ひねもす俳句:虫虫虫

2024/07/27

夏暑きゆゑ大仏の螺髪落つ
夏暑きゆゑ大仏の螺髪落つ /勝美
サファイアの宝飾展示黄金虫 /勝美
サファイアの宝飾展示黄金虫
オオセンチ黄金臭い仲間の集ひけり
オオセンチ黄金臭い仲間の集ひけり /勝美
黒滲みまだ濡れゐたる羽化の蝶 /勝美
黒滲みまだ濡れゐたる羽化の蝶
変身を前の青虫食べ盛り
変身を前の青虫食べ盛り /勝美

ひねもす俳句:逞しき生きざま

2024/07/17

日盛りに並ぶ食欲満たすため
日盛りに並ぶ食欲満たすため /勝美
梅雨明けて歓び弾けゐる如し /勝美
梅雨明けて歓び弾けゐる如し
テーブルに視線集まり夏座敷
テーブルに視線集まり夏座敷 /勝美
きちかうの群れて雨待つひと日かな /勝美
きちかうの群れて雨待つひと日かな
熱風に赤銅色の漁師たち
熱風に赤銅色の漁師たち /勝美

ひねもす俳句:優曇華のころ

2024/06/30

雨粒の嬉嬉と滑るや梅雨最中
雨粒の嬉嬉と滑るや梅雨最中 /勝美
天国への階段梅雨の朝の弥撒 /勝美
天国への階段梅雨の朝の弥撒
一念を徹す気概ぞ涼しけれ
一念を徹す気概ぞ涼しけれ /勝美
優曇華や尻落ち着かぬ金の椅子 /勝美
優曇華や尻落ち着かぬ金の椅子
端居して旅のあれこれ追憶す
端居して旅のあれこれ追憶す /勝美

ひねもす俳句:梅雨に入る

2024/06/19

梅雨晴れ間誘ひ合はせてフラダンス
梅雨晴れ間誘ひ合はせてフラダンス /勝美
夕焼の街に切り絵のやうな鳩 /勝美
夕焼の街に切り絵のやうな鳩
横丁の飲み屋をはしご走り梅雨
横丁の飲み屋をはしご走り梅雨 /勝美
激雷や近づく勿れ大樹下 /勝美
激雷や近づく勿れ大樹下
手花火や散る瞬間に在る豪華
手花火や散る瞬間に在る豪華 /勝美

ひねもす俳句:気分一新

2024/05/25

捥ぎたての茄子や紫紺を深くして
捥ぎたての茄子や紫紺を深くして /勝美
花しとね眠るが如く蜂死せり /勝美
花しとね眠るが如く蜂死せり
落雷の火の粉の飛んでブラシの木
落雷の火の粉の飛んでブラシの木 /勝美
水盤に花花浮かべ春惜しむ /勝美
水盤に花花浮かべ春惜しむ
衣替へ制服楚楚と女学生
衣替へ制服楚楚と女学生 /勝美

ひねもす俳句:北海道晩春その2

2024/05/01

青嵐追はるるやうに栗鼠走る
青嵐追はるるやうに栗鼠走る /勝美
見参や青銅製のやうな蟻 /勝美
見参や青銅製のやうな蟻
人知らね白根葵のひとり咲く
人知らね白根葵のひとり咲く /勝美
バリケード作りし昔五月祭 /勝美
バリケード作りし昔五月祭
惜春の遠眼差しや故国(くに)のこと
惜春の遠眼差しや故国(くに)のこと /勝美

ひねもす俳句:北海道晩春

2024/04/30

水芭蕉己が姿を水鏡
水芭蕉己が姿を水鏡 /勝美
鳥の巣のやうに寄生木在りにけり /勝美
鳥の巣のやうに寄生木在りにけり
リラ冷えの空は重たく伸し掛かり

リラ冷えの空は重たく伸し掛かり /勝美

受け入れの余地はたつぷりこどもの日 /勝美

受け入れの余地はたつぷりこどもの日
暮なづむ市街に春を惜しみけり

暮なづむ市街に春を惜しみけり /勝美

ひねもす俳句:五月くる

2024/04/11

此処は何処寝ぼけ眼の朝寝覚め
此処は何処寝ぼけ眼の朝寝覚め /勝美
入学や歩一歩一歩の子の前進 /勝美
入学や歩一歩一歩の子の前進
メーデーや一致団結せし昔
メーデーや一致団結せし昔 /勝美
整列の苦手な子ども一年生 /勝美
整列の苦手な子ども一年生
五月くるお洒落真珠の縁飾り
五月くるお洒落真珠の縁飾り /勝美

ひねもす俳句:伊豆の旅その1

2024/03/20

春の伊豆南国風のヴィラ泊り
春の伊豆南国風のヴィラ泊り /勝美
春遅遅と仕上げ待たるるとんぼ玉 /勝美
春遅遅と仕上げ待たるるとんぼ玉
大室山を盾と成したるさくらかな
大室山を盾と成したるさくらかな /勝美
岩壁を打ちて春濤砕けけり /勝美
岩壁を打ちて春濤砕けけり
春愁や要塞人を寄せ付けず
春愁や要塞人を寄せ付けず /勝美

ひねもす俳句:生命の鼓動

2024/02/27

春愁の瓶詰め各種見本品
春愁の瓶詰め各種見本品 /勝美
彼岸へと歩む蹌踉ならずして /勝美
彼岸へと歩む蹌踉ならずして
ひつそりと生活(たつき)の気配日は永し
ひつそりと生活 ( たつき ) の気配日は永し /勝美
山茱萸の花のアーチを潜りませ /勝美
山茱萸の花のアーチを潜りませ
席に着きワイン待ちをり花の宴
席に着きワイン待ちをり花の宴 /勝美

ひねもす俳句:二月さらば

2024/02/16

凛凛と溢るる希望未開紅
凛凛と溢るる希望未開紅 /勝美
モノクルに映ゆる景色は春景色 /勝美
モノクルに映ゆる景色は春景色
大口を開き春風招じけり
大口を開き春風招じけり /勝美
街のどか津波寄すればひと呑みか /勝美
街のどか津波寄すればひと呑みか
サイクリングの土手や薫風欲しいまま
サイクリングの土手や薫風欲しいまま /勝美

ひねもす俳句:春の胎動

2024/01/30

鳥帰る心残せし馴染みの地
鳥帰る心残せし馴染みの地 /勝美
春の海より浮かれ出でたりオクトパス /勝美
春の海より浮かれ出でたりオクトパス
春一番待たずも動き出す彫刻
春一番待たずも動き出す彫刻 /勝美
春北斗いのちあるもの目覚め初む /勝美
春北斗いのちあるもの目覚め初む
佐保姫の好みの紅の艶やかさ
佐保姫の好みの紅の艶やかさ /勝美

ひねもす俳句:令和六年始動

2024/01/12

昼火事や目白御殿の焼失す
昼火事や目白御殿の焼失す /勝美
水仙の色慎ましく簡素の美 /勝美
水仙の色慎ましく簡素の美
ジャムに良し赤く丸き実山法師
ジャムに良し赤く丸き実山法師 /勝美
桃源郷へ山茶花の道しるべ /勝美
桃源郷へ山茶花の道しるべ
忽然と天女や冬の草蜉蝣
忽然と天女や冬の草蜉蝣 /勝美

ひねもす俳句:令和五年終る

2023/12/23

冬来たる椋鳥(むく)の如くに深眠り
冬来たる椋鳥(むく)の如くに深眠り /勝美
寒風裡老鴉柿めく顔真つ赤 /勝美
寒風裡老鴉柿めく顔真つ赤
つがひかも寒鴉離れず墨絵めく
つがひかも寒鴉離れず墨絵めく /勝美
冬ミサの燭台の火は平和の火 /勝美
冬ミサの燭台の火は平和の火
歳晩や赤塚名物店さらば
歳晩や赤塚名物店さらば /勝美

ひねもす俳句:街師走

2023/12/05

ありたけのランプ点して年惜しむ
ありたけのランプ点して年惜しむ /勝美
日は注ぐ冬着ふたりのランウエイ /勝美
日は注ぐ冬着ふたりのランウエイ
晴着子の色さまざまや七五三
晴着子の色さまざまや七五三 /勝美
歳晩や出入り自由の門潜る /勝美
歳晩や出入り自由の門潜る
冬籠り偶に厚き扉開けもして
冬籠り偶に厚き扉開けもして /勝美

ひねもす俳句:年の瀬近し

2023/11/28

枯葉蛾へ擬態完了枯れ落葉
枯葉蛾へ擬態完了枯れ落葉 /勝美
口開くや虫歯に滲むる空つ風 /勝美
口開くや虫歯に滲むる空つ風
巣篭もりのやうやヒュッテの冬支度
巣篭もりのやうやヒュッテの冬支度 /勝美
水澄みて街水中に在る如し /勝美
水澄みて街水中に在る如し
新調や親子狐の冬衣裳
新調や親子狐の冬衣裳 /勝美

ひねもす俳句:知らぬ間に

2023/11/12

ぼろ市や買ひ手のつかぬゴブラン布
ぼろ市や買ひ手のつかぬゴブラン布 /勝美
天空や定位置探す冬星座 /勝美
天空や定位置探す冬星座
霜降るを潜望鏡の窺へり
霜降るを潜望鏡の窺へり /勝美
寒暖異常に閉口したり冬はじめ /勝美
寒暖異常に閉口したり冬はじめ
下戸はすぐ足をとらるる秋あかね
下戸はすぐ足をとらるる秋あかね /勝美

ひねもす俳句:急ぐべし

2023/10/31

秋思募らばムンクの空へ叫ぶべし
秋思募らばムンクの空へ叫ぶべし /勝美
蟷螂の一途に枯れを急(せ)く運命(さだめ)/勝美
蟷螂の一途に枯れを急(せ)く運命(さだめ)
貴賓室の壁は唐草唐花草
貴賓室の壁は唐草唐花草 /勝美
飯桐の実は瓔珞か秋日燦 /勝美
飯桐の実は瓔珞か秋日燦
黄葉は注意信号車止め
黄葉は注意信号車止め /勝美

ひねもす俳句:日短のあれこれ

2023/10/12

落書きと見へて作品秋の風
落書きと見えて作品秋の風 /勝美
爽やかや異国情緒の散歩道 /勝美
爽やかや異国情緒の散歩道
ハロウイン飾り怪しくあどけなく
ハロウイン飾り怪しくあどけなく /勝美
日短の天蛾(スズメガ)花を愛づるかに /勝美
日短の天蛾(スズメガ)花を愛づるかに
紫陽花の枯れて孤高の美を保つ
紫陽花の枯れて孤高の美を保つ /勝美

ひねもす俳句:秋あれこれ

2023/09/19

空焼けて異常気象のつづく秋
空焼けて異常気象のつづく秋 /勝美
鳥渡る空防空の監視塔 /勝美
鳥渡る空防空の監視塔
故なくて磔刑に遭ふ秋の虫
故なくて磔刑に遭ふ秋の虫 /勝美
秋の沼灯り点りて舞台めく /勝美
秋の沼灯り点りて舞台めく
緊急放送朝顔の拡声器
緊急放送朝顔の拡声器 /勝美

ひねもす俳句:秋のさなか

2023/09/05

探査機の着地は何処残る月
探査機の着地は何処残る月 /勝美
地の神の捧げ物めくなつめの実 /勝美
地の神の捧げ物めくなつめの実
山牛蒡掘るぞ牛蒡を掘るやうに
山牛蒡掘るぞ牛蒡を掘るやうに /勝美
撤退の後の地雷の如く毬(いが) /勝美
撤退の後の地雷の如く毬(いが)
踏跡をひと筋残しゆく花野
踏跡をひと筋残しゆく花野 /勝美

ひねもす俳句:用意万端

2023/08/20

露しとど一夜の夢の醒めずゐて
露しとど一夜の夢の醒めずゐて /勝美
手作りのクレー散弾秋日和 /勝美
手作りのクレー弾丸秋日和
シェルターの暮らしよさらば終戦日
シェルターの暮らしよさらば終戦日 /勝美
宵闇の蛇食鷲や何食らふ /勝美
宵闇の蛇食鷲や何食らふ
盆用意故人を偲ぶ銀燭器
盆用意故人を偲ぶ銀燭器 /勝美

ひねもす俳句:夏の夢うつつ

2023/08/06

一生の極楽極め昼寝覚め

一生の極楽極め昼寝覚め /勝美

昆布干すマチスの切り絵めく昆布 /勝美

昆布干すマチスの切り絵めく昆布
イソップの水瓶探す鴉の子

イソップの水瓶探す鴉の子 /勝美

茶房再開再会の冷コーよ /勝美
茶房再開再会の冷コーよ
流れ星墜つ抜け殻の宇宙船

流れ星墜つ抜け殻の宇宙船 /勝美

ひねもす俳句:夏盛り

2023/07/18

夏服の腕颯爽と開きけり
夏服の腕颯爽と開きけり /勝美
シトロンのオーデコロンを風呂上り /勝美
シトロンのオーデコロンを風呂上り
行水の水をせがんでゐる鴉
行水の水をせがんでゐる鴉 /勝美
香水の夜間飛行をまとふ夜 /勝美
香水の夜間飛行をまとふ夜
デザートはシュー・ア・ラ・クレーム銀座夏
デザートはシュー・ア・ラ・クレーム銀座夏 /勝美

ひねもす俳句:まどろめば

2023/07/02

大国主の話を聞かせ裸の子
大国主の話を聞かせ裸の子 /勝美
衛兵の猫の威嚇や夏の午後 /勝美
衛兵の猫の威嚇や夏の午後
晩夏濃しハワイの色を帯ぶる花
晩夏濃しハワイの色を帯ぶる花 /勝美
梔子を求めオオスカシバの恋 /勝美
梔子を求めオオスカシバの恋
買物に行くも帰るも踏む茅の輪
買物に行くも帰るも踏む茅の輪 /勝美

ひねもす俳句:梅雨入りの町

2023/06/19

階段を一足跳びに汗拭ふ
階段を一足跳びに汗拭ふ /勝美
休憩の祭ばやしの練習所 /勝美
休憩の祭ばやしの練習所
清純は白に行き着く夏椿
清純は白に行き着く夏椿 /勝美
一仕事終へて庫入り半夏生 /勝美
一仕事終へて庫入り半夏生
廃屋となりしよ四万六千日
廃屋となりしよ四万六千日 /勝美

ひねもす俳句:昼下がりの惰眠

2023/05/30

燕の子我も我もと口開く

燕の子我も我もと口開く /勝美

三尺寝疲れは睡眠促進剤 /勝美

三尺寝疲れは睡眠促進剤
梅雨空の重きを支へ確と枝

梅雨空の重きを支へ確と枝 /勝美

鬱屈は顔に出でけり梅雨の寒 /勝美

鬱屈は顔に出でけり梅雨の寒
紫の鎮静効果得て昼寝

紫の鎮静効果得て昼寝 /勝美

ひねもす俳句:夏なればこそ

2023/05/16

一杓のもてなし嬉し洗ひ飯
一杓のもてなし嬉し洗ひ飯 /勝美
時の日のさなぎは羽化の時を待つ /勝美
時の日のさなぎは羽化の時を待つ
花虻や花のしとねを拠りどころ
花虻や花のしとねを拠りどころ /勝美
白青の小花の浴衣一少女 /勝美
白青の小花の浴衣一少女
芥子の花開発阻止を主張して
芥子の花開発阻止を主張して /勝美

ひねもす俳句:発射オーライ

2023/04/26

農業の擬似体験や麦の秋
農業の擬似体験や麦の秋 /勝美
夏空へ二段ロケット点火せり /勝美
夏空へ二段ロケット点火せり
不協和音放つアネモネ拡声器
不協和音放つアネモネ拡声器 /勝美
失恋か悲恋かしらず恋の薔薇 /勝美
失恋か悲恋かしらず恋の薔薇
捩れたる心ほぐれず苔の花
捩れたる心ほぐれず苔の花 /勝美

ひねもす俳句:旅立ちの春

2023/04/12

艦船の抜錨憲法記念の日
艦船の抜錨憲法記念の日 /勝美
まんさくと言はれ二度見や緋色濃き /勝美
まんさくと言はれ二度見や緋色濃き
珈琲のカップに映ゆる松の花
珈琲のカップに映ゆる松の花 /勝美
薫風に応へてちりめん皺の波 /勝美
薫風に応えてちりめん皺の波
帰らざる日日や蜜蜂旅立つる
帰らざる日日や蜜蜂旅立つる /勝美

ひねもす俳句:伊勢志摩の旅〜その2〜

2023/03/21

白内障の海獣ガバと山笑ふ /勝美
白内障の海獣ガバと山笑ふ /勝美
春の海のたり出航龍宮へ /勝美
春の海のたり出航龍宮へ /勝美
磯笛の鋭く響く志摩の海女 /勝美
磯笛の鋭く響く志摩の海女 /勝美
夫婦して捻り鉢巻花疲れ /勝美
夫婦して捻り鉢巻花疲れ /勝美
春天を統ぶるやドローンめくとんび /勝美
春天を統ぶるやドローンめくとんび /勝美

ひねもす俳句:伊勢志摩の旅〜その1〜

2023/03/21

新緑の生垣城へつづく路 /勝美
新緑の生垣城へつづく路 /勝美
卒寿子の機織り体験のどけしや /勝美
卒寿子の機織り体験のどけしや /勝美
菜の花に浮かれて走る電車かな /勝美
菜の花に浮かれて走る電車かな /勝美
春惜しむ伊勢河崎のしるべ石 /勝美
春惜しむ伊勢河崎のしるべ石 /勝美
クルーズの卒寿米寿に夏近し /勝美
クルーズの卒寿米寿に夏近し /勝美

ひねもす俳句:春の夢

2023/03/13

墨流しゆらゆら揺れて水温む
墨流しゆらゆら揺れて水温む /勝美
佐保姫の姿グランド大歓声 /勝美
佐保姫の姿グランド大歓声
日を求め犇めきあひて蝌蚪群るる
日を求め犇めきあひて蝌蚪群るる /勝美
春の夢薄紅色にほぐれけり /勝美
春の夢薄紅色にほぐれけり
花曇シーラカンスに乗る河童
花曇シーラカンスに乗る河童 /勝美

ひねもす俳句:春の旅立ち

2023/02/20

しがらみをぬけ春天へ脱出す

しがらみをぬけ春天へ脱出す /勝美

北窓を開けて首出す目覚めかな /勝美

北窓を開けて首出す目覚めかな
我がゲノム斯く単純や春愁ひ

我がゲノム斯く単純や春愁ひ /勝美

春雷や自転車影を落とし行く /勝美

春雷や自転車影を落とし行く
故郷の生家は空き家鳥雲に

故郷の生家は空き家鳥雲に /勝美

ひねもす俳句:早春のひととき

2023/02/01

春昼の花見小路の闇透かす
春昼の花見小路の闇透かす /勝美
武士と遭ふ鎌倉古道花曇 /勝美
武士と遭ふ鎌倉古道花曇
早春の色香満ちけり一服す
早春の色香満ちけり一服す /勝美
雲払ひ天空狭しとつちふれり /勝美
雲払ひ天空狭しとつちふれり
春風に舞ふ足取の軽やかに
春風に舞ふ足取の軽やかに /勝美

ひねもす俳句:令和5年の幕開け

2023/01/09

胸襟を開く露座仏初詣
胸襟を開く露座仏初詣 /勝美
龍天に昇る一瞬腹晒す /勝美
龍天に昇る一瞬腹晒す
はや灯す街を俯瞰す初鴉
はや灯す街を俯瞰す初鴉 /勝美
星雲は分裂重ね春の星 /勝美
星雲は分裂重ね春の星
空を掃く箒や冬の月残り
空を掃く箒や冬の月残り /勝美

ひねもす俳句:令和4年の終わり

2022/12/28

皺伸ばす卒寿米寿や日脚伸ぶ
皺伸ばす卒寿米寿や日脚伸ぶ /勝美
冬ざれの天と地つなぐオベリスク /勝美
冬ざれの天と地つなぐオベリスク
除夜の湯やこの一年の垢流す
除夜の湯やこの一年の垢流す /勝美
コロナの世象徴めきしマスクかな /勝美
コロナの世象徴めきにマスクかな
ゆるぎなき胎動ひそと春隣
ゆるぎなき胎動ひそと春隣 /勝美

ひねもす俳句:年末雑感

2022/12/13

煤払ひ終へて輝くシャンデリア
煤払ひ終へて輝くシャンデリア /勝美
新札の三枚ほどをお年玉 /勝美
新札の三枚ほどをお年玉
黄昏のともしび浮かべ冬の沼
黄昏のともしび浮かべ冬の沼 /勝美
健気かな霜に耐へ花凛と /勝美
健気かな霜に耐へ花凛と
冬ざれや墓標立ちたる戦禍の地
冬ざれや墓標立ちたる戦禍の地 /勝美

ひねもす俳句:1年の歩み

2022/11/27

バス停の鍼灸院で寒の灸
バス停の鍼灸院で寒の灸 /勝美
ウクライナは国旗を空へ春を待つ /勝美
ウクライナは国旗を空へ春を待つ
故郷や雪の便りのちらほらと
故郷や雪の便りのちらほらと /勝美
御火焚きや庭掃き残すひとところ /勝美
御火焚きや庭掃き残すひとところ
狼煙上げ行くひと年を惜しみけり
狼煙上げ行くひと年を惜しみけり /勝美

ひねもす俳句:寒気到来

2022/11/15

動くものなき一瞬や小春凪
動くものなき一瞬や小春凪 /勝美
クリスマスパーティドレス黄が似合ふ /勝美
クリスマスパーティドレス黄が似合ふ
手拍子の農兵節や忘年会
手拍子の農兵節や忘年会 /勝美
綿虫の集合住宅此処に在り /勝美
綿虫の集合住宅此処に在り
ネックレス仕立て鶉の寒卵
ネックレス仕立て鶉の寒卵 /勝美

ひねもす俳句: 豊年満作

2022/10/27

明日在ると思はば愉し末枯れて
明日在ると思はば愉し末枯れて /勝美
寒風の身に行き渡る薬用酒 /勝美
寒風の身に行き渡る薬用酒
ハロウインメイクの如し熟茘枝
ハロウインメイクの如し熟茘枝 /勝美
日に射られ影が根を張る冬大樹 /勝美
日に射られ影が根を張る冬大樹
豊年や顔綻ばす食事どき
豊年や顔綻ばす食事どき /勝美

ひねもす俳句:文化の秋を楽しむ

2022/09/29

稲架襖(はざふすま)端から端へあかね雲
稲架襖(はざふすま)端から端へあかね雲 /勝美
口切や由緒の香合鑑賞す /勝美
口切や由緒の香合鑑賞す
秋風や地雷は此処よ近寄るな
秋風や地雷は此処よ近寄るな /勝美
口融けの淡きメレンゲ白秋忌 /勝美
口融けの淡きメレンゲ白秋忌
薬用や昆虫入りの新酒出来
薬用や昆虫入りの新酒出来 /勝美

ひねもす俳句:忍び寄り忍び去る秋

2022/09/16

新蕎麦や話絡まる電話切る
新蕎麦や話絡まる電話切る /勝美
四次元の世界は此処に月宮殿 /勝美
四次元の世界は此処に月宮殿
秋の夜に読むべし源氏物語
秋の夜に読むべし源氏物語 /勝美
暮早き陽明門や眠り猫 /勝美
暮早き陽明門や眠り猫
落鮎の頭並べて皿に座す
落鮎の頭並べて皿に座す /勝美

ひねもす俳句:馬肥える秋

2022/08/29

料理には好みのソース文化の日
料理には好みのソース文化の日 /勝美
生身魂グレイヘアに在る威厳 /勝美
生身魂グレイヘアに在る威厳
中秋の名月雲を割つて出づ
中秋の名月雲を割つて出づ /勝美
糸瓜忌やワイン色して糸瓜水 /勝美
糸瓜忌やワイン色して糸瓜水
魂まつりベトナム珈琲供へけり
魂まつりベトナム珈琲供へけり /勝美

ひねもす俳句:秋の日の物憶い

2022/08/15

手捻りの効き目は如何に蚊遣香
手捻りの効き目は如何に蚊遣香 /勝美
瘡蓋の剥がれて安堵生身魂 /勝美
瘡蓋の剥がれて安堵生身魂
旅立ちは大樹によらず蝉の殻
旅立ちは大樹によらず蝉の殻 /勝美
秋思濃し憶ふは狩の日のむかし /勝美
秋思濃し憶ふは狩の日のむかし
囚れて売られゆく日を待つ狸
囚れて売られゆく日を待つ狸 /勝美

