂糖菓子 /勝美
淋しくば相寄らまほし浮寝鳥 /勝美
淋しくば相寄らまほし浮寝鳥
落武者の影よろよろと枯葉の地
落武者の影よろよろと枯葉の地 /勝美
茶室へとつづく足跡名残雪 /勝美
茶室へとつづく足跡名残雪
買初めの家族会議埒あかず
買初めの家族会議の埒あかず /勝美

ひねもす俳句:何が出るかな

2020/12/14

職退きし日の花束や冬薔薇

職退きし日の花束や冬薔薇 /勝美

ゆく年や花道花に飾られて /勝美

ゆく年や花道花に飾られて
エッシャーの沈む階段聖樹浮く

エッシャーの沈む階段聖樹浮く /勝美

幹を這ふ光痒しよ冬木立 /勝美

幹を這ふ光痒しよ冬木立
クリスマスパンドラの匣開けやうか

クリスマスパンドラの匣開けやうか /勝美

ひねもす俳句:日はまた昇る

2020/11/29

レリーフの波の凹凸鴨群るる

レリーフの波の凹凸デコイ鴨 /勝美

花束のやうに熊手を抱へけり /勝美

花束のやうに熊手を抱へけり
朝来れば運河に変はり冬銀河

朝来れば運河に変はり冬銀河 /勝美

寒禽の眠り覚めざり日は昇る /勝美

寒禽の眠り覚めざり日は昇る
朝日射す降誕祭の日の荒野 

朝日射す降誕祭の日の荒野 /勝美

ひねもす俳句:冬のひと日

2020/11/13

立冬の日の輝きぬ山向かう

立冬の日の輝きぬ山向かう /勝美
冬空や堀割柳枯れもせで /勝美

冬空や堀割柳枯れもせで

勤王の志士の溜り場冬ざるる
勤皇の志士の溜り場冬ざるる /勝美
小春日や疎らに人のゐるパティオ /勝美
小春日や疎らに人のゐるパティオ
寒鮒に安息の日のあるべかり
寒鮒に安息の日のあるべかり /勝美

ひねもす俳句:秋そこはか

2020/10/28

誰にともなく柊の花香る
誰にともなく柊の花香る /勝美
ハロウインの声の掛からぬ南瓜どち /勝美
ハロウインの声の掛からぬ南瓜どち
秋淋し南極の石さらされて
秋淋し南極の石さらされて /勝美
西空を染むる光芒秋の暮 /勝美
西空を染める光芒秋の暮
紫の上の気品やあけびの実
紫の上の気品やあけびの実 /勝美

ひねもす俳句:晩秋うろうろ

2020/10/17

オムレツにデビルを描くハロウィン
オムレツにデビルを描くハロウィン /勝美
 
冥土への入り口塞ぐ秋の草 /勝美
冥土への入り口塞ぐ秋の草
はまなすの実やかざりやのあぶり餅
 
はまなすの実やかざりやのあぶり餅 /勝美
 
 
鴨来る互ひに密とならぬ距離 /勝美
 
鴨来る互ひに密とならぬ距離
三密を避けて遠巻き焼き鳥屋
 
三密を避けて遠巻き焼き鳥屋 /勝美

ひねもす俳句:肌寒のころ

2020/09/24

秋風の吹くや吹かぬや磴登る
秋風の吹くや吹かぬや磴登る /勝美
山小屋を閉づる日近し冬近し /勝美
山小屋を閉づる日近し冬近し
鼻先へ突如一発へこき虫
鼻先へ突如一発へこき虫 /勝美
観戦はフェンス越しなり運動会 /勝美
観戦はフェンス越しなり運動会
龍淵に潜む仲間に呼ばれけり
龍淵に潜む仲間に呼ばれけり /勝美

ひねもす俳句:配置万端なり

2020/09/11

水飲み場へ黄ばむ柳の影迫る

水飲み場へ黄ばむ柳の影迫る /勝美
向日葵の反逆己が黄に飽きて /勝美
向日葵の反逆己が黄に飽きて
冬隣血は全身に巡りけり
冬隣血は全身に巡りけり /勝美
結界のごと翅拡げ黒揚羽 /勝美
結界のごと翅拡げ黒揚羽
各階に配置せり藪茗荷の実
各階に配置せり藪茗荷の実 /勝美

ひねもす俳句:これでもか

2020/08/27

震災忌耐震補強これでもか
震災忌耐震補強これでもか /勝美
飾り付け広がる空や運動会 /勝美
飾り付け広がる空や運動会
残暑なほ熱中症の話など
残暑なほ熱中症の話など /勝美
標的にダーツの矢飛ぶ良夜かな /勝美
標的にダーツの矢飛ぶ良夜かな
爽やかや一投すべてストライク
爽やかや一投すべてストライク /勝美

ひねもす俳句:夏と思えば秋

2020/08/13

宵闇に浮かぶレースの白優美
宵闇に浮かぶレースの白優美 /勝美
厳粛な生命の儀式蝉の羽化 /勝美
厳粛な生命の儀式蝉の羽化
夏痩せの妙薬石麻呂に感謝
 夏痩せの妙薬石麻呂に感謝 /勝美
夜の秋単眼鏡に瞳を凝らす /勝美
夜の秋単眼鏡に瞳を凝らす
盆踊広場へ階段坂下
盆踊広場へ階段坂下る /勝美

ひねもす俳句:生きとし生くるもの

2020/07/30

未熟者は直ぐに音を上げ金鈴子
未熟者は直ぐに音を上げ金鈴子 /勝美
おはやうと目玉くるくるいぼむしり /勝美
おはやうと目玉くるくるいぼむしり
水底に影も止めずあめんぼう
水底に影も止めずあめんぼう /勝美
銘刀の妖しき光り青蜥蜴 /勝美
銘刀の妖しき光り青蜥蜴
香港の治安気になる紅蜀葵
香港の治安気になる紅蜀葵 /勝美

