2025/05/27
2025/05/06
2025/04/29
2025/04/15
2025/03/28
2025/03/28
2025/03/11
2025/02/27
2025/02/17
2025/01/30
2025/01/12
2024/12/14
2024/11/25
2024/11/15
2024/10/27
2024/10/15
2024/09/30
2024/09/15
2024/08/19
2024/08/10
2024/07/27
2024/07/17
2024/06/30
2024/06/19
2024/05/25
2024/05/01
2024/04/30
2024/04/11
2024/03/20
2024/02/27
ひつそりと生活 ( たつき ) の気配日は永し /勝美
2024/02/16
2024/01/30
2024/01/12
2023/12/23
2023/12/05
2023/11/28
2023/11/12
2023/10/31
2023/10/12
2023/09/19
2023/09/05
2023/08/20
2023/08/06
2023/07/18
2023/07/02
2023/06/19
2023/05/30
2023/05/16
2023/04/26
2023/04/12
2023/03/21
2023/03/21
2023/03/13
2023/02/20
2023/02/01
2023/01/09
2022/12/28
2022/12/13
2022/11/27
2022/11/15
2022/10/27
2022/09/29
2022/09/16
2022/08/29
2022/08/15
2022/07/28
2022/07/11
2022/06/29
2022/06/09
2022/05/24
2022/05/13
2022/04/26
2022/04/06
2022/03/19
2022/03/19
2022/03/02
2022/02/12
2022/01/25
2022/01/15
2021/12/23
2021/12/15
2021/11/25
2021/11/09
2021/10/25
2021/10/01
2021/09/18
2021/09/13
2021/08/27
2021/08/11
2021/07/25
2021/07/13
2021/06/24
2021/06/06
2021/05/20
2021/05/02
2021/04/26
2021/04/05
2021/03/19
2021/03/08
2021/02/27
2021/02/15
2021/01/26
2021/01/10
2020/12/14
2020/11/29
2020/11/13
2020/10/28
2020/10/17
2020/09/24
2020/09/11
2020/08/27
2020/08/13
2020/07/30
2020/07/07
2020/06/27
2020/06/08
2020/05/24
2020/05/08
2020/04/25
2020/04/12
2020/03/29
2020/03/13
2020/03/01
2020/02/11
2020/01/25
2020/01/13
2019/12/26
2019/12/15
2019/11/25
2019/11/11
2019/10/31
2019/10/11
2019/09/24
2019/09/09
2019/08/27
2019/08/18
2019/08/11
2019/07/24
2019/07/08
2019/06/15
2019/05/31
2019/05/13
2019/04/30
2019/04/14
2019/03/23
2019/03/14
2019/03/04
2019/02/09
2019/01/27
2019/01/14
2018/12/14
2018/11/28
※注:くだら野は冬の季語、朽ちた野。荒涼とした冬の野。
2018/11/12
2018/10/26
2018/10/14
2018/10/01
2018/09/18
注:「雀蛤となる(雀大水に入り蛤となる)」が秋の時候の季語。
2018/08/30
2018/08/18
2018/08/12
2018/07/30
2018/07/12
2018/06/25
2018/06/15
2018/05/27
2018/05/13
2018/05/01
2018/05/01
2018/04/11
2018/03/28
2018/03/11
2018/02/12
2018/01/26
2018/01/13
2017/12/18
2017/11/26
2017/11/14
2017/11/01
2017/10/15
2017/09/29
2017/09/14
2017/08/27
2017/08/17
2017/07/29