ひねもす俳句:急ぎ足の夏

2022/07/28

ふる里の泉の水を記念とす
ふる里の泉の水を記念とす /勝美
縄文の象形文字のいと涼し /勝美
縄文の象形文字のいと涼し
水澄みて変幻自在の雲映す
水澄みて変幻自在の雲映す /勝美
鉄柵に距つ基地あり敗戦日 /勝美
柵に距つ基地あり敗戦日
ひと夏を使ひ古して白日傘
ひと夏を使ひ古して白日傘 /勝美

ひねもす俳句:はちゃめちゃ

2022/07/11

ひまはりや昼といふのに眠たさう
ひまはりや昼といふのに眠たさう /勝美
沈みゆく日や夕涼のアッシャー家 /勝美
沈みゆく日や夕涼のアッシャー家
綿あめのやうな雲刷く秋隣
綿あめのやうな雲刷く秋隣 /勝美
風抜くる座敷に鱧の湯引きかな /勝美
風抜くる座敷に鱧の湯引きかな
冷酒に餡パン食へと言はあれても
冷酒に餡パン食へと言はれても /勝美

ひねもす俳句:星に願いを

2022/06/29

黄昏に街は溶けゆく黄金虫
黄昏に街は溶けゆく黄金虫 /勝美
丼ぺろり夏痩せ知らぬ健啖家 /勝美
丼ぺろり夏痩せ知らぬ健啖家
暗黒に誓ふ平和や蛍の火
暗黒に誓ふ平和や蛍の火 /勝美
連発の花火満天大団円 /勝美
連発の花火満天大団円
果てしなき空想夢想星涼し
果てしなき空想夢想星涼し /勝美

ひねもす俳句:イミテーションの夏

2022/06/09

お値打の夢のシェルター午睡用
お値打の夢のシェルター午睡用 /勝美
紙製のディッシユで祝ふ巴里祭 /勝美
紙製のディッシユで祝ふ巴里祭
三伏の過去への通路白昼夢
三伏の過去への通路白昼夢 /勝美
蔦茂らせて隠れ家の小商ひ /勝美
蔦茂らせて隠れ家の小商ひ
口口に抗議の叫び五月祭
口口に抗議の叫び五月祭 /勝美

ひねもす俳句:薔薇の香を乗せ風薫る

2022/05/24

栴檀の花の降り敷く樹下の径
栴檀の花の降り敷く樹下の径 /勝美
親を待つ鳰の子のゐる昼下り /勝美
親を待つ鳰の子のゐる昼下り
忍冬や旅にあがなふ薬用酒
忍冬や旅にあがなふ薬用酒 /勝美
一刀を手挟む野武士夏の果 /勝美
一刀を手挟む野武士夏の果
午睡には相応し蜜も有り候
午睡には相応し蜜も有り候 /勝美

ひねもす俳句:静かな昼下がり

2022/05/13

紫雲英野や遊子悲しむこと非じ
紫雲英野や遊子悲しむこと非じ /勝美
コロナ禍は下火か日傘集ひけり /勝美
コロナ禍は下火か日傘集ひけり
睡蓮が咲いて静かな昼下がり
睡蓮が咲いて静かな昼下がり /勝美
オードブル冷えてワインの白も冷え /勝美
オードブル冷えてワインの白も冷え
夏木立中天高く空の帯
夏木立中天高く空の帯 /勝美

ひねもす俳句:一刻の安らぎ

2022/04/26

玄関の一隅照らす花空木
玄関の一隅照らす花空木 /勝美
貴婦人のフリルのドレス夏めける /勝美
貴婦人のフリルのドレス夏めける
春の野に園児笑顔で集ひけり
春の野に園児笑顔で集ひけり /勝美
童謡の聞こえさうなり春の川 /勝美
童謡の聞こえさうなり春の川
オランダは霞の彼方風車塔
オランダは霞の彼方風車塔 /勝美

ひねもす俳句:おいちにいさん

2022/04/06

一輪車乗れて万歳二輪草
一輪車乗れて万歳二輪草 /勝美
由緒ある寺なり三ッ葉躑躅咲く /勝美
由緒ある寺なり三ッ葉躑躅咲く
春夜枕辺母は童話の頁繰る
浅利飯母の味には及ばずも /勝美
ペリカンも雄叫びするぞ夏来ると /勝美
ペリカンも雄叫びするぞ夏来ると
彗星の軌道を廻る夏夜かな
彗星の軌道を廻る夏夜かな /勝美

ひねもす俳句:四国島旅その2

2022/03/19

春の果てエンジェルロード踏みにけり
春の果てエンジェルロード踏みにけり /勝美
長閑けしや浜に漂着せしかぼちや /勝美
長閑けしや浜に漂着せしかぼちや
モネの絵のごとき光や春夕焼
モネの絵のごとき光や春夕焼 /勝美
餌に群るる花見鯛ゐる城の堀 /勝美
餌に群るる花見鯛ゐる城の堀
降臨は意表つく場所春愁ひ
降臨は意表つく場所春愁ひ /勝美

ひねもす俳句:四国島旅その1

2022/03/19

岸壁の母を偲べば鳥雲に
岸壁の母を偲べば鳥雲に /勝美
醤油まだ蔵に眠れり山笑ふ /勝美
醤油まだ蔵に眠れり山笑ふ
休日の魔女の散歩風光る
休日の魔女のお散歩風光る /勝美
オリーブの島へ着岸して日永 /勝美
オリーブの島へ着岸して日永
金比羅へ佐保姫裳裾靡かせて
金比羅へ佐保姫裳裾靡かせて /勝美

ひねもす俳句:一気に春だ

2022/03/02

竜天に昇り屋根ども平伏す
竜天に昇り屋根ども平伏す /勝美
鳩と為る鷹眼光を隠し得ず /勝美
鳩と為る鷹眼光を隠し得ず
鳥曇春の曲吹くプレイヤー
鳥曇春の曲吹くプレイヤー /勝美
赤富士の裾は遥けし水温む /勝美
赤富士の裾は遥けし水温む
友禅のなびく工房春の川
友禅のなびく工房春の川 /勝美

ひねもす俳句:ススメススメ

2022/02/12

楼蘭は砂漠に埋もれ鳥雲に
楼蘭は砂漠に埋もれ鳥雲に /勝美
何処までも続く線路をゆく日永 /勝美
何処までも続く線路をゆく日永
初午や還暦祝ふ狐どち
初午や還暦祝ふ狐どち /勝美
遠足に非ず一家の総家出 /勝美
遠足に非ず一家の総家出
滑り台すべり尻焼く四月馬鹿
滑り台すべり尻焼く四月馬鹿 /勝美

ひねもす俳句:渋茶で一服

2022/01/25

灯の入らぬ常夜灯めく巣箱かな
灯の入らぬ常夜灯めく巣箱かな /勝美
春うらら天使の羽の宙に舞ふ /勝美
春うらら天使の羽の宙に舞ふ
葬送の列ゆく木立凍返る
葬送の列ゆく木立凍返る /勝美
造影の血管黒し春寒し /勝美

造影の血管黒し春寒し

落雁は渋茶の友や雁帰る
落雁は渋茶の友や雁帰る /勝美

ひねもす俳句:いざ出発

2022/01/15

晴着てふ派手な色合ひ着て春着
晴着てふ派手な色合ひ着て春着 /勝美
恵方へとつづく足跡一直線 /勝美
恵方へとつづく足跡一直線
昭和遠し急階段に在る余寒
昭和遠し急階段に在る余寒 /勝美
大試験門扉の広く開け放ち /勝美
大試験門扉の広く開け放ち
デゴイチの黄砂降る地へ発車ベル
デゴイチの黄砂降る地へ発車ベル /勝美

ひねもす俳句:ゆく水は還らず

2021/12/23

もどかしさ募るばかりや年の暮
もどかしさ募るばかりや年の暮 /勝美
公園といふ空間の冬日影 /勝美
公園といふ空間の冬日影
冬空を映す銀盆銀象嵌
冬空を映す銀盆銀象嵌 /勝美
ゆく年の流れや涸るること知らず /勝美
ゆく年の流れや涸るること知らず
餅花に似し寒風の置き土産
餅花に似し寒風の置き土産 /勝美

ひねもす俳句:変わりゆくもの

2021/12/15

水涸れて日の目見たりし竜宮城
水涸れて日の目見たりし竜宮城 /勝美
空にして疎は淋しかり年暮るる /勝美
空にして疎は淋しかり年暮るる
メデューサの魔力に硬化春待てり
メデューサの魔力に硬化春待てり /勝美
水都いま眠りに冬の寒さかな /勝美
水都いま眠りに冬の寒さかな
寒林の影絵朝日の上るまで
寒林の影絵朝日の上るまで /勝美

ひねもす俳句:メタモルフォセス

2021/11/25

柿色の珠玉の飾り冬館
柿色の珠玉の飾り冬館 /勝美
恥多き身を恥ぬれば紅葉す /勝美
恥多き身を恥ぬれば紅葉す
冬めくも裸一貫只沈思
冬めくも裸一貫只沈思 /勝美
月食を知るや知らずや炬燵猫 /勝美
月食を知るや知らずや炬燵猫
風来れば風に靡けり枯尾花
風来れば風に靡けり枯尾花 /勝美

ひねもす俳句:止まるも行くも

2021/11/09

陣形を作る相談鴨寄り来
陣形を作る相談鴨寄り来 /勝美
稲干すや鳥除けの網怠らず /勝美
稲干すや鳥除けの網怠らず
オブジェの鯰動かず冬日差
オブジェの鯰動かず冬日差 /勝美
水門の開かずなりけり水涸れて /勝美
水門の開かずなりけり水涸れて
寒風に雲流されて散り散りに
寒風に雲流されて散り散りに /勝美

ひねもす俳句:賑やかな晩秋

2021/10/25

ひと時の安堵を得たり枝の鵯
ひと時の安堵を得たり枝の鵯 /勝美
秋の山華やぐ色をとりどりに /勝美
秋の山華やぐ色をとりどりに
小道具の撒き菱手裏剣村芝居
小道具の撒き菱手裏剣村芝居 /勝美
土嚢より草の顔出す冬ぬくし /勝美
土嚢より草雀は蛤に
二の足を踏むぼろ市の露悪品
二の足を踏むぼろ市の露悪品 /勝美

ひねもす俳句:雲の晴れ間

2021/10/01

月光の光りの塵を載せ団子
月光の光りの塵を載せ団子 /勝美
冷ややかや卓に聖書の置かれゐて /勝美
冷ややかや卓に聖書の置かれゐて
すさまじや断頭台上鶏瞑目
すさまじや断頭台上鶏瞑目 /勝美
小鳥来る色の違へど相集ひ /勝美
小鳥来る色の違へど相集ひ
叢雲の剣の一振り露はるる
叢雲の剣の一振り露はるる /勝美

ひねもす俳句 :番外編「小さな秋見つけた」

2021/09/18

憶良らは罷らむ北の風ぞ吹く
憶良らは罷らむ北の風ぞ吹く /勝美
お供への月見団子や我も乞ふ /勝美
お供への月見団子や我も乞ふ
不用品あれど捨てざり秋惜しむ
不用品あれど捨てざり秋惜しむ /勝美
水引きし田も時すぎて刈田なる /勝美
水引きし田も時すぎて刈田なる
秋雨や耳ほとほとと研ぎ澄ます
秋雨や耳ほとほとと研ぎ澄ます /勝美

ひねもす俳句:秋深きもろもろ

2021/09/13

鵯上戸小鳥は艶めく実を好む
鵯上戸小鳥は艶めく実を好む /勝美
切り株に残るや秋の日の想ひ /勝美
切り株に残るや秋の日の想ひ
木道の標識めきし益母草
木道の標識めきし益母草 /勝美
龍淵に潜めど少年大志抱く /勝美
龍淵に潜めど少年大志抱く
首飾り緒の切れ露の玉こぼる
首飾り緒の切れ露の玉こぼる /勝美

ひねもす俳句:さあ爽やかに

2021/08/27

肺胞にみなぎる命原爆忌
肺胞にみなぎる命原爆忌 /勝美
爽やかや顔を洗へば今日の顔 /勝美
爽やかや顔を洗へば今日の顔
苧殻焚く煙は天へ昇るなり
苧殻焚く煙は天へ昇るなり /勝美
鯉跳ねて飛ばす飛沫の澄めりけり /勝美
鯉跳ねて飛ばす飛沫の澄めりけり
囚はれて蟄居の家や蔦の檻
囚はれて蟄居の家や蔦の檻 /勝美

ひねもす俳句:夏さらば

2021/08/11

炎熱はいかに生気を奪ひしか
炎熱はいかに生気を奪ひしか /勝美
行水の烏イソップ逸話めく /勝美
行水の烏イソップ逸話めく
夕焼けの街やそろそろ夜の蝶
夕焼けの街やそろそろ夜の蝶 /勝美
夏茸降る神兵の落下傘 /勝美
夏茸降る神兵の落下傘
木下径つづく公園晩夏光
木下径つづく公園晩夏光 /勝美

ひねもす俳句:すべては秋へ

2021/07/25

ひと筋の道ひたすらに秋遍路
ひと筋の道ひたすらに秋遍路 /勝美
時折は穴より出でて蚯蚓鳴く /勝美
時折は穴より出でて蚯蚓鳴く
恐竜に追はれ逃げ込む秋の蛇
恐竜に追はれ逃げ込む秋の蛇 /勝美
魂の抜け殻積まれゐて残暑 /勝美
魂の抜け殻積まれゐて残暑
すぐそこの秋へ木道続きけり
すぐそこの秋へ木道続きけり /勝美

ひねもす俳句:梅雨のひと時

2021/07/13

源義忌の石の砦や秋燕
源義忌の石の砦や秋燕 /勝美
夕虹に出逢ひ旅人安らぎぬ /勝美
夕虹に出逢ひ旅人安らぎぬ
原爆忌オバマの鶴のいと小さし
原爆忌オバマの鶴のいと小さし /勝美
浅漬けの茄子や胡瓜や食すすむ /勝美
浅漬けの茄子や胡瓜や食すすむ
梅雨の夕空ビルの谷間に刻移り
梅雨の夕空ビルの谷間に刻移り /勝美

ひねもす俳句:虫の季節

2021/06/24

芋虫の刺青モダンアートめく
芋虫の刺青モダンアートめく /勝美
蟻や蟻蟻蟻蟻の平和郷 /勝美
蟻や蟻蟻蟻蟻の平和郷
蟷螂の独り遊びや所在なく
蟷螂の独り遊びや所在なく /勝美
かなぶんにレースの玉座提供す /勝美
かなぶんにレースの玉座提供す
雲の神何やら叫ぶ山開き
雲の神何やら叫ぶ山開き /勝美

ひねもす俳句:思い描く夏

2021/06/06

大凶をきれいさつぱり送り梅雨
大凶をきれいさつぱり送り梅雨 /勝美
五合目に人待つ馬や富士登山 /勝美
五合目に人待つ馬や富士登山
海の日や上陸舟艇なほ浜に
海の日や上陸舟艇なほ浜に /勝美
五輪の輪描くダイバー夏の海 /勝美
五輪の輪描くダイバー夏の海
亜麻色の髪の少女やゼリー揺れ
亜麻色の髪の少女やゼリー揺れ /勝美

ひねもす俳句:夏の色夏の音

2021/05/20

夏の夜の街の刻止め救急車
夏の夜の街の刻止め救急車 /勝美
クレープの花束母の日の母へ /勝美
クレープの花束母の日の母へ
血色の良き子すくすく不断草
血色の良き子すくすく不断草 /勝美
シェルターにこもりて避くる梅雨湿り /勝美
シェルターにこもりて避くる梅雨湿り
更衣選ぶとすれば黄のジャケツ
更衣選ぶとすれば黄のジャケツ /勝美

ひねもす俳句:夏の植物図鑑

2021/05/02

踏みしめて登る箱根や花空木
踏みしめて登る箱根や花空木 /勝美
はつ夏の色濃く匂蕃茉莉 /勝美
はつ夏の色濃く匂蕃茉莉
寄つて来る牧の羊や風薫る
寄つて来る牧の羊や風薫る /勝美
夏めくや花粉を飛ばすブラシの木 /勝美
夏めくや花粉を飛ばすブラシの木
檜扇を翳せば雨のひとしづく
檜扇を翳せば雨のひとしづく /勝美

ひねもす俳句:メタモルフォーゼ春

2021/04/26

菜の花は蝶に化すことなく蜂に
菜の花は蝶に化すことなく蜂に /勝美
蓋を開け春をうかがふ雪持草 /勝美
蓋を開け春をうかがふ雪持草
銭湯の破風の天地に残る鶴
銭湯の破風の天地に残る鶴 /勝美
脱ぎしもの畳みもせずに更衣 /勝美
脱ぎしもの畳みもせずに更衣
夏近し突如噴火の桜島
夏近し突如噴火の桜島 /勝美

ひねもす俳句:独立自尊の春

2021/04/05

屈託のなき顔嬉し一年生
屈託のなき顔嬉し一年生 /勝美
穴出づる蜥蜴無心の貌をして /勝美
穴出づる蜥蜴無心の貌をして
一人静モットー独立自尊なり
一人静モットー独立自尊なり /勝美
洋菓子に叶ふ新茶は芽茶なりし /勝美
洋菓子に叶ふ新茶は芽茶なりし
八十八夜茶壺茶箱を取り揃へ
八十八夜茶壺茶箱を取り揃へ /勝美

ひねもす俳句:異次元の世界に

2021/03/19

旅立ちを待つ天球や復活祭
旅立ちを待つ天球や復活祭 /勝美
ままごとのやうな彩り春御膳 /勝美
ままごとのやうな彩り春御膳
陽炎となる噴煙の沸きやまず
陽炎となる噴煙の沸きやまず /勝美
ぽつかりと春の浮雲整列す /勝美
ぽつかりと春の浮雲整列す
此れが彼の医者の仮面や謝肉祭
此れが彼の医者の仮面や謝肉祭 /勝美

ひねもす俳句:魅惑の春あれこれ

2021/03/08

晴れ晴れと顔のほころぶ合格子
晴れ晴れと顔のほころぶ合格子 /勝美
クラインの壷の入り口春満月 /勝美
クラインの壷の入り口春満月
朝焼の空の渚や波しづか
朝焼の空の渚や波しづか /勝美
花にらや嘘は素知らぬ顔で吐く /勝美
花にらや嘘は素知らぬ顔で吐く
防護衣をまとふ草餅桜もち
防護衣をまとふ草餅桜もち /勝美

ひねもす俳句:陽炎の世

2021/02/27

映像は二次元なべて陽炎へる
映像は二次元なべて陽炎へる /勝美
雪割草心のひだをほぐしけり /勝美
雪割草心のひだをほぐしけり
巣籠りの何時まで続くことかしら
巣籠りの何時まで続くことかしら /勝美
直下型地震の予感花ぐもり /勝美
直下型地震の予感花ぐもり
ボヘミアングラス春愁閉ぢゐたり
ボヘミアングラス春愁閉ぢゐたり /勝美

ひねもす俳句:此岸より彼岸へ

2021/02/15

此岸より彼岸へ空中散歩かな
此岸より彼岸へ空中散歩かな /勝美
一条の紐花冷えの天目指す /勝美
一条の紐花冷えの天目指す
伝聞は増幅招く目借り時
伝聞は増幅招く目借り時 /勝美
臘梅に主役をゆづる空の青 /勝美
臘梅に主役をゆづる空の青
剣山にまがふ棘棘春の蟹
剣山にまがふ棘棘春の蟹 /勝美

ひねもす俳句:春よ来れ!

2021/01/26

春寒や抜け殻めきしアーケード

春寒や抜け殻めきしアーケード /勝美
枯葉掃く高野箒や作務衣僧 /勝美
枯葉掃く高野箒や作務衣僧
道と化す暗渠の秘むる春の闇
道と化す暗渠の秘むる春の闇 /勝美
水墨の現代アート寒の鵯 /勝美
水墨の現代アート寒の鵯

春三日月宇宙の広さ独り占め

春三日月宇宙の広さ独り占め /勝美

ひねもす俳句:仲睦まじく

2021/01/10

冬日差縁側で食ぶ砂糖菓子
冬日差縁側で食ぶ砂糖菓子 /勝美
淋しくば相寄らまほし浮寝鳥 /勝美
淋しくば相寄らまほし浮寝鳥
落武者の影よろよろと枯葉の地
落武者の影よろよろと枯葉の地 /勝美
茶室へとつづく足跡名残雪 /勝美
茶室へとつづく足跡名残雪
買初めの家族会議埒あかず
買初めの家族会議の埒あかず /勝美

ひねもす俳句:何が出るかな

2020/12/14

職退きし日の花束や冬薔薇

職退きし日の花束や冬薔薇 /勝美

ゆく年や花道花に飾られて /勝美

ゆく年や花道花に飾られて
エッシャーの沈む階段聖樹浮く

エッシャーの沈む階段聖樹浮く /勝美

幹を這ふ光痒しよ冬木立 /勝美

幹を這ふ光痒しよ冬木立
クリスマスパンドラの匣開けやうか

クリスマスパンドラの匣開けやうか /勝美

ひねもす俳句:日はまた昇る

2020/11/29

レリーフの波の凹凸鴨群るる

レリーフの波の凹凸デコイ鴨 /勝美

花束のやうに熊手を抱へけり /勝美

花束のやうに熊手を抱へけり
朝来れば運河に変はり冬銀河

朝来れば運河に変はり冬銀河 /勝美

寒禽の眠り覚めざり日は昇る /勝美

寒禽の眠り覚めざり日は昇る
朝日射す降誕祭の日の荒野 

朝日射す降誕祭の日の荒野 /勝美

ひねもす俳句:冬のひと日

2020/11/13

立冬の日の輝きぬ山向かう

立冬の日の輝きぬ山向かう /勝美
冬空や堀割柳枯れもせで /勝美

冬空や堀割柳枯れもせで

勤王の志士の溜り場冬ざるる
勤皇の志士の溜り場冬ざるる /勝美
小春日や疎らに人のゐるパティオ /勝美
小春日や疎らに人のゐるパティオ
寒鮒に安息の日のあるべかり
寒鮒に安息の日のあるべかり /勝美

ひねもす俳句:秋そこはか

2020/10/28

誰にともなく柊の花香る
誰にともなく柊の花香る /勝美
ハロウインの声の掛からぬ南瓜どち /勝美
ハロウインの声の掛からぬ南瓜どち
秋淋し南極の石さらされて
秋淋し南極の石さらされて /勝美
西空を染むる光芒秋の暮 /勝美
西空を染める光芒秋の暮
紫の上の気品やあけびの実
紫の上の気品やあけびの実 /勝美

ひねもす俳句:晩秋うろうろ

2020/10/17

オムレツにデビルを描くハロウィン
オムレツにデビルを描くハロウィン /勝美
 
冥土への入り口塞ぐ秋の草 /勝美
冥土への入り口塞ぐ秋の草
はまなすの実やかざりやのあぶり餅
 
はまなすの実やかざりやのあぶり餅 /勝美
 
 
鴨来る互ひに密とならぬ距離 /勝美
 
鴨来る互ひに密とならぬ距離
三密を避けて遠巻き焼き鳥屋
 
三密を避けて遠巻き焼き鳥屋 /勝美

ひねもす俳句:肌寒のころ

2020/09/24

秋風の吹くや吹かぬや磴登る
秋風の吹くや吹かぬや磴登る /勝美
山小屋を閉づる日近し冬近し /勝美
山小屋を閉づる日近し冬近し
鼻先へ突如一発へこき虫
鼻先へ突如一発へこき虫 /勝美
観戦はフェンス越しなり運動会 /勝美
観戦はフェンス越しなり運動会
龍淵に潜む仲間に呼ばれけり
龍淵に潜む仲間に呼ばれけり /勝美

ひねもす俳句:配置万端なり

2020/09/11

水飲み場へ黄ばむ柳の影迫る

水飲み場へ黄ばむ柳の影迫る /勝美
向日葵の反逆己が黄に飽きて /勝美
向日葵の反逆己が黄に飽きて
冬隣血は全身に巡りけり
冬隣血は全身に巡りけり /勝美
結界のごと翅拡げ黒揚羽 /勝美
結界のごと翅拡げ黒揚羽
各階に配置せり藪茗荷の実
各階に配置せり藪茗荷の実 /勝美