ひねもす俳句:前途洋洋

2020/07/07

お気に召すやら出来立ての葛饅頭

お気に召すやら出来立ての葛饅頭 /勝美

半夏半作髭つらの青書生 /勝美
半夏半作髭つらの青書生
黒南風や明るい兆しある前途

黒南風や明るい兆しある前途 /勝美

分子構造模型に細工夏の花 /勝美

分子構造模型に細工夏の花
梅雨の日も精一杯のお洒落して

梅雨の日も精一杯のお洒落して /勝美

ひねもす俳句:原点回帰

2020/06/27

故郷へ回帰の思案して晩夏

故郷へ回帰の思案して晩夏 /勝美

アイーダの行進去ぬ梅雨晴間 /勝美

アイーダの行進去ぬ梅雨晴間
イソップの酸つぱい葡萄かと思ふ

イソップの酸つぱい葡萄かと思ふ /勝美

戦争は愛を引き裂くはたた神 /勝美

戦争は愛を引き裂くはたた神
蒼白となりし聖火や原爆忌

蒼白となりし聖火や原爆忌 /勝美

ひねもす俳句:時々刻々

2020/06/08

触手延ぶ茅花流しに誘はれて

触手延ぶ茅花流しに誘はれて /勝美

夏書いま終息の刻待つばかり /勝美

夏書いま終息の刻待つばかり
井の中に藪蚊縞蚊の影なかり

井の中に藪蚊縞蚊の影なかり /勝美

紫の上夏風邪を召されしや /勝美

紫の上夏風邪を召されしや
涼しさや荻須の好む裏通り

涼しさや荻須の好む裏通り /勝美

ひねもす俳句:自粛の日々

2020/05/24

梅雨に入る工場操業自粛中

梅雨に入る工場操業自粛中 /勝美

夕焼けや狼煙の如き雲一つ /勝美

夕焼けや狼煙の如き雲一つ
信仰の道はひとすぢ遍路道

信仰の道はひとすぢ遍路道 /勝美

エッシャーの無限階段降りて梅雨 /勝美

エッシャーの無限階段降りて梅雨
青柿の墜ちて見紛ふラフレシア

青柿の墜ちて見紛ふラフレシア /勝美

ひねもす俳句:思えば遠し

2020/05/08

終息へ道のり遠くして立夏
終息へ道のり遠くして立夏 /勝美
蝸牛ステイホームと言はれても /勝美
蝸牛ステイホームと言はれても
生命とは強靭なもの麦の秋
生命とは強靭なもの麦の秋 /勝美
竹の子の身丈に合はす防護服 /勝美
竹の子の身丈に合はす防護服
母の日や母を偲べば灯の緩む
母の日や母を偲べば灯の緩む /勝美

ひねもす俳句:春行けば夏来る

2020/04/25

暮の春カーテンコールを二度三度
暮の春カーテンコールを二度三度 /勝美
可視化ししコロナウイルス春怒濤 /勝美
可視化ししコロナウイルス春怒濤
求めあふものに幸あり春行けり
求めあふものに幸あり春行けり /勝美
オキーフの画集ひもとく白夜かな /勝美
オキーフの画集ひもとく白夜かな
囚はれの如く家あり今朝の夏
囚はれの如く家あり今朝の夏 /勝美

ひねもす俳句:コロナ旋風真っ只中

2020/04/12

竹の皮脱ぐも脱げざり防護服

竹の皮脱ぐも脱げざり防護服 /勝美

花吹雪逃れて山を下りけり /勝美

花吹雪逃れて山を下りけり
勢揃ひせり遠足のお供たち

勢揃ひせり遠足のお供たち /勝美

デージーのコロナウイルスめく形 /勝美

デージーのコロナウイルスめく形
風吹けば風に口開く燕の子

風吹けば風に口開く燕の子 /勝美

ひねもす俳句:パンドラの箱に潜むもの

2020/03/29

春愁やパンドラの箱何残る
春愁やパンドラの箱何残る /勝美
彼我分つ垣の内外鳥曇り /勝美
彼我分つ垣の内外鳥曇り
陽炎ふといへど花道進むべし
陽炎ふといへど花道進むべし /勝美
魚信なし柳は風を受け流す /勝美
魚信なし柳は風邪を受け流す
屍体まだ埋もれしままの桜かな
屍体まだ埋もれしままの桜かな /勝美

ひねもす俳句:化けそうな春

2020/03/13

陽炎やケーキの狸化けさうに
陽炎やケーキの狸化けさうに /勝美
影落とすコロナウイルス春深し /勝美
影落とすコロナウイルス春深し
レプリカは煮炊きのならず春愁ひ
レプリカは煮炊きのならず春愁ひ /勝美
朧夜や夢乗せ電車疾走す /勝美
朧夜や夢乗せ電車疾走す
アルテミス女神の乳房風光る
アルテミス女神の乳房風光る /勝美

ひねもす俳句:春は京都

2020/03/01

龍天に昇る雌雄の睦まじく
龍天に昇る雌雄の睦まじく /勝美
雪解川山の呪縛より脱す /勝美
雪解川山の呪縛より脱す
島二つ浮かべしづけき春の海
島二つ浮かべしづけき春の海 /勝美
獺祭やどれから箸をつけやうか /勝美
獺祭やどれから箸をつけやうか
春愁を表に出さずして仕事
春愁を表に出さずして仕事 /勝美

ひねもす俳句:春はむずむず

2020/02/11

海蝕の進む断崖アロエ咲く
海蝕の進む断崖アロエ咲く /勝美
先生の嚏しきりや墓の雨 /勝美
先生の嚏しきりや墓の雨
砦なす本の山積み冬ごもり
砦なす本の山積み冬ごもり /勝美
春寒料峭年寄りのストレッチ /勝美
春寒料峭年寄りのストレッチ
磔や海見ることもなく春愁
磔や海見ることもなく春愁 /勝美

ひねもす俳句:立春大吉

2020/01/25

立春大吉シェルターといふ避難場所
立春大吉シェルターといふ避難場所 /勝美
早春の空を威圧の青銅砲 /勝美
早春の空を威圧の青銅砲
長閑けしや手榴弾めくかづらの実
長閑けしや手榴弾めくかづらの実 /勝美
永き日の亀石苔を生やしけり /勝美
永き日の亀石苔の生す背中
春めいて浮かれ出でたる苔の花
春めいて浮かれ出でたる苔の花 /勝美

ひねもす俳句:春の訪れ(令和版)

2020/01/13

青空に春光放つ寺の鴟尾
青空に春光放つ寺の鴟尾 /勝美

赤塚城址に梅の賑はひ近づきぬ /勝美
赤塚城址に梅の賑はひ近づきぬ
正月の旅行何処や門閉ざし
正月の旅行何処や門閉ざし /勝美
渋谷川無惨これでも春の川 /勝美
渋谷川無惨これでも春の川
散らばるる数多の殻や春の磯
散らばるる数多の殻や春の磯 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2019/12/26

石段の上は冬空あるばかり /勝美
雲垂るる冬の夜明けや起床時 /勝美
イラストで満たすや今日も雪不足 /勝美
去年今年繋ぐ橋なり渡らうか /勝美
数へ日や棚晒しなる読まぬ本 /勝美

ひねもす俳句:移ろいを探して

2019/12/15

狂ひ咲く夜のだちゆらや帰り花
狂ひ咲く夜のだちゆらや帰り花 /勝美
安住や落ち葉とりどり安らけし /勝美
安住や落ち葉とりどり安らけし
枯芒軍需工場の夢の跡
枯芒軍需工場の夢の跡 /勝美
寒鯉の見上ぐる水の深さかな /勝美
寒鯉の見上ぐる水の深さかな
楽しみは全身浴の日向ぼこ
楽しみは全身浴の日向ぼこ /勝美

ひねもす俳句:終りは始まり

2019/11/25

火のないストーブ置かれしたぴおおおか駅
火のないストーブ置かれしたぴおおおか駅 /勝美
ミサ曲流る落葉は光る色硝子 /勝美
 ミサ曲流る落葉は光る色硝子
バッカスと酌むや勤労感謝の日
バッカスと酌むや勤労感謝の日 /勝美
サッカー観戦観衆は雲のごと /勝美
サッカー観戦観衆は雲のごと
捕へらる綿虫無念の面構へ
捕へらる綿虫無念の面構へ /勝美

ひねもす俳句:令和元年歳晩

2019/11/11

葡萄枯葉はアダムとイヴの替へパンツ
葡萄枯葉はアダムとイヴの替へパンツ /勝美
冬浅し季節を映す抹茶碗 /勝美
冬浅し季節を映す抹茶碗
補陀落へ装備整ふ年の内
補陀落へ装備整ふ年の内 /勝美
菊薫る即位パレード恙なく /勝美
菊薫る即位パレード恙なく
此の先の暮らしそのもの五里霧中
此の先の暮らしそのもの五里霧中 /勝美