足元を探せど夏は見当たらず /勝美

怪獣の水を吸ひ込む油照 /勝美

赤まんま盛つてみやうか猫の皿 /勝美

一斉に補陀落渡海西瓜船 /勝美

行く夏を探す依頼の終ぞ来ず /勝美
2017/07/11
夏空の突き刺すビルの底に人 /勝美

夏ライブ親衛隊の十重二十重 /勝美

風死すやモニュメントめく風車 /勝美

天道虫七つの星を巡り来し /勝美

空き部屋に点る灯のなく釣鐘草 /勝美
2017/06/11
2017/06/02

片蔭の移ろひ疾しベンチ猫 /勝美

吹き飛ばす憂さや納涼花火会 /勝美

狭庭とて溢るるばかり小判草 /勝美

十薬の増えて思案の及ばざり /勝美

パン店の看板天道虫に似て /勝美
2017/05/16
夏座敷開け竹林の風を聴く /勝美

ブリアサヴァラン夏痩せ知らぬ食べつぷり /勝美

彫刻にはたと着きけり道をしへ /勝美

真菰刈る湿地取り巻く住宅地 /勝美

開発は身近に迫り源五郎 /勝美
2017/04/26
碧玉の青さ弥増す夏は来ぬ /勝美

緑さす眼底検査異常なし /勝美

部屋といふ部屋に命や若葉光 /勝美

亀鳴くや空に微塵の粒子浮く /勝美

掻掘や酒の肴に泥鰌鍋 /勝美
2017/04/09
切れし尾に永遠の別れの目の蜥蜴 /勝美

はつ夏や旅にしあれば鳥の声 /勝美

決壊を防ぐ一指や梅雨入穴 /勝美

野遊びに行かうとやんちや坊主なり /勝美

つちふるや雲の流るる方へ川 /勝美
2017/03/28
掘割に映る石垣梅香る /勝美

花木五倍子庭園占拠の中国語 /勝美

我に向く甘味処のヒヤシンス /勝美

池の面へ香ただよふ花馬酔木 /勝美

万葉の風生む枝垂やなぎかな /勝美
2017/03/05
白皙の頬に紅差し梅開く /勝美

春逝くと逝きつく先は猫に聞け /勝美

永き日や終日魚信待つばかり /勝美

梅の香や赤塚城址陣地取り /勝美

野点てふショーの開幕梅の席 /勝美
2017/02/17
雛流しせし川改修中なりし /勝美

一途なる求道の道や遍路道 /勝美

捏ねまはし猫に似て来し雪兎 /勝美

赤銅の体躯春光発しけり /勝美

縄文の穴居住居にうらら春 /勝美
2017/01/27
啓蟄や眠りの覚めぬものひそむ /勝美

夜までは恋の戦闘待機猫 /勝美

亀鳴くやねこくじといふ運試し /勝美

桜咲くことのなかりき公孫樹 /勝美

狛犬の声なき声や枝垂れ梅 /勝美
2017/01/03
鈴生りの筋子の色に在る淑気 /勝美

人日や影執拗につきまとふ /勝美

大寒や陽光雲と格闘す /勝美

鷹の目に早暮れなづむ街灯り /勝美

屈託のなく五つ子の雪だるま /勝美
2016/12/19
寒林の影の溶け込む空と水 /勝美

百万の人の住む街灯の冴ゆる /勝美

冬空や遠近法といふ技法 /勝美

数へ日の忙中閑の茶に和む /勝美

冬眠や菰藁ひしと巻き眠る /勝美
2016/12/06
タイトルは「静謐」なりし山眠る /勝美

羅生門斯くやゆく年くぐる門 /勝美

堀割の空に片寄せられ落葉 /勝美

年越の相談終へてひと安堵 /勝美

寒寄せつけず石垣を積む砦 /勝美
2016/11/15
人生の端に腰掛け春待てり /勝美

果報寝て待つ短日の男ゐし /勝美

寒夕焼姿止めて四時の富士 /勝美

貴重品並みの扱ひ冬野菜 /勝美

パレードや鉛の兵隊クリスマス /勝美
2016/10/30
ルナールの赤毛少年杜鵑草 /勝美

人生の迷路冬眠場所探し /勝美

日が暮るる仲間外れの都鳥 /勝美

入滅の釈迦の肋骨枯れはちす /勝美

染み染みと語る人生冬の浜 /勝美
2016/10/23
冬仕度いざ鎌倉の意気をもち /勝美

胎内は修羅の極みや秋あはれ /勝美

紙製の河豚や水母や秋気澄む /勝美

そつくりの顔の兄弟冬ぬくし /勝美

秋深し卍の池に水満ちて /勝美
2016/09/30
冬近し身ほとり透けてゆくごとし /勝美

爆弾か霜晴れ遠き紛争地 /勝美

ゆく秋や癒えて用なき水枕 /勝美

螻蛄鳴くや悪事は明明白白に /勝美

地球外生命天の川より来 /勝美
2016/09/16
潜みゐて花の如くに虫鳴けり /勝美

秋哀れ石に刻みし無縁仏 /勝美

秋出水収まり渓谷貌戻す /勝美

干しうをを殊に好まれ生身魂 /勝美

産み落とす卵そのまま穴惑ひ /勝美
2016/08/27
秋哀れ形に残るもの残り /勝美

芋虫と言へば江戸川乱歩かな /勝美

秋思なほ人数分に分けてもや /勝美

宇宙船秋の暮色残し去る /勝美

行く秋は浜にひと影なき如し /勝美
2016/08/09
縋るものあれば身を寄せ敬老日 /勝美

十六夜や下町路地の多くして /勝美

コロニーの蟻ひと時を安らげり/勝美

秋空や聳えて高き聖火台 /勝美

空重く垂れて八月十五日 /勝美
2016/07/28
ロボットも意志もて動く明易し /勝美

行く水の還らぬ流れ震災忌 /勝美

炎日や劇画の如き世を生きて/勝美

蟬の声しきり廃墟の空重く /勝美

地球てふ星は破滅へ時計草 /勝美
2016/07/11
たましひの乾きて赤し蒼朮焚く /勝美

禿鷲の眼は炯炯として旱(ひでり) /勝美

炎天に投票済ます草田男忌/勝美

SOSキャッチ葉月の電波網 /勝美

夜の秋西方浄土茜さす /勝美
2016/06/19
氏神へ河童一族河童の忌 /勝美

川床や猫の如くに腹這へる /勝美

かけ声は喘ぎにかはり富士詣 /勝美

古代史の扉閉ぢたる大暑かな /勝美

竹の声聴きゐて涼し竹浄土 /勝美
2016/06/09

熱戦も冷戦も蚊帳のうちそと /勝美

立葵チラノサウルス来る気配 /勝美

青簾秘かにみのるはかりごと /勝美

子は昼寝見本市めく遊具かな /勝美

星涼し人みな足を地につけて /勝美
2016/05/23
卯の花腐しいづれ更地となる旧家 /勝美

百帆のヨットレースに馳せ参ず /勝美

客足の絶えて久しく明け易し /勝美

時の日や日暮れの街へ途中下車 /勝美

夏の夜の夢ガス燈のバーグマン /勝美
2016/05/07
即席に誕生祝ふ麦の秋 /勝美

考へることの多くて薔薇の襞 /勝美

緑蔭を求むる人の歩の軽し /勝美

万緑の空は何時でも狭かりし /勝美

昆虫館を守りゐたりし夏木立 /勝美
2016/04/25
地震の地へ送る浄財花は葉に /勝美
※ 地震は(ない)と読みます

竹皮を脱ぐ逞しきをのこたれ /勝美

干し物のやうに吊るされ鯉幟 /勝美

祗園会を待つ友禅の仕立上げ /勝美

クレマチス何に縋れば良いのだらう /勝美
2016/04/03
春陰や紆余曲折は世の習ひ /勝美

春眠の出口は入り口へ続く /勝美

春風の穿つや石の寝椅子めく /勝美

ナルシスに似たり桜の水鏡 /勝美

花冷や鳴るも鳴らぬも時の鐘 /勝美
2016/03/21
春陰や流れは川の弧に沿ひて /勝美

ブロンズの青鷺置かれゐる春野 /勝美

町内に目立つ抗争彼岸寒 /勝美

たんぽぽは花冠に身を挺す /勝美

我からに湧かぬ食欲春愁 /勝美
2016/03/01
佐保姫は見目よく匂ふばかりなり /勝美

瞑想は祈りへ転ず3・11忌 /勝美

鞘当ては終はることなし恋の猫 /勝美

春愁や役に立つこと能はざる /勝美

囀りにしばし静寂のありにけり /勝美
2016/02/14
差別化といふ自己主張のどけしや /勝美

造成のおのころ島のかげろへる /勝美

佐保姫を迎ふる整地進みけり /勝美

鷹鳩と化し猛犬は歯を鳴らす /勝美

凍ゆるむ溺れなきやうご用心 /勝美
2016/01/19
氷解くことなき隘路我が行く手 /勝美

痕跡は顕著に残り雪解道 /勝美

残雪の果てにありけり外厠 /勝美

雪載せて心の闇を隠す街 /勝美

黎明に凍るリフトの架線かな /勝美
2016/01/19
早春の大河たゆたひ空目指す /勝美

立春大吉神棚に神在す /勝美

紙引き裂くや猫の子の自己顕示 /勝美

鳥の巣や臆病ものは巣に残り /勝美

春めくや日射し集むる蝋細工 /勝美
2016/01/19
遮断機は線路のそばに去年今年 /勝美

飛びたくて鯛焼羽根を生やせしか /勝美

寒月をそびらに掲げ街眠る /勝美

大空の掃除に余念なき冬木 /勝美

寒禽の餌をたくはへ落葉松 /勝美
2016/01/19
をなもみはヤマアラシ氏の落し種 /勝美

春遠からじ古服は脱ぐばかり /勝美

雪虫の眠るや遊び疲れ果て /勝美

寒夕焼後生楽土は西に在り /勝美

数へ日の山に残れる色を愛づ /勝美
2016/01/19
寒波くる羽根あるものは羽根つかひ /勝美

五家宝も売つてゐるなり年の市 /勝美

落書きの呪文めきたり年詰まる /勝美

寒色の光り小春の硝子玉 /勝美

数へ日の胃袋拒むものはなし /勝美
2016/01/19
去る14日、授賞式での様子です。
赤 塚 城 址
城址の碑ひそとありけり桜散る
幻の武者の喊声花吹雪
ゆるゆると古武道演武花の昼
花屑を踏みて子どもの武者の列
外堀は自動車道路花ぐもり
2016/01/19
短日は微塵の色を止めけり /勝美

ニキはニキ柿は柿なり紛れなし /勝美

空青けれど冬将軍の気配あり /勝美

高塀に覗く像ゐて冬日和 /勝美

踏み残す秋の足跡螺旋階 /勝美
2016/01/19
色鳥のために食欲そそる赤 /勝美

運命の指蜻蛉に鯨幕 /勝美

弾倉に弾丸確と獣狩り /勝美

人生の裏道西日射す前途 /勝美

敬老日公衆浴場休業日 /勝美
2015/12/26
2015/12/13
2015/11/23
2015/11/04
2015/10/26
道中履選ぶ旅人小春の日 /勝美