ひねもす俳句:これでもか

2020/08/27

震災忌耐震補強これでもか
震災忌耐震補強これでもか /勝美
飾り付け広がる空や運動会 /勝美
飾り付け広がる空や運動会
残暑なほ熱中症の話など
残暑なほ熱中症の話など /勝美
標的にダーツの矢飛ぶ良夜かな /勝美
標的にダーツの矢飛ぶ良夜かな
爽やかや一投すべてストライク
爽やかや一投すべてストライク /勝美

ひねもす俳句:夏と思えば秋

2020/08/13

宵闇に浮かぶレースの白優美
宵闇に浮かぶレースの白優美 /勝美
厳粛な生命の儀式蝉の羽化 /勝美
厳粛な生命の儀式蝉の羽化
夏痩せの妙薬石麻呂に感謝
 夏痩せの妙薬石麻呂に感謝 /勝美
夜の秋単眼鏡に瞳を凝らす /勝美
夜の秋単眼鏡に瞳を凝らす
盆踊広場へ階段坂下
盆踊広場へ階段坂下る /勝美

ひねもす俳句:生きとし生くるもの

2020/07/30

未熟者は直ぐに音を上げ金鈴子
未熟者は直ぐに音を上げ金鈴子 /勝美
おはやうと目玉くるくるいぼむしり /勝美
おはやうと目玉くるくるいぼむしり
水底に影も止めずあめんぼう
水底に影も止めずあめんぼう /勝美
銘刀の妖しき光り青蜥蜴 /勝美
銘刀の妖しき光り青蜥蜴
香港の治安気になる紅蜀葵
香港の治安気になる紅蜀葵 /勝美

ひねもす俳句:前途洋洋

2020/07/07

お気に召すやら出来立ての葛饅頭

お気に召すやら出来立ての葛饅頭 /勝美

半夏半作髭つらの青書生 /勝美
半夏半作髭つらの青書生
黒南風や明るい兆しある前途

黒南風や明るい兆しある前途 /勝美

分子構造模型に細工夏の花 /勝美

分子構造模型に細工夏の花
梅雨の日も精一杯のお洒落して

梅雨の日も精一杯のお洒落して /勝美

ひねもす俳句:原点回帰

2020/06/27

故郷へ回帰の思案して晩夏

故郷へ回帰の思案して晩夏 /勝美

アイーダの行進去ぬ梅雨晴間 /勝美

アイーダの行進去ぬ梅雨晴間
イソップの酸つぱい葡萄かと思ふ

イソップの酸つぱい葡萄かと思ふ /勝美

戦争は愛を引き裂くはたた神 /勝美

戦争は愛を引き裂くはたた神
蒼白となりし聖火や原爆忌

蒼白となりし聖火や原爆忌 /勝美

ひねもす俳句:時々刻々

2020/06/08

触手延ぶ茅花流しに誘はれて

触手延ぶ茅花流しに誘はれて /勝美

夏書いま終息の刻待つばかり /勝美

夏書いま終息の刻待つばかり
井の中に藪蚊縞蚊の影なかり

井の中に藪蚊縞蚊の影なかり /勝美

紫の上夏風邪を召されしや /勝美

紫の上夏風邪を召されしや
涼しさや荻須の好む裏通り

涼しさや荻須の好む裏通り /勝美

ひねもす俳句:自粛の日々

2020/05/24

梅雨に入る工場操業自粛中

梅雨に入る工場操業自粛中 /勝美

夕焼けや狼煙の如き雲一つ /勝美

夕焼けや狼煙の如き雲一つ
信仰の道はひとすぢ遍路道

信仰の道はひとすぢ遍路道 /勝美

エッシャーの無限階段降りて梅雨 /勝美

エッシャーの無限階段降りて梅雨
青柿の墜ちて見紛ふラフレシア

青柿の墜ちて見紛ふラフレシア /勝美

ひねもす俳句:思えば遠し

2020/05/08

終息へ道のり遠くして立夏
終息へ道のり遠くして立夏 /勝美
蝸牛ステイホームと言はれても /勝美
蝸牛ステイホームと言はれても
生命とは強靭なもの麦の秋
生命とは強靭なもの麦の秋 /勝美
竹の子の身丈に合はす防護服 /勝美
竹の子の身丈に合はす防護服
母の日や母を偲べば灯の緩む
母の日や母を偲べば灯の緩む /勝美

ひねもす俳句:春行けば夏来る

2020/04/25

暮の春カーテンコールを二度三度
暮の春カーテンコールを二度三度 /勝美
可視化ししコロナウイルス春怒濤 /勝美
可視化ししコロナウイルス春怒濤
求めあふものに幸あり春行けり
求めあふものに幸あり春行けり /勝美
オキーフの画集ひもとく白夜かな /勝美
オキーフの画集ひもとく白夜かな
囚はれの如く家あり今朝の夏
囚はれの如く家あり今朝の夏 /勝美

ひねもす俳句:コロナ旋風真っ只中

2020/04/12

竹の皮脱ぐも脱げざり防護服

竹の皮脱ぐも脱げざり防護服 /勝美

花吹雪逃れて山を下りけり /勝美

花吹雪逃れて山を下りけり
勢揃ひせり遠足のお供たち

勢揃ひせり遠足のお供たち /勝美

デージーのコロナウイルスめく形 /勝美

デージーのコロナウイルスめく形
風吹けば風に口開く燕の子

風吹けば風に口開く燕の子 /勝美

ひねもす俳句:パンドラの箱に潜むもの

2020/03/29

春愁やパンドラの箱何残る
春愁やパンドラの箱何残る /勝美
彼我分つ垣の内外鳥曇り /勝美
彼我分つ垣の内外鳥曇り
陽炎ふといへど花道進むべし
陽炎ふといへど花道進むべし /勝美
魚信なし柳は風を受け流す /勝美
魚信なし柳は風邪を受け流す
屍体まだ埋もれしままの桜かな
屍体まだ埋もれしままの桜かな /勝美

ひねもす俳句:化けそうな春

2020/03/13

陽炎やケーキの狸化けさうに
陽炎やケーキの狸化けさうに /勝美
影落とすコロナウイルス春深し /勝美
影落とすコロナウイルス春深し
レプリカは煮炊きのならず春愁ひ
レプリカは煮炊きのならず春愁ひ /勝美
朧夜や夢乗せ電車疾走す /勝美
朧夜や夢乗せ電車疾走す
アルテミス女神の乳房風光る
アルテミス女神の乳房風光る /勝美

ひねもす俳句:春は京都

2020/03/01

龍天に昇る雌雄の睦まじく
龍天に昇る雌雄の睦まじく /勝美
雪解川山の呪縛より脱す /勝美
雪解川山の呪縛より脱す
島二つ浮かべしづけき春の海
島二つ浮かべしづけき春の海 /勝美
獺祭やどれから箸をつけやうか /勝美
獺祭やどれから箸をつけやうか
春愁を表に出さずして仕事
春愁を表に出さずして仕事 /勝美

ひねもす俳句:春はむずむず

2020/02/11

海蝕の進む断崖アロエ咲く
海蝕の進む断崖アロエ咲く /勝美
先生の嚏しきりや墓の雨 /勝美
先生の嚏しきりや墓の雨
砦なす本の山積み冬ごもり
砦なす本の山積み冬ごもり /勝美
春寒料峭年寄りのストレッチ /勝美
春寒料峭年寄りのストレッチ
磔や海見ることもなく春愁
磔や海見ることもなく春愁 /勝美

ひねもす俳句:立春大吉

2020/01/25

立春大吉シェルターといふ避難場所
立春大吉シェルターといふ避難場所 /勝美
早春の空を威圧の青銅砲 /勝美
早春の空を威圧の青銅砲
長閑けしや手榴弾めくかづらの実
長閑けしや手榴弾めくかづらの実 /勝美
永き日の亀石苔を生やしけり /勝美
永き日の亀石苔の生す背中
春めいて浮かれ出でたる苔の花
春めいて浮かれ出でたる苔の花 /勝美

ひねもす俳句:春の訪れ(令和版)

2020/01/13

青空に春光放つ寺の鴟尾
青空に春光放つ寺の鴟尾 /勝美

赤塚城址に梅の賑はひ近づきぬ /勝美
赤塚城址に梅の賑はひ近づきぬ
正月の旅行何処や門閉ざし
正月の旅行何処や門閉ざし /勝美
渋谷川無惨これでも春の川 /勝美
渋谷川無惨これでも春の川
散らばるる数多の殻や春の磯
散らばるる数多の殻や春の磯 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2019/12/26

石段の上は冬空あるばかり /勝美
雲垂るる冬の夜明けや起床時 /勝美
イラストで満たすや今日も雪不足 /勝美
去年今年繋ぐ橋なり渡らうか /勝美
数へ日や棚晒しなる読まぬ本 /勝美

ひねもす俳句:移ろいを探して

2019/12/15

狂ひ咲く夜のだちゆらや帰り花
狂ひ咲く夜のだちゆらや帰り花 /勝美
安住や落ち葉とりどり安らけし /勝美
安住や落ち葉とりどり安らけし
枯芒軍需工場の夢の跡
枯芒軍需工場の夢の跡 /勝美
寒鯉の見上ぐる水の深さかな /勝美
寒鯉の見上ぐる水の深さかな
楽しみは全身浴の日向ぼこ
楽しみは全身浴の日向ぼこ /勝美

ひねもす俳句:終りは始まり

2019/11/25

火のないストーブ置かれしたぴおおおか駅
火のないストーブ置かれしたぴおおおか駅 /勝美
ミサ曲流る落葉は光る色硝子 /勝美
 ミサ曲流る落葉は光る色硝子
バッカスと酌むや勤労感謝の日
バッカスと酌むや勤労感謝の日 /勝美
サッカー観戦観衆は雲のごと /勝美
サッカー観戦観衆は雲のごと
捕へらる綿虫無念の面構へ
捕へらる綿虫無念の面構へ /勝美

ひねもす俳句:令和元年歳晩

2019/11/11

葡萄枯葉はアダムとイヴの替へパンツ
葡萄枯葉はアダムとイヴの替へパンツ /勝美
冬浅し季節を映す抹茶碗 /勝美
冬浅し季節を映す抹茶碗
補陀落へ装備整ふ年の内
補陀落へ装備整ふ年の内 /勝美
菊薫る即位パレード恙なく /勝美
菊薫る即位パレード恙なく
此の先の暮らしそのもの五里霧中
此の先の暮らしそのもの五里霧中 /勝美

ひねもす俳句:急ぎ足の秋

2019/10/31

掃き溜めに鶴のごとしよ雪の富士
掃き溜めに鶴のごとしよ雪の富士 /勝美
芸術の秋イベントの赤煉瓦 /勝美
芸術の秋イベントの赤煉瓦
空は鈍色冬眠を急ぐ龍
空は鈍色冬眠を急ぐ龍 /勝美
すさまじや塵も積もれば猪となり /勝美
すさまじや塵も積もれば猪となり
夜寒さに葱拉麺の頼もしき
夜寒さに葱拉麺の頼もしき /勝美

ひねもす俳句:時は過ぎ行く

2019/10/11

白波の飛ばす飛沫や秋の航
白波の飛ばす飛沫や秋の航  /勝美
灯台に変はる砲台文化の日 /勝美
灯台に変はる砲台文化の日
出現の古代遺跡や秋の海
出現の古代遺跡や秋の海 /勝美
螻蛄の鳴く横丁先へ続きけり /勝美
螻蛄の鳴く横丁先へ続きけり
見習ひの自信身につく十一月
見習ひの自信身につく十一月 /勝美

ひねもす俳句:それぞれの営み

2019/09/24

高架の支柱倒るべからず阪神忌

高架の支柱倒るべからず阪神忌 /勝美

忸怩たる汗のごとしよ露の玉 /勝美
忸怩たる汗のごとしよ露の玉
穴に入る前かなへびのボルダリング
 穴に入る前かなへびのボルダリング /勝美
冷ややかや出征兵士は華と散り /勝美
冷ややかや出征兵士は華と散り
燈籠を守る猫ゐて恙なし
燈籠を守る猫ゐて恙なし /勝美

ひねもす俳句:台風一過

2019/09/09

輪になりて踊る陽気な案山子どち
輪になりて踊る陽気な案山子どち /勝美
隙間風本の砦に隙あらじ /勝美
隙間風本の砦に隙あらじ
苦瓜の赤心示す機は熟す
苦瓜の赤心示す機は熟す /勝美
メビウスの輪や宵闇の未来都市 /勝美
メビウスの輪や宵闇の未来都市
芋虫に食餌制限ありやなし
芋虫に食餌制限ありやなし /勝美

ひねもす俳句:秋の佇まい

2019/08/27

ピラルクはパンに雀は蛤に
ピラルクはパンに雀は蛤に /勝美
露けしや神妙に聴くクラシック /勝美
露けしや神妙に聴くクラシック
腰骨をそろり伸ばされ生身魂
腰骨をそろり伸ばされ生身魂 /勝美
流燈や終の生命の尽くるまで /勝美
流燈や終の生命の尽くるまで
鳥渡る空や真綿のちぎれ雲
鳥渡る空や真綿のちぎれ雲 /勝美

ひねもす俳句:異次元に遊ぶ

2019/08/18

水遊び好きな子どもや傘さして

水遊び好きな子どもや傘さして /勝美

夏向きの色はこの色爬虫類 /勝美

夏向きの色はこの色爬虫類
葭簀には防音効果ありやなし

葭簀には防音効果ありやなし /勝美

蝶蝶のステンドグラス涼新た /勝美

蝶蝶のステンドグラス涼新た
台風やシェルターに身を潜めたる

台風やシェルターに身を潜めたる /勝美

ひねもす俳句:覗きからくり

2019/08/11

 

炎天に着地を待てる己が影 /勝美
蝉の穴覗きからくり懐かしし /勝美
烏瓜の花のレースをシンデレラ

 

烏瓜の花のレースをシンデレラ /勝美
本能寺焼けてより空夕焼くる /勝美
本能寺焼けてより空夕焼くる
待宵やまだ来ぬ人を道に出て

 

待宵やまだ来ぬ人を道に出て /勝美

ひねもす俳句:夏また巡る

2019/07/24

寄せて引く波とこしへに原爆忌 /勝美
寄せて引く波とこしへに原爆忌 /勝美
新築の木の香芳はし冷素麺 /勝美
新築の木の香芳はし冷素麺 /勝美
梅雨明けや故郷雲の低けれど /勝美
梅雨明けや故郷雲の低けれど /勝美
復興の南相馬や海開き /勝美
復興の南相馬や海開き /勝美
夏季セール客を呼び込む拡声器 /勝美
夏季セール客を呼び込む拡声器 /勝美

ひねもす俳句:人影のない夏

2019/07/08

芭蕉布の根来法師の白頭巾

芭蕉布の根来法師の白頭巾 /勝美
翡翠を見飽きて去りし男かな /勝美
翡翠を見飽きて去りし男かな
捜索や蛍袋に灯をともし
捜索や蛍袋に灯をともし /勝美
満月へ飛ぶロケットの火の柱 /勝美
満月へ飛ぶロケットの火の柱
真夏日の地上へ伸ばす潜望鏡
真夏日の地上へ伸ばす潜望鏡 /勝美

ひねもす俳句:おお忙しや

2019/06/15

彩りは刻みパセリや召し上がれ
彩りは刻みパセリや召し上がれ /勝美
午後からの雨を気にして朝顔市 /勝美
午後からの雨を気にして朝顔市
水換へに執事持去る金魚玉
水換へに執事持去る金魚玉 /勝美
一本は天へ向けけり大矢数 /勝美
一本は天へ向けけり大矢数
裏街の壁煤けをり巴里祭
裏街の壁煤けをり巴里祭 /勝美

ひねもす俳句:幸せって何

2019/05/31

加茂の川床抹茶ゼリーを突き崩す
加茂の川床抹茶ゼリーを突き崩す /勝美
桜の実たとへ不出来と言はれても /勝美
桜の実たとへ不出来と言はれても
熱砂越え聖地奪還十字軍
熱砂越え聖地奪還十字軍 /勝美
木と化せし蛸は強固に足を地に /勝美
木と化せし蛸は強固に足を地に
希望誠意愛情幸運夏の夢
希望誠意愛情幸運夏の夢 /勝美

ひねもす俳句:此処は何処

2019/05/13

佐保姫に踊りの神の降りて来し
佐保姫に踊りの神の降りて来し /勝美
梅雨入りの気配や山のそそり立つ /勝美
梅雨入りの気配や山のそそり立つ
衛兵の如き岩峰汗滂沱
衛兵の如き岩峰汗滂沱 /勝美
石楠花やつづく急坂登りきり /勝美
アンデスの文明に触れ夏夜明
アンデスの文明に触れ夏夜明 /勝美

ひねもす俳句:どっこい生きている

2019/04/30

胃カメラは奥へ奥へと躑躅径
胃カメラは奥へ奥へと躑躅径 /勝美
青い地球ゆつくり回る清和かな /勝美
青い地球ゆつくり回る清和かな
ぼうたんに気づく床しさてふ言葉
ぼうたんに気づく床しさてふ言葉 /勝美
右顧左眄する目を持たず蝌蚪群るる /勝美
右顧左眄する目を持たず蝌蚪群るる
デージーや延命治療拒む意志
デージーや延命治療拒む意志 /勝美

ひねもす俳句:令和へジャンプ

2019/04/14

オアシスは時間の谷間昭和の日
オアシスは時間の谷間昭和の日 /勝美
郷愁を壁に止めてみどりの日 /勝美
郷愁を壁に止めてみどりの日
君知るやてんとう虫の幼虫を
君知るやてんとう虫の幼虫を /勝美
満作は色に出にけり浮かれけり /勝美
満作は色に出にけり浮かれけり
新学期四肢軽やかにハイジャンプ
新学期四肢軽やかにハイジャンプ /勝美

 

ひねもす俳句:田舎にも春

2019/03/23

風光る海のしづくを散らす櫂
風光る海のしづくを散らす櫂 /勝美
朧月仰ぎて遠し不帰の客 /勝美
朧月仰ぎて遠し不帰の客
畑打ちの人手不足や田舎駅 
畑打ちの人手不足や田舎駅 /勝美
通学に拾ふ恋あり卒業す /勝美
通学に拾ふ恋あり卒業す
急行は停車せざりし新社員 
急行は停車せざりし新社員 /勝美

 

ひねもす俳句:萌え出づる生命

2019/03/14

踏まれてもはびこるいのち日の永し
踏まれてもはびこるいのち日の永し /勝美
目借時禅知内供の高いびき /勝美
目借時禅知内供の高いびき
刑務所の塀にものの芽顔出せり 
刑務所の塀にものの芽顔出せり /勝美
人住まふ花一つなき街なれど /勝美
人住まふ花一つなき街なれど
 春塵の洗はれ雨後の空此処に
春塵の洗はれ雨後の空此処に /勝美

ひねもす俳句:春よ来い

2019/03/04

山茱萸や黄金に光る砂金つぶ
山茱萸や黄金に光る砂金つぶ /勝美
龍天に昇るを待つや思案の眼 /勝美
龍天に昇るを待つや思案の眼
湧き出づるいのちや水の温む頃
湧き出づるいのちや水の温む頃 /勝美
春来よと一斉放列太鼓隊 /勝美
春来よと一斉放列太鼓隊
じりじりと春来る方へ脚伸ばす
じりじりと春来る方へ脚伸ばす /勝美

ひねもす俳句:春のスケッチ

2019/02/09

梅の香は伝はり切れぬ電話也
梅の香は伝はり切れぬ電話也 /勝美
逃げ水のくみ上げ用の井戸ポンプ /勝美
逃げ水のくみ上げ用の井戸ポンプ
窓からの日差し明るし雛飾る
窓からの日差し明るし雛飾る /勝美
永き日やビルといへども水鏡 /勝美
永き日やビルといへども水鏡
うららかや乗つて愉しき動く寄席
うららかや乗つて愉しき動く寄席 /勝美

ひねもす俳句:春は其処まで

2019/01/27

寒明けの空に穴あく我が胸も
寒明けの空に穴あく我が胸も /勝美
花活けてみる春分の日の玄関 /勝美
花活けてみる春分の日の玄関
歴史閉づ最後の砦春隣
歴史閉づ最後の砦春隣 /勝美
春昼の路地や昭和に紛れこむ /勝美
春昼の路地や昭和に紛れこむ
北窓を開けれど暗きマーケット
北窓を開けれど暗きマーケット /勝美

ひねもす俳句:めでたき年明け

2019/01/14

黎明に似たる薄暮に在る淑気
黎明に似たる薄暮に在る淑気 /勝美
新年の挨拶放送中の村 /勝美
新年の挨拶放送中の村
嫁が君ならぬ腕噛む恍惚と
嫁が君ならぬ腕噛む恍惚と /勝美
初詣選り取り見取りの守り札 /勝美
初詣選り取り見取りの守り札
淑気満つ古代壁画の浮かぶ壁
淑気満つ古代壁画の浮かぶ壁 /勝美

ひねもす俳句:時の移ろい

2018/12/14

これをしも帰り花とや韮の花
これをしも帰り花とや韮の花 /勝美
裸木となる日の近し風強し /勝美
裸木となる日の近し風強し
冥界へつづくこの橋神渡し
冥界へつづくこの橋神渡し /勝美
さりながら日柄輩は日を数へ /勝美
さりながら日柄輩は日を数へ
D坂の殺人ありき年暮るる
D坂の殺人ありき年暮るる /勝美

ひねもす俳句:諸行無常

2018/11/28

偉丈夫は胃丈夫なるか油点草
偉丈夫は胃丈夫なるか油点草 /勝美
在るものは何時か無となる年の果 /勝美
在るものは何時か無となる年の果
散り散りに散つて落葉のタングラム
散り散りに散つて落葉のタングラム /勝美
くだら野となる魂の拠り所 /勝美
くだら野となる魂の拠り所
凍空に光の乱舞して夢幻
凍空に光の乱舞して夢幻 /勝美
※注:くだら野は冬の季語、朽ちた野。荒涼とした冬の野。

ひねもす日記:冬は直ぐ傍

2018/11/12

神留守の社木の間に遠望す
神留守の社木の間に遠望す /勝美
よだれ掛けして懐かしの吸入器 /勝美
よだれ掛けして懐かしの吸入器
「ハイチーズ」カメラで狙ふ七五三
「ハイチーズ」カメラで狙ふ七五三 /勝美
十二月八日記憶はセピア色 /勝美
十二月八日記憶はセピア色
標本となりて冬蝶には成れず
標本となりて冬蝶には成れず /勝美

ひねもす俳句:日光街道草加宿

2018/10/26

秋気澄む橋蒼穹へ伸び上り
秋気澄む橋蒼穹へ伸び上り /勝美
色変へぬ松亀甲の罅深し /勝美
色変へぬ松亀甲の罅深し
団栗を載せ川下へ舟下り
団栗を載せ川下へ舟下り /勝美
役目終へ遺跡めきたる堰外す /勝美
役目終へ遺跡めきたる堰外す
天高し手焼き体験完遂す
天高し手焼き体験完遂す /勝美

ひねもす俳句:身に沁む秋

2018/10/14

登高やたこウインナーを弁当に /勝美
長き夜や我と離れぬ我の影 /勝美
身に沁むやこの境遇を思ふとき /勝美
少女には少女の秋思ありぬべし /勝美
老残の身を安らけく秋の海 /勝美

ひねもす俳句:見つけた秋

2018/10/01

秋雨
秋霖は濁世の濁を流し去る /勝美
天空を跳ねてゐたりし月兎かな /勝美
垂れ下がる雲
タマスダレ
秋天の芸は南京玉すだれ /勝美
安らぎや赤き褥に秋の蝶 /勝美
彼岸花とアゲハ蝶
薄
野晒しの髑髏を隠す芒原 /勝美

ひねもす俳句:秋のぶらぶら

2018/09/18

ざくろたくさん
恍惚の笑みを交せり敬老日 /勝美
漫画家の部屋を復元文化の日 /勝美
トキワ荘の4畳半再現
ホテイアオイ
小魚を庇護するごとく布袋草 /勝美
ひぐらしや看板猫は耳を立て /勝美
看板猫
水飲むスズメ
蛤に化すべく水に寄る雀 /勝美