ひねもす俳句:急ぎ足の秋

2019/10/31

掃き溜めに鶴のごとしよ雪の富士
掃き溜めに鶴のごとしよ雪の富士 /勝美
芸術の秋イベントの赤煉瓦 /勝美
芸術の秋イベントの赤煉瓦
空は鈍色冬眠を急ぐ龍
空は鈍色冬眠を急ぐ龍 /勝美
すさまじや塵も積もれば猪となり /勝美
すさまじや塵も積もれば猪となり
夜寒さに葱拉麺の頼もしき
夜寒さに葱拉麺の頼もしき /勝美

ひねもす俳句:時は過ぎ行く

2019/10/11

白波の飛ばす飛沫や秋の航
白波の飛ばす飛沫や秋の航  /勝美
灯台に変はる砲台文化の日 /勝美
灯台に変はる砲台文化の日
出現の古代遺跡や秋の海
出現の古代遺跡や秋の海 /勝美
螻蛄の鳴く横丁先へ続きけり /勝美
螻蛄の鳴く横丁先へ続きけり
見習ひの自信身につく十一月
見習ひの自信身につく十一月 /勝美

ひねもす俳句:それぞれの営み

2019/09/24

高架の支柱倒るべからず阪神忌

高架の支柱倒るべからず阪神忌 /勝美

忸怩たる汗のごとしよ露の玉 /勝美
忸怩たる汗のごとしよ露の玉
穴に入る前かなへびのボルダリング
 穴に入る前かなへびのボルダリング /勝美
冷ややかや出征兵士は華と散り /勝美
冷ややかや出征兵士は華と散り
燈籠を守る猫ゐて恙なし
燈籠を守る猫ゐて恙なし /勝美

ひねもす俳句:台風一過

2019/09/09

輪になりて踊る陽気な案山子どち
輪になりて踊る陽気な案山子どち /勝美
隙間風本の砦に隙あらじ /勝美
隙間風本の砦に隙あらじ
苦瓜の赤心示す機は熟す
苦瓜の赤心示す機は熟す /勝美
メビウスの輪や宵闇の未来都市 /勝美
メビウスの輪や宵闇の未来都市
芋虫に食餌制限ありやなし
芋虫に食餌制限ありやなし /勝美

ひねもす俳句:秋の佇まい

2019/08/27

ピラルクはパンに雀は蛤に
ピラルクはパンに雀は蛤に /勝美
露けしや神妙に聴くクラシック /勝美
露けしや神妙に聴くクラシック
腰骨をそろり伸ばされ生身魂
腰骨をそろり伸ばされ生身魂 /勝美
流燈や終の生命の尽くるまで /勝美
流燈や終の生命の尽くるまで
鳥渡る空や真綿のちぎれ雲
鳥渡る空や真綿のちぎれ雲 /勝美

ひねもす俳句:異次元に遊ぶ

2019/08/18

水遊び好きな子どもや傘さして

水遊び好きな子どもや傘さして /勝美

夏向きの色はこの色爬虫類 /勝美

夏向きの色はこの色爬虫類
葭簀には防音効果ありやなし

葭簀には防音効果ありやなし /勝美

蝶蝶のステンドグラス涼新た /勝美

蝶蝶のステンドグラス涼新た
台風やシェルターに身を潜めたる

台風やシェルターに身を潜めたる /勝美

ひねもす俳句:覗きからくり

2019/08/11

 

炎天に着地を待てる己が影 /勝美
蝉の穴覗きからくり懐かしし /勝美
烏瓜の花のレースをシンデレラ

 

烏瓜の花のレースをシンデレラ /勝美
本能寺焼けてより空夕焼くる /勝美
本能寺焼けてより空夕焼くる
待宵やまだ来ぬ人を道に出て

 

待宵やまだ来ぬ人を道に出て /勝美

ひねもす俳句:夏また巡る

2019/07/24

寄せて引く波とこしへに原爆忌 /勝美
寄せて引く波とこしへに原爆忌 /勝美
新築の木の香芳はし冷素麺 /勝美
新築の木の香芳はし冷素麺 /勝美
梅雨明けや故郷雲の低けれど /勝美
梅雨明けや故郷雲の低けれど /勝美
復興の南相馬や海開き /勝美
復興の南相馬や海開き /勝美
夏季セール客を呼び込む拡声器 /勝美
夏季セール客を呼び込む拡声器 /勝美

ひねもす俳句:人影のない夏

2019/07/08

芭蕉布の根来法師の白頭巾

芭蕉布の根来法師の白頭巾 /勝美
翡翠を見飽きて去りし男かな /勝美
翡翠を見飽きて去りし男かな
捜索や蛍袋に灯をともし
捜索や蛍袋に灯をともし /勝美
満月へ飛ぶロケットの火の柱 /勝美
満月へ飛ぶロケットの火の柱
真夏日の地上へ伸ばす潜望鏡
真夏日の地上へ伸ばす潜望鏡 /勝美

ひねもす俳句:おお忙しや

2019/06/15

彩りは刻みパセリや召し上がれ
彩りは刻みパセリや召し上がれ /勝美
午後からの雨を気にして朝顔市 /勝美
午後からの雨を気にして朝顔市
水換へに執事持去る金魚玉
水換へに執事持去る金魚玉 /勝美
一本は天へ向けけり大矢数 /勝美
一本は天へ向けけり大矢数
裏街の壁煤けをり巴里祭
裏街の壁煤けをり巴里祭 /勝美

ひねもす俳句:幸せって何

2019/05/31

加茂の川床抹茶ゼリーを突き崩す
加茂の川床抹茶ゼリーを突き崩す /勝美
桜の実たとへ不出来と言はれても /勝美
桜の実たとへ不出来と言はれても
熱砂越え聖地奪還十字軍
熱砂越え聖地奪還十字軍 /勝美
木と化せし蛸は強固に足を地に /勝美
木と化せし蛸は強固に足を地に
希望誠意愛情幸運夏の夢
希望誠意愛情幸運夏の夢 /勝美

ひねもす俳句:此処は何処

2019/05/13

佐保姫に踊りの神の降りて来し
佐保姫に踊りの神の降りて来し /勝美
梅雨入りの気配や山のそそり立つ /勝美
梅雨入りの気配や山のそそり立つ
衛兵の如き岩峰汗滂沱
衛兵の如き岩峰汗滂沱 /勝美
石楠花やつづく急坂登りきり /勝美
アンデスの文明に触れ夏夜明
アンデスの文明に触れ夏夜明 /勝美

ひねもす俳句:どっこい生きている

2019/04/30

胃カメラは奥へ奥へと躑躅径
胃カメラは奥へ奥へと躑躅径 /勝美
青い地球ゆつくり回る清和かな /勝美
青い地球ゆつくり回る清和かな
ぼうたんに気づく床しさてふ言葉
ぼうたんに気づく床しさてふ言葉 /勝美
右顧左眄する目を持たず蝌蚪群るる /勝美
右顧左眄する目を持たず蝌蚪群るる
デージーや延命治療拒む意志
デージーや延命治療拒む意志 /勝美

ひねもす俳句:令和へジャンプ

2019/04/14

オアシスは時間の谷間昭和の日
オアシスは時間の谷間昭和の日 /勝美
郷愁を壁に止めてみどりの日 /勝美
郷愁を壁に止めてみどりの日
君知るやてんとう虫の幼虫を
君知るやてんとう虫の幼虫を /勝美
満作は色に出にけり浮かれけり /勝美
満作は色に出にけり浮かれけり
新学期四肢軽やかにハイジャンプ
新学期四肢軽やかにハイジャンプ /勝美