鬼子母神喜ぶやうに石榴熟る /勝美

冠雪の冨士をイメージ毛糸編む /勝美

誰彼の区別無かりし日向ぼこ /勝美

高齢者独りの住まひ冬館 /勝美
2015/10/12
秋天にそそる壁面四面体 /勝美

黄葉の刻待つ木木に空広し /勝美

秋澄むとノーベル賞の金メダル /勝美

一本の川が街割くそぞろ寒 /勝美

銀杏や踏むを躊躇ふ地雷原 /勝美
2015/09/22
2015/09/08
2015/08/24
転生の夢は束の間明け易し /勝美

声上げて蝉のたましひ呼び戻す /勝美

河童忌の火花五彩に噴き上がり /勝美

七十年前の影追ふ終戦日 /勝美

動かざる遊具影曳く夏の果 /勝美
2015/08/09
残暑はや転がるやうに過ぎゆくか /勝美

秋の水滑り台めく岩すべる /勝美

秋暑し黒く煮詰まるもの食へと /勝美

掌に余る収穫秋の色湛へ /勝美

人ぞろぞろと宵闇の宮通り /勝美
2015/07/25
夜の秋静かになりし彼我の陣 /勝美

峰雲の中途半端な育ちやう /勝美

今日も亦人を待ちゐる盆の駅 /勝美

夏の川浸る鉄鎖のなかりけり /勝美

炊出しに不味きものなし震災忌 /勝美
2015/07/07
七夕の飾りに頼む過疎の町 /勝美

捨てられし七夕竹を電柱に /勝美

梅雨寒し祈りの館門扉閉づ /勝美

緞帳に代はるシートや夏芝居 /勝美

上映のホラー冷房効果大 /勝美
2015/06/23
文字摺や使はぬものに観世縒 /勝美

地獄変斯くやの紅蓮河童の忌 /勝美

夏の夜の夢物語戦士果つ /勝美

猫の目のいや増す青さ夜の秋 /勝美

風鈴の百の音色や駅ホーム /勝美
2015/06/09
時の日や看板舊きままで良し /勝美

夏登山岩場で煙草吹かしけり /勝美

埋立てて市街地となる旱雲 /勝美

睡蓮や濁世に一花汚れずに /勝美

温暖化すすむ臭木の花咲けり /勝美
2015/05/22
帰省子の踏む石段に日の斑揺る /勝美

光年の刻をとどめて星涼し /勝美

草笛を鳴らし寺門を潜りけり /勝美

甲羅灼け岩灼けカメ目爬虫類 /勝美

トンネルは生活道路山笑ふ /勝美
2015/05/11
ひと時の朝餉愉しむ五月の日 /勝美

帰省子のために門戸を開きをく /勝美

落書きの稚拙は問はずこどもの日 /勝美

走り梅雨監視カメラのやうな犬 /勝美

路ゆくやデモの遮る夏の街 /勝美
2015/05/05
ミラノにてミラノの野菜夕薄暑 /勝美

ででむしの咎なく一網打尽とは /勝美

夕焼けの中途半端の色纏ひ /勝美

陽炎や飲めば崩るる刹那の美 /勝美

旅にして朝寝楽しむ暇なかり /勝美
2015/04/19
春惜しむ野に在るものを手元にし /勝美

暮の春舗道は光滲ませて /勝美

鬩ぎあふビルの狭間に春の川 /勝美

参道の長し鳥居の陽炎へる /勝美

麦秋や厚き雲裂き光出づ /勝美
2015/04/01
災害は陽炎なりや救護飯 /勝美

水温む暗渠にかかる排水路 /勝美

ブランドとして佐保姫の並びをり /勝美

足下の覚束なかり目借時 /勝美

人なるがゆゑに集へり花の下 /勝美
2015/03/15
荒れ庭の古里に春戻り来し /勝美

戦国の世はひたひたと春愁 /勝美

五月雛出陣太鼓響きけり /勝美

哀しみは春の名残のジンタかな /勝美

春は黄に檀香梅の自己主張 /勝美
2015/03/15
亀鳴けり土中の孤独堪へ切れず /勝美

僥倖のあると知るべし青き踏む /勝美

目くるめく光のレビュー荷風の忌 /勝美

猫の子の瞳虚ろに揃ひけり /勝美

硬直の世に曲線の暖かし /勝美
2015/02/19
花むしろ遠く波斯の夢を見し /勝美

初午やビルの林に囲まれて /勝美

魚は氷に上り商売繁盛す /勝美

春雨や身は一介の異邦人 /勝美

本当の空なき首都や凍緩む /勝美
2015/02/02
我輩は炬燵なくとも丸くなる /勝美

春雪を屋根に残して雨となる /勝美

利休忌の路肩や草のひるがへり /勝美

雲に入る鳥や行く手の渺渺と /勝美

初午や僅かな森を拠り所とし /勝美
2015/01/20
万巻の蔵書整然冴返る /勝美

大寒の鶏とさか振りかざす /勝美

乳房碑を残して天へ登る竜 /勝美

霜柱立つこの辺り猫の墓 /勝美

枝張るも空は掴めず冬木立 /勝美
2015/01/01
初句会一句一句に光るもの /勝美

混沌の世相の絡む去年今年 /勝美

目印を置く佐保姫の予約席 /勝美

新しき年へ年へとひと歩む /勝美

文明の進歩は速し日脚伸ぶ /勝美
2014/12/14
今しがた流れゆきけり鴨の群 /勝美

冬耕の畝の収束して平和 /勝美

フエンスの内外なべて日脚伸ぶ /勝美

餅搗きの共同作業始むべし /勝美

数へ日の灯影は胸の奥にまで /勝美
2014/11/26
実南天古墳内部に十二星 /勝美

胃カメラの辿りつく先年の暮 /勝美

クリスマスファッションショーの舞台裏 /勝美

石蕗の花語り部夜を語り継ぐ /勝美

冬紅葉田舎暮しを始めんか /勝美
2014/11/16
どの顔もみんな日に向く日向ぼこ /勝美

項垂れて歩く人生冬の雲 /勝美

追掛けて追掛けられて年の暮 /勝美

我も亦孰れ地に墜つ木の葉かな /勝美

日が暮れておしくらまんぢゆうもう出来ず /勝美
2014/10/31
メルヘンの扉開かれ冬に入る /勝美

横断幕潜りて神の旅立てり /勝美

神留守の山へお百度列なして /勝美

おほらかや眠るに早き冬の山 /勝美

はしたなき小便小僧冬ざるる /勝美
2014/10/14
風吹けば風に煽られ秋の蚊帳 /勝美

天鵞絨のしとねに夢を青蛙 /勝美

子ども等の邪気なき遊び月照らす /勝美

爽やかや神に詣でし身の軽さ /勝美

無い知恵は搾りても出ず井戸涸るる /勝美
2014/09/26
秋日向集合墓地の公開中 /勝美

月に望みを囚はれの巌窟王 /勝美

血塗られし虎徹ひつ提げ秋すさぶ /勝美

肌寒し身体くねらす狛狐 /勝美

冬眠の熊に手を振る別れかな /勝美
2014/09/16
繚乱の花野地獄か極楽か /勝美

立ち止まることも大事や秋の果 /勝美

何故に此の世に生れし毒きのこ /勝美

流星の使者天空の伝道師 /勝美

十三夜空にぽつかり覗き穴 /勝美
2014/08/23
信仰の眼見開く今朝の秋 /勝美

天蓋のやうな日覆して異国 /勝美

夕立の気配の迫る街暗し /勝美

熟成の刻を得たりし長き夜 /勝美

ひと舐めに癒す残暑の身でありし /勝美
2014/08/23
秋行くも君死に給ふこと勿れ /勝美

秋光や堂を響動もすカンタータ /勝美

名月にまだ時間あり時計塔 /勝美

今まさに祈りの時間秋の蝉 /勝美

巡礼のひたすら歩む暮の秋 /勝美
2014/07/31
夏つばめ地上の星をなほ探す /勝美

青山河トムとハックの冒険行 /勝美

秋祭準備パイロン山積みに /勝美

瞳に刻む炊出しの火や震災忌 /勝美

曳光弾裂けて八月十五日 /勝美
2014/07/15
へうたんや手塚漫画のキャラクター /勝美

落日の光芒に虹圧され気味 /勝美

万全の耐震構造蟻の家 /勝美

夏の果猫の占拠の家無人 /勝美

祭笛近づき期待膨らみぬ /勝美
2014/06/28
何につけ寄らば大樹と蝉の殻 /勝美

向日葵の影の逞し大落暉 /勝美

豆飯や飯に何豆炊き込めど /勝美

丼や噴き出す汗も味のうち /勝美

セッションはいよよ佳境や晩夏光 /勝美
2014/06/09
紫の袖濡らしけり走り梅雨 /勝美

夏館庭にランプを灯しけり /勝美

やんごとなき顔に滂沱の汗雫 /勝美

梅雨の傘何時もの街の常の顔 /勝美

子に托す戦果待たるる泥鰌鍋 /勝美
2014/05/18
味はへばバラの香りの氷菓子 /勝美

親は子に子は親に添ひ金玉糖 /勝美

神域の静謐たれと水噴けり /勝美

フランドルの影と光や夏の雲 /勝美

花柄の似合ふ娘の初浴衣 /勝美
2014/05/12
桐咲いて鼻むずむずとしたりけり /勝美

待つほどに蛍の闇の迫る川 /勝美

時の日の時ゆつくりと回りけり /勝美

口ずさむスタンド・バイ・ミー梅雨に入る /勝美

短夜の壁や落書き消え残る /勝美
2014/04/26
マロニエの花の香甘しパリ遠し /勝美

塀際のファインプレーやサングラス /勝美

日盛りの道ほろほろと急ぎけり /勝美

火蛾寄りつかず迸る水柱 /勝美

チューリップ一本脚のフラミンゴ /勝美
2014/04/03
踊子草カーテンコール鳴り止まず /勝美

亜麻色の髪の乙女よたんぽぽ黄 /勝美

桜といへばふるさとの桜土手 /勝美

菜の花や何なになにと好奇の子 /勝美

犬ふぐり咲くささやかな自己主張 /勝美
2014/03/23
永き日や昼夜煙突立ち通し /勝美

三椏や頼みにならぬ烏合の衆 /勝美

草冠なべて芽を吹く辞書の中 /勝美

新社員はや偸安の中に在り /勝美

花種と誰も思はずアーモンド /勝美
2014/03/09
啓蟄の旅ぞろぞろと六部衆 /勝美

花時の空や果てなきホリゾント /勝美

白梅の降り継ぐ空の青ければ /勝美

そこここに雪解の雫花となる /勝美

目借時肌すり寄せる浮き世風呂 /勝美
2014/02/25
モノレール春の気配を運び来る /勝美

踏青を怪しむものの気が知れず /勝美

多喜二忌や人目を避けて深帽子 /勝美

春の夜のダンスパーティ壁の花 /勝美

蟇穴を出でて行く先知らずなり /勝美
2014/02/09
前に乗る子を庇ひつつ春の雪 /勝美

お好みのシロップ如何が春の雪 /勝美

春の雪別れ惜しまば帰さじと /勝美

雪帽子被る思索の石頭 /勝美

春の雪汚濁の街を荘厳す /勝美
2014/01/26
ふるさとは枝に残して春蜜柑 /勝美

手作りのパンの焼きたて暖かし /勝美

水上の暮らしに飽きて春の鴨 /勝美

空重き梢の高み冴返る /勝美

愛の日の縺れ絡まる胸の内 /勝美
2014/01/08
初詣ものの始めの並び初め /勝美

寒明けてその先何に出会ふやら /勝美

己が身に迫る不安や春寒し /勝美

星雲の目くるめく渦星朧 /勝美

黒からずして黒猫の恋心 /勝美
2013/12/24
天狼や少年瞳かがやかす /勝美

葉牡丹にうづまく恋の色もやう /勝美

バス停に並びて思ふ炬燵酒 /勝美

寒燈や求むる道の果知らず /勝美

大寒の街目覚めんと蠢動す /勝美
2013/12/09
心ある言葉少なし冬いちご /勝美

池涸れて林中静寂残りけり /勝美

ブリューゲルの森に谺の猟銃音 /勝美

寒の雲幾重にも山幾重にも /勝美

十二月八日デジャビュの道辿る /勝美
2013/11/23
煙突の上の出迎へクリスマス /勝美

去年今年昭和は遠くなりにけり /勝美

遊郭のあとを眺めて懐手 /勝美

北風にあへて莞爾と立ち向かふ /勝美

年忘れうだつ上がらぬ顔ばかり /勝美
2013/11/12
五箇山に雪降るころとなりにけり /勝美

もてなしの地元の香り囲炉裏宿 /勝美

用済みの案山子の行方知らずなり /勝美

温室を出され巷の風のなか /勝美

逸る気を抑へお目見えしたる凧 /勝美
2013/10/27
枯山に色を添へけり山ガール /勝美

綿虫のいつしか消えて大鳥居 /勝美

ひとり行く野道一本冬ぬくし /勝美

待春や雨に艶ますべにかなめ /勝美

台風の来ぬ間にいそぐ小買物 /勝美
2013/10/13
またとなき天気蓑虫起きたまへ /勝美

休むにも群れを離れず稲雀 /勝美

帽子脱ぐほどの日射しや日向ぼこ /勝美

草原を追はるるごとく蝗飛ぶ /勝美

冷やかに穴の開くほど視られけり /勝美
2013/09/27
日の沈む方へ蜻蛉まつしぐら /勝美

悪臭を溜めるだけ溜め銀杏の実 /勝美

冬用意猫の手を借り騏驎借り /勝美

選挙時の演台長き夜を過ごす /勝美

招かるるままに一杯夜寒の身 /勝美
2013/09/16
フルーツとケーキのコラボ文化の日 /勝美

知らぬ間の門限時刻いざよへる /勝美

行く秋や持ち主待てる忘れ物 /勝美

五線紙に高き一音月今宵 /勝美

雨靴で踏む秋冷の水たまり /勝美
2013/08/31
朝顔も愛も潤ひあればこそ /勝美

秋夕焼地上のものは置き去りに /勝美

月光に染まりて乾ぶ曝し首 /勝美

月今宵猫に近寄る宇宙人 /勝美

斎場の煙たなびく無月かな /勝美
2013/08/16
末成りの頃の話を生身魂 /勝美

風紋の移ろひ疾し涼新た /勝美

故里のぢぢにお便り敬老日 /勝美

冷やかな海に浮く島人住まず /勝美

盆用意格子戸少し開けもして /勝美
2013/08/05
花ひらく刻来るべし敗戦忌 /勝美

行く先は何処か知らねど秋の暮 /勝美

十六夜や木曽路につづく石畳 /勝美

新涼や流るる水に濡るる岩 /勝美

つれづれに烏鷺戦はす夜長かな /勝美