注:「雀蛤となる(雀大水に入り蛤となる)」が秋の時候の季語。

ひねもす俳句:地下の殿堂

2018/08/30

大谷石資料館
天を摩す隠し砦の冷ややかに /勝美
採掘の跡は酷暑を寄せぬ地下 /勝美
広い坑内
見学者も多い
殿堂の如き遺跡や秋迫る /勝美
遺物めく機械の古ぶ夏の果 /勝美
古い機械
地下の階段
秋の夜のオペラ天井桟敷席 /勝美

ひねもす俳句:海の風は晩夏

2018/08/18

きのこ出現
パラボラに銀河の電波襲来す /勝美
この先に秋の海あり波の音 /勝美
海への道
海辺のパラソル
とりどりのパラソル浜の小宇宙 /勝美
目の先の夏の果見る監視員 /勝美
ライフセーバー
海の家
夏怒涛さざ波という海の家 /勝美

ひねもす俳句:猛暑の日

2018/08/12

猛暑日の家並
極暑かな家も錆び出し立ち尽くす /勝美
根つからの菜食主義や生身魂 /勝美
八百屋
亀有駅前
駅前の交通整理秋祭り /勝美
雲見ればきのこ雲かと原爆忌 /勝美
入道雲
子ツバメ飛ぶ練習
五線譜に鎮魂の曲燕の子 /勝美

ひねもす俳句:いのちの限り

2018/07/30

セミの抜け殻
売り家の札のなけれど蝉の殻 /勝美
世知辛き世や塩辛といふ蜻蛉 /勝美
オオシオカラトンボ
カブトムシ
戦国の武将斯くやと兜虫 /勝美
原爆の日やビル群の黙深し /勝美
新宿ビル群
夏の遊び場
岩清水いのち育む水豊か /勝美

ひねもす俳句:神宿る

2018/07/12

八雲神社
八雲立つ出雲狭しとはたた神 /勝美
神主の狩り立てられて山開き /勝美
十条富士神社
演芸場
歌丸を悼み休館夏深む /勝美
溶岩を積みたる山や富士詣 /勝美
お富士さん詣で
呑んベ横丁
緑蔭も横丁も亦憩ひの場 /勝美

ひねもす俳句:梅雨はどこへ

2018/06/25

フェイク芋虫
油虫虫愛づる姫の蒐集外 /勝美
化粧半ばの大部屋女優半夏生 /勝美
半夏生
日光彫り体験
働いて昼寝の覚めぬ眠り猫 /勝美
AIに学ぶ文体我鬼忌なり /勝美
解体される風呂屋
梅2つ
実梅落つ平成時代終焉に /勝美

ひねもす俳句:梅雨の散歩道

2018/06/15

さくらんぼ2018
球体の愛のかたまりさくらんぼ /勝美
明け易し胸に双子の嬰を抱き  /勝美
赤い花
十条銀座
巡回車来たり梅雨入りのアーケード /勝美
ベランダの避難通路は天国へ /勝美
すべり台
蛍袋
火山爆発蛍袋のシェルターへ /勝美

ひねもす俳句:夏はここにも

2018/05/27

薔薇クローズアップ
オキーフのモチーフ見たり夏の昼 /勝美
彗星の襲ふ地球や夏深し /勝美
ねこじゃらし?
薔薇に蝶
我想ふ蝶に美醜の在るまじく  /勝美
再びの船出期すべし土用干 /勝美
ヨットハーバー
カピバラのお菓子
満ち足りて桃源にをり船料理 /勝美

ひねもす俳句:永遠の命

2018/05/13

薔薇の匂い
永遠なれや掌に慈しむ水中花 /勝美
青嵐行き着く先へゆく計り /勝美
長瀞ライン下りの船頭さん
横浜2018
鎌首を立て衣を脱ぐ蛇の群 /勝美
熱帯魚潜みゐたりし見えざりし /勝美
薔薇水盤
長瀞の石
夜の秋や地球の歴史秘むる石 /勝美

ひねもす俳句:秘境探検

2018/05/01

稲付城跡
緑陰は秘境を蔵す探検す /勝美
日の盛り鞠を離さぬ座敷犬 /勝美
静勝寺の狛犬
稲付城壁の石
大振りに切るも宜しき葛の餅 /勝美
蟻塚の聳え打捨てらるるとも /勝美
ゴースト団地
取り壊される家
無残やな昼寝の場所を奪はれて /勝美

ひねもす俳句:五月来る

2018/05/01

若葉の銀杏並木
五月来る集合場所へあと一歩 /勝美
真心といふ色赤しへびいちご /勝美
蛇苺
こいのぼり
美しき日本ありけり鯉幟 /勝美
代掻きや風雲急な空映し /勝美
田植え前
芋虫
芋虫といへば乱歩かカフカかな /勝美

ひねもす俳句:山は笑うのだ

2018/04/11

とげとげの花
星雲は星の残骸花エリカ /勝美
遍路ゆく川ひと筋を囲む柵 /勝美
春の土手
スノーフレーク
春よ来いとて一斉に灯をかざす /勝美
筍の首級の如く置かれけり /勝美
たけのこ
大きい松ぼっくり
円空の千手に力山笑ふ /勝美

ひねもす俳句:美はここに在り

2018/03/28

馬酔木まっさかり
酒酌むや自づから酔ふ花馬酔木 /勝美
二輪草自問自答のモノローグ /勝美
日向の二輪草
芽吹き
蛇穴を出でて鎌首もたげけり /勝美
ブランドの制服纏ひ茎立てり /勝美
整頓された花壇
夜桜
美しきものは地上に月おぼろ /勝美

ひねもす俳句:春のおとずれ

2018/03/11

春のお堀
安寧のひと日ありけり水温む /勝美
風光る樹樹は目覚めの刻得たり /勝美
木蓮2018
京都のお干菓子
春色の溢るる干菓子召し上がれ /勝美
春光を花弁に集め飴細工 /勝美
椿2018
ぺんぺん草
居留地の鉄鎖光れり花なづな /勝美

ひねもす俳句:出歩くのも有り

2018/02/12

石神井川
合格を常の景色の中で待つ /勝美
熊猫は硝子で隔離春の雷 /勝美
硝子店
浅草
うららかや金の雲浮く昼下がり /勝美
着膨れて素通りしたり神谷バー /勝美
神谷バー
ローズマリー
追憶はしづくのごとし春の海  /勝美

ひねもす俳句:春はそこまで

2018/01/26

運動公園
立春や草原情歌流れくる  /勝美
聴すべし老婆トリオの手毬唄 /勝美
熊本手毬
雪吊り
燦燦と春日注げり籠の鳥 /勝美
ふるさとや留学生の雪達磨 /勝美
雪だるま
大雪2018
足跡を乱し兎の駆けてゆく /勝美

ひねもす俳句:七福神ラリー

2018/01/13

閻魔大王
寒林の径引き返すことを得ず /勝美
春風や一枚脱ぎて軽やかに /勝美
奪衣婆
懸衣翁
纏ふものまとふゴリラや亀鳴けり /勝美
凍滝や飛び込む勿れと監視員 /勝美
仁王
御朱印
七福神詣で一尊残しけり /勝美

ひねもす俳句:季節の足音

2017/12/18

野焼き
縄文の体験学習土器野焼き  /勝美
ガンジスに燃ゆる炎や火事ならず /勝美
火
土器
冬ぬくし出所正しき土器である  /勝美
規格外好まぬ世なり春遠し  /勝美
丸餅
餅つき
銘銘の不満鬱憤搗き冴ゆる  /勝美

ひねもす俳句:冬の街歩き

2017/11/26

逆光の街
短日や光芒消ゆること疾し /勝美
冬の川暗き世相を映しけり /勝美
神田川
クリスマス前の歯医者
電飾のバイク聖夜の歯科医院 /勝美
海底の貝や魚やクリスマス /勝美
海のいきもの
壁を登るレスキュー隊
切餅のはや罅割るる晴つづき /勝美

ひねもす俳句:ひと日の安らぎ

2017/11/14

ススキ野原
冬空に秩父一揆の狼煙かな /勝美
探梅の逸る心を抑へけり /勝美
竹林を歩く
武相荘
どの部屋にゐても愉しや虎落笛 /勝美
花市へ春を求めに日は燦と /勝美
花市
夕暮れの舗道
短日の舗道やひと気なき一瞬 /勝美

ひねもす俳句:忙中の閑

2017/11/01

キスジツマキリヨトウ
青虫のやうな鼻水垂れ給ふ /勝美
踏まれ邪鬼踏まるるままに年暮るる /勝美
寺への階段
仏足石
仏足は扁平足や枯葉散る /勝美
寒月や顔を洗つて出直さう /勝美
猫の水鏡
灯篭と生垣
数へ日は生有るものに無きものに /勝美

ひねもす俳句:人恋し

2017/10/15

小さな吊り橋
吊り橋は神の旅路の始めなり /勝美
穴惑ふことなし鳥の囮置く /勝美
小鳥の像
イヌタデと秋空
人住まぬままの廃墟や赤のまま /勝美
迷へども黄色に惹かれ秋の蝶 /勝美
マリーゴールドとタテハ蝶
音無親水公園
晩秋の石積む庭へ泣きに来し /勝美

ひねもす俳句:冬隣り

2017/09/29

猫の背中
冬仕度始めんと影起き上がる /勝美
動かせば祟ると祠秋の冷 /勝美
高沼遊歩道の端
ハンバーグランチ
馬肥ゆるブリアサバランならずとも /勝美
腰掛けし天狗ゐたりし大枯木 /勝美
欅の現在
人形三体
冬近し注文服のまだ出来ず /勝美

ひねもす俳句:素晴らし乎!!

2017/09/14

赤羽教会
かなかなやなかなか踏み切れぬ懺悔
台風の進路予想を枠描きす /勝美
ケンケンぱ
スヴァラ歯科
「素晴らし乎!」と感嘆の声松手入れ /勝美
凶暴の限りや秋のスズメ蜂 /勝美
ハンゴンソウの仲間
夕焼け
暗雲の底なる大地冬隣 /勝美

ひねもす俳句:小江戸ぶらり秋

2017/08/27

クラシックバス
秋雨も風情のひとつ小江戸バス /勝美
蔵の町影を刻みてゐる良夜 /勝美
昔の川越
日本聖公会川越キリスト教会
門閉ざしても残暑拒まざる教会 /勝美
文化の日とんがり帽の似合ふ家 /勝美
埼玉りそな銀行
蔵造りの家
足まかせ次は何処行く秋遍路 /勝美

ひねもす俳句:一足飛びに秋

2017/08/17

港町の路地
秋澄むやジャンギャバンゐし港町 /勝美
秋すさぶ停戦地区に不発弾 /勝美
イガ
ときがわ町
秋哀れふるさとといふ原風景 /勝美
血痕と散弾残し手負ひ猪 /勝美
きのことブルーベリー
ドーナツ3つ
秋思湧くコマーシャルめく輪が三つ /勝美

ひねもす俳句:さらば夏よ

2017/07/29

しょんぼりペッパーくん

足元を探せど夏は見当たらず /勝美

九頭竜公園の池

怪獣の水を吸ひ込む油照 /勝美

猫皿

赤まんま盛つてみやうか猫の皿 /勝美

スイカたくさん

一斉に補陀落渡海西瓜船 /勝美

あかつか探偵事務所

行く夏を探す依頼の終ぞ来ず /勝美

ひねもす俳句:夏本番へ

2017/07/11

銀座のホコ天

夏空の突き刺すビルの底に人 /勝美

ミニ地蔵たくさん

夏ライブ親衛隊の十重二十重 /勝美

かざぐるま

風死すやモニュメントめく風車 /勝美

すもも

天道虫七つの星を巡り来し /勝美

ツリガネニンジン

空き部屋に点る灯のなく釣鐘草 /勝美

ひねもす俳句:夏の夜の夢

2017/06/11

アアソウカイ
蜘蛛の糸天より下り河童の忌 /勝美
浮く意思を姿にみせて浮人形 /勝美
亀(スッポン?)
ヒスイカズラ
遺伝子の操作の極み青バナナ /勝美
深海の水母時空のなき如し /勝美
カラフルクラゲ
フグ
何につけひと言給ふ生身魂 /勝美

ひねもす俳句:こんなところに

2017/06/02

猫とベンチ

片蔭の移ろひ疾しベンチ猫  /勝美

カルミア満開

吹き飛ばす憂さや納涼花火会 /勝美

小判草

狭庭とて溢るるばかり小判草 /勝美

どくだみと小便小僧

十薬の増えて思案の及ばざり /勝美

メロンパン

パン店の看板天道虫に似て  /勝美

ひねもす俳句:身軽に五月

2017/05/16

竹の子公園

夏座敷開け竹林の風を聴く /勝美

イタ飯

ブリアサヴァラン夏痩せ知らぬ食べつぷり /勝美

犬

彫刻にはたと着きけり道をしへ /勝美

湿地

真菰刈る湿地取り巻く住宅地 /勝美

湿地の橋

開発は身近に迫り源五郎  /勝美

ひねもす俳句:日々新し

2017/04/26

ちりめんじゃこ
碧玉の青さ弥増す夏は来ぬ  /勝美

ケセラン

緑さす眼底検査異常なし   /勝美

若葉

部屋といふ部屋に命や若葉光 /勝美

めだか

亀鳴くや空に微塵の粒子浮く /勝美

緑道の魚

掻掘や酒の肴に泥鰌鍋    /勝美

ひねもす俳句:古都の旅(遭遇編)

2017/04/09

清水の龍
切れし尾に永遠の別れの目の蜥蜴 /勝美

伊吹山

はつ夏や旅にしあれば鳥の声 /勝美

石垣の修理

決壊を防ぐ一指や梅雨入穴 /勝美

置物ねこ

野遊びに行かうとやんちや坊主なり /勝美

鴨川

つちふるや雲の流るる方へ川 /勝美

ひねもす俳句:古都の旅(植物編)

2017/03/28

二条城の堀
掘割に映る石垣梅香る /勝美

キブシの花

花木五倍子庭園占拠の中国語 /勝美

ヒヤシンス

我に向く甘味処のヒヤシンス /勝美

馬酔木

池の面へ香ただよふ花馬酔木 /勝美

枝垂柳

万葉の風生む枝垂やなぎかな /勝美

ひねもす俳句:浮き浮き憂き世

2017/03/05

梅開く
白皙の頬に紅差し梅開く /勝美

婆と猫

春逝くと逝きつく先は猫に聞け /勝美

魚釣り

永き日や終日魚信待つばかり /勝美

陣地とり

梅の香や赤塚城址陣地取り /勝美

野点

野点てふショーの開幕梅の席 /勝美

ひねもす俳句:ひたすら春

2017/02/17

神田川
雛流しせし川改修中なりし  /勝美

階段坂道

一途なる求道の道や遍路道 /勝美

ねこ大福

捏ねまはし猫に似て来し雪兎 /勝美

赤松

赤銅の体躯春光発しけり  /勝美

洗濯物の干し方

縄文の穴居住居にうらら春   /勝美

ひねもす俳句:亀鳴く

2017/01/27

晩白柚
啓蟄や眠りの覚めぬものひそむ  /勝美

猫二態

夜までは恋の戦闘待機猫 /勝美

ねこくじ

亀鳴くやねこくじといふ運試し /勝美

筑土八幡のイチョウ

桜咲くことのなかりき公孫樹 /勝美

梅と狛犬

狛犬の声なき声や枝垂れ梅   /勝美

ひねもす俳句:新年御慶

2017/01/03

ピラカンサ
鈴生りの筋子の色に在る淑気  /勝美

長い影

人日や影執拗につきまとふ /勝美

冬の空

大寒や陽光雲と格闘す /勝美

信号と街灯

鷹の目に早暮れなづむ街灯り /勝美

チョコユキダルマ

屈託のなく五つ子の雪だるま   /勝美

ひねもす俳句:忙中の閑

2016/12/19

夜の兼六園
寒林の影の溶け込む空と水  /勝美

金沢夜景

百万の人の住む街灯の冴ゆる /勝美

茶屋街

冬空や遠近法といふ技法 /勝美

きんつば

数へ日の忙中閑の茶に和む /勝美

武家屋敷

冬眠や菰藁ひしと巻き眠る   /勝美

ひねもす俳句:数え日

2016/12/06

朝霞
タイトルは「静謐」なりし山眠る  /勝美

鼓門

羅生門斯くやゆく年くぐる門 /勝美

用水路

堀割の空に片寄せられ落葉 /勝美

21世紀美術館の外の椅子

年越の相談終へてひと安堵 /勝美

金沢城壁

寒寄せつけず石垣を積む砦  /勝美

ひねもす俳句:瞬時瞬間

2016/11/15

サルノコシカケ?
人生の端に腰掛け春待てり  /勝美

弁天窟

果報寝て待つ短日の男ゐし /勝美

都鳥

寒夕焼姿止めて四時の富士 /勝美

枯れ蓮

貴重品並みの扱ひ冬野菜 /勝美

由比ヶ浜

パレードや鉛の兵隊クリスマス  /勝美

ひねもす俳句:人生模様

2016/10/30

ホトトギスソウ
ルナールの赤毛少年杜鵑草 /勝美

弁天窟

人生の迷路冬眠場所探し /勝美

都鳥

日が暮るる仲間外れの都鳥 /勝美

枯れ蓮

入滅の釈迦の肋骨枯れはちす /勝美

由比ヶ浜

染み染みと語る人生冬の浜  /勝美

ひねもす俳句:風まかせ

2016/10/23

鎌倉駅
冬仕度いざ鎌倉の意気をもち /勝美

鎌倉大仏の中

胎内は修羅の極みや秋あはれ /勝美

ふぐちょうちん

紙製の河豚や水母や秋気澄む /勝美

三地蔵

そつくりの顔の兄弟冬ぬくし /勝美

卍池

秋深し卍の池に水満ちて  /勝美

ひねもす俳句:秋思なほ

2016/09/30

ウーパルーパ
冬近し身ほとり透けてゆくごとし /勝美

アダン

爆弾か霜晴れ遠き紛争地 /勝美

チョウチョウオ

ゆく秋や癒えて用なき水枕 /勝美

秋の月

螻蛄鳴くや悪事は明明白白に /勝美

タニシの子

地球外生命天の川より来  /勝美

ひねもす俳句:移ろい迅し

2016/09/16

ニラの花
潜みゐて花の如くに虫鳴けり /勝美

石神井川

秋哀れ石に刻みし無縁仏 /勝美

石神井川

秋出水収まり渓谷貌戻す /勝美

干物

干しうをを殊に好まれ生身魂 /勝美

雨に濡れるカボチャ

産み落とす卵そのまま穴惑ひ  /勝美

ひねもす俳句:秋思

2016/08/27

ヨウシュヤマゴボウ
秋哀れ形に残るもの残り /勝美

スズメガの幼虫

芋虫と言へば江戸川乱歩かな /勝美

フルーツタルト

秋思なほ人数分に分けてもや /勝美

夕焼け

宇宙船秋の暮色残し去る /勝美

砂浜

行く秋は浜にひと影なき如し  /勝美

ひねもす俳句:秋への一歩

2016/08/09

ヘチマのつる
縋るものあれば身を寄せ敬老日  /勝美

葉脈

十六夜や下町路地の多くして /勝美

木陰で一休み

コロニーの蟻ひと時を安らげり/勝美

噴水

秋空や聳えて高き聖火台   /勝美

見下ろす街

空重く垂れて八月十五日  /勝美

ひねもす俳句:夏の果

2016/07/28

盆踊り
ロボットも意志もて動く明易し  /勝美

石神井川

 行く水の還らぬ流れ震災忌 /勝美

漫画会館

炎日や劇画の如き世を生きて/勝美

大学病院の窓から

蟬の声しきり廃墟の空重く   /勝美

トケイソウ

地球てふ星は破滅へ時計草  /勝美

ひねもす俳句:夜の秋

2016/07/11

ホウズキ
たましひの乾きて赤し蒼朮焚く  /勝美

ソテツの花

 禿鷲の眼は炯炯として旱(ひでり) /勝美

投票日

炎天に投票済ます草田男忌/勝美

空の三角形

SOSキャッチ葉月の電波網  /勝美

夕暮れの空

夜の秋西方浄土茜さす /勝美

ひねもす俳句:木曽呂富士

2016/06/19

氏神へ河童一族河童の忌
氏神へ河童一族河童の忌 /勝美

 川床や猫の如くに腹這へる

 川床や猫の如くに腹這へる  /勝美

木曽呂富士

かけ声は喘ぎにかはり富士詣 /勝美

木曽呂富士の胎内くぐり跡

古代史の扉閉ぢたる大暑かな  /勝美

竹林

竹の声聴きゐて涼し竹浄土 /勝美

ひねもす俳句:一夜の夢

2016/06/09

熱戦も冷戦も蚊帳のうちそと

熱戦も冷戦も蚊帳のうちそと /勝美

立葵チラノサウルス来る気配

立葵チラノサウルス来る気配  /勝美

青簾秘かにみのるはかりごと

青簾秘かにみのるはかりごと /勝美

子は昼寝見本市めく遊具かな

子は昼寝見本市めく遊具かな  /勝美

星涼し人みな足を地につけて

星涼し人みな足を地につけて /勝美

ひねもす俳句:街薄暑

2016/05/23

ここも解体予定
卯の花腐しいづれ更地となる旧家 /勝美

船形スイカがたくさん

百帆のヨットレースに馳せ参ず  /勝美

ラーメン店

客足の絶えて久しく明け易し /勝美

夕闇迫る東上線

時の日や日暮れの街へ途中下車 /勝美

建築中のシルエット

夏の夜の夢ガス燈のバーグマン /勝美

ひねもす俳句:緑さす

2016/05/07

ピッツェリアでプチ誕生会
即席に誕生祝ふ麦の秋 /勝美

薔薇

考へることの多くて薔薇の襞  /勝美

五月晴れの緑道

緑蔭を求むる人の歩の軽し /勝美

別所沼の並木道

万緑の空は何時でも狭かりし /勝美

昆虫館跡の雑木林

昆虫館を守りゐたりし夏木立 /勝美

ひねもす俳句:花は葉に

2016/04/25

浄財
地震の地へ送る浄財花は葉に /勝美

※ 地震は(ない)と読みます
筍の皮干し

竹皮を脱ぐ逞しきをのこたれ  /勝美

園庭のこいのぼり

干し物のやうに吊るされ鯉幟 /勝美

晴れのハナミズキ

祗園会を待つ友禅の仕立上げ /勝美

クレマチス

クレマチス何に縋れば良いのだらう /勝美

彷徨う春

2016/04/03

八つ橋
春陰や紆余曲折は世の習ひ /勝美

土管

春眠の出口は入り口へ続く  /勝美

池の石

春風の穿つや石の寝椅子めく /勝美

池に映る桜

ナルシスに似たり桜の水鏡 /勝美

岩槻の時の鐘

花冷や鳴るも鳴らぬも時の鐘  /勝美

ひねもす俳句:春彼岸

2016/03/21

春の用水路
春陰や流れは川の弧に沿ひて /勝美

アオサギ

ブロンズの青鷺置かれゐる春野  /勝美

夜のお地蔵

町内に目立つ抗争彼岸寒 /勝美

タンポポ

たんぽぽは花冠に身を挺す /勝美

弁当たくさん

我からに湧かぬ食欲春愁  /勝美

ひねもす俳句:春の躍動

2016/03/01

桜餅!
佐保姫は見目よく匂ふばかりなり /勝美

土下座寝

瞑想は祈りへ転ず3・11忌  /勝美

品川の猫像

鞘当ては終はることなし恋の猫 /勝美

がんじがらめの遊具

春愁や役に立つこと能はざる /勝美

ジャズリサイタル

囀りにしばし静寂のありにけり /勝美

ひねもす俳句:凍ゆるむ

2016/02/14

米いろいろ
差別化といふ自己主張のどけしや /勝美

工事中

造成のおのころ島のかげろへる /勝美

福島の空

佐保姫を迎ふる整地進みけり /勝美

犬が出迎え

鷹鳩と化し猛犬は歯を鳴らす /勝美

スケートリンク

凍ゆるむ溺れなきやうご用心 /勝美

ひねもす俳句:春の雪

2016/01/19

雪の舗道
氷解くことなき隘路我が行く手 /勝美

雪の駐車場

痕跡は顕著に残り雪解道 /勝美

空き地の仮設トイレも雪景色

残雪の果てにありけり外厠 /勝美

雪晴れ

雪載せて心の闇を隠す街 /勝美

雪の日の物干

黎明に凍るリフトの架線かな /勝美

ひねもす俳句:立春大吉

2016/01/19

荒川
早春の大河たゆたひ空目指す /勝美

いぶし中の古民家

立春大吉神棚に神在す /勝美

留守番のあとの猫

紙引き裂くや猫の子の自己顕示 /勝美

ツワブキの綿毛

鳥の巣や臆病ものは巣に残り /勝美

臘梅

春めくや日射し集むる蝋細工 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2016/01/19

踏切
遮断機は線路のそばに去年今年 /勝美

薄皮鯛焼き

飛びたくて鯛焼羽根を生やせしか /勝美

冬の満月の夜

寒月をそびらに掲げ街眠る /勝美

すっかり葉の落ちた木立

大空の掃除に余念なき冬木 /勝美

メタセコイヤの実

寒禽の餌をたくはへ落葉松 /勝美

ひねもす俳句:あれやこれや

2016/01/19

オナモミ
をなもみはヤマアラシ氏の落し種 /勝美

クヌギ

春遠からじ古服は脱ぐばかり /勝美


雪虫の眠るや遊び疲れ果て /勝美

夕暮れの富士

寒夕焼後生楽土は西に在り /勝美

晩秋の赤い実

数へ日の山に残れる色を愛づ /勝美

ひねもす俳句:年詰まる

2016/01/19

池に来る鳥
寒波くる羽根あるものは羽根つかひ /勝美

五家宝

五家宝も売つてゐるなり年の市 /勝美

砂の落書き

落書きの呪文めきたり年詰まる /勝美

ガラス玉

寒色の光り小春の硝子玉 /勝美

ミラノのパン屋

数へ日の胃袋拒むものはなし /勝美

うらわの俳人、さいたま市民第14号俳句部門にて文芸賞!