 

ひねもす俳句:田舎にも春

2019/03/23

風光る海のしづくを散らす櫂
風光る海のしづくを散らす櫂 /勝美
朧月仰ぎて遠し不帰の客 /勝美
朧月仰ぎて遠し不帰の客
畑打ちの人手不足や田舎駅 
畑打ちの人手不足や田舎駅 /勝美
通学に拾ふ恋あり卒業す /勝美
通学に拾ふ恋あり卒業す
急行は停車せざりし新社員 
急行は停車せざりし新社員 /勝美

 

ひねもす俳句:萌え出づる生命

2019/03/14

踏まれてもはびこるいのち日の永し
踏まれてもはびこるいのち日の永し /勝美
目借時禅知内供の高いびき /勝美
目借時禅知内供の高いびき
刑務所の塀にものの芽顔出せり 
刑務所の塀にものの芽顔出せり /勝美
人住まふ花一つなき街なれど /勝美
人住まふ花一つなき街なれど
 春塵の洗はれ雨後の空此処に
春塵の洗はれ雨後の空此処に /勝美

ひねもす俳句:春よ来い

2019/03/04

山茱萸や黄金に光る砂金つぶ
山茱萸や黄金に光る砂金つぶ /勝美
龍天に昇るを待つや思案の眼 /勝美
龍天に昇るを待つや思案の眼
湧き出づるいのちや水の温む頃
湧き出づるいのちや水の温む頃 /勝美
春来よと一斉放列太鼓隊 /勝美
春来よと一斉放列太鼓隊
じりじりと春来る方へ脚伸ばす
じりじりと春来る方へ脚伸ばす /勝美

ひねもす俳句:春のスケッチ

2019/02/09

梅の香は伝はり切れぬ電話也
梅の香は伝はり切れぬ電話也 /勝美
逃げ水のくみ上げ用の井戸ポンプ /勝美
逃げ水のくみ上げ用の井戸ポンプ
窓からの日差し明るし雛飾る
窓からの日差し明るし雛飾る /勝美
永き日やビルといへども水鏡 /勝美
永き日やビルといへども水鏡
うららかや乗つて愉しき動く寄席
うららかや乗つて愉しき動く寄席 /勝美

ひねもす俳句:春は其処まで

2019/01/27

寒明けの空に穴あく我が胸も
寒明けの空に穴あく我が胸も /勝美
花活けてみる春分の日の玄関 /勝美
花活けてみる春分の日の玄関
歴史閉づ最後の砦春隣
歴史閉づ最後の砦春隣 /勝美
春昼の路地や昭和に紛れこむ /勝美
春昼の路地や昭和に紛れこむ
北窓を開けれど暗きマーケット
北窓を開けれど暗きマーケット /勝美

ひねもす俳句:めでたき年明け

2019/01/14

黎明に似たる薄暮に在る淑気
黎明に似たる薄暮に在る淑気 /勝美
新年の挨拶放送中の村 /勝美
新年の挨拶放送中の村
嫁が君ならぬ腕噛む恍惚と
嫁が君ならぬ腕噛む恍惚と /勝美
初詣選り取り見取りの守り札 /勝美
初詣選り取り見取りの守り札
淑気満つ古代壁画の浮かぶ壁
淑気満つ古代壁画の浮かぶ壁 /勝美

ひねもす俳句:時の移ろい

2018/12/14

これをしも帰り花とや韮の花
これをしも帰り花とや韮の花 /勝美
裸木となる日の近し風強し /勝美
裸木となる日の近し風強し
冥界へつづくこの橋神渡し
冥界へつづくこの橋神渡し /勝美
さりながら日柄輩は日を数へ /勝美
さりながら日柄輩は日を数へ
D坂の殺人ありき年暮るる
D坂の殺人ありき年暮るる /勝美

ひねもす俳句:諸行無常

2018/11/28

偉丈夫は胃丈夫なるか油点草
偉丈夫は胃丈夫なるか油点草 /勝美
在るものは何時か無となる年の果 /勝美
在るものは何時か無となる年の果
散り散りに散つて落葉のタングラム
散り散りに散つて落葉のタングラム /勝美
くだら野となる魂の拠り所 /勝美
くだら野となる魂の拠り所
凍空に光の乱舞して夢幻
凍空に光の乱舞して夢幻 /勝美
※注:くだら野は冬の季語、朽ちた野。荒涼とした冬の野。

ひねもす日記:冬は直ぐ傍

2018/11/12

神留守の社木の間に遠望す
神留守の社木の間に遠望す /勝美
よだれ掛けして懐かしの吸入器 /勝美
よだれ掛けして懐かしの吸入器
「ハイチーズ」カメラで狙ふ七五三
「ハイチーズ」カメラで狙ふ七五三 /勝美
十二月八日記憶はセピア色 /勝美
十二月八日記憶はセピア色
標本となりて冬蝶には成れず
標本となりて冬蝶には成れず /勝美

ひねもす俳句:日光街道草加宿

2018/10/26

秋気澄む橋蒼穹へ伸び上り
秋気澄む橋蒼穹へ伸び上り /勝美
色変へぬ松亀甲の罅深し /勝美
色変へぬ松亀甲の罅深し
団栗を載せ川下へ舟下り
団栗を載せ川下へ舟下り /勝美
役目終へ遺跡めきたる堰外す /勝美
役目終へ遺跡めきたる堰外す
天高し手焼き体験完遂す
天高し手焼き体験完遂す /勝美

ひねもす俳句:身に沁む秋

2018/10/14

登高やたこウインナーを弁当に /勝美
長き夜や我と離れぬ我の影 /勝美
身に沁むやこの境遇を思ふとき /勝美
少女には少女の秋思ありぬべし /勝美
老残の身を安らけく秋の海 /勝美

ひねもす俳句:見つけた秋

2018/10/01

秋雨
秋霖は濁世の濁を流し去る /勝美
天空を跳ねてゐたりし月兎かな /勝美
垂れ下がる雲
タマスダレ
秋天の芸は南京玉すだれ /勝美
安らぎや赤き褥に秋の蝶 /勝美
彼岸花とアゲハ蝶
薄
野晒しの髑髏を隠す芒原 /勝美

ひねもす俳句:秋のぶらぶら

2018/09/18

ざくろたくさん
恍惚の笑みを交せり敬老日 /勝美
漫画家の部屋を復元文化の日 /勝美
トキワ荘の4畳半再現
ホテイアオイ
小魚を庇護するごとく布袋草 /勝美
ひぐらしや看板猫は耳を立て /勝美
看板猫
水飲むスズメ
蛤に化すべく水に寄る雀 /勝美

注:「雀蛤となる(雀大水に入り蛤となる)」が秋の時候の季語。

ひねもす俳句:地下の殿堂

2018/08/30

大谷石資料館
天を摩す隠し砦の冷ややかに /勝美
採掘の跡は酷暑を寄せぬ地下 /勝美
広い坑内
見学者も多い
殿堂の如き遺跡や秋迫る /勝美
遺物めく機械の古ぶ夏の果 /勝美
古い機械
地下の階段
秋の夜のオペラ天井桟敷席 /勝美