2013/07/23
なむさんぼう何処に在れどもゐる大暑 /勝美

炎天に風穴開くや掘削機 /勝美

面構へ同じくしたり蟻地獄 /勝美

一時間待てばバス来る大西日 /勝美

神社へと揃浴衣の勢揃ひ /勝美
2013/07/05
願ひ事多し七夕竹撓る /勝美

琵琶法師吐くころころと枇杷の種 /勝美

朝顔は予定調和の色尽くす /勝美

草茂るせめて人生たのしくと /勝美

楊桃の身投げ現場に遭遇す /勝美
2013/06/18
山法師千の蜂起や気を一つ /勝美

覇王樹の花やテキーラに酔ふ覇王 /勝美

釈迦の掌を出ず軽鳧の子の独り旅 /勝美

夏帽や背の恥ぢらひの隠れなし /勝美

青柿の墜ちて身の上語りだす /勝美
2013/06/06
シスターの白きカラーや海芋咲く /勝美

蝦蟇の吐く泡天体のごとく浮く /勝美

はたはたと旗のはためく梅雨晴間 /勝美

顔寄せて大熊猫の仔の昼寝 /勝美

夏山の世界遺産のたたづまひ /勝美
2013/05/20
どの顔も茅の輪潜りて晴れやかに /勝美

縄文の青水無月を想ふべし /勝美

亡びゆくものの哀れや片陰り /勝美

夏めくや光と影の鬩ぎあふ /勝美

逢坂をギター抱へて蝉丸忌 /勝美
2013/05/04
降りかかる男滝女滝の滝しぶき /勝美

ラビットもベアも微笑む五月来る /勝美

時を経て目覚めて時の日のワイン /勝美

金魚屋の屑の金魚をもらひけり /勝美

沿道にひと居並べり賀茂祭 /勝美
2013/04/21
さへづりの止む反芻の刻長し /勝美

春の野や浮かれ心の身を寄せて /勝美

犇めいて身を摺り寄せて燕の子 /勝美

行く春の階段ひとり登りけり /勝美

春夕焼我も亦持つ過去の影 /勝美
2013/04/11
ジュレに浮く花びら匙に掬ひけり /勝美

校庭の桜涙と笑みの渦 /勝美

放射能除けのシェルター春野菜 /勝美

一年生事故なきやうに通りやんせ /勝美

ときめきの覚めざるままに五月来る /勝美
2013/03/22
春宵の華屋与兵衛は佳き男 /勝美

四月馬鹿鴉一羽の無人島 /勝美

マント狒狒の今日の食材春野菜 /勝美

飽食の果ての春眠寝て飽きず /勝美

白木蓮の雲のんちやんの乗りさうな /勝美
2013/02/21
青き踏むところ探せど見当たらず /勝美

あでやかな京雛菓子の紅の色 /勝美

地中海の風の匂ひや風信子 /勝美

観梅や何処へ行くにも二人連れ /勝美

春風や気にも止めざる決まりごと /勝美
2013/02/01
浄め塩雪のごとくに利休の忌 /勝美

かげろふや見知らぬ街へ迷ひこむ /勝美

春薄暮刻刻すすむ温暖化 /勝美

黒猫の子の影黒しベツレヘム /勝美

春灯をかかげUFO着地点 /勝美
2013/01/21
鷹鳩と化すもいかさま許されず /勝美

春の夢覚めて残るは苦みのみ /勝美

吾輩は恋に疲れし猫なれど /勝美

早春の日は裏道に届かざり /勝美

あざらしの寄り集まれる寒の明け /勝美
2012/12/30
去年今年雑味雑念抜け真白 /勝美

元朝や黄金に輝く日の光り /勝美

嫁が君を仲間と招く猫ゐたり /勝美

仕来りを今に伝へて餅飾る /勝美

獅子舞の獅子歯磨のコマーシャル /勝美
2012/12/16
赤かぶの赤に高ぶる好奇の眼 /勝美

寒暁の涙にくもる窓硝子 /勝美

年に一度はせめて聖樹になり切る樹 /勝美

極月の祈り深かり百万塔 /勝美

恋の眼にぼやけてポインセチアらし /勝美
2012/12/01
数へ日に憶ふは故郷の母のこと /勝美

着ぐるみの中底冷えの身が一つ /勝美

ブリッジを潜り抜けけり冬の蝶 /勝美

猫の手も借りて売るなる大熊手 /勝美

変転の世相にサンタ立ち尽くす /勝美
2012/11/12
ぼろ市へ思ひ一つのバス走る /勝美

冬眠はまだまだ先のことなれど /勝美

黄葉の爆弾破裂して止まず /勝美

ひたすらに歩む外なし黄落期 /勝美

七五三帯に疲れのまざまざと /勝美
2012/10/28
山海の珍味とりまぜ文化の日 /勝美

町角に馬頭観音時雨雲 /勝美

網打つや飛び跳ねゐたる鰡の群 /勝美

餡団子ひとつ大振り一葉忌 /勝美

四次元の入口近し冬に入る /勝美
2012/10/14
秋晴や病室其処処電子音 /勝美

カーテンの隣も患者鵙の贄 /勝美

体育の日や点滴に繋がれて /勝美

点滴の支柱を杖にしてさやか /勝美

黄落や退院許可のいまだ出ず /勝美
2012/09/21
晩秋やひかりは直ぐに消えたがる /勝美

行く秋の絶滅危惧種ねむる土地 /勝美

磔像に似たる案山子に意志ありや /勝美

文化の日花に劣らぬ葉のありぬ /勝美

暗黒に無数の銀河音もなし /勝美
2012/08/30
行く秋の乙女の祈り深かりし /勝美

帯締めを少しゆる目に茸飯 /勝美

爽やかや円座の猫の端にゐて /勝美

白亜紀の恐竜に遭ふ霧の夜 /勝美

秋天を繋ぎ止めたる塔ひとつ /勝美
2012/08/12
待宵の会場煌と灯しけり /勝美

終戦日祈る頭上に日は燦と /勝美

赤心を密かに育てゐる茘枝 /勝美

華やかに倫敦五輪夏終る /勝美

へくそかづら己が世界に閉ぢ籠り /勝美
2012/07/23
夏の夜のビアガーデンのフラダンス /勝美

海の日や水中船の窓青し /勝美

たましひの右往左往や蛍飛ぶ /勝美

昆虫のはがね光りにある残暑 /勝美

編隊の往くは悪夢か終戦日 /勝美
2012/07/01
覇王樹の花キリストの黙の像 /勝美

ロリポプの虹の一色含みけり /勝美

放射能汚染新たや原爆忌 /勝美

ワレワレハウチュウジンナリ扇風機 /勝美

おはじきの如し滴り七彩に /勝美
2012/06/17
くちなしの花や雨ふる偲ぶ会 /勝美

魑魅魍魎潜むや夏の夜の街路 /勝美

時の日や車は速度増すばかり /勝美

紫陽花やシバの女王の花冠 /勝美

未央柳己が光をまき散らす /勝美
2012/05/30
蒲公英の絮真球の天体儀 /勝美

思考回路壊れ匂蕃茉莉 /勝美

狐の提燈狸の徳利拝借す /勝美

ちんぐるま下山の足の軽くなり /勝美

夏星の観察桟敷屋根に組む /勝美
2012/05/20
薔薇祭や薔薇の香りを身に満たす /勝美

木洩日やジュレのごとくに揺らぐ夏 /勝美

神橋の下の緋鯉に目もくれず /勝美

時の日の一瞬写し写されて /勝美

夏めくやパテシェの飾る菓子の白 /勝美
2012/04/27
花冷や彼我の境に谷ひとつ /勝美

麦刈の麦刈り残る地平線 /勝美

目借時夢はナイルの河遊び /勝美

メーデーに加はるべきか思案中 /勝美

葉桜や集団催眠術開始 /勝美
2012/04/02
花衣まとひて虚ろなるまなこ /勝美

小魚を匿ひ磯巾着孤独 /勝美

天空を逃れ墜ち来し春の星 /勝美

佐保姫の声に風鐸揺るるなり /勝美

ぶらんこを降りて足元定まらず /勝美

寂光土ならぬ蕎麦屋や土匂ふ /勝美
2012/03/22
先づ一歩更なる一歩出ず仔馬 /勝美

草に寝て遊子気取りや鳥雲に /勝美

反転の時を窺ふつばくらめ /勝美

全身に春の光を浴びもして /勝美

自転車はエコの乗り物鳥ぐもり /勝美
2012/03/04
隙あらば忍び入るなり窓の雪 /勝美

床しさを秘めて薄紅椿咲く /勝美

白きもの背に降り積もり春の鹿 /勝美

紅梅の下に席とりしてしづか /勝美

穴出でて四股ふむ熊や勢揃ひ /勝美
2012/02/12
沼に浮く雲なき空にある余寒 /勝美

樹のやうに背筋の伸びて新社員 /勝美

寒禽の啼く嘴を白くして /勝美

ものいへば口に飛込む春の塵 /勝美

アラビアにロレンスは居ず黄砂降る /勝美
2012/01/22
天上を臨むジャックや豆の花 /勝美

春天へ大音響の拡声器 /勝美

放射能含むや否や春みぞれ /勝美

故里の空は鈍色目貼剥ぐ /勝美

蜷の道支援物資の運ばるる /勝美
2012/01/05
去年今年せつせと神へ頼みごと /勝美

メタボ脱却なるや無言の福達磨 /勝美

ほろほろとほろほろ鳥にある淑氣 /勝美

浮き浮きと乗る初夢の宇宙船 /勝美

出迎へのゐて初旅の終着駅 /勝美
2011/12/20
てのひらの綿虫ひかり放ちけり /勝美

待春や少女は部屋を飾り立て /勝美

冬木の芽歓喜の歌は地に溢れ /勝美

滝凍る真夜に嘶くけものどち /勝美

買物のマスクの母子目で合図 /勝美
2011/12/02
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歳晩の夢や空くじなればとて /勝美

辰年の辰を孕むや鰤起し /勝美

鴨追ひてゆくや雑木の林なか /勝美

セシウムの沈着せるや枯野原 /勝美

追悼の意を白白と冬花火 /勝美
2011/11/16
冬ざれや一羽も姿見せぬ鳥 /勝美

三寒にでんぐり返しして四温 /勝美

着膨れの中より嬰の玉の顔 /勝美

冬濤や沖へ補陀落渡海船 /勝美

賑やかに顔つきあはす年忘れ /勝美
2011/10/23
熟れ切つて鵯の来たるを待つばかり /勝美

寒雷やピノキオ鮫の虎口より /勝美

秋逝けり風雲急を告ぐるかに /勝美

高高と両手に七五三の飴 /勝美

冬ざるる街のオアシスパン屋の灯 /勝美
2011/10/07
蚯蚓鳴く円空仏に在る微笑 /勝美

秋思ありひと筋道を突き進む /勝美

牧神の留守の切株蜻蛉守る /勝美

市に出ること能はざり犬酸漿 /勝美

野葡萄や色付き初めし恋心 /勝美
2011/09/22
ゆく秋やドガの踊り子裾乱す /勝美

秋惜しむ世間の風に吹かれては /勝美

尻向けて無花果はしたなきことよ /勝美

良夜とて相摺合はす肌と肌 /勝美

黄落や黄金の蜜吸ふ吻細し /勝美
2011/09/08
心浮き立つ秋晴の遊園地 /勝美

文化の日生あるものも無きものも /勝美

ミッキーに似し自然薯や愛すべし /勝美

秋の海なぎさに拾ふ貝数多 /勝美

流れ星墜ちて固まりゆく姿 /勝美
2011/08/23
穴子鮨波に影揺れ大鳥居 /勝美

赤心の言葉の弾け蔓茘枝 /勝美

座布団の揃ひも良けれ敬老日 /勝美

満身に傷負ふをとこ秋なすび /勝美

ムルタンのタイルの青や花桔梗 /勝美
2011/08/05
レーダーは敵機をキャッチ紅蜀葵 /勝美

放射性物質ぼたり栗の毬 /勝美

月面に螇蚸着地をせしものの /勝美

蓮の実や旅立つまでは親の庇護 /勝美

放射能汚染じわりと露の玉 /勝美
2011/07/17
ひたすらに日除の任務果すべく /勝美

鈴なりに祇園山笠見て拍手 /勝美

野にあらば野の風豊か虎尾草 /勝美

無農薬野菜括られ店晩夏 /勝美

目の醒めぬままが宜しや蜘蛛の糸 /勝美
2011/06/30
炎昼やしもべにガイガーカウンター /勝美

手作りのパニーニ夏のフィレンツエ /勝美

ままごとの夢のつづけり昼寝覚 /勝美

たましひを浮かべて遊ぶ夏野の子 /勝美

ブルーベリー摘む足元の蚊遣香 /勝美
2011/06/10
宇宙との交信済めばすぐ揚羽 /勝美

朝顔市までの道程近からず /勝美

焦点を失ふほどや街炎暑 /勝美

夏ぐみや葉陰に顔を赤らめて /勝美

地上絵の不思議大暑の記号論/勝美
2011/05/25
高きゆゑ特に日焼の目立つ鼻 /勝美

遅れじと行く麦笛を鳴らしつつ /勝美

いざ行かん旅の別れの春紫苑 /勝美

緑蔭に青シート敷く避難民 /勝美

麦秋や風集まれば羽根廻る /勝美
2011/05/03
静止して哲学中かあめんぼう /勝美

開放の堂に釈迦在り黄砂降る /勝美

デカルトもカントも知らず金亀子 /勝美

賢人は瞑想さなか風薫る /勝美

哲理門くぐるや蟻のぞろぞろと /勝美
※金亀子=こがねむし
2011/04/11
罹災者の胸に在る家鳥帰る /勝美

故郷へつながる道路つくづくし /勝美

春愁や目には見えねど放射能 /勝美

お出かけの一歩はすでに陽炎へり /勝美

競漕や身を乗り出して声援す /勝美
2011/03/24
亀鳴くややをらに伸ばす後ろ肢 /勝美

避難所を探し当てたる蛙どち /勝美

佐保姫を出迎ふる影使者二人 /勝美

春陰や指の集まる京干菓子 /勝美

陽炎やタイムマシンに乗込めば /勝美
2011/02/22
春雨は虚実皮膜の間(あひ)に降る /勝美

雛どちの眠りは箱に入りてのち /勝美

パンダ来る花道なべて春の雪 /勝美

沈丁の眠りを覚ます雨しづく /勝美

頑として揚らぬ風船反抗期 /勝美
2011/02/08
春疾風タイムマシンに乗るごとし /勝美

清明や木木は大地を踏みて立つ /勝美

春愁や我も我ものパパラッチ /勝美

ぬくぬくと日差しに群るる牧開 /勝美

糸遊の中へなかへと進みけり /勝美
注: 清明は陽暦では4月5日頃春の時候。糸遊は陽炎とおなじ。かげろう。
2011/01/20
鎮魂のツインタワーや春隣 /勝美