2016/01/19

去る14日、授賞式での様子です。

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赤 塚  城 址

 城址の碑ひそとありけり桜散る

 幻の武者の喊声花吹雪

 ゆるゆると古武道演武花の昼

 花屑を踏みて子どもの武者の列

 外堀は自動車道路花ぐもり

ひねもす俳句:美術の秋

2016/01/19

ステンドグラス
短日は微塵の色を止めけり /勝美

ニキドサンフォル

ニキはニキ柿は柿なり紛れなし /勝美

神の手

空青けれど冬将軍の気配あり /勝美

塀より覗く像

高塀に覗く像ゐて冬日和 /勝美

螺旋階段

踏み残す秋の足跡螺旋階 /勝美

ひねもす俳句:秋の断片

2016/01/19

ハナミズキのみ実
色鳥のために食欲そそる赤 /勝美

トンボ

運命の指蜻蛉に鯨幕 /勝美

蓮の実

弾倉に弾丸確と獣狩り /勝美

裏路地

人生の裏道西日射す前途 /勝美

公衆浴場

敬老日公衆浴場休業日 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2015/12/26

遮断機は線路のそばに去年今年 /勝美
飛びたくて鯛焼羽根を生やせしか /勝美
寒月をそびらに掲げ街眠る /勝美
大空の掃除に余念なき冬木 /勝美
寒禽の餌をたくはへ落葉松 /勝美

ひねもす俳句:あれやこれや

2015/12/13

をなもみはヤマアラシ氏の落し種 /勝美
春遠からじ古服は脱ぐばかり /勝美
雪虫の眠るや遊び疲れ果て /勝美
寒夕焼後生楽土は西に在り /勝美
数へ日の山に残れる色を愛づ /勝美

ひねもす俳句:年詰まる

2015/11/23

寒波くる羽根あるものは羽根つかひ /勝美
五家宝も売つてゐるなり年の市 /勝美
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落書きの呪文めきたり年詰まる /勝美
寒色の光り小春の硝子玉 /勝美
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数へ日の胃袋拒むものはなし /勝美

ひねもす俳句:美術の秋

2015/11/04

短日は微塵の色を止めけり /勝美
ニキはニキ柿は柿なり紛れなし /勝美
空青けれど冬将軍の気配あり /勝美
高塀に覗く像ゐて冬日和 /勝美
踏み残す秋の足跡螺旋階 /勝美

ひねもす俳句:足早に冬

2015/10/26

ぞうり
道中履選ぶ旅人小春の日  /勝美

ザクロ

鬼子母神喜ぶやうに石榴熟る /勝美

富士山

冠雪の冨士をイメージ毛糸編む /勝美

ピラサンカ

誰彼の区別無かりし日向ぼこ /勝美

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高齢者独りの住まひ冬館 /勝美

ひねもす俳句:秋深む街

2015/10/12

ビル群
秋天にそそる壁面四面体  /勝美

公園

黄葉の刻待つ木木に空広し /勝美

スーパームーン

秋澄むとノーベル賞の金メダル /勝美

郊外の河川

一本の川が街割くそぞろ寒 /勝美

ぎんなん

銀杏や踏むを躊躇ふ地雷原 /勝美

ひねもす俳句:秋の断片

2015/09/22

色鳥のために食欲そそる赤 /勝美
運命の指蜻蛉に鯨幕 /勝美
弾倉に弾丸確と獣狩り /勝美
敬老日公衆浴場休業日 /勝美

ひねもす俳句:秋のひと駒

2015/09/08

秋風やピッツア作りの奥深し /勝美
若者に負けぬ食欲生身魂  /勝美
水澄むといふ静謐の刻得たり /勝美
茸とて根張りたしかや獺祭忌 /勝美

ひねもす俳句:色色の影

2015/08/24

羽化したての蝉
転生の夢は束の間明け易し /勝美

蝉墓場

声上げて蝉のたましひ呼び戻す /勝美

カラフル噴水

河童忌の火花五彩に噴き上がり /勝美

影とボール

七十年前の影追ふ終戦日 /勝美

公園の遊具

動かざる遊具影曳く夏の果 /勝美

ひねもす俳句:秋暑し

2015/08/09

石段
残暑はや転がるやうに過ぎゆくか /勝美

岩すべり

秋の水滑り台めく岩すべる /勝美

鍋物

秋暑し黒く煮詰まるもの食へと /勝美

トマト

掌に余る収穫秋の色湛へ /勝美

宮通り

人ぞろぞろと宵闇の宮通り /勝美

ひねもす俳句:夏本番

2015/07/25

夕方シルエット
夜の秋静かになりし彼我の陣 /勝美

入道雲

峰雲の中途半端な育ちやう /勝美

田舎の駅

今日も亦人を待ちゐる盆の駅 /勝美

夏の川

夏の川浸る鉄鎖のなかりけり /勝美

アウトドア炊事場

炊出しに不味きものなし震災忌 /勝美

ひねもす俳句:梅雨寒し

2015/07/07

アーケード商店街
七夕の飾りに頼む過疎の町 /勝美

笹飾り2015

捨てられし七夕竹を電柱に /勝美

ハイム幸福

梅雨寒し祈りの館門扉閉づ /勝美

工事中

緞帳に代はるシートや夏芝居 /勝美

シネマジャックアンドベティ

上映のホラー冷房効果大 /勝美

ひねもす俳句:色色の色

2015/06/23

ネジバナ
文字摺や使はぬものに観世縒 /勝美

夕焼け

地獄変斯くやの紅蓮河童の忌 /勝美

代々木体育館

夏の夜の夢物語戦士果つ /勝美

青目の猫

猫の目のいや増す青さ夜の秋 /勝美

成増駅

風鈴の百の音色や駅ホーム /勝美

ひねもす俳句:時の流れ

2015/06/09

薬屋
時の日や看板舊きままで良し /勝美

イワタバコ

夏登山岩場で煙草吹かしけり /勝美

階段上から

埋立てて市街地となる旱雲 /勝美

スイレン

 睡蓮や濁世に一花汚れずに /勝美

クサギ

温暖化すすむ臭木の花咲けり /勝美

ひねもす俳句:日のひかり

2015/05/22

石段
帰省子の踏む石段に日の斑揺る /勝美

木の実

光年の刻をとどめて星涼し /勝美

赤門

草笛を鳴らし寺門を潜りけり /勝美

カメ

甲羅灼け岩灼けカメ目爬虫類 /勝美

トンネル

トンネルは生活道路山笑ふ /勝美

ひねもす俳句:イタリアのひと日

2015/05/11

カフェ
ひと時の朝餉愉しむ五月の日 /勝美

建物の入り口

帰省子のために門戸を開きをく /勝美

落書き

落書きの稚拙は問はずこどもの日 /勝美

洗濯屋の犬

走り梅雨監視カメラのやうな犬 /勝美

清掃隊デモ

路ゆくやデモの遮る夏の街 /勝美

ひねもす俳句:旅の朝

2015/05/05

ミラノの野菜市場
ミラノにてミラノの野菜夕薄暑 /勝美

エスカルゴ

ででむしの咎なく一網打尽とは /勝美

イチゴ

夕焼けの中途半端の色纏ひ /勝美

カップッチーノ

陽炎や飲めば崩るる刹那の美 /勝美

部屋の窓から

旅にして朝寝楽しむ暇なかり /勝美

ひねもす俳句:麦秋

2015/04/19

土筆と野蒜
春惜しむ野に在るものを手元にし /勝美

雨の新橋

暮の春舗道は光滲ませて /勝美

都心の昼

鬩ぎあふビルの狭間に春の川 /勝美

長い参道

参道の長し鳥居の陽炎へる /勝美

虹光る

麦秋や厚き雲裂き光出づ /勝美

ひねもす俳句:四月馬鹿

2015/04/01

すずしろ汁
災害は陽炎なりや救護飯 /勝美

渋谷の川

水温む暗渠にかかる排水路 /勝美

おたふくソースダブルハーフ

ブランドとして佐保姫の並びをり /勝美

めまい

足下の覚束なかり目借時 /勝美

花見

人なるがゆゑに集へり花の下 /勝美

ひねもす俳句:春来たる

2015/03/15

荒れ庭
荒れ庭の古里に春戻り来し /勝美

武者装束

戦国の世はひたひたと春愁 /勝美

和太鼓演舞

五月雛出陣太鼓響きけり /勝美

チンドン屋

哀しみは春の名残のジンタかな /勝美

壇香梅

春は黄に檀香梅の自己主張 /勝美

ひねもす俳句:暖かし

2015/03/15

梅林
亀鳴けり土中の孤独堪へ切れず /勝美

梅祭り

僥倖のあると知るべし青き踏む /勝美

偏光フィルム

目くるめく光のレビュー荷風の忌 /勝美

猫増殖中

猫の子の瞳虚ろに揃ひけり /勝美

京王堀之内

硬直の世に曲線の暖かし /勝美

ひねもす俳句:春よ来い

2015/02/19

小さな花
花むしろ遠く波斯の夢を見し /勝美

神社のある交差点

初午やビルの林に囲まれて /勝美

横浜橋市場

魚は氷に上り商売繁盛す /勝美

雨のイタリア街

春雨や身は一介の異邦人 /勝美

下から見る雪

本当の空なき首都や凍緩む /勝美

ひねもす俳句:鳥雲に

2015/02/02

猫まんじゅう
我輩は炬燵なくとも丸くなる /勝美

薄雪

春雪を屋根に残して雨となる /勝美

風の強い日

利休忌の路肩や草のひるがへり /勝美

横たわる雲

雲に入る鳥や行く手の渺渺と /勝美

稲荷を上から

初午や僅かな森を拠り所とし /勝美

ひねもす俳句:春浅し

2015/01/20

図書館
万巻の蔵書整然冴返る /勝美

アロエの花

大寒の鶏とさか振りかざす /勝美

乳房碑

乳房碑を残して天へ登る竜 /勝美

霜柱

霜柱立つこの辺り猫の墓 /勝美

冬木立

枝張るも空は掴めず冬木立 /勝美

ひねもす俳句:去年今年

2015/01/01

葉っぱの照明作品
初句会一句一句に光るもの /勝美

ポテトグラタン

混沌の世相の絡む去年今年 /勝美

カフェのテーブル

目印を置く佐保姫の予約席 /勝美

枯れ銀杏並木

新しき年へ年へとひと歩む /勝美

自転車影

文明の進歩は速し日脚伸ぶ /勝美

ひねもす俳句:数へ日

2014/12/14

冬の川
今しがた流れゆきけり鴨の群 /勝美

畑

冬耕の畝の収束して平和 /勝美

建設中とフェンス

フエンスの内外なべて日脚伸ぶ /勝美

餅搗き

餅搗きの共同作業始むべし /勝美

沼の灯

数へ日の灯影は胸の奥にまで /勝美

ひねもす俳句:年詰まる

2014/11/26

白南天
実南天古墳内部に十二星 /勝美

稲荷神社

胃カメラの辿りつく先年の暮 /勝美

ガーデンシクラメン

クリスマスファッションショーの舞台裏 /勝美

ツワブキ

石蕗の花語り部夜を語り継ぐ /勝美

紅葉2014

冬紅葉田舎暮しを始めんか /勝美

ひねもす俳句:あれやこれや

2014/11/16

シロタエギク
どの顔もみんな日に向く日向ぼこ /勝美

並木道

項垂れて歩く人生冬の雲 /勝美

車万華鏡

追掛けて追掛けられて年の暮 /勝美

初冬の木々

我も亦孰れ地に墜つ木の葉かな /勝美

日暮れの公園

日が暮れておしくらまんぢゆうもう出来ず /勝美

冬に入る

2014/10/31

山猫軒
メルヘンの扉開かれ冬に入る /勝美

スタート地点

横断幕潜りて神の旅立てり /勝美

山歩き

神留守の山へお百度列なして /勝美

なだらかな山

おほらかや眠るに早き冬の山 /勝美

女滝

はしたなき小便小僧冬ざるる /勝美

季節の移ろい

2014/10/14

飛行機雲
風吹けば風に煽られ秋の蚊帳 /勝美

薔薇とカエル

天鵞絨のしとねに夢を青蛙 /勝美

タイムトンネル

子ども等の邪気なき遊び月照らす /勝美

神社の石段

爽やかや神に詣でし身の軽さ /勝美

古井戸

無い知恵は搾りても出ず井戸涸るる /勝美

ひねもす俳句:吉見の秋

2014/09/26

秋の花盛り
秋日向集合墓地の公開中 /勝美

踏切

月に望みを囚はれの巌窟王 /勝美

キノコ

血塗られし虎徹ひつ提げ秋すさぶ /勝美

鉄人マッピング

肌寒し身体くねらす狛狐 /勝美

十三夜

冬眠の熊に手を振る別れかな /勝美

秋の日

2014/09/16

秋の花盛り
繚乱の花野地獄か極楽か /勝美

踏切

立ち止まることも大事や秋の果 /勝美

キノコ

何故に此の世に生れし毒きのこ /勝美

鉄人マッピング

流星の使者天空の伝道師 /勝美

十三夜

十三夜空にぽつかり覗き穴 /勝美

ひねもす俳句:伊太利亜紀行 その1

2014/08/23

ミラノドゥオモ
信仰の眼見開く今朝の秋 /勝美

ミラノガレリア

天蓋のやうな日覆して異国 /勝美

逆光のマッジョーレ

夕立の気配の迫る街暗し /勝美

ワインボトル

熟成の刻を得たりし長き夜 /勝美

ジェラート

ひと舐めに癒す残暑の身でありし /勝美

ひねもす俳句:伊太利亜紀行 その2

2014/08/23

サンタマリアデッラヴィタ教会
秋行くも君死に給ふこと勿れ /勝美

ボローニャの教会

秋光や堂を響動もすカンタータ /勝美

旧ボローニャ大学

名月にまだ時間あり時計塔 /勝美

バシリカ ディ サン ルーカ教会

今まさに祈りの時間秋の蝉 /勝美

サンルーカ教会への石畳

巡礼のひたすら歩む暮の秋 /勝美

ひねもす俳句:過ぎ行く刻

2014/07/31

ツバメ
夏つばめ地上の星をなほ探す /勝美

夏旅行

青山河トムとハックの冒険行 /勝美

スイカたくさん

秋祭準備パイロン山積みに /勝美

大鍋の豚汁

瞳に刻む炊出しの火や震災忌 /勝美

花火

曳光弾裂けて八月十五日 /勝美

ひねもす俳句:夏の果

2014/07/15

上大井駅の瓢箪
へうたんや手塚漫画のキャラクター /勝美

虹

落日の光芒に虹圧され気味 /勝美

解体工事

万全の耐震構造蟻の家 /勝美

猫の家

夏の果猫の占拠の家無人 /勝美

夏祭り

祭笛近づき期待膨らみぬ /勝美

ひねもす俳句:晩夏光

2014/06/28

街路樹の根っこ
何につけ寄らば大樹と蝉の殻 /勝美

逆光のヒマワリ

向日葵の影の逞し大落暉 /勝美

築地の乾物屋

豆飯や飯に何豆炊き込めど /勝美

築地の店

丼や噴き出す汗も味のうち /勝美

ジャズナイト

セッションはいよよ佳境や晩夏光 /勝美

ひねもす俳句:梅雨入り

2014/06/09

紫陽花
紫の袖濡らしけり走り梅雨 /勝美

チロリアンランプ

夏館庭にランプを灯しけり /勝美

雨の昼顔

やんごとなき顔に滂沱の汗雫 /勝美

傘の中から

梅雨の傘何時もの街の常の顔 /勝美

田んぼのこども

子に托す戦果待たるる泥鰌鍋 /勝美

ひねもす俳句:夏身近

2014/05/18

バラ祭り
味はへばバラの香りの氷菓子 /勝美

鴨の親子

 親は子に子は親に添ひ金玉糖 /勝美

鳥居と噴水

神域の静謐たれと水噴けり /勝美

浦和フランドル

フランドルの影と光や夏の雲 /勝美

ムラサキカタバミ

花柄の似合ふ娘の初浴衣 /勝美

ひねもす俳句:線路はつづく

2014/05/12

桐の花
桐咲いて鼻むずむずとしたりけり /勝美

かわせみ河原

待つほどに蛍の闇の迫る川 /勝美

巨大な水車

時の日の時ゆつくりと回りけり /勝美

単線

口ずさむスタンド・バイ・ミー梅雨に入る /勝美

砂に描かれた絵

短夜の壁や落書き消え残る /勝美

ひねもす俳句:風薫る

2014/04/26

マロニエの花
マロニエの花の香甘しパリ遠し /勝美

野球場

塀際のファインプレーやサングラス /勝美

ほろほろ鳥

日盛りの道ほろほろと急ぎけり /勝美

噴水

火蛾寄りつかず迸る水柱 /勝美

チューリップ

チューリップ一本脚のフラミンゴ /勝美

ひねもす俳句:春の花

2014/04/03

ヒメオドリコソウ
踊子草カーテンコール鳴り止まず /勝美

大輪のタンポポ

亜麻色の髪の乙女よたんぽぽ黄 /勝美

あっというまに満開の桜

桜といへばふるさとの桜土手 /勝美

ナノハナ

菜の花や何なになにと好奇の子 /勝美

オオイヌノフグリ

犬ふぐり咲くささやかな自己主張 /勝美

ひねもす俳句:春弥生

2014/03/23

光が丘公園
永き日や昼夜煙突立ち通し /勝美

ミツマタの花

三椏や頼みにならぬ烏合の衆 /勝美

漢字辞典

草冠なべて芽を吹く辞書の中 /勝美

水飲み場

新社員はや偸安とうあんの中に在り /勝美

アーモンド

花種と誰も思はずアーモンド /勝美

ひねもす俳句:春の陽気

2014/03/09

六地蔵
啓蟄の旅ぞろぞろと六部衆 /勝美

河津桜

花時の空や果てなきホリゾント /勝美

梅花見

白梅の降り継ぐ空の青ければ /勝美

ユキワリソウ

そこここに雪解の雫花となる /勝美

ガマガエル大量

目借時肌すり寄せる浮き世風呂 /勝美

ひねもす俳句:春浅し

2014/02/25

モノレール
モノレール春の気配を運び来る /勝美

ボス猫登場

踏青を怪しむものの気が知れず /勝美

帽子ガレージセール

多喜二忌や人目を避けて深帽子 /勝美

壁の植物

春の夜のダンスパーティ壁の花 /勝美

雪の道

蟇穴を出でて行く先知らずなり /勝美

ひねもす俳句:春の雪

2014/02/09

雪道自転車
前に乗る子を庇ひつつ春の雪 /勝美

真冬のかき氷

お好みのシロップ如何が春の雪 /勝美

サンダルの雪

春の雪別れ惜しまば帰さじと /勝美

雪帽子

雪帽子被る思索の石頭 /勝美

雪景色

春の雪汚濁の街を荘厳す /勝美

ひねもす俳句:春あちこち

2014/01/26

デコポン
ふるさとは枝に残して春蜜柑 /勝美

トトロのパン

手作りのパンの焼きたて暖かし /勝美

水辺の鴨

水上の暮らしに飽きて春の鴨 /勝美

木立

空重き梢の高み冴返る /勝美

ニット

愛の日の縺れ絡まる胸の内 /勝美

ひなもす俳句:春寒し

2014/01/08

調神社初詣2014
初詣ものの始めの並び初め /勝美

稲荷神社の鳥居

寒明けてその先何に出会ふやら /勝美

キューピー人形?

己が身に迫る不安や春寒し /勝美

ブロッコリーロマネスコ

星雲の目くるめく渦星朧 /勝美

原宿路地裏の猫

黒からずして黒猫の恋心 /勝美

ひねもす俳句:春を待つ

2013/12/24

塩の結晶
天狼や少年瞳かがやかす /勝美

葉牡丹

葉牡丹にうづまく恋の色もやう /勝美

バスを待つ

バス停に並びて思ふ炬燵酒 /勝美

冬の夜道

寒燈や求むる道の果知らず /勝美

師走の街

大寒の街目覚めんと蠢動す /勝美

ひねもす俳句:年暮るる

2013/12/09

天覧山の冬いちご
心ある言葉少なし冬いちご /勝美

雨乞いの池

池涸れて林中静寂残りけり /勝美

ブリューゲルの森

ブリューゲルの森に谺の猟銃音 /勝美

御岳八幡神社から

寒の雲幾重にも山幾重にも /勝美

多峯巣下山

十二月八日デジャビュの道辿る /勝美

ひねもす俳句:風の間にまに

2013/11/23

煙突の上の雪だるま
煙突の上の出迎へクリスマス /勝美

昭和横町

去年今年昭和は遠くなりにけり /勝美

遊郭

遊郭のあとを眺めて懐手 /勝美

大須観音商店街

北風にあへて莞爾と立ち向かふ /勝美

美濃和紙の里

年忘れうだつ上がらぬ顔ばかり /勝美

ひねもす俳句:雪降るころ

2013/11/12

五家宝実演販売
五箇山に雪降るころとなりにけり /勝美

日光から山女魚の塩焼き

もてなしの地元の香り囲炉裏宿 /勝美

稲穂

用済みの案山子の行方知らずなり /勝美

農業祭りの植木市

温室を出され巷の風のなか /勝美

凧を作る

逸る気を抑へお目見えしたる凧 /勝美

ひねもす俳句:初冬のひと日

2013/10/27

天覧山
枯山に色を添へけり山ガール /勝美

鳥居のある山道

綿虫のいつしか消えて大鳥居 /勝美

野の道

ひとり行く野道一本冬ぬくし /勝美

雨上がりのベニカナメ

待春や雨に艶ますべにかなめ /勝美

小雨模様

台風の来ぬ間にいそぐ小買物 /勝美

ひねもす俳句:秋の休日

2013/10/13

クマシデの果穂
またとなき天気蓑虫起きたまへ /勝美

クマシデの果穂のみになった枝

休むにも群れを離れず稲雀 /勝美

落ちたての団栗

帽子脱ぐほどの日射しや日向ぼこ /勝美

水辺のススキ

草原を追はるるごとく蝗飛ぶ /勝美

彫刻

冷やかに穴の開くほど視られけり /勝美

ひねもす俳句:秋まっさかり

2013/09/27

羽雲
日の沈む方へ蜻蛉まつしぐら /勝美

銀杏鈴なり

悪臭を溜めるだけ溜め銀杏の実 /勝美

キリン型クレーン?