ひねもす俳句:海の風は晩夏

2018/08/18

きのこ出現
パラボラに銀河の電波襲来す /勝美
この先に秋の海あり波の音 /勝美
海への道
海辺のパラソル
とりどりのパラソル浜の小宇宙 /勝美
目の先の夏の果見る監視員 /勝美
ライフセーバー
海の家
夏怒涛さざ波という海の家 /勝美

ひねもす俳句:猛暑の日

2018/08/12

猛暑日の家並
極暑かな家も錆び出し立ち尽くす /勝美
根つからの菜食主義や生身魂 /勝美
八百屋
亀有駅前
駅前の交通整理秋祭り /勝美
雲見ればきのこ雲かと原爆忌 /勝美
入道雲
子ツバメ飛ぶ練習
五線譜に鎮魂の曲燕の子 /勝美

ひねもす俳句:いのちの限り

2018/07/30

セミの抜け殻
売り家の札のなけれど蝉の殻 /勝美
世知辛き世や塩辛といふ蜻蛉 /勝美
オオシオカラトンボ
カブトムシ
戦国の武将斯くやと兜虫 /勝美
原爆の日やビル群の黙深し /勝美
新宿ビル群
夏の遊び場
岩清水いのち育む水豊か /勝美

ひねもす俳句:神宿る

2018/07/12

八雲神社
八雲立つ出雲狭しとはたた神 /勝美
神主の狩り立てられて山開き /勝美
十条富士神社
演芸場
歌丸を悼み休館夏深む /勝美
溶岩を積みたる山や富士詣 /勝美
お富士さん詣で
呑んベ横丁
緑蔭も横丁も亦憩ひの場 /勝美

ひねもす俳句:梅雨はどこへ

2018/06/25

フェイク芋虫
油虫虫愛づる姫の蒐集外 /勝美
化粧半ばの大部屋女優半夏生 /勝美
半夏生
日光彫り体験
働いて昼寝の覚めぬ眠り猫 /勝美
AIに学ぶ文体我鬼忌なり /勝美
解体される風呂屋
梅2つ
実梅落つ平成時代終焉に /勝美

ひねもす俳句:梅雨の散歩道

2018/06/15

さくらんぼ2018
球体の愛のかたまりさくらんぼ /勝美
明け易し胸に双子の嬰を抱き  /勝美
赤い花
十条銀座
巡回車来たり梅雨入りのアーケード /勝美
ベランダの避難通路は天国へ /勝美
すべり台
蛍袋
火山爆発蛍袋のシェルターへ /勝美

ひねもす俳句:夏はここにも

2018/05/27

薔薇クローズアップ
オキーフのモチーフ見たり夏の昼 /勝美
彗星の襲ふ地球や夏深し /勝美
ねこじゃらし?
薔薇に蝶
我想ふ蝶に美醜の在るまじく  /勝美
再びの船出期すべし土用干 /勝美
ヨットハーバー
カピバラのお菓子
満ち足りて桃源にをり船料理 /勝美

ひねもす俳句:永遠の命

2018/05/13

薔薇の匂い
永遠なれや掌に慈しむ水中花 /勝美
青嵐行き着く先へゆく計り /勝美
長瀞ライン下りの船頭さん
横浜2018
鎌首を立て衣を脱ぐ蛇の群 /勝美
熱帯魚潜みゐたりし見えざりし /勝美
薔薇水盤
長瀞の石
夜の秋や地球の歴史秘むる石 /勝美

ひねもす俳句:秘境探検

2018/05/01

稲付城跡
緑陰は秘境を蔵す探検す /勝美
日の盛り鞠を離さぬ座敷犬 /勝美
静勝寺の狛犬
稲付城壁の石
大振りに切るも宜しき葛の餅 /勝美
蟻塚の聳え打捨てらるるとも /勝美
ゴースト団地
取り壊される家
無残やな昼寝の場所を奪はれて /勝美

ひねもす俳句:五月来る

2018/05/01

若葉の銀杏並木
五月来る集合場所へあと一歩 /勝美
真心といふ色赤しへびいちご /勝美
蛇苺
こいのぼり
美しき日本ありけり鯉幟 /勝美
代掻きや風雲急な空映し /勝美
田植え前
芋虫
芋虫といへば乱歩かカフカかな /勝美

ひねもす俳句:山は笑うのだ

2018/04/11

とげとげの花
星雲は星の残骸花エリカ /勝美
遍路ゆく川ひと筋を囲む柵 /勝美
春の土手
スノーフレーク
春よ来いとて一斉に灯をかざす /勝美
筍の首級の如く置かれけり /勝美
たけのこ
大きい松ぼっくり
円空の千手に力山笑ふ /勝美

ひねもす俳句:美はここに在り

2018/03/28

馬酔木まっさかり
酒酌むや自づから酔ふ花馬酔木 /勝美
二輪草自問自答のモノローグ /勝美
日向の二輪草
芽吹き
蛇穴を出でて鎌首もたげけり /勝美
ブランドの制服纏ひ茎立てり /勝美
整頓された花壇
夜桜
美しきものは地上に月おぼろ /勝美

ひねもす俳句:春のおとずれ

2018/03/11

春のお堀
安寧のひと日ありけり水温む /勝美
風光る樹樹は目覚めの刻得たり /勝美
木蓮2018
京都のお干菓子
春色の溢るる干菓子召し上がれ /勝美
春光を花弁に集め飴細工 /勝美
椿2018
ぺんぺん草
居留地の鉄鎖光れり花なづな /勝美

ひねもす俳句:出歩くのも有り

2018/02/12

石神井川
合格を常の景色の中で待つ /勝美
熊猫は硝子で隔離春の雷 /勝美
硝子店
浅草
うららかや金の雲浮く昼下がり /勝美
着膨れて素通りしたり神谷バー /勝美
神谷バー
ローズマリー
追憶はしづくのごとし春の海  /勝美

ひねもす俳句:春はそこまで

2018/01/26

運動公園
立春や草原情歌流れくる  /勝美
聴すべし老婆トリオの手毬唄 /勝美
熊本手毬
雪吊り
燦燦と春日注げり籠の鳥 /勝美
ふるさとや留学生の雪達磨 /勝美
雪だるま
大雪2018
足跡を乱し兎の駆けてゆく /勝美

ひねもす俳句:七福神ラリー

2018/01/13

閻魔大王
寒林の径引き返すことを得ず /勝美
春風や一枚脱ぎて軽やかに /勝美
奪衣婆
懸衣翁
纏ふものまとふゴリラや亀鳴けり /勝美
凍滝や飛び込む勿れと監視員 /勝美
仁王
御朱印
七福神詣で一尊残しけり /勝美

ひねもす俳句:季節の足音

2017/12/18

野焼き
縄文の体験学習土器野焼き  /勝美
ガンジスに燃ゆる炎や火事ならず /勝美
火
土器
冬ぬくし出所正しき土器である  /勝美
規格外好まぬ世なり春遠し  /勝美
丸餅
餅つき
銘銘の不満鬱憤搗き冴ゆる  /勝美

ひねもす俳句:冬の街歩き

2017/11/26

逆光の街
短日や光芒消ゆること疾し /勝美
冬の川暗き世相を映しけり /勝美
神田川
クリスマス前の歯医者
電飾のバイク聖夜の歯科医院 /勝美
海底の貝や魚やクリスマス /勝美
海のいきもの
壁を登るレスキュー隊
切餅のはや罅割るる晴つづき /勝美