厳寒や地は一塊の瘤を生む /勝美

一斉に声をそろへて群千鳥 /勝美

早梅や一途に受くる日の恵み /勝美

寒明けやけんけんぱあの影を踏む /勝美
2010/12/31
アダムとイヴを祖となす一対年始め /勝美

初夢の掌に百円を握り締め /勝美

本物をなぞる虚しさ乙字の忌 /勝美

飾るべき家は持たねど飾売 /勝美

保護色に貌を彩る街寒夜 /勝美
2010/12/09
寒林や響く「魔王」に固唾のむ /勝美

短日や話さば長きことばかり /勝美

寒星や叶ふ願ひの多からず /勝美

小春風異彩を放つアルルカン /勝美

みそさざいにも羽搏くといふ仕種 /勝美
2010/11/15
膏薬の打ち身に白し寒稽古 /勝美

面舵や船首は冬の虹へ向く /勝美

さり気なく聖樹に吊すルビーかな /勝美

今生の匂ひ鼻腔に穴まどひ /勝美

手品師の指一瞬に紅葉生む /勝美
2010/10/20
バーチャルの世界に生きて文化の日 /勝美

ちまちまと仕切られ勤労感謝の日 /勝美

オリオンはパンの眼鏡で覗くもの /勝美

着膨れの嬰児(やや)の匂へりミルクの香 /勝美
2010/10/01
岩稜の山の感触秋の蝶 /勝美

彼岸花あへて近づく気になれず /勝美

物好きや芋煮の鍋へ鶏の皮 /勝美

飛入りの太鼓の名手秋祭 /勝美

コスモスの風を妨げゐたる人 /勝美
2010/09/08
椋鳥の満艦飾の日は来るか /勝美

破裂せし茘子赤心さらけ出す /勝美

立ち尽くす太陽の塔稲びかり /勝美

秋刀魚食ぶ猫にやる骨のみ残し /勝美

秋の空何処ともなくカレーの香 /勝美
2010/08/16
竜淵に潜むと言へど子は遊び /勝美

リリパットの機械仕掛けの秋の虫 /勝美

蝉の穴そは冥界の出入口 /勝美

無月かな貫一役のリハーサル /勝美

悲しみは笑ひに転ず防災日 /勝美
2010/07/20
浮き出づる雲の存在今朝の秋 /勝美

信念にぶれなき門徒姫檜扇 /勝美

口遊ぶポーリュシカポーレポーチュラカ /勝美

新涼や白地に紺の野良姿 /勝美

水中眼鏡竜宮城の門開き /勝美
注記: 姫檜扇水仙(ひめひおおぎすいせん)は別名「もんとぶれちゅあ」と言う。
2010/07/08
人類に尻尾は失せしさくらんぼ /勝美

飛び出すな荒るる気配のはたた神 /勝美

犯人の逃げ込みし店土用前 /勝美

叶はざる願ひとはいへ星祭 /勝美

凌霄の花を灯りの闇夜道 /勝美
2010/06/22
炎天下つひぞ浮木(ふぼく)の見当たらず /勝美

在るや在らずや「現の証拠」を示す札 /勝美

汗の尻威厳崩して掻くべきか /勝美

東京大仏に縁のあるやも「金蓮子」 /勝美

つぶやきを聞き逃さじとひつじぐさ /勝美
2010/05/31
紫陽花の毬の混み合ふひとところ /勝美

風来れば風に口開く燕の子 /勝美

跣足の子石に登つてみたものの /勝美

金網の背後基地の地茄子の花 /勝美

天界を植田の底に覗きけり /勝美
2010/05/04
夏来るや頬つややかに光りあふ /勝美

麦秋や肉と野菜と山なして /勝美

蒲焼の匂ひを煽る団扇かな /勝美

乱反射して子にとどく新樹光 /勝美

噴水の放つオゾンの水しぶき /勝美
2010/04/13
耳もとに誰かささやく風信子 /勝美

当節のルームシェアの鬱金香 /勝美

イルカに乗つて春潮の地中海 /勝美

砂山を崩す遊びや春深む /勝美

さへづりや桜色なる雲の中 /勝美
2010/03/05
鬱勃の氣のあらあらと新社員 /勝美

啓蟄のロボット腕を高高と /勝美

嫁菜飯死ぬまで生くる存念と /勝美

龍天に登る日猫のしなやかに /勝美

色に出て彼岸の草の逞しさ /勝美
2010/02/17
春愁ひ目玉に宿る海の色 /勝美

新社員解体ショーといふ試煉 /勝美

佐保姫の衣干さるる大樹かな /勝美

春陰や時間ばかりが過ぎてゆく /勝美

囀りに色あらば濃きひよこ色 /勝美
2010/01/27
ひと時を過せし山河鳥帰る /勝美

春昼や大道芸にひとは酔ひ /勝美

木木の影大地に碓と冴返る /勝美

待春や袋へ木々の落し物 /勝美

節分へ向けてモールの蠢動す /勝美
2010/01/08
どんど焼きまでの飾りの影薄し /勝美

恵方道とはコンビニの独居老 /勝美

骨正月早く風呂屋が開かないか /勝美

初富士や刻刻かはる街の貌 /勝美

臘梅の臘の溶け出す日差し得し /勝美
2009/12/23
アイデアの未熟なるまま年暮るる /勝美

ゆく年の道あるところ何処までも /勝美

点滅を余儀なくさるる聖樹かな /勝美

顔色を窺ひながら日向ぼこ /勝美

臭きものには蓋をして年を越す /勝美
2009/11/27
寒垢離の歩みたたらを踏みゐたる /勝美

わたあめは夢のごとしよ日脚伸ぶ /勝美

風邪予防野菜サラダを食ふも良し /勝美

障子震はす渾身の太鼓の音 /勝美

らくがきの消されもせずに小六月 /勝美
2009/10/17
猫じやらすことに倦みけり猫じやらし /勝美

公園に来れば池あり紅葉あり /勝美

飯桐の実に姦しき鳥の声 /勝美

玉入れの玉は手作り運動会 /勝美

差し入れのケーキ夜なべの灯の眩し /勝美
2009/09/14
出陣の勇み足なり祭り衆 /勝美

吾輩の原や虫鳴くこと許す /勝美

白彼岸花の曳く影白からず /勝美

葡萄選る一語一語を選ぶかに /勝美

定番の飾り西洋かぼちやかな /勝美
2009/08/26
爽やかな空の下なる投票所 /勝美

入手せし往復切符秋彼岸 /勝美

古里へ思ひは一つ竹の春 /勝美

一食に感謝の祈り鉦叩 /勝美

あみだ籤折れて行き着く秋思かな /勝美

日照の少なし虫の色くすむ /勝美
2009/07/22
火に死すに通草木葉蛾(アケビコノハ)の幼くて /勝美

担ぎ手の力自慢や宵神輿 /勝美

埃及の王家の谷の花むぐり /勝美

まぼろしを紡ぎて烏瓜の花 /勝美

夢ひらくフレンチカンカン花木槿 /勝美

料理するまでのピーマン握り締め /勝美
2009/07/01
七夕や三ツ星適ふ高尾山 /勝美

朝日浴びレースの真珠生き生きと /勝美

この道や茅の輪くぐれば新しき /勝美

箱入りは娘のみかや桃もまた /勝美

天狗棲む山といひけり佛法僧 /勝美
(↓作者よりコメント)
ちなみに七夕は秋の季語、桃も秋の季語、
蜘蛛の巣は夏、茅の輪も夏、
八つ手の花は冬の季語。八つ手は季語でない。
佛法僧は夏の季語。
2009/06/13
フェイジョアの花の終りの梅雨入りかな /勝美

みそはぎの水漬く芭蕉結びの地 /勝美

睡蓮や眠気を誘ふ昼下り /勝美

商店街蛍袋に灯をともす /勝美

清姫の赤き執念鹿の子百合 /勝美
2009/05/26
幻滅なけれ夜の遠目の蛍こそ /勝美

緑蔭を求めてバスの来たりけり /勝美

河童忌の道路は川の上にまで /勝美

自らを決めかねゐたり七変化 /勝美

囚はれの異星人めくがまがへる /勝美
2009/05/12
ひねもす作者勝美さんが、川崎の酔花忌俳句大会2009に出席しました。
酔花忌は、川崎出身の詩人・作詞家の佐藤惣之助の命日5月15日を記念して開催。
佐藤惣之助は「酔花」の俳号で俳句も詠んでいたそうです。
詳しいことは、佐藤惣之助 – Wikipediaで。
応募句は、15位。(「おはずかしい限り」と作者弁。)
溪水を掬ふ指先新樹光 /勝美
当日の句会は、席題2句で1句目は花水木(季語)、他はふるさと(詠込み)。
花水木煉瓦で囲ふ女学校 /勝美
ふるさとの棚田天まで風薫る /勝美
2句とも高点だったそうです。
その場で発句するのは、瞬発力が要りそうですね。
2009/05/03
新緑やあちこちにある青テント /勝美

牧神の椅子目前に蟻すすむ /勝美

でくのぼうと呼ばれ歩むや桐の花 /勝美

球場に快音ひびく夏木立 /勝美

わだかまり無きこそよけれ吹流し /勝美
2009/04/16
慈しみ籠めてハム買ふ聖五月 /勝美

迷宮のゴールは塔よ南風 /勝美

紅白はめでたき色や花菖蒲 /勝美

振り向きもせず入園の決まりし子 /勝美

泉へと向かふ三三五五のひと /勝美

子は母に呼ばれて帰る花踏んで /勝美
2009/03/16
白妙の衣干しあり春の山 /勝美

花菜とは娘の名前うららけし /勝美

馬繋ぎあるじは花の雲の中 /勝美

四月馬鹿エコといふ名の洗濯屋 /勝美

蛇出でし穴を点検作業中 /勝美
2009/02/16
黄砂来る気配早くもキャッチせり /勝美

啓蟄の店に溢るる色色色 /勝美

隠し事なしと磯巾着ひらく /勝美

蛇口より春光ほとばしるべかり /勝美

ビー玉の青し陽炎見ゆるなり /勝美
2009/01/23
冴返る風にあらがふことをせず /勝美

豆撒きの近い部屋整頓しやう /勝美

春寒し足に食ひつくぬいぐるみ /勝美

春めくや遊具ひたすら子供待つ /勝美

海原を恋ふ眼差しや寒の明け /勝美
2008/12/28
繭玉にそそぐ光を顔に受く /勝美

冬木の芽ベンチに並ぶ顔馴染 /勝美

各局のマイクの拾ふ街師走 /勝美

支へ合ふ家族四人や冬深む /勝美

次々と理想は高し龍の玉 /勝美
2008/12/11
十二月八日を知らず子は育つ /勝美

陰日向なく働いてはや師走 /勝美

今頃は京都にあれば大根焚 /勝美

曝さるる皺の隅々日向ぼこ /勝美

冬夕焼心尽くしの皿の数 /勝美
2008/12/03
ひねもす俳句作者の勝美さんが、さいたま市民文芸第7号優秀賞に入賞しました。
さる11月30日、JACK大宮での表彰式に出席したとのことです。
入賞句は以下。
夏山登山
山開きたる雲中に汚れなし /勝美
水音の耳を離れずお花畑 /勝美
鉄梯子懸かる岩角明易し /勝美
遭難碑脇に積み足す小ケルン /勝美
岩壁に残るカラビナ晩夏光 /勝美
2008/11/21
着膨れや今日は秘仏の公開日 /勝美