冬用意猫の手を借り騏驎借り /勝美

ビールケース山積み

選挙時の演台長き夜を過ごす /勝美

猫暖簾

招かるるままに一杯夜寒の身 /勝美

ひねもす俳句:それぞれの秋

2013/09/16

いちじくメロンシュークリーム!
フルーツとケーキのコラボ文化の日 /勝美

シンデレラ

知らぬ間の門限時刻いざよへる /勝美

ガラスの靴

行く秋や持ち主待てる忘れ物 /勝美

雨上がりの半月

五線紙に高き一音月今宵 /勝美

水たまりを行く

雨靴で踏む秋冷の水たまり /勝美

ひねもす俳句:名月

2013/08/31

萎れた朝顔
朝顔も愛も潤ひあればこそ /勝美

夕焼けの空

秋夕焼地上のものは置き去りに /勝美

枯れひまわり

月光に染まりて乾ぶ曝し首 /勝美

留守番は猫

月今宵猫に近寄る宇宙人 /勝美

夕暮れの銭湯

斎場の煙たなびく無月かな /勝美

ひねもす俳句:秋の風物

2013/08/16

畑の冬瓜
末成りの頃の話を生身魂 /勝美

そばうち体験

風紋の移ろひ疾し涼新た /勝美

田舎のポスト

故里のぢぢにお便り敬老日 /勝美

仙酔島

冷やかな海に浮く島人住まず /勝美

龍馬の隠れ宿

盆用意格子戸少し開けもして /勝美

ひねもす俳句:今朝の秋

2013/08/05

花火板橋2013
花ひらく刻来るべし敗戦忌 /勝美

登り坂

行く先は何処か知らねど秋の暮 /勝美

 石畳

十六夜や木曽路につづく石畳 /勝美

水車公園の滝

新涼や流るる水に濡るる岩 /勝美

横断歩道

つれづれに烏鷺戦はす夜長かな /勝美

ひねもす俳句:大暑

2013/07/23

国立能楽堂
なむさんぼう何処に在れどもゐる大暑 /勝美

千駄ヶ谷の街から

炎天に風穴開くや掘削機 /勝美

ヤマブキの実

面構へ同じくしたり蟻地獄 /勝美

真夏のバス停

一時間待てばバス来る大西日 /勝美

道路端のひまわり

神社へと揃浴衣の勢揃ひ /勝美

ひねもす俳句:七月

2013/07/05

笹飾り
願ひ事多し七夕竹撓る /勝美

ビワ

琵琶法師吐くころころと枇杷の種 /勝美

朝顔

朝顔は予定調和の色尽くす /勝美

苔の文字

草茂るせめて人生たのしくと /勝美

ヤマモモ

楊桃の身投げ現場に遭遇す /勝美

ひねもす俳句:夏の夢

2013/06/18

ヤマボウシ
山法師千の蜂起や気を一つ /勝美

サボテンの花

覇王樹の花やテキーラに酔ふ覇王 /勝美

ひよこ饅頭

釈迦の掌を出ず軽鳧の子の独り旅 /勝美

夏帽子

夏帽や背の恥ぢらひの隠れなし /勝美

青柿

青柿の墜ちて身の上語りだす /勝美

ひねもす俳句:夏の顔

2013/06/06

カラー咲く
シスターの白きカラーや海芋咲く /勝美

球体

蝦蟇の吐く泡天体のごとく浮く /勝美

運動会2013

はたはたと旗のはためく梅雨晴間 /勝美

パンダのおにぎり

顔寄せて大熊猫の仔の昼寝 /勝美

組体操ピラミッド

夏山の世界遺産のたたづまひ /勝美

ひねもす俳句:夏めく街

2013/05/20

ご近所さんの薔薇
どの顔も茅の輪潜りて晴れやかに /勝美

遮光器土偶 on the wall

縄文の青水無月を想ふべし /勝美

千駄ヶ谷の街

亡びゆくものの哀れや片陰り /勝美

奇抜な色合いの花

夏めくや光と影の鬩ぎあふ /勝美

謡音読

逢坂をギター抱へて蝉丸忌 /勝美

ひねもす俳句:五月来る

2013/05/04

サックス演奏
降りかかる男滝女滝の滝しぶき /勝美

ラテアート

ラビットもベアも微笑む五月来る /勝美

傘寿のワイン

時を経て目覚めて時の日のワイン /勝美

溜池公園2013

金魚屋の屑の金魚をもらひけり /勝美

ツツジ

沿道にひと居並べり賀茂祭 /勝美

ひねもす俳句:行く春

2013/04/21

リアルガリレオ
さへづりの止む反芻の刻長し /勝美

桜ケーキ

春の野や浮かれ心の身を寄せて /勝美

エビフライ

犇めいて身を摺り寄せて燕の子 /勝美

歩道橋

行く春の階段ひとり登りけり /勝美

所沢駅

春夕焼我も亦持つ過去の影 /勝美

ひねもす俳句:四月

2013/04/11

水に浮く花びら
ジュレに浮く花びら匙に掬ひけり /勝美

校庭の桜

校庭の桜涙と笑みの渦 /勝美

畑シェルター

放射能除けのシェルター春野菜 /勝美

一年生

一年生事故なきやうに通りやんせ /勝美

入学おめでとう

ときめきの覚めざるままに五月来る /勝美

ひねもす俳句:春の夢

2013/03/22

豆カン
春宵の華屋与兵衛は佳き男 /勝美

カラス一羽

四月馬鹿鴉一羽の無人島 /勝美

野菜の顔

マント狒狒の今日の食材春野菜 /勝美

公園のぶた

飽食の果ての春眠寝て飽きず /勝美

ハクモクレン

白木蓮の雲のんちやんの乗りさうな /勝美

ひねもす俳句:春

2013/02/21

屋根の雪
青き踏むところ探せど見当たらず /勝美

紅梅

あでやかな京雛菓子の紅の色 /勝美

ヒヤシンス

地中海の風の匂ひや風信子 /勝美

おひなさま

観梅や何処へ行くにも二人連れ /勝美

標語

春風や気にも止めざる決まりごと /勝美

ひねもす俳句:如月

2013/02/01

雪の朝の保育園
浄め塩雪のごとくに利休の忌 /勝美

紙の街

かげろふや見知らぬ街へ迷ひこむ /勝美

夕日沈む街

春薄暮刻刻すすむ温暖化 /勝美

モビール

黒猫の子の影黒しベツレヘム /勝美

街灯

春灯をかかげUFO着地点 /勝美

ひねもす俳句:早春

2013/01/21

サイコロキャラメル
鷹鳩と化すもいかさま許されず /勝美

ブラックチョコ

春の夢覚めて残るは苦みのみ /勝美

雪解けの畑の猫

吾輩は恋に疲れし猫なれど /勝美

日陰の路地

早春の日は裏道に届かざり /勝美

雪に埋まる白菜

あざらしの寄り集まれる寒の明け /勝美

ひねもす俳句:新年

2012/12/30

庭先の切干大根
去年今年雑味雑念抜け真白 /勝美

焼き芋結露の窓ガラス

元朝や黄金に輝く日の光り /勝美

招き猫

嫁が君を仲間と招く猫ゐたり /勝美

正月飾り

仕来りを今に伝へて餅飾る /勝美

折り紙獅子舞

獅子舞の獅子歯磨のコマーシャル /勝美

ひねもす俳句:極月

2012/12/16

大きな赤かぶ
赤かぶの赤に高ぶる好奇の眼   /勝美

結露の窓ガラス

寒暁の涙にくもる窓硝子 /勝美

オーナメンテッド街路樹

年に一度はせめて聖樹になり切る樹 /勝美

ツリー手づくり

極月の祈り深かり百万塔 /勝美

ポインセチアの花飾り

恋の眼にぼやけてポインセチアらし /勝美

ひねもす俳句:数へ日

2012/12/01

秋刀魚焼く
数へ日に憶ふは故郷の母のこと  /勝美

練馬の大根キャラクター

着ぐるみの中底冷えの身が一つ /勝美

芝生でブリッジ

ブリッジを潜り抜けけり冬の蝶 /勝美

熊手市

猫の手も借りて売るなる大熊手 /勝美

サンタクロース

変転の世相にサンタ立ち尽くす /勝美

ひねもす俳句:黄落

2012/11/12

バス車内
ぼろ市へ思ひ一つのバス走る  /勝美

ヤモリ

冬眠はまだまだ先のことなれど /勝美

銀杏並木

黄葉の爆弾破裂して止まず /勝美

色づく公園を行く

ひたすらに歩む外なし黄落期 /勝美

七五三後ろ姿

七五三帯に疲れのまざまざと /勝美

ひねもす俳句:冬近し

2012/10/28

盛りだくさんのお弁当
山海の珍味とりまぜ文化の日  /勝美

馬頭観音

町角に馬頭観音時雨雲 /勝美

虹のハンモック

網打つや飛び跳ねゐたる鰡の群 /勝美

砂だんご

餡団子ひとつ大振り一葉忌 /勝美

何の遊具?

四次元の入口近し冬に入る /勝美

ひねもす俳句:入院雑詠

2012/10/14

秋晴れ
秋晴や病室其処処電子音  /勝美

カーテン

カーテンの隣も患者鵙の贄 /勝美

サッカーのガチャ

体育の日や点滴に繋がれて /勝美

秋の並木道

点滴の支柱を杖にしてさやか /勝美

猫ふて寝

黄落や退院許可のいまだ出ず /勝美

ひねもす俳句:秋思

2012/09/21

逆光の踏切
晩秋やひかりは直ぐに消えたがる  /勝美

新市場予定地?

行く秋の絶滅危惧種ねむる土地 /勝美

案山子たち

磔像に似たる案山子に意志ありや /勝美

ネオレゲリアの葉

文化の日花に劣らぬ葉のありぬ /勝美

水風船その後

暗黒に無数の銀河音もなし /勝美

ひねもす俳句:秋はじめ

2012/08/30

飴細工のプリンセス
行く秋の乙女の祈り深かりし  /勝美

着付け

帯締めを少しゆる目に茸飯 /勝美

猫カフェ

爽やかや円座の猫の端にゐて /勝美

リクガメ

白亜紀の恐竜に遭ふ霧の夜 /勝美

光が丘の清掃工場の塔

秋天を繋ぎ止めたる塔ひとつ /勝美

ひねもす俳句:夏終わる

2012/08/12

納涼盆踊り
待宵の会場煌と灯しけり  /勝美

ひまわり

終戦日祈る頭上に日は燦と /勝美

ゴーヤの花

赤心を密かに育てゐる茘枝 /勝美

花火

華やかに倫敦五輪夏終る /勝美

意外にかわいいヘクソカズラ

へくそかづら己が世界に閉ぢ籠り /勝美

ひねもす俳句:暑気払い

2012/07/23

カニでかい
夏の夜のビアガーデンのフラダンス /勝美

ハリセンボンのなかま

海の日や水中船の窓青し /勝美

熱帯魚

たましひの右往左往や蛍飛ぶ /勝美

クワガタムシ

昆虫のはがね光りにある残暑 /勝美

鳥の編隊

編隊の往くは悪夢か終戦日 /勝美

ひねもす俳句:七月

2012/07/01

サボテンの花
覇王樹の花キリストの黙の像  /勝美

あめ玉たくさん

ロリポプの虹の一色含みけり /勝美

夕焼け

放射能汚染新たや原爆忌 /勝美

扇風機

ワレワレハウチュウジンナリ扇風機 /勝美

おはじき

おはじきの如し滴り七彩に /勝美

ひねもす俳句:梅雨入り

2012/06/17

クチナシの花
くちなしの花や雨ふる偲ぶ会 /勝美

オレンジ色の夜の街

魑魅魍魎潜むや夏の夜の街路 /勝美

雨の街

時の日や車は速度増すばかり /勝美

紫陽花

紫陽花やシバの女王の花冠 /勝美

ビョウヤナギ

未央柳己が光をまき散らす /勝美

ひねもす俳句:薄暑

2012/05/30

たんぽぽ綿毛
蒲公英の絮真球の天体儀 /勝美

ニオイボンマツリ

思考回路壊れ匂蕃茉莉 /勝美

信楽たぬき

狐の提燈狸の徳利拝借す /勝美

ガラス窓

ちんぐるま下山の足の軽くなり /勝美

瓦の葺き替え

夏星の観察桟敷屋根に組む /勝美

ひねもす俳句:薔薇祭

2012/05/20

薔薇祭のバラアイスを食べる
薔薇祭や薔薇の香りを身に満たす /勝美

池の面

木洩日やジュレのごとくに揺らぐ夏 /勝美

欄干にとまる鳩

神橋の下の緋鯉に目もくれず /勝美

撮影に挑戦

時の日の一瞬写し写されて /勝美

白バラも美しい

夏めくやパテシェの飾る菓子の白 /勝美

ひねもす俳句:四月尽

2012/04/27

猿山
花冷や彼我の境に谷ひとつ /勝美

トラ

麦刈の麦刈り残る地平線 /勝美

昼寝するカバ

目借時夢はナイルの河遊び /勝美

ハシビロコウ

メーデーに加はるべきか思案中 /勝美

集合写真

葉桜や集団催眠術開始 /勝美

ひねもす俳句:水温む

2012/04/02

青色のふぐ
花衣まとひて虚ろなるまなこ /勝美

イソギンチャク

小魚を匿ひ磯巾着孤独 /勝美

ヒトデ

天空を逃れ墜ち来し春の星 /勝美

ヒスイカズラ

佐保姫の声に風鐸揺るるなり /勝美

春の鳩

ぶらんこを降りて足元定まらず /勝美

わらび

寂光土ならぬ蕎麦屋や土匂ふ /勝美

ひねもす俳句:春うらら

2012/03/22

竹馬
先づ一歩更なる一歩出ず仔馬 /勝美

春の地面

草に寝て遊子気取りや鳥雲に /勝美

鉄棒

反転の時を窺ふつばくらめ /勝美

オオイヌノフグリ2012

全身に春の光を浴びもして /勝美

春の光が丘2012

自転車はエコの乗り物鳥ぐもり /勝美

ひねもす俳句:春の雪

2012/03/04

雪の下赤塚201202-1
隙あらば忍び入るなり窓の雪 /勝美

雪の下赤塚2012-2

床しさを秘めて薄紅椿咲く /勝美

雪の下赤塚2012-3

白きもの背に降り積もり春の鹿 /勝美

赤塚梅まつり2012-1

紅梅の下に席とりしてしづか  /勝美

赤塚梅まつり2012-2

穴出でて四股ふむ熊や勢揃ひ  /勝美

ひねもす俳句:余寒

2012/02/12

冬の別所沼
沼に浮く雲なき空にある余寒 /勝美

見上げた空

樹のやうに背筋の伸びて新社員 /勝美

沼の鴨たち

寒禽の啼く嘴を白くして /勝美

クチナシの実

ものいへば口に飛込む春の塵  /勝美

らくだのいる園庭

アラビアにロレンスは居ず黄砂降る  /勝美

ひねもす俳句:春遠く

2012/01/22

ジャングルジム
天上を臨むジャックや豆の花 /勝美

上野公園の交番

春天へ大音響の拡声器 /勝美

雪景色

放射能含むや否や春みぞれ /勝美

雪空

故里の空は鈍色目貼剥ぐ  /勝美

雪の日の電信柱

蜷の道支援物資の運ばるる  /勝美

ひねもす俳句:初春

2012/01/05

初詣
去年今年せつせと神へ頼みごと /勝美

だるま売り

メタボ脱却なるや無言の福達磨 /勝美

日だまりのホロホロ鳥

ほろほろとほろほろ鳥にある淑氣 /勝美

飛行船

浮き浮きと乗る初夢の宇宙船  /勝美

手を振る

出迎へのゐて初旅の終着駅  /勝美

ひねもす俳句:冬芽

2011/12/20

てのひらの虹
てのひらの綿虫ひかり放ちけり /勝美

アンチークな部屋

待春や少女は部屋を飾り立て /勝美

冬空と新芽

冬木の芽歓喜の歌は地に溢れ /勝美

イルミネーション

滝凍る真夜に嘶くけものどち /勝美

クリスマス用品の店

買物のマスクの母子目で合図 /勝美

ひねもす俳句:師走

2011/12/02

<プロペラ飛行機
歳晩の夢や空くじなればとて /勝美

暗雲

辰年の辰を孕むや鰤起し /勝美

池に映る木々

鴨追ひてゆくや雑木の林なか /勝美

枯れ野

セシウムの沈着せるや枯野原 /勝美

花八つ手

追悼の意を白白と冬花火 /勝美

ひねもす俳句:小春日

2011/11/16

赤い実をつけた木
冬ざれや一羽も姿見せぬ鳥 /勝美

でんぐり返ししまくり

三寒にでんぐり返しして四温 /勝美

畑のキャベツ

着膨れの中より嬰の玉の顔 /勝美

野菜舟

冬濤や沖へ補陀落渡海船 /勝美

色とりどりの和三盆糖

賑やかに顔つきあはす年忘れ /勝美

ひねもす俳句:そぞろ寒

2011/10/23

秋の実
熟れ切つて鵯の来たるを待つばかり /勝美

鯨の遊具

寒雷やピノキオ鮫の虎口より /勝美

煙もくもく

秋逝けり風雲急を告ぐるかに /勝美

バーバー

高高と両手に七五三の飴 /勝美

宵の街角のパン屋

冬ざるる街のオアシスパン屋の灯 /勝美

ひねもす俳句:蚯蚓鳴く

2011/10/07

多峯主山の木像
蚯蚓鳴く円空仏に在る微笑 /勝美

山道

秋思ありひと筋道を突き進む /勝美

休むトンボ

牧神の留守の切株蜻蛉守る /勝美

バカナス"

市に出ること能はざり犬酸漿 /勝美

ノブドウ

野葡萄や色付き初めし恋心 /勝美

ひねもす俳句:秋冷の祝日

2011/09/22

ピンク色のエンゼルトランペット
ゆく秋やドガの踊り子裾乱す /勝美

砂から首を出すチンアナゴ

秋惜しむ世間の風に吹かれては /勝美

無花果

尻向けて無花果はしたなきことよ /勝美

仲良し魚

良夜とて相摺合はす肌と肌 /勝美

タテハチョウ

黄落や黄金の蜜吸ふ吻細し /勝美

ひねもす俳句:秋晴れの日

2011/09/08

入り口
心浮き立つ秋晴の遊園地 /勝美

ウォルト・ディズニーとミニーと孫

文化の日生あるものも無きものも /勝美

ミッキー型レモンマフィン

ミッキーに似し自然薯や愛すべし /勝美

渚にて

秋の海なぎさに拾ふ貝数多 /勝美

打ち揚げられたクラゲ

流れ星墜ちて固まりゆく姿 /勝美

ひねもす俳句:秋へ

2011/08/23

穴子寿司
穴子鮨波に影揺れ大鳥居 /勝美

ゴーヤの熟れた種子

赤心の言葉の弾け蔓茘枝 /勝美

梨

座布団の揃ひも良けれ敬老日 /勝美

傷だらけのナス

満身に傷負ふをとこ秋なすび /勝美

桔梗の花

ムルタンのタイルの青や花桔梗 /勝美

ひねもす俳句:気がかりな夏

2011/08/05

モミジアオイ
レーダーは敵機をキャッチ紅蜀葵 /勝美

栗のいが

放射性物質ぼたり栗の毬 /勝美

ショウリョウバッタ

月面に螇蚸着地をせしものの /勝美

蓮の花

蓮の実や旅立つまでは親の庇護 /勝美

葉の露のたま

放射能汚染じわりと露の玉 /勝美

ひねもす俳句:夏休み

2011/07/17

緑のカーテン
ひたすらに日除の任務果すべく /勝美

ベランダの花々

鈴なりに祇園山笠見て拍手 /勝美

トラノオ

野にあらば野の風豊か虎尾草 /勝美

プチトマト

無農薬野菜括られ店晩夏 /勝美

お疲れ

目の醒めぬままが宜しや蜘蛛の糸 /勝美

ひねもす俳句:一時の悦び

2011/06/30

ガイガーカウンター
炎昼やしもべにガイガーカウンター /勝美

生ハムたっぷりのパニーニが食べたい

手作りのパニーニ夏のフィレンツエ /勝美

フルーツパフェ

ままごとの夢のつづけり昼寝覚 /勝美

しゃぼんだまを飛ばす

たましひを浮かべて遊ぶ夏野の子 /勝美

ブルーベリー摘み

ブルーベリー摘む足元の蚊遣香 /勝美

ひねもす俳句:夏の夢

2011/06/10

アゲハチョウの幼虫
宇宙との交信済めばすぐ揚羽 /勝美

朝顔のふたば

朝顔市までの道程近からず /勝美

ぼけた街

焦点を失ふほどや街炎暑 /勝美

グミ

夏ぐみや葉陰に顔を赤らめて /勝美

落書き

地上絵の不思議大暑の記号論/勝美

ひねもす俳句:わかば風

2011/05/25

高尾山の天狗
高きゆゑ特に日焼の目立つ鼻 /勝美

ハイキング

遅れじと行く麦笛を鳴らしつつ /勝美

ハルジオン

いざ行かん旅の別れの春紫苑 /勝美

樹の下で寛ぐ

緑蔭に青シート敷く避難民 /勝美

風車小屋

麦秋や風集まれば羽根廻る /勝美

ひねもす俳句:哲学堂にて

2011/05/03

哲学堂の池
静止して哲学中かあめんぼう /勝美

哲学堂の寝釈迦

開放の堂に釈迦在り黄砂降る /勝美

哲学堂

デカルトもカントも知らず金亀子 /勝美

哲学堂の賢人像

賢人は瞑想さなか風薫る /勝美

哲学堂の哲理門

哲理門くぐるや蟻のぞろぞろと /勝美

※金亀子=こがねむし

ひねもす俳句:春に憂う

2011/04/11

家並み
罹災者の胸に在る家鳥帰る /勝美

つくし

故郷へつながる道路つくづくし /勝美

満開の桜

春愁や目には見えねど放射能 /勝美

桜の下を歩く

お出かけの一歩はすでに陽炎へり /勝美

チューリップの咲く道

競漕や身を乗り出して声援す /勝美

ひねもす俳句:うつくしき春

2011/03/24

甲羅干し
亀鳴くややをらに伸ばす後ろ肢 /勝美

続々産まれた蛙たち

避難所を探し当てたる蛙どち /勝美

階段の影

佐保姫を出迎ふる影使者二人 /勝美

美しい細工がさすがの京菓子

春陰や指の集まる京干菓子  /勝美

公園のカラフルトンネル遊具

陽炎やタイムマシンに乗込めば /勝美

ひねもす俳句:夢うつつ

2011/02/22

雨傘から
春雨は虚実皮膜の間(あひ)に降る /勝美

おひなさま

雛どちの眠りは箱に入りてのち /勝美

雪降る夜

パンダ来る花道なべて春の雪 /勝美

ジンチョウゲの蕾

沈丁の眠りを覚ます雨しづく  /勝美

デカ蜜柑

頑として揚らぬ風船反抗期 /勝美

ひねもす俳句:春を歩く

2011/02/08

ぐるぐる緑
春疾風タイムマシンに乗るごとし /勝美

早春の森

清明や木木は大地を踏みて立つ /勝美

公園のカメラマン達

春愁や我も我ものパパラッチ /勝美

キノコをいっぱい生やした幹

ぬくぬくと日差しに群るる牧開 /勝美

歩く

糸遊の中へなかへと進みけり /勝美

 注: 清明は陽暦では4月5日頃春の時候。糸遊は陽炎とおなじ。かげろう。

ひねもす俳句:春を待つ

2011/01/20

アロエの花
鎮魂のツインタワーや春隣 /勝美

ボール投げの兄弟

厳寒や地は一塊の瘤を生む /勝美

ハボタン

一斉に声をそろへて群千鳥 /勝美

早咲きの梅

早梅や一途に受くる日の恵み /勝美

ケンケンパ

寒明けやけんけんぱあの影を踏む /勝美

ひねもす俳句:晦日の夜

2010/12/31

門松
アダムとイヴを祖となす一対年始め /勝美

夜の自販機

初夢の掌に百円を握り締め /勝美

寿司屋のショーウインドウ

本物をなぞる虚しさ乙字の忌 /勝美

しめ飾り売り

飾るべき家は持たねど飾売 /勝美

夜の街

保護色に貌を彩る街寒夜 /勝美

ひねもす俳句:師走の街

2010/12/09

イチゴ売り出し中
寒林や響く「魔王」に固唾のむ  /勝美

白猫たち

短日や話さば長きことばかり   /勝美

クリスマスツリー

寒星や叶ふ願ひの多からず  /勝美

おしゃれなエビ

小春風異彩を放つアルルカン  /勝美

泳ぐミノカサゴ

みそさざいにも羽搏くといふ仕種  /勝美

ひねもす俳句:寒い日曜日

2010/11/15

和太鼓
膏薬の打ち身に白し寒稽古  /勝美

井戸

面舵や船首は冬の虹へ向く  /勝美

アスパラガスの赤い実

さり気なく聖樹に吊すルビーかな  /勝美

キツネノロウソク

今生の匂ひ鼻腔に穴まどひ  /勝美

赤い葉

手品師の指一瞬に紅葉生む  /勝美

ひねもす俳句:食文化

2010/10/20

紙のケーキ
バーチャルの世界に生きて文化の日 /勝美

運動会のお弁当

ちまちまと仕切られ勤労感謝の日 /勝美

パン目がね

オリオンはパンの眼鏡で覗くもの  /勝美

動物ヨーチ

着膨れの嬰児(やや)の匂へりミルクの香 /勝美

ひねもす俳句:秋の日差し

2010/10/01

樹の幹にとまる蝶
岩稜の山の感触秋の蝶 /勝美

巾着田の曼珠沙華

彼岸花あへて近づく気になれず /勝美

苅田

物好きや芋煮の鍋へ鶏の皮 /勝美

雷神(聖天院)