ひねもす俳句:ひと日の安らぎ

2017/11/14

ススキ野原
冬空に秩父一揆の狼煙かな /勝美
探梅の逸る心を抑へけり /勝美
竹林を歩く
武相荘
どの部屋にゐても愉しや虎落笛 /勝美
花市へ春を求めに日は燦と /勝美
花市
夕暮れの舗道
短日の舗道やひと気なき一瞬 /勝美

ひねもす俳句:忙中の閑

2017/11/01

キスジツマキリヨトウ
青虫のやうな鼻水垂れ給ふ /勝美
踏まれ邪鬼踏まるるままに年暮るる /勝美
寺への階段
仏足石
仏足は扁平足や枯葉散る /勝美
寒月や顔を洗つて出直さう /勝美
猫の水鏡
灯篭と生垣
数へ日は生有るものに無きものに /勝美

ひねもす俳句:人恋し

2017/10/15

小さな吊り橋
吊り橋は神の旅路の始めなり /勝美
穴惑ふことなし鳥の囮置く /勝美
小鳥の像
イヌタデと秋空
人住まぬままの廃墟や赤のまま /勝美
迷へども黄色に惹かれ秋の蝶 /勝美
マリーゴールドとタテハ蝶
音無親水公園
晩秋の石積む庭へ泣きに来し /勝美

ひねもす俳句:冬隣り

2017/09/29

猫の背中
冬仕度始めんと影起き上がる /勝美
動かせば祟ると祠秋の冷 /勝美
高沼遊歩道の端
ハンバーグランチ
馬肥ゆるブリアサバランならずとも /勝美
腰掛けし天狗ゐたりし大枯木 /勝美
欅の現在
人形三体
冬近し注文服のまだ出来ず /勝美

ひねもす俳句:素晴らし乎!!

2017/09/14

赤羽教会
かなかなやなかなか踏み切れぬ懺悔
台風の進路予想を枠描きす /勝美
ケンケンぱ
スヴァラ歯科
「素晴らし乎!」と感嘆の声松手入れ /勝美
凶暴の限りや秋のスズメ蜂 /勝美
ハンゴンソウの仲間
夕焼け
暗雲の底なる大地冬隣 /勝美

ひねもす俳句:小江戸ぶらり秋

2017/08/27

クラシックバス
秋雨も風情のひとつ小江戸バス /勝美
蔵の町影を刻みてゐる良夜 /勝美
昔の川越
日本聖公会川越キリスト教会
門閉ざしても残暑拒まざる教会 /勝美
文化の日とんがり帽の似合ふ家 /勝美
埼玉りそな銀行
蔵造りの家
足まかせ次は何処行く秋遍路 /勝美

ひねもす俳句:一足飛びに秋

2017/08/17

港町の路地
秋澄むやジャンギャバンゐし港町 /勝美
秋すさぶ停戦地区に不発弾 /勝美
イガ
ときがわ町
秋哀れふるさとといふ原風景 /勝美
血痕と散弾残し手負ひ猪 /勝美
きのことブルーベリー
ドーナツ3つ
秋思湧くコマーシャルめく輪が三つ /勝美

ひねもす俳句:さらば夏よ

2017/07/29

しょんぼりペッパーくん

足元を探せど夏は見当たらず /勝美

九頭竜公園の池

怪獣の水を吸ひ込む油照 /勝美

猫皿

赤まんま盛つてみやうか猫の皿 /勝美

スイカたくさん

一斉に補陀落渡海西瓜船 /勝美

あかつか探偵事務所

行く夏を探す依頼の終ぞ来ず /勝美

ひねもす俳句:夏本番へ

2017/07/11

銀座のホコ天

夏空の突き刺すビルの底に人 /勝美

ミニ地蔵たくさん

夏ライブ親衛隊の十重二十重 /勝美

かざぐるま

風死すやモニュメントめく風車 /勝美

すもも

天道虫七つの星を巡り来し /勝美

ツリガネニンジン

空き部屋に点る灯のなく釣鐘草 /勝美

ひねもす俳句:夏の夜の夢

2017/06/11

アアソウカイ
蜘蛛の糸天より下り河童の忌 /勝美
浮く意思を姿にみせて浮人形 /勝美
亀(スッポン?)
ヒスイカズラ
遺伝子の操作の極み青バナナ /勝美
深海の水母時空のなき如し /勝美
カラフルクラゲ
フグ
何につけひと言給ふ生身魂 /勝美

ひねもす俳句:こんなところに

2017/06/02

猫とベンチ

片蔭の移ろひ疾しベンチ猫  /勝美

カルミア満開

吹き飛ばす憂さや納涼花火会 /勝美

小判草

狭庭とて溢るるばかり小判草 /勝美

どくだみと小便小僧

十薬の増えて思案の及ばざり /勝美

メロンパン

パン店の看板天道虫に似て  /勝美

ひねもす俳句:身軽に五月

2017/05/16

竹の子公園

夏座敷開け竹林の風を聴く /勝美

イタ飯

ブリアサヴァラン夏痩せ知らぬ食べつぷり /勝美

犬

彫刻にはたと着きけり道をしへ /勝美

湿地

真菰刈る湿地取り巻く住宅地 /勝美

湿地の橋

開発は身近に迫り源五郎  /勝美

ひねもす俳句:日々新し

2017/04/26

ちりめんじゃこ
碧玉の青さ弥増す夏は来ぬ  /勝美

ケセラン

緑さす眼底検査異常なし   /勝美

若葉

部屋といふ部屋に命や若葉光 /勝美

めだか

亀鳴くや空に微塵の粒子浮く /勝美

緑道の魚

掻掘や酒の肴に泥鰌鍋    /勝美

ひねもす俳句:古都の旅(遭遇編)

2017/04/09

清水の龍
切れし尾に永遠の別れの目の蜥蜴 /勝美

伊吹山

はつ夏や旅にしあれば鳥の声 /勝美

石垣の修理

決壊を防ぐ一指や梅雨入穴 /勝美

置物ねこ

野遊びに行かうとやんちや坊主なり /勝美

鴨川

つちふるや雲の流るる方へ川 /勝美

ひねもす俳句:古都の旅(植物編)