提灯や秩父夜祭待ち遠き /勝美

蟷螂の枯には広き天地かな /勝美

我が暮し楽にならざり冬霞む /勝美

うつ田姫もの食ふこともありぬべし /勝美
2008/11/04
坂の町突進ならぬ消防車 /勝美

日向ぼこ悩みに胸を痛めつつ /勝美

沙魚日和指導よろしき竿さばき /勝美

今出来の城といへども蔦紅葉 /勝美

短日や手早く済ます車内食 /勝美
2008/10/17
杜鵑草保護といふ名の塚破壊 /勝美

扉死守枯蟷螂となるまでよ /勝美

天を衝く意気のデモ隊鶏頭花 /勝美

先生も自前の法被秋まつり /勝美

掌中の珠さてこそと栗のつや /勝美
2008/10/11
木犀の匂ひの波動吾をゆする /勝美

老いらくや色なき風に吹かるのみ /勝美

信仰の洋も和もなし文化の日 /勝美

営みに蓋をする屋根冬隣 /勝美
2008/09/24
このごろは耳を澄ませば秋の声 /勝美

ひそやかに砂場に埋めてゐる木の実 /勝美

植え込みをパッチワークに文化の日 /勝美

稲妻や生まれしものにある手肢 /勝美

飛ぶやうに巡り巡れり秋遍路 /勝美
2008/09/03
秋暑し手つかずの皿回るだけ /勝美

新涼や早くも点る街路灯 /勝美

一粒の葡萄一句を生ぜしむ /勝美

茄子の花やがて一句となる言葉 /勝美

ゼフィロスの秋声耳にひとり旅 /勝美
2008/08/14
釣といふ殺生四万六千日 /勝美

暫くの生命を休め蝉鳴かず /勝美

夕焼けを戴き街に言葉なし /勝美

喜びは尾を曳くものよ北京夏 /勝美
2008/07/28
旅立ちに言葉はいらぬ夏あざみ /勝美

ふるさとの大仕掛けなる誘蛾灯 /勝美

蓮開く打ち止めとなるパチンコ台 /勝美

霍乱や憤怒の色の街に住み /勝美
2008/07/17
ランタナは季語に未だし七変化 /勝美

許されてしばしの午睡調教師 /勝美

青唐辛子己が辛さに青ざめる /勝美

水遊びつづくや俄雨のなか /勝美
2008/06/18
ガリバーの黴の胞子や気球めく /勝美

長柱立てて大工の三尺寝 /勝美

白服の行くや修学旅行生 /勝美

青玉を掌もて掬へり額の花 /勝美

向日葵の単眼何を窺ふや /勝美
2008/06/02
手掴みに作法などなし裸の子 /勝美

酢漿(かたばみ)を咲かせ空き家となりにけり /勝美

麦秋やふつくら浮かぶ飛行船 /勝美

虹ならばなほ良かるべしすべり台 /勝美
2008/05/17
一輪の大き夏花や供養塔 /勝美

父の日もごろごろ髭を剃らずをり /勝美

巴里祭花舖は鉢花溢れさす /勝美

緑蔭や葬送の列はや見えず /勝美
【作者より注釈】
夏花は「げばな」とよむ。夏安居(げあんご)90日間懇ろに
花を仏に供える、その花をいう。
2008/05/12
ひねもす俳句の浦和の俳人こと勝美さんからメールが届きました。
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昨日、第14回酔花忌俳句大会に出かけました。
席上、川崎区長賞の賞状と副賞を授与されました。
(副賞は図書券でした)
さへづりの天へ古刹の塔ふたつ /勝美
これで今年になって3度目のご褒美です。
この授賞のまえに、地球ボランティア協会から
佳作賞の賞状が送られてきました。
晩夏濃し地平線まで地雷原 /勝美
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勝美さんおめでとうございます!
メールは「まあ、ぼちぼちやな。」と締めくくられていました。
▼川崎区長賞授与式の様子と賞状

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川崎区酔花忌俳句大会の賞状 |
「あなたの一句が地球を救う」佳作賞状 |
酔花忌というのは、川崎出身の詩人・作詞家の佐藤惣之助の命日。
「酔花」の俳号で俳句も詠んでいたそうです。
佐藤惣之助についての詳しいことは、佐藤惣之助 – Wikipediaで。
2008/04/24
桟道を踏む石楠花の靄破り /勝美

聞き流すことこそよけれ糸柳 /勝美

此の上は同行二人二輪草 /勝美

空の窓開け放たれて若葉風 /勝美
2008/04/03
俳句のくに三重全国俳句募集の「光の一句」部門で勝美さんの句が佳作に選ばれました。
冬蜂の光の方へ向ひけり /勝美
ちなみに応募総数は112,943句。いや〜、10万人が応募するってスゴイですね。
2008/03/30
何故ひとは桜の下を好むのか /勝美

嫁菜摘む老婆大地を摘まみ上げ /勝美

石あれば石に腰掛け遍路旅 /勝美

春愁の目蓋自然に下がりけり /勝美

初めての使ひや陽炎買ひにゆく /勝美
2008/03/03
春愁や座り疲れて座り胼胝 /勝美

人形に造花ひとには桜なり /勝美

春水をキンクロハジロ我がものに /勝美

梅愛づる心は一つ癒さるる /勝美

生き雛に作り給ひし五目寿司 /勝美
2008/02/21
海象の髯の先より陽炎へる /勝美

飽きもせず見る春昼の鯱の芸 /勝美

大口のペリカンもゐて百千鳥 /勝美

薄氷を踏むペンギンの一部隊 /勝美
2008/02/21
海風を浴びてデッキの恋の猫 /勝美

復活祭色鮮やかにハーブティ /勝美

灯台に高き波音春寒し /勝美

春潮の膨らむ際をたもとほる /勝美
2008/01/27
末ながく寄り添ふ仲や目貼剥ぐ /勝美

閉め出しはいつもながらや春寒し /勝美

「駐車場空き有り」鉢の梅二輪 /勝美

寒明けやあまねく兆す日矢の数 /勝美

冴え返る街灯にみる今朝の顔 /勝美
2008/01/03
何はさて正月気分自づから /勝美

初晴や希望は形なして浮く /勝美

改めて初日に目覚む「偽」の世間 /勝美

買初めに賞味期限を確かむる /勝美

初詣まじまじと見るご神体 /勝美
2007/12/16
山梔子の枯れても失せぬ色気かな /勝美

クリスマスリースの扉開け集金人 /勝美

華やかに人出待ちたり年の市 /勝美

大空にアンテナ伸ばす一冬木 /勝美

終末は突如来るもの落葉また /勝美
2007/12/16
ひねもす俳句作者の勝美さんが、天満書房の第5回俳句文芸賞を受賞しました。
下が受賞句。
鶏頭の熱のかたまり壺に在り


賞状と賞品が今日届いたそうなので掲載します。
賞品はカシオの電子辞書EX-wordのXD-SW6500BKと、副賞は書籍で「近代俳人群像」。
今年一年はとくにさまざまな句会やコンテストで賞をもらっている勝美さん。
賞をもらうもらわないは別としても、ひとつのことに集中する力は、わが父ながらあっぱれです。
2007/12/02

毎度おなじみの勝美さんが、またまた受賞です。今度は「さいたま市民文芸」。
以下は、作者から届いた受賞を知らせるメールより。
さいたま市民文芸第6号表彰式が、12月2日にJACK大宮にて行われました。
優秀賞作品は
「柏餅」と題して

北窓を開く胸襟開くごと
餅花や梁は手斧の荒削り
竹の秋日の斑のなかの陶工房
出逢ふ人なき花冷の屋敷町
掌に余る葉を手にひろげ柏餅
写真は、表彰式及び懇親会の模様。下の写真左より審査員星野和子先生、北原立木先生、石原栄子先生。
下は山本圭子先生と受賞者
2007/11/26
曉闇に見る極月の街の貌 /勝美

足音の行き交ふまへの落葉かな /勝美

黄葉はやがて散る散る古着市 /勝美

年惜しむ捏ねて搗かれしのみなれど /勝美

明日には聖菓一色なりぬべし /勝美
2007/11/17
ひねもす俳句作者の勝美さん、またまた入選。
ひとつは、「22回国民文化祭とくしま大会」に入選。俳人協会理事長の宮津昭彦さんが、勝美さんの句を特選に選んでくれたそうです。
花種を蒔き散骨の終りけり /勝美
もうひとつ朗報、ふるさと情報カレンダーの優秀作家作品にも。市販のカレンダーに掲載されるそうです。
楽しみですね。(買わないとは思うけど)
2007/11/10
ぼろ市へつづくこの道通学路 /勝美

猫の手の借り手のなしに日短 /勝美

さすらひのはての一服芭蕉の忌 /勝美

重ね着の芯に着痩せの肉潜む /勝美

焼藷の香り車内に充満す /勝美
2007/10/29
陰日向なく身辺に秋扇 /勝美

日の当る事もあらめや濡れ落葉 /勝美

冬涛に切り込む舳先影なして /勝美

仏門に帰依一筋や虫しぐれ /勝美

水澄みて身も露(あらは)なる魚どち /勝美

亀虫や逃げの一発かますのみ /勝美
2007/10/13
ひと部屋に合はす身丈や冬支度 /勝美

シェルターは一家にひとつ冬隣 /勝美

犬の目に映るたそがれ秋深む /勝美

夢の中までもつづけり彼岸花 /勝美
2007/09/28
霜降や子に餌を運ぶ親鴉 /勝美

子供等に影の這ひ寄り冬隣 /勝美

蛇笏忌の光あまねく注ぐ空 /勝美

秋思濃し自首の思案の尽きかねて /勝美

靴擦れの足を引きずり金糸草 /勝美

惜しみなく生きて着てこそ秋袷 /勝美
2007/09/18
ひねもす俳句の勝美さんが、NHK学園生涯学習フェステイバル別府俳句大会で、特選とNHK大分放送局長賞を受賞されました!
勝美さんから届いたメッセージがこちら↓
NHK学園生涯学習フェステイバル別府俳句大会で、
香水の空き瓶恋の数ほどに /勝美
が、「湾」主宰大岳水一路先生の特選とNHK大分放送局長賞を
頂きました。別府俳句大会壇上で、それぞれ賞状と賞品を授与
されました。今回は、デジカメ持参しなかったのが悔やまれる。
もっとも、携帯で写メール出来たのに。
「蕗」主宰 倉田紘文先生に次の二句を佳作に選んで頂きました。
はまなすに一握の砂こぼしけり /勝美
ひかげればひかげの色に雨蛙 /勝美
2007/09/10
一部屋に雑魚寝の憂き目秋遍路 /勝美