飛入りの太鼓の名手秋祭 /勝美

コスモス畑

コスモスの風を妨げゐたる人 /勝美

ひねもす俳句:秋暑し

2010/09/08

みなとみらいの日本丸
椋鳥の満艦飾の日は来るか /勝美

ゴーヤの赤い種

破裂せし茘子赤心さらけ出す /勝美

枯れた向日葵

立ち尽くす太陽の塔稲びかり /勝美

横浜下町パラダイス祭2010飛行機模型

秋刀魚食ぶ猫にやる骨のみ残し /勝美

秋の空2010

秋の空何処ともなくカレーの香 /勝美

ひねもす俳句:蝉しぐれ

2010/08/16

ジャブジャブ池
竜淵に潜むと言へど子は遊び  /勝美

巨大バッタ

リリパットの機械仕掛けの秋の虫 /勝美

蝉の穴

蝉の穴そは冥界の出入口 /勝美

金色夜叉

無月かな貫一役のリハーサル /勝美

頭巾

悲しみは笑ひに転ず防災日  /勝美

ひねもす俳句:夏休み

2010/07/20

福島の夏朝日
浮き出づる雲の存在今朝の秋 /勝美

ヒメヒオウギズイセン

信念にぶれなき門徒姫檜扇 /勝美

ポーチュラカ

口遊ぶポーリュシカポーレポーチュラカ /勝美

濃紺しぼりの朝顔

新涼や白地に紺の野良姿 /勝美

ゴーグル

水中眼鏡竜宮城の門開き  /勝美

注記: 姫檜扇水仙(ひめひおおぎすいせん)は別名「もんとぶれちゅあ」と言う。

ひねもす俳句:土用前

2010/07/08

さくらんぼ
人類に尻尾は失せしさくらんぼ /勝美

ねこねこ

飛び出すな荒るる気配のはたた神 /勝美

角のラーメン屋

犯人の逃げ込みし店土用前 /勝美

東武ストアの笹飾り

叶はざる願ひとはいへ星祭 /勝美

のうぜんかずら

凌霄の花を灯りの闇夜道  /勝美

ひねもす俳句:六月の植物園

2010/06/22

池の亀
炎天下つひぞ浮木(ふぼく)の見当たらず /勝美

藤棚の下から

在るや在らずや「現の証拠」を示す札 /勝美

狛犬うしろ

汗の尻威厳崩して掻くべきか /勝美

アサザの花もよく見れば綺麗

東京大仏に縁のあるやも「金蓮子」 /勝美

睡蓮の花盛り

つぶやきを聞き逃さじとひつじぐさ /勝美

ひねもす俳句:入梅前

2010/05/31

ヨーヨー釣り
紫陽花の毬の混み合ふひとところ /勝美

公園の花

風来れば風に口開く燕の子 /勝美

水遊び

跣足の子石に登つてみたものの /勝美

畑の茄子の苗

金網の背後基地の地茄子の花 /勝美

水車公園のたんぼ

天界を植田の底に覗きけり /勝美

ひねもす俳句:芳しき初夏

2010/05/04

バーニャカウダ
夏来るや頬つややかに光りあふ /勝美

byebyeblueメインの肉料理

麦秋や肉と野菜と山なして /勝美

浦和名物うな子ちゃん

蒲焼の匂ひを煽る団扇かな /勝美

別所沼を歩く

乱反射して子にとどく新樹光 /勝美

新緑に噴水

噴水の放つオゾンの水しぶき /勝美

ひねもす俳句:春のこども

2010/04/13

白ヒヤシンス
耳もとに誰かささやく風信子 /勝美

チューリップの花束

当節のルームシェアの鬱金香 /勝美

公園動物

イルカに乗つて春潮の地中海 /勝美

砂場遊び

砂山を崩す遊びや春深む /勝美

サクラソウも満開

さへづりや桜色なる雲の中 /勝美

ひねもす俳句:陽を浴びて

2010/03/05

木蓮の芽
鬱勃の氣のあらあらと新社員 /勝美

ブロッコリ

啓蟄のロボット腕を高高と /勝美

小松菜

嫁菜飯死ぬまで生くる存念と /勝美

入る猫

龍天に登る日猫のしなやかに /勝美

春の雑草

色に出て彼岸の草の逞しさ /勝美

ひねもす俳句:梅満開

2010/02/17

マグロの頭
春愁ひ目玉に宿る海の色 /勝美

マグロ解体ショー

新社員解体ショーといふ試煉  /勝美

梅満開

佐保姫の衣干さるる大樹かな /勝美

午後のお茶

春陰や時間ばかりが過ぎてゆく   /勝美

ひよ子饅頭

囀りに色あらば濃きひよこ色 /勝美

ひねもす俳句:春を待つ

2010/01/27

鳥が飛んでいく
ひと時を過せし山河鳥帰る /勝美

大道芸人

春昼や大道芸にひとは酔ひ  /勝美

冬木立

木木の影大地に碓と冴返る /勝美

公園で散歩

待春や袋へ木々の落し物   /勝美

夜の伊勢崎町モール

節分へ向けてモールの蠢動す /勝美

ひねもす俳句:松過ぎて

2010/01/08

しめ飾り
どんど焼きまでの飾りの影薄し /勝美

買い物

恵方道とはコンビニの独居老  /勝美

風呂屋開店前

骨正月早く風呂屋が開かないか /勝美

白富士

初富士や刻刻かはる街の貌   /勝美

ロウバイ

臘梅の臘の溶け出す日差し得し /勝美

ひねもす俳句:年の暮れ

2009/12/23

夏みかん
アイデアの未熟なるまま年暮るる  /勝美

補助輪付きでgo!

ゆく年の道あるところ何処までも  /勝美

クリスマスイルミネーション

点滅を余儀なくさるる聖樹かな /勝美

冬の鉢花

顔色を窺ひながら日向ぼこ  /勝美

マンホール

臭きものには蓋をして年を越す /勝美

ひねもす俳句:冬空

2009/11/27

サンバカーニバル
寒垢離の歩みたたらを踏みゐたる /勝美

わたあめ

わたあめは夢のごとしよ日脚伸ぶ  /勝美

不断草(スイスチャード)

風邪予防野菜サラダを食ふも良し /勝美

和太鼓

障子震はす渾身の太鼓の音  /勝美

ベランダの落書き

らくがきの消されもせずに小六月 /勝美

ひねもす俳句:爽やかな休日

2009/10/17

エノコログサ
猫じやらすことに倦みけり猫じやらし /勝美

光が丘公園の紅葉はじめ

公園に来れば池あり紅葉あり /勝美

イイギリの赤い実

飯桐の実に姦しき鳥の声 /勝美

運動会の玉入れ

玉入れの玉は手作り運動会  /勝美

イチゴショート

差し入れのケーキ夜なべの灯の眩し /勝美

ひねもす俳句:秋散歩

2009/09/14

秋祭り 赤塚縁日
出陣の勇み足なり祭り衆 /勝美

秋の原っぱ

吾輩の原や虫鳴くこと許す /勝美

白彼岸花

白彼岸花の曳く影白からず /勝美

ぶどう一皿

 葡萄選る一語一語を選ぶかに  /勝美

ディスプレイはハロウィン

定番の飾り西洋かぼちやかな /勝美

ひねもす俳句:秋風吹く

2009/08/26

宵の月
爽やかな空の下なる投票所 /勝美

高速バスの切符

入手せし往復切符秋彼岸 /勝美

高速バス乗り場

古里へ思ひは一つ竹の春 /勝美

ホテルの朝食

 一食に感謝の祈り鉦叩  /勝美

シュウカイドウの花

あみだ籤折れて行き着く秋思かな /勝美

何の虫だろう?

日照の少なし虫の色くすむ  /勝美

ひねもす俳句:夏を生きる

2009/07/22

アケビコノハの幼虫
火に死すに通草木葉蛾(アケビコノハ)の幼くて /勝美

浴衣で縁日

担ぎ手の力自慢や宵神輿 /勝美

ハナムグリ

埃及の王家の谷の花むぐり /勝美

カラスウリの花

まぼろしを紡ぎて烏瓜の花  /勝美

ムクゲの花

夢ひらくフレンチカンカン花木槿 /勝美

ピーマンを選びました

料理するまでのピーマン握り締め  /勝美

ひねもす俳句:梅雨のなか休み

2009/07/01

七夕かざり
七夕や三ツ星適ふ高尾山 /勝美

雨上がりのクモの巣

朝日浴びレースの真珠生き生きと /勝美

肩組んで歩く

この道や茅の輪くぐれば新しき /勝美

桃たくさん

箱入りは娘のみかや桃もまた  /勝美

雨上がりのヤツデ

天狗棲む山といひけり佛法僧 /勝美

(↓作者よりコメント)
ちなみに七夕は秋の季語、桃も秋の季語、
蜘蛛の巣は夏、茅の輪も夏、
八つ手の花は冬の季語。八つ手は季語でない。
佛法僧は夏の季語。

六月の植物園

2009/06/13

フェイジョアの花
フェイジョアの花の終りの梅雨入りかな  /勝美

池の淵のミソハギ

みそはぎの水漬く芭蕉結びの地 /勝美

睡蓮

睡蓮や眠気を誘ふ昼下り  /勝美

ホタルブクロ

商店街蛍袋に灯をともす  /勝美

カノコユリ

清姫の赤き執念鹿の子百合 /勝美

ひねもす俳句:片蔭

2009/05/26

喫茶店のショーウインドウ
幻滅なけれ夜の遠目の蛍こそ  /勝美

バスターミナル

緑蔭を求めてバスの来たりけり /勝美

川の上の道路

河童忌の道路は川の上にまで  /勝美

カメレオン

自らを決めかねゐたり七変化  /勝美

でかガエル

囚はれの異星人めくがまがへる /勝美

酔花忌俳句大会2009

2009/05/12

ひねもす作者勝美さんが、川崎の酔花忌俳句大会2009に出席しました。
酔花忌は、川崎出身の詩人・作詞家の佐藤惣之助の命日5月15日を記念して開催。
佐藤惣之助は「酔花」の俳号で俳句も詠んでいたそうです。
詳しいことは、佐藤惣之助 – Wikipediaで。
応募句は、15位。(「おはずかしい限り」と作者弁。)

溪水を掬ふ指先新樹光 /勝美

当日の句会は、席題2句で1句目は花水木(季語)、他はふるさと(詠込み)。

花水木煉瓦で囲ふ女学校   /勝美
ふるさとの棚田天まで風薫る /勝美

2句とも高点だったそうです。
その場で発句するのは、瞬発力が要りそうですね。

ひねもす俳句:五月

2009/05/03

新緑2009
新緑やあちこちにある青テント /勝美

森の切り株

牧神の椅子目前に蟻すすむ /勝美

城北公園の桐の花

でくのぼうと呼ばれ歩むや桐の花 /勝美

木漏れ日2009

球場に快音ひびく夏木立 /勝美

鯉のぼり2009

わだかまり無きこそよけれ吹流し /勝美

ひねもす俳句:過ぎゆく春

2009/04/16

メルカートエルベ
慈しみ籠めてハム買ふ聖五月 /勝美

ドゥエトッリからの眺め

迷宮のゴールは塔よ南風 /勝美

ジェラート

 紅白はめでたき色や花菖蒲 /勝美

ボローニャの回廊

振り向きもせず入園の決まりし子 /勝美

ボーボリの庭

泉へと向かふ三三五五のひと /勝美

サクラとブランコ

子は母に呼ばれて帰る花踏んで /勝美

ひねもす俳句:春の陽

2009/03/16

四葉サンデーマート
白妙の衣干しあり春の山 /勝美

水車公園の菜の花

花菜とは娘の名前うららけし /勝美

水車公園のたわし

馬繋ぎあるじは花の雲の中 /勝美

クリーニング屋の洗濯物

四月馬鹿エコといふ名の洗濯屋 /勝美

区民農園

蛇出でし穴を点検作業中 /勝美

ひねもす俳句:早春

2009/02/16

アンテナ
黄砂来る気配早くもキャッチせり /勝美

駄菓子屋

啓蟄の店に溢るる色色色 /勝美

福寿草2009

隠し事なしと磯巾着ひらく /勝美

蛇口

蛇口より春光ほとばしるべかり /勝美

龍のヒゲ

ビー玉の青し陽炎見ゆるなり /勝美

ひねもす俳句:寒明け

2009/01/23

冬の大仏
冴返る風にあらがふことをせず /勝美

子供部屋

豆撒きの近い部屋整頓しやう /勝美

ぬいぐるみと足

春寒し足に食ひつくぬいぐるみ /勝美

馬の遊具

春めくや遊具ひたすら子供待つ /勝美

クジラの遊具

海原を恋ふ眼差しや寒の明け /勝美

ひねもす俳句:年忘れ

2008/12/28

ノイバラの実
繭玉にそそぐ光を顔に受く /勝美

冬木の芽

冬木の芽ベンチに並ぶ顔馴染 /勝美

ミツマタのつぼみ

各局のマイクの拾ふ街師走 /勝美

ヤマブキの実

支へ合ふ家族四人や冬深む /勝美

実がほとんど落ちたヤブラン

次々と理想は高し龍の玉 /勝美

ひねもす俳句:師走

2008/12/11

池を見る子
十二月八日を知らず子は育つ /勝美

鳩たち

陰日向なく働いてはや師走 /勝美

大根ほり

今頃は京都にあれば大根焚 /勝美

芋がら

曝さるる皺の隅々日向ぼこ /勝美

おろし蕎麦

冬夕焼心尽くしの皿の数 /勝美

ひねもす俳句作者、さいたま市民文芸第7号優秀賞

2008/12/03

ひねもす俳句作者の勝美さんが、さいたま市民文芸第7号優秀賞に入賞しました。
さる11月30日、JACK大宮での表彰式に出席したとのことです。
入賞句は以下。
 

夏山登山
   山開きたる雲中に汚れなし /勝美
   水音の耳を離れずお花畑 /勝美
   鉄梯子懸かる岩角明易し /勝美
   遭難碑脇に積み足す小ケルン /勝美
   岩壁に残るカラビナ晩夏光 /勝美

俳句:冬のはじまり

2008/11/21

剥いたみかん2つ
着膨れや今日は秘仏の公開日 /勝美

軒下の吊るし柿

提灯や秩父夜祭待ち遠き /勝美

田舎の畑風景

蟷螂の枯には広き天地かな /勝美

見晴らしの丘から街を臨む

我が暮し楽にならざり冬霞む /勝美

おからドーナツをたべる

うつ田姫もの食ふこともありぬべし /勝美

ひねもす俳句:秋の旅路

2008/11/04

行てに海
坂の町突進ならぬ消防車 /勝美

港の女学生

日向ぼこ悩みに胸を痛めつつ /勝美

父娘で釣り

沙魚日和指導よろしき竿さばき /勝美

観光用の城

今出来の城といへども蔦紅葉 /勝美

駅弁食す乗客

短日や手早く済ます車内食 /勝美

ひねもす俳句:更けゆく秋

2008/10/17

ホトトギスの花
杜鵑草保護といふ名の塚破壊 /勝美

塀をのぼるカマキリ

扉死守枯蟷螂となるまでよ /勝美

トンガリ鶏頭

天を衝く意気のデモ隊鶏頭花 /勝美

秋祭り

先生も自前の法被秋まつり /勝美

栗の実ひとつ

掌中の珠さてこそと栗のつや /勝美

ひねもす俳句:秋晴れの日

2008/10/11

2008年の金木犀
木犀の匂ひの波動吾をゆする /勝美

2008年秋の花水木

老いらくや色なき風に吹かるのみ /勝美

お地蔵さん

信仰の洋も和もなし文化の日 /勝美

秋晴れの空

営みに蓋をする屋根冬隣 /勝美

ひねもす俳句:初秋

2008/09/24

干菓子
このごろは耳を澄ませば秋の声 /勝美

お砂場

ひそやかに砂場に埋めてゐる木の実 /勝美

コリウス

植え込みをパッチワークに文化の日 /勝美

女郎蜘蛛

稲妻や生まれしものにある手肢 /勝美

秋の蝶

飛ぶやうに巡り巡れり秋遍路 /勝美

ひねもす俳句:秋暑し

2008/09/03

回転寿司
秋暑し手つかずの皿回るだけ /勝美

夏の終り

新涼や早くも点る街路灯 /勝美

葡萄一房

一粒の葡萄一句を生ぜしむ /勝美

秋茄子

茄子の花やがて一句となる言葉 /勝美

玉すだれ

ゼフィロスの秋声耳にひとり旅 /勝美

ひねもす俳句:残暑

2008/08/14

溜め池に糸を垂らす釣り人たち
釣といふ殺生四万六千日 /勝美

腕にとまる蝉

暫くの生命を休め蝉鳴かず /勝美

すごい勢いの夕焼け雲

夕焼けを戴き街に言葉なし /勝美

光の輪

喜びは尾を曳くものよ北京夏 /勝美

ひねもす俳句:夏休み

2008/07/28

アザミの綿毛
旅立ちに言葉はいらぬ夏あざみ /勝美

盆踊り会場

ふるさとの大仕掛けなる誘蛾灯 /勝美

たんぼの中に咲く蓮の花

蓮開く打ち止めとなるパチンコ台 /勝美

赤すぎる夕焼け

霍乱や憤怒の色の街に住み /勝美

ひねもす俳句:盛夏

2008/07/17

ランタナ
ランタナは季語に未だし七変化 /勝美

鯱と扇風機

許されてしばしの午睡調教師 /勝美

獅子唐

青唐辛子己が辛さに青ざめる /勝美

ゾウのじょうろ

水遊びつづくや俄雨のなか /勝美

ひねもす俳句:夏まぢか

2008/06/18

風船プール
ガリバーの黴の胞子や気球めく /勝美

大工の昼休み

長柱立てて大工の三尺寝 /勝美

ハクウンボクらしき木

白服の行くや修学旅行生 /勝美

ガクアジサイ

青玉を掌もて掬へり額の花 /勝美

向日葵はまだ蕾

向日葵の単眼何を窺ふや /勝美

ひねもす俳句:六月

2008/06/02

幼子の朝食
手掴みに作法などなし裸の子 /勝美

カタバミの路地

酢漿(かたばみ)を咲かせ空き家となりにけり /勝美

飛行船

麦秋やふつくら浮かぶ飛行船 /勝美

滑り台

虹ならばなほ良かるべしすべり台 /勝美

ひねもす俳句:初夏

2008/05/17

テッセンの花
一輪の大き夏花や供養塔 /勝美

芽が出まくりのジャガイモ

父の日もごろごろ髭を剃らずをり /勝美

花屋の店先

巴里祭花舖は鉢花溢れさす /勝美

公園の木立

緑蔭や葬送の列はや見えず /勝美

【作者より注釈】
夏花は「げばな」とよむ。夏安居(げあんご)90日間懇ろに
花を仏に供える、その花をいう。

勝美さんダブル受賞

2008/05/12

ひねもす俳句の浦和の俳人こと勝美さんからメールが届きました。
———————————————————–
昨日、第14回酔花忌俳句大会に出かけました。
席上、川崎区長賞の賞状と副賞を授与されました。
(副賞は図書券でした)
さへづりの天へ古刹の塔ふたつ  /勝美
これで今年になって3度目のご褒美です。
この授賞のまえに、地球ボランティア協会から
佳作賞の賞状が送られてきました。
晩夏濃し地平線まで地雷原   /勝美
———————————————————-
勝美さんおめでとうございます!
メールは「まあ、ぼちぼちやな。」と締めくくられていました。
▼川崎区長賞授与式の様子と賞状
川崎区酔花忌俳句大会川崎区長賞

川崎区長賞賞状 あなたの一句が地球を救う佳作賞状
川崎区酔花忌俳句大会の賞状 「あなたの一句が地球を救う」佳作賞状

酔花忌というのは、川崎出身の詩人・作詞家の佐藤惣之助の命日。
「酔花」の俳号で俳句も詠んでいたそうです。
佐藤惣之助についての詳しいことは、佐藤惣之助 – Wikipediaで。

ひねもす俳句:若葉風

2008/04/24

石南花の花
桟道を踏む石楠花の靄破り /勝美

風柳

聞き流すことこそよけれ糸柳 /勝美

二輪草

此の上は同行二人二輪草 /勝美

そよぐ木

空の窓開け放たれて若葉風 /勝美

ひねもす作者の勝美さんの「光の一句」(三重県)

2008/04/03

俳句のくに三重全国俳句募集の「光の一句」部門で勝美さんの句が佳作に選ばれました。
冬蜂の光の方へ向ひけり /勝美
ちなみに応募総数は112,943句。いや〜、10万人が応募するってスゴイですね。

ひねもす俳句:春の日差し

2008/03/30

しのがやと桜2008
何故ひとは桜の下を好むのか /勝美

草取り

嫁菜摘む老婆大地を摘まみ上げ /勝美

桜の下で2008

石あれば石に腰掛け遍路旅 /勝美

春の子供

春愁の目蓋自然に下がりけり /勝美

春のおでかけ

初めての使ひや陽炎買ひにゆく /勝美

ひねもす俳句:三月

2008/03/03

ひな人形
春愁や座り疲れて座り胼胝 /勝美

ひなまつり

人形に造花ひとには桜なり /勝美

別所沼の水鳥たち

春水をキンクロハジロ我がものに /勝美

梅の枝

梅愛づる心は一つ癒さるる /勝美

ばら寿司

生き雛に作り給ひし五目寿司 /勝美

ひねもす俳句:早春のシーワールド

2008/02/21

セイウチ
海象の髯の先より陽炎へる /勝美

シャチショー

飽きもせず見る春昼の鯱の芸 /勝美

ペリカン

大口のペリカンもゐて百千鳥 /勝美

王様ペンギンの散歩

薄氷を踏むペンギンの一部隊 /勝美

ひねもす俳句:旅先にて

2008/02/21

海ほたるのデッキ
海風を浴びてデッキの恋の猫 /勝美

ローズマリーガーデン

復活祭色鮮やかにハーブティ /勝美

洲崎灯台

灯台に高き波音春寒し /勝美

岩井海岸

春潮の膨らむ際をたもとほる /勝美

ひねもす俳句:何でもない朝

2008/01/27

朝の線路
末ながく寄り添ふ仲や目貼剥ぐ /勝美

閉まったシャッター

閉め出しはいつもながらや春寒し /勝美

梅盆栽

「駐車場空き有り」鉢の梅二輪 /勝美

駐車場

寒明けやあまねく兆す日矢の数 /勝美

街頭

冴え返る街灯にみる今朝の顔 /勝美

ひねもす俳句:正月

2008/01/03

正月の花千両
何はさて正月気分自づから /勝美

元旦の空に浮かぶ飛行船

初晴や希望は形なして浮く /勝美

ご来光2008

改めて初日に目覚む「偽」の世間 /勝美

駅構内の臨時お年賀用菓子売り場

買初めに賞味期限を確かむる /勝美

初詣は近所の小さなお稲荷

初詣まじまじと見るご神体 /勝美

ひねもす俳句:年の暮れ

2007/12/16

クチナシの実
山梔子の枯れても失せぬ色気かな /勝美

クリスマスリースのかかったドア

クリスマスリースの扉開け集金人 /勝美

歳末の提灯の揺れる商店街

華やかに人出待ちたり年の市 /勝美

冬の空に枯れ枝を伸ばす桐

大空にアンテナ伸ばす一冬木 /勝美

見事な黄葉も終わればゴミ袋行き

終末は突如来るもの落葉また /勝美

ひねもす作者の勝美さん、天満書房の俳句文芸賞受賞!