2017/03/28

二条城の堀
掘割に映る石垣梅香る /勝美

キブシの花

花木五倍子庭園占拠の中国語 /勝美

ヒヤシンス

我に向く甘味処のヒヤシンス /勝美

馬酔木

池の面へ香ただよふ花馬酔木 /勝美

枝垂柳

万葉の風生む枝垂やなぎかな /勝美

ひねもす俳句:浮き浮き憂き世

2017/03/05

梅開く
白皙の頬に紅差し梅開く /勝美

婆と猫

春逝くと逝きつく先は猫に聞け /勝美

魚釣り

永き日や終日魚信待つばかり /勝美

陣地とり

梅の香や赤塚城址陣地取り /勝美

野点

野点てふショーの開幕梅の席 /勝美

ひねもす俳句:ひたすら春

2017/02/17

神田川
雛流しせし川改修中なりし  /勝美

階段坂道

一途なる求道の道や遍路道 /勝美

ねこ大福

捏ねまはし猫に似て来し雪兎 /勝美

赤松

赤銅の体躯春光発しけり  /勝美

洗濯物の干し方

縄文の穴居住居にうらら春   /勝美

ひねもす俳句:亀鳴く

2017/01/27

晩白柚
啓蟄や眠りの覚めぬものひそむ  /勝美

猫二態

夜までは恋の戦闘待機猫 /勝美

ねこくじ

亀鳴くやねこくじといふ運試し /勝美

筑土八幡のイチョウ

桜咲くことのなかりき公孫樹 /勝美

梅と狛犬

狛犬の声なき声や枝垂れ梅   /勝美

ひねもす俳句:新年御慶

2017/01/03

ピラカンサ
鈴生りの筋子の色に在る淑気  /勝美

長い影

人日や影執拗につきまとふ /勝美

冬の空

大寒や陽光雲と格闘す /勝美

信号と街灯

鷹の目に早暮れなづむ街灯り /勝美

チョコユキダルマ

屈託のなく五つ子の雪だるま   /勝美

ひねもす俳句:忙中の閑

2016/12/19

夜の兼六園
寒林の影の溶け込む空と水  /勝美

金沢夜景

百万の人の住む街灯の冴ゆる /勝美

茶屋街

冬空や遠近法といふ技法 /勝美

きんつば

数へ日の忙中閑の茶に和む /勝美

武家屋敷

冬眠や菰藁ひしと巻き眠る   /勝美

ひねもす俳句:数え日

2016/12/06

朝霞
タイトルは「静謐」なりし山眠る  /勝美

鼓門

羅生門斯くやゆく年くぐる門 /勝美

用水路

堀割の空に片寄せられ落葉 /勝美

21世紀美術館の外の椅子

年越の相談終へてひと安堵 /勝美

金沢城壁

寒寄せつけず石垣を積む砦  /勝美

ひねもす俳句:瞬時瞬間

2016/11/15

サルノコシカケ?
人生の端に腰掛け春待てり  /勝美

弁天窟

果報寝て待つ短日の男ゐし /勝美

都鳥

寒夕焼姿止めて四時の富士 /勝美

枯れ蓮

貴重品並みの扱ひ冬野菜 /勝美

由比ヶ浜

パレードや鉛の兵隊クリスマス  /勝美

ひねもす俳句:人生模様

2016/10/30

ホトトギスソウ
ルナールの赤毛少年杜鵑草 /勝美

弁天窟

人生の迷路冬眠場所探し /勝美

都鳥

日が暮るる仲間外れの都鳥 /勝美

枯れ蓮

入滅の釈迦の肋骨枯れはちす /勝美

由比ヶ浜

染み染みと語る人生冬の浜  /勝美

ひねもす俳句:風まかせ

2016/10/23

鎌倉駅
冬仕度いざ鎌倉の意気をもち /勝美

鎌倉大仏の中

胎内は修羅の極みや秋あはれ /勝美

ふぐちょうちん

紙製の河豚や水母や秋気澄む /勝美

三地蔵

そつくりの顔の兄弟冬ぬくし /勝美

卍池

秋深し卍の池に水満ちて  /勝美

ひねもす俳句:秋思なほ

2016/09/30

ウーパルーパ
冬近し身ほとり透けてゆくごとし /勝美

アダン

爆弾か霜晴れ遠き紛争地 /勝美

チョウチョウオ

ゆく秋や癒えて用なき水枕 /勝美

秋の月

螻蛄鳴くや悪事は明明白白に /勝美

タニシの子

地球外生命天の川より来  /勝美

ひねもす俳句:移ろい迅し

2016/09/16

ニラの花
潜みゐて花の如くに虫鳴けり /勝美

石神井川

秋哀れ石に刻みし無縁仏 /勝美

石神井川

秋出水収まり渓谷貌戻す /勝美

干物

干しうをを殊に好まれ生身魂 /勝美

雨に濡れるカボチャ

産み落とす卵そのまま穴惑ひ  /勝美

ひねもす俳句:秋思

2016/08/27

ヨウシュヤマゴボウ
秋哀れ形に残るもの残り /勝美

スズメガの幼虫

芋虫と言へば江戸川乱歩かな /勝美

フルーツタルト

秋思なほ人数分に分けてもや /勝美

夕焼け

宇宙船秋の暮色残し去る /勝美

砂浜

行く秋は浜にひと影なき如し  /勝美

ひねもす俳句:秋への一歩

2016/08/09

ヘチマのつる
縋るものあれば身を寄せ敬老日  /勝美

葉脈

十六夜や下町路地の多くして /勝美

木陰で一休み

コロニーの蟻ひと時を安らげり/勝美

噴水

秋空や聳えて高き聖火台   /勝美

見下ろす街

空重く垂れて八月十五日  /勝美

ひねもす俳句:夏の果

2016/07/28

盆踊り
ロボットも意志もて動く明易し  /勝美

石神井川

 行く水の還らぬ流れ震災忌 /勝美

漫画会館

炎日や劇画の如き世を生きて/勝美

大学病院の窓から

蟬の声しきり廃墟の空重く   /勝美

トケイソウ

地球てふ星は破滅へ時計草  /勝美

ひねもす俳句:夜の秋

2016/07/11

ホウズキ
たましひの乾きて赤し蒼朮焚く  /勝美

ソテツの花

 禿鷲の眼は炯炯として旱(ひでり) /勝美

投票日

炎天に投票済ます草田男忌/勝美

空の三角形

SOSキャッチ葉月の電波網  /勝美

夕暮れの空

夜の秋西方浄土茜さす /勝美

ひねもす俳句:木曽呂富士

2016/06/19

氏神へ河童一族河童の忌
氏神へ河童一族河童の忌 /勝美

 川床や猫の如くに腹這へる

 川床や猫の如くに腹這へる  /勝美

木曽呂富士

かけ声は喘ぎにかはり富士詣 /勝美

木曽呂富士の胎内くぐり跡

古代史の扉閉ぢたる大暑かな  /勝美

竹林

竹の声聴きゐて涼し竹浄土 /勝美

ひねもす俳句:一夜の夢

2016/06/09

熱戦も冷戦も蚊帳のうちそと

熱戦も冷戦も蚊帳のうちそと /勝美

立葵チラノサウルス来る気配

立葵チラノサウルス来る気配  /勝美

青簾秘かにみのるはかりごと

青簾秘かにみのるはかりごと /勝美

子は昼寝見本市めく遊具かな

子は昼寝見本市めく遊具かな  /勝美

星涼し人みな足を地につけて

星涼し人みな足を地につけて /勝美

ひねもす俳句:街薄暑

2016/05/23

ここも解体予定
卯の花腐しいづれ更地となる旧家 /勝美

船形スイカがたくさん

百帆のヨットレースに馳せ参ず  /勝美

ラーメン店

客足の絶えて久しく明け易し /勝美

夕闇迫る東上線

時の日や日暮れの街へ途中下車 /勝美

建築中のシルエット

夏の夜の夢ガス燈のバーグマン /勝美

ひねもす俳句:緑さす

2016/05/07

ピッツェリアでプチ誕生会
即席に誕生祝ふ麦の秋 /勝美

薔薇

考へることの多くて薔薇の襞  /勝美

五月晴れの緑道

緑蔭を求むる人の歩の軽し /勝美

別所沼の並木道

万緑の空は何時でも狭かりし /勝美

昆虫館跡の雑木林

昆虫館を守りゐたりし夏木立 /勝美