変貌の極の唐黍ポプコーン /勝美

オクラ玉込めてクレーの射撃かな /勝美

新月や細る暮らしの詮もなし /勝美

蜩やビクターの犬ならずとも /勝美
2007/08/28
流れゆく蟷螂机龍之助 /勝美

ネグリジエの魚眠れず月上る /勝美

水中に暮らす他なき極暑かな /勝美

秋思ふと魚であること忘じけり /勝美

背負ふ子の爆睡花火始まるに /勝美

秋夕焼何処までつづく温暖化 /勝美
2007/08/07
海の日に訪ふや開港記念館 /勝美

階段は糸瓜の仲間蔓伸ばす /勝美

名月を取り込む位置に窓開く /勝美

西日射すエントランスに靴ひびく /勝美
2007/08/01
わたくしの時間と場所へ浴衣掛 /勝美

末社にもあまねく西日射しにけり /勝美

出番待つ祭提燈うらがなし /勝美

宵闇に集ふ笛かた太鼓かた /勝美
2007/07/20
町衆の寄り合ふやしろ秋薊 /勝美

花ダチュラ夜の静寂のニニロッソ /勝美

ペガサスや遥けき此処はコンロンカ /勝美

冬瓜や蔓を身重の支へとす /勝美
2007/07/05
幼な手の汚れな染めそ原爆忌 /勝美

次の鉾待つ間も濡れて佇める /勝美

プラム盛る器の白し巴里祭 /勝美

青梅雨の街角愉し花溢れ /勝美

向日葵の後ろめたさのなき自信 /勝美
2007/06/25
朝焼の薄れてゆけば只の町 /勝美

年金の話も湿る戻り梅雨 /勝美

間取図を描く風鈴のすでに鳴り /勝美

緑蔭に哲学中の石である /勝美

唐黍や姉様人形遊びせし /勝美

暗がりに飛ぶ枝豆を目の端に /勝美
2007/06/14
くちなしの香に居住まひを正しけり /勝美

梅雨空の断片ここに潦(にはたづみ) /勝美

駐車場をあぶれて枇杷の熟るる下 /勝美

ピーマンのがらんどうめく夏座敷 /勝美

滝しぶき赤かぶ洗ふ百姓女 /勝美
2007/05/28
どくだみの防臭効果期待薄 /勝美

子に作らんしろつめ草の冠を /勝美

紫陽花は定めの色を待つばかり /勝美

干し物を潜り集金人薄暑 /勝美

下町の梅雨待つ屋根の波しづか /勝美
2007/05/04
ひねもす俳句の作者、勝美さんは、ひねもす以外にも、あちこちの句会に参加したり投稿したりと、日々俳句づくりに勤しんでいるわけですが、この春に3つ、投稿した俳句が選ばれたそうです。
まずは、三重県の「山の一句」にて佳作。
峰遠し夜露のつたふ遭難碑 /勝美
お次は、地球ボランテイア協会の「あなたの一句が地球を救う」にて佳作。
巻尺を延ばし極暑の地を測る /勝美
次回は「秀逸」を狙う、と作者の弁。
そして、第三回蕪村結城賞全国大会にて、つむぎ賞(選者特選句)を受賞。
塔あらば塔の高みにつばくらめ /勝美
毎日やってるだけのことはあって、他のことはさておき「俳句はすぐできる」らしいです。
入選とか佳作とか評価とか、選ぶ側の観点や基準によって変化するものなので、私はそんなに重要じゃないとは思います。だけど俳句に限らず、選ばれるものには、素通りできない何かがあると考えていいのだとも思います。
とにもかくにも、うれしい春ですね。
2007/05/04
緑陰に憩ふごときの鯉の群 /勝美

空青し青葉若葉の葉の狭間 /勝美

鼻腔襲へりジャスミンの香の波動 /勝美

木洩れ日の迷彩色に兵の蟻 /勝美
2007/04/23
天球に星あるごとく水に蝌蚪 /勝美

風炎や殺生石と化す狐 /勝美

ターバンに焚きこむ香や鬱金香 /勝美

腹割って話せば解るチューリップ /勝美

うつろはぬものとてなけれ白躑躅 /勝美
2007/04/06
春塵に押されて土手のベビーカー /勝美

みどりごの周りに座り桜土手 /勝美

菜園の畝浮きたたす花の屑 /勝美

丈伸びし菜の花迷路めく畑 /勝美

一雨に川濁れども残る鴨 /勝美

川風の触れてゆきたる柳かな /勝美

食べ終へし葉をてのひらに柏餅 /勝美
2007/03/23
混沌は宇宙にも似て桜草 /勝美

四月馬鹿化けもせでゐる陶狸 /勝美

柳見て和まぬものはなかるべし /勝美

春の土手丸太の如く臥すもよし /勝美

少女らのワルツは永久(とは)にうららけし /勝美
2007/03/05
見もされぬことにも馴れて花ミモザ /勝美

浮き浮きか将(はた)憂き憂きか蛙出づ /勝美

梅凛々幼き武者の勢揃ひ /勝美

挨拶はものの順序よ恋の猫 /勝美
2007/02/16
梅の木の影に我が影重ね踏む /勝美

春昼の鼠は猫を恐れざり /勝美

紅梅の浄土へ上る縄梯子 /勝美

乙女の間短き乙女椿かな /勝美
2007/01/20
空を切る音剪定の上り詰め /勝美

福は内なりパンジーを飾る門 /勝美

春寒し荷台大きく口を開く /勝美
2007/01/14
何気なく大仏在(おは)す初写真 /勝美

餅つきの夢や隠居の臼に杵 /勝美

参道に並ぶ露店や初詣 /勝美
2006/12/21
草枯れて芯の強さを残したる /勝美
数へ日や漢方薬の早き減り /勝美
尻向けて白菜はしたなかりけり /勝美
白菜のすでに萎びてをりしかな /勝美
聖樹ただ単に広告塔の役 /勝美
外しけりショールに絡む鬘の毛 /勝美
2006/12/04
枯葉のベンチ相寄らぬ影ふたつ /勝美
寒禽とネット越しなるご対面 /勝美
大勢の子供の去りし枯葉かな /勝美
独居房めくアパートも冬日濃し /勝美
2006/11/17
第二十一回国民文化祭2006やまぐち文芸祭俳句大会において
この、ひねもす俳句の作者の次の作品が社団法人俳人協会賞を受賞しました。
灯を入るる頃となりけり夏座敷 /勝美
作者は山口まで招待を受け、表彰式に臨みました。

ついでに、瑠璃光寺、雪舟庭、サビエル記念聖堂などを見学した折のひねもす。
瑠璃光寺池に冬めく塔の影 /勝美
石庭の黙(もだ)の深しよ石蕗の花 /勝美
絵硝子の冬日微塵や祈る背に /勝美
2006/10/16
栗むいて指の汚れを訝しむ /勝美
ハロゥインかぼちゃの果たすべき役目 /勝美
出来たての雲の切れ端秋の空 /勝美
秋の夜やロマンス色のネオン点き /勝美
2006/09/14
草むらに姿を見せし昼の虫 /勝美
練習の成果まちまち阿波踊り /勝美
綿菓子のやうな雲浮く秋祭り /勝美
長き夜の嬰の足裏見て飽きず /勝美
2006/08/03
旅立ちの刻迫りけり揚羽蝶 /勝美
ひまわりのタイトルバック懐かしく /勝美
セッションのジャズに手拍子晩夏光 /勝美
手折るには忍びぬ百合の気品かな /勝美
すぐり熟る開拓農の丸木小屋 /勝美
2006/07/14
出生率低下傾向トマト熟る /勝美
夏さなか水大福の笹の青 /勝美
ソフトクリームの先端へと舌の先 /勝美
合戦小屋の楽しみは西瓜なり /勝美
うなぎ飯胎児ごとりと動きたり /勝美
2006/06/27
どくだみの増殖鬱の始めとす /勝美
みつばちの戸別訪問梅雨晴間 /勝美
猛犬の尻は隠れずはたた神 /勝美
なめくじり読めぬ仮名釘流の跡 /勝美
やがて着る天道虫の星の服 /勝美
2006/06/16
化物のごとく草伸び梅雨晴間 /勝美
父の日の遊び相手を勤めけり /勝美
息吹き込んで紫陽花を膨らます /勝美
牧神の座の切株を守る蜥蜴 /勝美
ゆゑありて外に繋がれ蚤取粉 /勝美
2006/06/02
父の日も凡そをベンチにて過ごす /勝美
半夏生街収縮を繰り返す /勝美
蔦茂るひとは道路を歩くべし /勝美
祇園会の馳走に焼くやまながつお /勝美
2006/05/18
有るだけの傘の出番や走り梅雨 /勝美
梅雨寒をかこつ出前の食器かな /勝美
匍へばとてとぐろは巻かず蛇苺 /勝美
睡蓮と雨の波紋のせめぎあひ /勝美
2006/05/08
差し伸べし手に容赦なき薔薇の棘 /勝美
風薫るチームは作戦会議中 /勝美
葱坊主お前はおまへ俺はおれ /勝美
母の日の介護する母される母 /勝美
商戦の最前線の鯉のぼり /勝美
2006/04/30
屋内で意気の揚がらぬ鯉のぼり /勝美
春惜しみあふかに車座の遊具 /勝美
見詰められ出るに出られぬ蟇 /勝美
傘差してお目見得歌舞伎めく牡丹 /勝美
2006/04/15
パリジェンヌ来ず花冷えのカフェテラス /勝美
春深む日差しのなかの家族愛 /勝美
風薫るハンバーガーの香を乗せて /勝美
キャンデイの包み紙ですチューリップ /勝美
花降らせ自らの座を荘厳す /勝美
2006/04/05

花はこぶ川面さわがし里の昼 /農宗
川べりのベンチで喰いたし桜餅 /淳子

花の下ベンチに憩ふ老夫婦 /妙子
留守番を犬にまかせて花見茣蓙 /勝美

桜しべ小鴨に触れて流れゆく /妙子
菜の花の香や携帯のメール打ち /勝美

三月菜なほ咲きほこる土手日向 /農宗
せわしなく蜂の飛び交う畑は黄 /淳子
赤帽の園児ぞろぞろ犬ふぐり /勝美

さくら咲く飛行機雲の一文字 /勝美
定食を待つ間もどかし花疲れ /勝美
2006/03/28
白木蓮の高きは雲に届きたり /勝美
句碑の字をなぞる指先花の冷え /勝美
青柳の水には遠き枝の丈 /勝美
風つかむには幼くて柳の芽 /勝美
装ひを剥けば均一新社員 /勝美
2006/03/16
鉄柵をしめ菜の花の収容所 /勝美
何時か子も跼み看るべし雪割草 /勝美
巣離れの鮒に誘ひの鉤下ろす /勝美
紅梅の彩に余情の有り余る /勝美
揺り起こす風に目覚めて猫柳 /勝美
2006/03/02
街路樹の目覚め未だし春遅々と /勝美
ほほづゑに待つ身をあづけ春の宵 /勝美
三月のよろこびに充ち京弁当 /勝美
啓蟄の人人人や音立てて /勝美
春のよろこび運び来しカランコエ /勝美
2006/02/21
畑焼いて夕べの祈り捧げけり /勝美
木の芽晴こんがりとパン焼き上がり /勝美
ベンチとは春愁の身の置き処 /勝美
兜太ゐず青鮫もゐぬ梅である /勝美
2006/02/07
鳥帰るべしと文鳥独りごつ /勝美
一杯のショコラ召しませ春の風邪 /勝美
春なれば鉢植え色を溢れしむ /勝美
春寒し改装遅々の貸店舗 /勝美
文鳥の嬉々と遊ぶや水温む /勝美
2006/01/28
さかなやの切身ひとしく春の色 /勝美
受験子の眼に春雪の窓明かり /勝美
雪掻いていつしか軽くなる心 /勝美
2006/01/04
去年今年犬小屋ほどの家住まひ /勝美
掛け大根憂き世の風に乾びゆく /勝美
買初の袋に詰まるほどの福 /勝美
2005/12/30
一切をかなぐり捨てて今冬木 /勝美
恋猫の影黒猫として添へり /勝美
門松や耐震偽装マンションに /勝美
2005/12/07
聖夜の御馳走ささやかに中華めし /勝美
電飾に心算砕くクリスマス /勝美
また明日も見たし寒夕焼けの富士 /勝美
冬の虫とて椿象(かめむし)に御座候 /勝美
2005/11/24
野火止のそぞろ歩きや冬日濃し /勝美
冬の朝血潮漲る掌をかざし /勝美
被写体に移ろふ影や日短か /勝美
石塔の欠けるにまかせ寅彦忌 /勝美
珊瑚樹の実や御利益の降るごとく /勝美
紅葉散る一期一会を旨として /勝美
鐘の音に紅葉散りゆくばかりなり /勝美
2005/11/13
はや冬は塀のそばまで来てをるぞ /勝美
冬ざるる町や無人の販売所 /勝美
道具立てよし語らひの場の落葉 /勝美
いのちまだ漲る冬の飛蝗かな /勝美
高速路は名残の空へつづきけり /勝美
神の旅カーナビといふ優れもの /勝美
2005/10/26
冬眠の迫るかはづの思ふこと /勝美
落書きに意味あるごとし冬ざるる /勝美
2005/10/14
木犀の金の降る径至福の歩 /勝美
花水木の実の色付きし被災の地 /勝美
2005/10/13
山猿の謀議しきりや蜜柑山 /勝美
団欒の灯に甘露煮の栗の艶 /勝美
2005/10/05
秋霖や尾燈の光る帯しきり /勝美
肌寒し通過電車の起こす風 /勝美
哀しみの身に霧雨の傘重し /勝美
2005/09/25
青ふくべ物いはざれば腹ふくれ /勝美
粧ひの整はぬまま初紅葉 /勝美
美しきものは美を呼ぶ秋あざみ /勝美
竹の春風百幹を離れざり /勝美
2005/09/18
遠目にも松虫草と判る色 /勝美
ポトフ鍋主役を秋の野菜とす /勝美
ほとばしる水の白さよ秋の滝 /勝美
2005/09/11
鳥渡る風車見る見る遠ざかり /勝美
街の声常に戻るや台風過 /勝美
売出しの更地に残る虫の声 /勝美
2005/08/23
皺深き貌となるまで梅を干す /勝美
塵払ふ敬老の日の古道具 /勝美
2005/08/17
がちゃがちゃの一つ一つにある個性 /勝美
註: がちゃがちゃ=くつわ虫
テロ続く地や銀漢の尾の彼方 /勝美
2005/08/06
木洩れ日の斑が飾る蟻の道 /勝美
天牛(かみきり)のしとねにしだらなき姿 /勝美
山上にゐて涼風に身を任す /勝美
2005/07/27
野あざみの茂みにも穴着弾地 /勝美
傷口に樹脂吹き出せり酷暑の木 /勝美
2005/07/12
凌霄花(のうぜんか)しきりに焔したたらす /勝美
風鈴屋風に客寄せ任せけり /勝美
梅雨さなか老眼とみに進みけり /勝美
2005/07/02
古代蓮濁世(じよくせ)の花として開く /勝美
三伏や地蔵の供花のすぐ萎れ /勝美
しもつけや幼きころの鹿の子帯 /勝美
2005/06/23
スモーク・ツリーと知らで学生憩ひけり /勝美
缶詰で済ます一食キャンプ村 /勝美
人生の裏側寂し夏廃墟 /勝美
2005/06/12
風死せりメインロードに街の音 /勝美
今日明日の食料山と買ひ薄暑 /勝美
ガレットを食ひつつ思ふ冷奴 /勝美
2005/06/11
雷の気を集め尖塔そそり立つ /勝美
切り通しめきし路地裏昼寝どき /勝美
白南風(しろはえ)に白さ益しけりカテドラル /勝美
2005/06/10
山開きたる雲中をひたに飛ぶ /勝美
涼しさや水に流せしよしなごと /勝美
窓開けて種を飛ばせりさくらんぼ /勝美
巴里祭の市場青果を山と積み /勝美
夏野より流るる水の果て大河 /勝美
2005/05/24
夕餉には未だ日の高し焼きなすび /勝美
舌火傷しさうに辛し汗にじむ /勝美
巣に帰ることも忘れて夏燕 /勝美
燕の子並ぶは歳の順なるや /勝美
2005/05/21
はなびらをベッドに散らし薔薇の夢 /勝美
測量の器材どさりとヒメジョオン /勝美
緑蔭に座すや睡魔に襲はるる/勝美
住み古りし地は片蔭もなく更地 /勝美
2005/05/03
ビルの影崩すさざ波植田水 /勝美
若葉影映してゆらぐ池の面 /勝美
影を生む光射し込む聖五月 /勝美
防犯の鍵に安堵や五月闇 /勝美
2005/04/22
八つ橋の板のじぐざぐ夏はじめ /勝美
招き猫ひとつ売れけり初夏の寺 /勝美
麦秋やフランスパンの焼き上がり /勝美
春疾風枝を離るるもの哀れ /勝美
2005/04/09
夜桜のための雪洞はや灯る /勝美
敬虔に祈る姿や花貝母(ばいも) /勝美
みづからを繋ぎ止めゐし錨草 /勝美
アネモネや風の便りの故郷のこと /勝美
潮騒やひなげし揺るるばかりなり /勝美
2005/03/31
青空に白を象嵌花辛夷 /勝美
みちなきをゆき踏青の果ては海 /勝美
花ぐもり行き交ふひとのなきデッキ /勝美
花冷えの宵を粧(よそほ)ふ観覧車 /勝美
2005/03/28
山茱萸の花の星雲黄に烟る /勝美
彼岸会(ひがんえ)の風まだ硬き雑木山 /勝美
みづからの声に驚愕して蛙(かはづ)/勝美
2005/03/18
つながれて犬春愁を逃れ得ず /勝美
かざぐるま一つ止まればみな止まる /勝美
出動の時間の待てず恋の猫 /勝美
2005/03/08
梅の下世間話に花咲かす /勝美
青丹よき古都の大路や花馬酔木 /勝美
花冷えや入り日を透かす欅の木 /勝美
春愁や山といふには低すぎて /勝美
2005/02/23
梅の香のひそと漂ふ裏通り /勝美
鳥雲に惰性でテレビドラマ見る /勝美
2005/02/11
ひと雨に梅開かんとする予感 /勝美
住むひとの絶えたる家や沈丁花 /勝美
揚げ渋る凧に因果を含めけり /勝美
2005/01/21
風雲の兆しも見えず竜の玉 /勝美
水仙や屈(かが)む高さの香に浸り /勝美
さへづりの仲間待つ間の一呼吸 /勝美
2005/01/13
雪消えし地になすことのなき土鳩 /勝美
午後の日をかへすさざ波寒の入 /勝美
2004/12/31
臘梅や俄に白きものの舞ふ /勝美
雪掻きは他人まかせや街眠る /勝美
2004/12/14
はや灯す家そちこちや枯れいばら /勝美
数へ日の街角に立つ石地蔵 /勝美
冬ざるる時代遅れの古遊具 /勝美
2004/11/23
ならまちの無住寺ひそと実南天 /勝美
商ひの地酒ずらりと花やつで /勝美
有り余る日をふんだんに干蒲団 /勝美
2004/11/13
坪庭の紅葉明かりや虫籠窓 /勝美
水澄める古都に異彩の水路閣 /勝美
高瀬川一之船入落葉舟 /勝美
山茶花の白のはらりと芭蕉庵 /勝美
小春日和蕪村の墓へ参らんか /勝美
厄除けの猿を軒端に年の暮 /勝美
2004/10/26
零余子(むかご)蔓引けば雨粒降り掛かり /勝美
昼酒は蕎麦屋に限る酔芙蓉 /勝美
2004/10/19
落ちてなほ哄笑止まぬ石榴の実 /勝美
草むらにかしぐ板碑や秋茜 /勝美
2004/10/14
しろがねの無垢のひかりのすすき原 /勝美
善人で通す毎日秋の雲 /勝美
2004/10/09
秋時雨今日も駅まで同じ道 /勝美
秋霖や空きの埋まらぬ駐車場 /勝美
2004/09/29
満ち足りて猫眠りをり鰯雲 /勝美
犯罪の多き無月の街なるよ /勝美
2004/09/19
曼珠沙華沈む夕日に立ち尽くす /勝美
鶏頭花本家分家は庭つづき /勝美
2004/09/12
焼栗やつぶさに巴里の街の地図 /勝美
竜胆や浅間に煙り低く垂れ /勝美
2004/09/07

命綱たりし甘藷や母は亡き /勝美
パン焼いてひとり夜長を紛らはす /勝美
2004/09/01

敬老日ひとりで祝ふ酒苦し /勝美
話まだ尽きず夜長の街にまで /勝美
2004/08/24

千載の一遇得たり梅鉢草 /勝美
限り無く雲湧く高きに登りけり /勝美
2004/08/22

低山の低きにありて秋の蝉 /勝美
木道に人影見えず山残暑 /勝美
2004/08/16

蓑虫や貼紙に記す移転先 /勝美
ひぐらしや改修遅々の被災跡 /勝美
2004/08/10
開幕の刻待ちゐたる残暑かな /勝美
奇を衒うことなき線香花火好き /勝美
2004/08/06
予定調和や朝顔の紺開く /勝美
柳散る川面やバルビゾンの空 /勝美
2004/08/02
ポンペイの遺骸にも似て蝉の殻 /勝美
星砂を波の洗ひし今朝の秋 /勝美
2004/07/24
旅人の列車待つ間や合歓の昼 /勝美
回廊の大暑や柱ゆるぎなき /勝美
2004/07/18
窓外ははや梅雨雲のなき異国 /勝美
ゴンドリエ棹さすあたり天の川 /勝美
2004/07/15
葉に載せて無花果三つ賜はりぬ /勝美
雲の峰貧しき町はしづかなり /勝美
2004/07/10
金魚一匹過保護して太らしむ /勝美
町内の猫の寄り合ふ夕薄暑 /勝美
2004/07/06
投票に行かうと誓ふ星まつり /勝美
値札付け替へても西瓜売り残す /勝美
2004/07/03
夕焼やあと一本の釘を打ち /勝美
夕焼の底より夜の街開く /勝美
2004/06/28
風神像の遠まなざしの先は虹 /勝美
玄関に読めぬ表札黴の家 /勝美
2004/06/27
逆しまに揺らぐ梅雨入りの木々の影 /勝美
緑蔭のやしろへ朱き橋渡る /勝美
2004/06/27
「ひねもす俳句」カテゴリを作ってみます。
コビンちゃんに俳句でコメントをつけるという、シチめんどくさい表現をしているので、俳句のカテゴリ作ったら載せる?と打診をしたところやってみてもいいという返事が。
申しおくれましたが、俳句投稿者は勝美さん(粟村父)です。
東京大仏TVチームが写真を撮り、それに合わせた句を付けてもらいます。
私にはどーもインチキくさい句に思えますが、けっこういいなぁと思える句もまた、勝美さん作ります。
俳句そのものへの感想はもちろん、何でも構いませんので気になったらコメントつけていただけると、本人ますますいい気になります。
短いセンテンスで空気感を伝える俳句はblogに最適!という後付けの理由も農宗が捻りだしました。
てなわけで、早速今日からレッツラゴー。