ひねもす俳句:花は葉に

2016/04/25

浄財
地震の地へ送る浄財花は葉に /勝美

※ 地震は(ない)と読みます
筍の皮干し

竹皮を脱ぐ逞しきをのこたれ  /勝美

園庭のこいのぼり

干し物のやうに吊るされ鯉幟 /勝美

晴れのハナミズキ

祗園会を待つ友禅の仕立上げ /勝美

クレマチス

クレマチス何に縋れば良いのだらう /勝美

彷徨う春

2016/04/03

八つ橋
春陰や紆余曲折は世の習ひ /勝美

土管

春眠の出口は入り口へ続く  /勝美

池の石

春風の穿つや石の寝椅子めく /勝美

池に映る桜

ナルシスに似たり桜の水鏡 /勝美

岩槻の時の鐘

花冷や鳴るも鳴らぬも時の鐘  /勝美

ひねもす俳句:春彼岸

2016/03/21

春の用水路
春陰や流れは川の弧に沿ひて /勝美

アオサギ

ブロンズの青鷺置かれゐる春野  /勝美

夜のお地蔵

町内に目立つ抗争彼岸寒 /勝美

タンポポ

たんぽぽは花冠に身を挺す /勝美

弁当たくさん

我からに湧かぬ食欲春愁  /勝美

ひねもす俳句:春の躍動

2016/03/01

桜餅!
佐保姫は見目よく匂ふばかりなり /勝美

土下座寝

瞑想は祈りへ転ず3・11忌  /勝美

品川の猫像

鞘当ては終はることなし恋の猫 /勝美

がんじがらめの遊具

春愁や役に立つこと能はざる /勝美

ジャズリサイタル

囀りにしばし静寂のありにけり /勝美

ひねもす俳句:凍ゆるむ

2016/02/14

米いろいろ
差別化といふ自己主張のどけしや /勝美

工事中

造成のおのころ島のかげろへる /勝美

福島の空

佐保姫を迎ふる整地進みけり /勝美

犬が出迎え

鷹鳩と化し猛犬は歯を鳴らす /勝美

スケートリンク

凍ゆるむ溺れなきやうご用心 /勝美

ひねもす俳句:春の雪

2016/01/19

雪の舗道
氷解くことなき隘路我が行く手 /勝美

雪の駐車場

痕跡は顕著に残り雪解道 /勝美

空き地の仮設トイレも雪景色

残雪の果てにありけり外厠 /勝美

雪晴れ

雪載せて心の闇を隠す街 /勝美

雪の日の物干

黎明に凍るリフトの架線かな /勝美

ひねもす俳句:立春大吉

2016/01/19

荒川
早春の大河たゆたひ空目指す /勝美

いぶし中の古民家

立春大吉神棚に神在す /勝美

留守番のあとの猫

紙引き裂くや猫の子の自己顕示 /勝美

ツワブキの綿毛

鳥の巣や臆病ものは巣に残り /勝美

臘梅

春めくや日射し集むる蝋細工 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2016/01/19

踏切
遮断機は線路のそばに去年今年 /勝美

薄皮鯛焼き

飛びたくて鯛焼羽根を生やせしか /勝美

冬の満月の夜

寒月をそびらに掲げ街眠る /勝美

すっかり葉の落ちた木立

大空の掃除に余念なき冬木 /勝美

メタセコイヤの実

寒禽の餌をたくはへ落葉松 /勝美

ひねもす俳句:あれやこれや

2016/01/19

オナモミ
をなもみはヤマアラシ氏の落し種 /勝美

クヌギ

春遠からじ古服は脱ぐばかり /勝美


雪虫の眠るや遊び疲れ果て /勝美

夕暮れの富士

寒夕焼後生楽土は西に在り /勝美

晩秋の赤い実

数へ日の山に残れる色を愛づ /勝美

ひねもす俳句:年詰まる

2016/01/19

池に来る鳥
寒波くる羽根あるものは羽根つかひ /勝美

五家宝

五家宝も売つてゐるなり年の市 /勝美

砂の落書き

落書きの呪文めきたり年詰まる /勝美

ガラス玉

寒色の光り小春の硝子玉 /勝美

ミラノのパン屋

数へ日の胃袋拒むものはなし /勝美

うらわの俳人、さいたま市民第14号俳句部門にて文芸賞!

2016/01/19

去る14日、授賞式での様子です。

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赤 塚  城 址

 城址の碑ひそとありけり桜散る

 幻の武者の喊声花吹雪

 ゆるゆると古武道演武花の昼

 花屑を踏みて子どもの武者の列

 外堀は自動車道路花ぐもり

ひねもす俳句:美術の秋

2016/01/19

ステンドグラス
短日は微塵の色を止めけり /勝美

ニキドサンフォル

ニキはニキ柿は柿なり紛れなし /勝美

神の手

空青けれど冬将軍の気配あり /勝美

塀より覗く像

高塀に覗く像ゐて冬日和 /勝美

螺旋階段

踏み残す秋の足跡螺旋階 /勝美

ひねもす俳句:秋の断片

2016/01/19

ハナミズキのみ実
色鳥のために食欲そそる赤 /勝美

トンボ

運命の指蜻蛉に鯨幕 /勝美

蓮の実

弾倉に弾丸確と獣狩り /勝美

裏路地

人生の裏道西日射す前途 /勝美

公衆浴場

敬老日公衆浴場休業日 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2015/12/26

遮断機は線路のそばに去年今年 /勝美
飛びたくて鯛焼羽根を生やせしか /勝美
寒月をそびらに掲げ街眠る /勝美
大空の掃除に余念なき冬木 /勝美
寒禽の餌をたくはへ落葉松 /勝美

ひねもす俳句:あれやこれや

2015/12/13

をなもみはヤマアラシ氏の落し種 /勝美
春遠からじ古服は脱ぐばかり /勝美
雪虫の眠るや遊び疲れ果て /勝美
寒夕焼後生楽土は西に在り /勝美
数へ日の山に残れる色を愛づ /勝美

ひねもす俳句:年詰まる

2015/11/23

寒波くる羽根あるものは羽根つかひ /勝美
五家宝も売つてゐるなり年の市 /勝美
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落書きの呪文めきたり年詰まる /勝美
寒色の光り小春の硝子玉 /勝美
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数へ日の胃袋拒むものはなし /勝美

ひねもす俳句:美術の秋

2015/11/04

短日は微塵の色を止めけり /勝美
ニキはニキ柿は柿なり紛れなし /勝美
空青けれど冬将軍の気配あり /勝美
高塀に覗く像ゐて冬日和 /勝美
踏み残す秋の足跡螺旋階 /勝美

ひねもす俳句:足早に冬

2015/10/26

ぞうり
道中履選ぶ旅人小春の日  /勝美

ザクロ

鬼子母神喜ぶやうに石榴熟る /勝美

富士山

冠雪の冨士をイメージ毛糸編む /勝美

ピラサンカ

誰彼の区別無かりし日向ぼこ /勝美

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高齢者独りの住まひ冬館 /勝美

ひねもす俳句:秋深む街

2015/10/12

ビル群
秋天にそそる壁面四面体  /勝美

公園

黄葉の刻待つ木木に空広し /勝美

スーパームーン

秋澄むとノーベル賞の金メダル /勝美

郊外の河川

一本の川が街割くそぞろ寒 /勝美

ぎんなん

銀杏や踏むを躊躇ふ地雷原 /勝美

ひねもす俳句:秋の断片

2015/09/22

色鳥のために食欲そそる赤 /勝美
運命の指蜻蛉に鯨幕 /勝美