2007/12/16

ひねもす俳句作者の勝美さんが、天満書房の第5回俳句文芸賞を受賞しました。
下が受賞句。

 鶏頭の熱のかたまり壺に在り

天満書房第五回俳句文芸賞の賞状賞品と近代俳人群像
賞状と賞品が今日届いたそうなので掲載します。
賞品はカシオの電子辞書EX-wordのXD-SW6500BKと、副賞は書籍で「近代俳人群像」。
今年一年はとくにさまざまな句会やコンテストで賞をもらっている勝美さん。
賞をもらうもらわないは別としても、ひとつのことに集中する力は、わが父ながらあっぱれです。

ひねもす俳句作者の勝美さん、表彰式に出る。

2007/12/02

さいたま市民文芸第6号表彰式
毎度おなじみの勝美さんが、またまた受賞です。今度は「さいたま市民文芸」。
以下は、作者から届いた受賞を知らせるメールより。
さいたま市民文芸第6号表彰式が、12月2日にJACK大宮にて行われました。
優秀賞作品は
「柏餅」と題して
さいたま市民文芸第6号懇親会
   北窓を開く胸襟開くごと
   餅花や梁は手斧の荒削り
   竹の秋日の斑のなかの陶工房
   出逢ふ人なき花冷の屋敷町
   掌に余る葉を手にひろげ柏餅
写真は、表彰式及び懇親会の模様。下の写真左より審査員星野和子先生、北原立木先生、石原栄子先生。
下は山本圭子先生と受賞者

ひねもす俳句:冬晴れの日

2007/11/26

冬の朝日
曉闇に見る極月の街の貌 /勝美

公園の落ち葉

足音の行き交ふまへの落葉かな /勝美

公孫樹の下でフリマ

黄葉はやがて散る散る古着市 /勝美

公園で餅つき

年惜しむ捏ねて搗かれしのみなれど /勝美

パン屋のショーウィンドウ

明日には聖菓一色なりぬべし /勝美

22回国民文化祭とくしま大会に入選

2007/11/17

ひねもす俳句作者の勝美さん、またまた入選。
ひとつは、「22回国民文化祭とくしま大会」に入選。俳人協会理事長の宮津昭彦さんが、勝美さんの句を特選に選んでくれたそうです。
 花種を蒔き散骨の終りけり /勝美
もうひとつ朗報、ふるさと情報カレンダーの優秀作家作品にも。市販のカレンダーに掲載されるそうです。
楽しみですね。(買わないとは思うけど)

ひねもす俳句:立冬も過ぎ

2007/11/10

晴天の路地
ぼろ市へつづくこの道通学路 /勝美

晴れ間の黒猫

猫の手の借り手のなしに日短 /勝美

犬とおっさん

さすらひのはての一服芭蕉の忌 /勝美

ロールキャベツ

重ね着の芯に着痩せの肉潜む /勝美

武蔵野線

焼藷の香り車内に充満す /勝美

ひねもす俳句:冬近し

2007/10/29

陽に染まる庭木
陰日向なく身辺に秋扇 /勝美

台風一過

日の当る事もあらめや濡れ落葉 /勝美

石庭

冬涛に切り込む舳先影なして /勝美

石灯籠

仏門に帰依一筋や虫しぐれ /勝美

庭園の池の鯉

水澄みて身も露(あらは)なる魚どち /勝美

カメムシ

亀虫や逃げの一発かますのみ /勝美

ひねもす俳句:秋本番

2007/10/13

万葉植物園のカタツムリ
ひと部屋に合はす身丈や冬支度 /勝美

干された銀杏

シェルターは一家にひとつ冬隣 /勝美

日曜の光が丘公園

犬の目に映るたそがれ秋深む /勝美

彼岸花

夢の中までもつづけり彼岸花 /勝美

ひねもす俳句:秋涼し

2007/09/28

こどもカラス
霜降や子に餌を運ぶ親鴉 /勝美

公園で運動会の練習中

子供等に影の這ひ寄り冬隣 /勝美

雲の切れ間から陽がさして

蛇笏忌の光あまねく注ぐ空 /勝美

木の下でうたた寝

秋思濃し自首の思案の尽きかねて /勝美

キンミズヒキ

靴擦れの足を引きずり金糸草 /勝美

秋のアゲハチョウ

惜しみなく生きて着てこそ秋袷 /勝美

勝美さん「特選」&「NHK大分局長賞」をゲット!

2007/09/18

ひねもす俳句の勝美さんが、NHK学園生涯学習フェステイバル別府俳句大会で、特選とNHK大分放送局長賞を受賞されました!
勝美さんから届いたメッセージがこちら↓

NHK学園生涯学習フェステイバル別府俳句大会で、
   香水の空き瓶恋の数ほどに /勝美
が、「湾」主宰大岳水一路先生の特選とNHK大分放送局長賞を
頂きました。別府俳句大会壇上で、それぞれ賞状と賞品を授与
されました。今回は、デジカメ持参しなかったのが悔やまれる。
もっとも、携帯で写メール出来たのに。
「蕗」主宰 倉田紘文先生に次の二句を佳作に選んで頂きました。
  はまなすに一握の砂こぼしけり /勝美
  ひかげればひかげの色に雨蛙  /勝美

ひねもす俳句:秋、序の口

2007/09/10

ガチャガチャ
一部屋に雑魚寝の憂き目秋遍路 /勝美

ポップコーン

変貌の極の唐黍ポプコーン /勝美

オクラ

オクラ玉込めてクレーの射撃かな /勝美

三日月

新月や細る暮らしの詮もなし /勝美

花嗅ぐ犬

蜩やビクターの犬ならずとも /勝美

ひねもす俳句:うつろう季節

2007/08/28

カマキリ
流れゆく蟷螂机龍之助 /勝美

擬態の魚

ネグリジエの魚眠れず月上る /勝美

水族館大水槽

水中に暮らす他なき極暑かな /勝美

ぼんやり魚

秋思ふと魚であること忘じけり /勝美

花火大会

背負ふ子の爆睡花火始まるに /勝美

夕方

秋夕焼何処までつづく温暖化 /勝美

ひねもす俳句:港の街にて

2007/08/07

横浜開港記念館
海の日に訪ふや開港記念館 /勝美

開港記念館の階段

階段は糸瓜の仲間蔓伸ばす /勝美

開港記念館の窓越しの外の風景

名月を取り込む位置に窓開く /勝美

開港記念館踊り場付近

西日射すエントランスに靴ひびく /勝美

ひねもす俳句:夏祭り

2007/08/01

今日は浴衣で
わたくしの時間と場所へ浴衣掛 /勝美

近所の稲荷神社

末社にもあまねく西日射しにけり /勝美

別のお稲荷

出番待つ祭提燈うらがなし /勝美

神社で盆踊り

宵闇に集ふ笛かた太鼓かた /勝美

ひねもす俳句:植物四態

2007/07/20

秋薊
町衆の寄り合ふやしろ秋薊 /勝美

ダチュラ

花ダチュラ夜の静寂のニニロッソ /勝美

コンロンカ

ペガサスや遥けき此処はコンロンカ /勝美

冬瓜

冬瓜や蔓を身重の支へとす /勝美

ひねもす俳句:夏へ

2007/07/05

赤ちゃんの手と雨粒
幼な手の汚れな染めそ原爆忌 /勝美

雨の池

次の鉾待つ間も濡れて佇める /勝美

プラム

プラム盛る器の白し巴里祭 /勝美

雨の花屋

青梅雨の街角愉し花溢れ /勝美

ひまわり

向日葵の後ろめたさのなき自信 /勝美

ひねもす俳句:ふだんの町で

2007/06/25

朝焼けの街
朝焼の薄れてゆけば只の町 /勝美

雨降りの商店街

年金の話も湿る戻り梅雨 /勝美

畑を分譲中

間取図を描く風鈴のすでに鳴り /勝美

雨の緑道

緑蔭に哲学中の石である /勝美

とうもろこし

唐黍や姉様人形遊びせし /勝美

枝豆

暗がりに飛ぶ枝豆を目の端に /勝美

ひねもす俳句:入梅

2007/06/14

くちなしの花
くちなしの香に居住まひを正しけり /勝美

児童公園の水たまり

梅雨空の断片ここに潦(にはたづみ) /勝美

鈴なりのビワ

駐車場をあぶれて枇杷の熟るる下 /勝美

ピーマン

ピーマンのがらんどうめく夏座敷 /勝美

デカ赤カブ

滝しぶき赤かぶ洗ふ百姓女 /勝美

ひねもす俳句:梅雨間近

2007/05/28

どくだみの花
どくだみの防臭効果期待薄 /勝美

しろつめ草

子に作らんしろつめ草の冠を /勝美

色づき前の紫陽花

紫陽花は定めの色を待つばかり /勝美

洗濯日和

干し物を潜り集金人薄暑 /勝美

平屋の屋根

下町の梅雨待つ屋根の波しづか /勝美

三連ゲット!

2007/05/04

nobori.jpgひねもす俳句の作者、勝美さんは、ひねもす以外にも、あちこちの句会に参加したり投稿したりと、日々俳句づくりに勤しんでいるわけですが、この春に3つ、投稿した俳句が選ばれたそうです。
まずは、三重県の「山の一句」にて佳作。

 峰遠し夜露のつたふ遭難碑 /勝美

お次は、地球ボランテイア協会の「あなたの一句が地球を救う」にて佳作。

 巻尺を延ばし極暑の地を測る /勝美

次回は「秀逸」を狙う、と作者の弁。
そして、第三回蕪村結城賞全国大会にて、つむぎ賞(選者特選句)を受賞。

 塔あらば塔の高みにつばくらめ /勝美

毎日やってるだけのことはあって、他のことはさておき「俳句はすぐできる」らしいです。
入選とか佳作とか評価とか、選ぶ側の観点や基準によって変化するものなので、私はそんなに重要じゃないとは思います。だけど俳句に限らず、選ばれるものには、素通りできない何かがあると考えていいのだとも思います。
とにもかくにも、うれしい春ですね。

ひねもす俳句:風薫る

2007/05/04

鯉のぼり
緑陰に憩ふごときの鯉の群 /勝美

新緑の空

空青し青葉若葉の葉の狭間 /勝美

たくさんの莟をつけたジャスミン

鼻腔襲へりジャスミンの香の波動 /勝美

木漏れ日の道

木洩れ日の迷彩色に兵の蟻 /勝美

ひねもす俳句:春深む

2007/04/23

おたまじやくし
天球に星あるごとく水に蝌蚪 /勝美

お稲荷さん

風炎や殺生石と化す狐 /勝美

チューリップ

ターバンに焚きこむ香や鬱金香 /勝美

チューリップアップ

腹割って話せば解るチューリップ /勝美

つつじ

うつろはぬものとてなけれ白躑躅 /勝美

ひねもす俳句:黒目川桜散歩

2007/04/06

ベビーカーで花見
春塵に押されて土手のベビーカー /勝美

桜土手

みどりごの周りに座り桜土手 /勝美

桜の花びらが覆う畝

菜園の畝浮きたたす花の屑 /勝美

菜の花畑

丈伸びし菜の花迷路めく畑 /勝美

濁った川を泳ぐ鴨

一雨に川濁れども残る鴨 /勝美

川風の渡る土手

川風の触れてゆきたる柳かな /勝美

ベンチの男2人

食べ終へし葉をてのひらに柏餅 /勝美

ひねもす俳句:春うらら

2007/03/23

庭先
混沌は宇宙にも似て桜草 /勝美

春の狸

四月馬鹿化けもせでゐる陶狸 /勝美

春の柳

柳見て和まぬものはなかるべし /勝美

春の土手

春の土手丸太の如く臥すもよし /勝美

春の銅像

少女らのワルツは永久(とは)にうららけし /勝美

ひねもす俳句:梅満開

2007/03/05

ミモザ
見もされぬことにも馴れて花ミモザ /勝美

池のカエル

浮き浮きか将(はた)憂き憂きか蛙出づ /勝美

合戦

梅凛々幼き武者の勢揃ひ /勝美

猫

挨拶はものの順序よ恋の猫 /勝美

ひねもす俳句:早い春

2007/02/16

梅林
梅の木の影に我が影重ね踏む /勝美

昼寝猫

春昼の鼠は猫を恐れざり /勝美

紅梅

紅梅の浄土へ上る縄梯子 /勝美

乙女椿

乙女の間短き乙女椿かな /勝美

ひねもす俳句:冬の晴れた日

2007/01/20


植木職人
空を切る音剪定の上り詰め /勝美

パンジーを飾る家

福は内なりパンジーを飾る門 /勝美

トラックの荷台

春寒し荷台大きく口を開く /勝美

ひねもす俳句:年明けて

2007/01/14


大仏
何気なく大仏在(おは)す初写真 /勝美

臼と杵

餅つきの夢や隠居の臼に杵 /勝美

露店

参道に並ぶ露店や初詣 /勝美

ひねもす俳句:師走の街

2006/12/21


枯れた草花
草枯れて芯の強さを残したる /勝美

漢方薬局の棚
数へ日や漢方薬の早き減り /勝美

今年の白菜は…
尻向けて白菜はしたなかりけり /勝美

玄関先で白菜干し
白菜のすでに萎びてをりしかな /勝美

クリスマスの街かど
聖樹ただ単に広告塔の役 /勝美

美容室の中で
外しけりショールに絡む鬘の毛 /勝美

ひねもす俳句:初冬の路地

2006/12/04


枯れ葉のベンチ
枯葉のベンチ相寄らぬ影ふたつ /勝美

ネットに捕られたミカン
寒禽とネット越しなるご対面 /勝美

枯れ葉の公園
大勢の子供の去りし枯葉かな /勝美

さびれたアパート
独居房めくアパートも冬日濃し /勝美

ひねもす特別版

2006/11/17

第二十一回国民文化祭2006やまぐち文芸祭俳句大会において
この、ひねもす俳句の作者の次の作品が社団法人俳人協会賞を受賞しました。
 灯を入るる頃となりけり夏座敷 /勝美
作者は山口まで招待を受け、表彰式に臨みました。
俳句大会in山口
ついでに、瑠璃光寺、雪舟庭、サビエル記念聖堂などを見学した折のひねもす。


瑠璃光寺
瑠璃光寺池に冬めく塔の影 /勝美

雪舟庭
石庭の黙(もだ)の深しよ石蕗の花 /勝美

ザビエル
絵硝子の冬日微塵や祈る背に /勝美

ひねもす俳句:深まりゆく秋

2006/10/16


おまけしてもらった天津甘栗
栗むいて指の汚れを訝しむ /勝美

ハロウィン関連売り場
ハロゥインかぼちゃの果たすべき役目 /勝美

秋晴れ
出来たての雲の切れ端秋の空 /勝美

赤い月
秋の夜やロマンス色のネオン点き /勝美

ひねもす俳句:すでに秋が

2006/09/14


空き地のバイク
草むらに姿を見せし昼の虫 /勝美

赤塚縁日の阿波踊り
練習の成果まちまち阿波踊り /勝美

縁日の綿あめ屋台
綿菓子のやうな雲浮く秋祭り /勝美

生後28日の足の裏
長き夜の嬰の足裏見て飽きず /勝美

ひねもす俳句:真夏の陽射し

2006/08/03


アゲハ蝶
旅立ちの刻迫りけり揚羽蝶 /勝美

ひまわり
ひまわりのタイトルバック懐かしく /勝美

コップの底の光
セッションのジャズに手拍子晩夏光 /勝美

ウバユリ
手折るには忍びぬ百合の気品かな /勝美

ブラックベリー
すぐり熟る開拓農の丸木小屋 /勝美

ひねもす俳句:夏の食

2006/07/14


四葉のトマト
出生率低下傾向トマト熟る /勝美

高野の水大福
夏さなか水大福の笹の青 /勝美

光が丘のソフトクリーム
ソフトクリームの先端へと舌の先 /勝美

八百屋のスイカ
合戦小屋の楽しみは西瓜なり /勝美

萬店のうなぎ
うなぎ飯胎児ごとりと動きたり /勝美

ひねもす俳句:イキモノ五態

2006/06/27


ドクダミの八重
どくだみの増殖鬱の始めとす /勝美

屋上のミツバチ
みつばちの戸別訪問梅雨晴間 /勝美

猛犬注意
猛犬の尻は隠れずはたた神 /勝美

桜の木に這うナメクジ
なめくじり読めぬ仮名釘流の跡 /勝美

プチトマトのテントウムシ幼虫
やがて着る天道虫の星の服 /勝美

ひねもす俳句:梅雨さなか

2006/06/16


駐車場の草花
化物のごとく草伸び梅雨晴間 /勝美

築土八幡近くの坂道
父の日の遊び相手を勤めけり /勝美

ガクアジサイ
息吹き込んで紫陽花を膨らます /勝美

尻尾がちょっと切れたトカゲちゃん
牧神の座の切株を守る蜥蜴 /勝美

玄関前のポメラニアン
ゆゑありて外に繋がれ蚤取粉 /勝美

ひねもす俳句:六月

2006/06/02


禿頭
父の日も凡そをベンチにて過ごす /勝美

梅雨前の夕暮れ時
半夏生街収縮を繰り返す /勝美

蔦のからまる街路樹
蔦茂るひとは道路を歩くべし /勝美

冷凍マナガツオ
祇園会の馳走に焼くやまながつお /勝美

ひねもす俳句:梅雨間近

2006/05/18


玄関先で傘を干す
有るだけの傘の出番や走り梅雨 /勝美

休日の玄関先
梅雨寒をかこつ出前の食器かな /勝美

ヘビイチゴ
匍へばとてとぐろは巻かず蛇苺 /勝美

雨の池
睡蓮と雨の波紋のせめぎあひ /勝美

ひねもす俳句:五月

2006/05/08


薔薇と虫
差し伸べし手に容赦なき薔薇の棘 /勝美

GWの少年野球
風薫るチームは作戦会議中 /勝美

ネギ坊主
葱坊主お前はおまへ俺はおれ /勝美

道端に座るおばちゃん2人
母の日の介護する母される母 /勝美

武蔵浦和駅構内のこいのぼり
商戦の最前線の鯉のぼり /勝美

ひねもす俳句:黄金週間

2006/04/30


光が丘ダイエーの鯉のぼり
屋内で意気の揚がらぬ鯉のぼり /勝美

徳石公園
春惜しみあふかに車座の遊具  /勝美

赤塚万葉植物園
見詰められ出るに出られぬ蟇 /勝美

牡丹の花盛り
傘差してお目見得歌舞伎めく牡丹 /勝美

ひねもす俳句:それぞれの春

2006/04/15


カフェテラス
パリジェンヌ来ず花冷えのカフェテラス /勝美

春の荒川土手
春深む日差しのなかの家族愛 /勝美

モスバーガー前のサラリーマン
風薫るハンバーガーの香を乗せて /勝美

チューリップ畑
キャンデイの包み紙ですチューリップ /勝美

桜の花も終わり
花降らせ自らの座を荘厳す /勝美

ひねもす俳句番外編:朝霞黒目川吟行

2006/04/05


黒目川の桜堤
花はこぶ川面さわがし里の昼 /農宗
川べりのベンチで喰いたし桜餅 /淳子

桜
花の下ベンチに憩ふ老夫婦 /妙子
留守番を犬にまかせて花見茣蓙 /勝美

鴨もたくさん
桜しべ小鴨に触れて流れゆく /妙子
菜の花の香や携帯のメール打ち /勝美

菜の花畑
三月菜なほ咲きほこる土手日向 /農宗
せわしなく蜂の飛び交う畑は黄 /淳子

どこかの幼稚園児たち
赤帽の園児ぞろぞろ犬ふぐり /勝美

飛行機雲と桜
さくら咲く飛行機雲の一文字 /勝美
定食を待つ間もどかし花疲れ /勝美

ひねもす俳句:春、始まる

2006/03/28


白い空と白木蓮
白木蓮の高きは雲に届きたり /勝美

用水路に咲く桜
句碑の字をなぞる指先花の冷え /勝美

ゆれる柳
青柳の水には遠き枝の丈 /勝美

ゆれる芽柳
風つかむには幼くて柳の芽 /勝美

魚肉ソーセージ
装ひを剥けば均一新社員 /勝美

ひねもす俳句:春の光

2006/03/16

フェンスの菜の花
鉄柵をしめ菜の花の収容所 /勝美

雪割草
何時か子も跼み看るべし雪割草 /勝美

春の池
巣離れの鮒に誘ひの鉤下ろす /勝美

紅梅のある坂
紅梅の彩に余情の有り余る /勝美

風に揺れるネコヤナギ
揺り起こす風に目覚めて猫柳 /勝美

ひねもす俳句:春浅し

2006/03/02

雨空の街路樹
街路樹の目覚め未だし春遅々と /勝美

バーの店内
ほほづゑに待つ身をあづけ春の宵 /勝美

京のお弁当
三月のよろこびに充ち京弁当 /勝美

中野駅の構内
啓蟄の人人人や音立てて /勝美

カランコエ
春のよろこび運び来しカランコエ /勝美

ひねもす俳句:冬のおわりに

2006/02/21

練馬の畑
畑焼いて夕べの祈り捧げけり /勝美

産毛の新芽
木の芽晴こんがりとパン焼き上がり /勝美

春間近の公園
ベンチとは春愁の身の置き処 /勝美

遊歩道の梅
兜太ゐず青鮫もゐぬ梅である /勝美

ひねもす俳句:節分も過ぎて

2006/02/07

文鳥
鳥帰るべしと文鳥独りごつ /勝美

チョコレート
一杯のショコラ召しませ春の風邪 /勝美

花屋の店先
春なれば鉢植え色を溢れしむ /勝美

改装中の店舗
春寒し改装遅々の貸店舗 /勝美

文鳥その2
文鳥の嬉々と遊ぶや水温む /勝美

ひねもす俳句:三寒四温

2006/01/28

魚屋の店先
さかなやの切身ひとしく春の色 /勝美

雪で遊ぶこども
受験子の眼に春雪の窓明かり /勝美

雪掻きする人
雪掻いていつしか軽くなる心 /勝美

ひねもす俳句:年始

2006/01/04

犬が見てる
去年今年犬小屋ほどの家住まひ /勝美

干し大根
掛け大根憂き世の風に乾びゆく /勝美

商店街の福袋
買初の袋に詰まるほどの福 /勝美

ひねもす俳句:歳の暮れ

2005/12/30

冬空と桐の木
一切をかなぐり捨てて今冬木 /勝美

冬日の猫
恋猫の影黒猫として添へり /勝美

道端の松飾り売り
門松や耐震偽装マンションに /勝美

ひねもす俳句:冬支度

2005/12/07

金満源のニラレバセット
聖夜の御馳走ささやかに中華めし /勝美

近所のお宅のイルミネーション
電飾に心算砕くクリスマス /勝美

くっきり夕富士
また明日も見たし寒夕焼けの富士 /勝美

アカスジキンカメムシの幼虫
冬の虫とて椿象(かめむし)に御座候 /勝美

ひねもす俳句:ふけゆく秋

2005/11/24

野火止用水の散歩道
野火止のそぞろ歩きや冬日濃し /勝美

逆光のもみじ葉
冬の朝血潮漲る掌をかざし /勝美

紅葉に群がるカメラ中年
被写体に移ろふ影や日短か /勝美

古びた石灯篭
石塔の欠けるにまかせ寅彦忌 /勝美

墓地の珊瑚樹
珊瑚樹の実や御利益の降るごとく /勝美

紅葉ごしのお堂
紅葉散る一期一会を旨として /勝美

鐘突きする坊さん
鐘の音に紅葉散りゆくばかりなり /勝美

ひねもす俳句:旅の空

2005/11/13

京都西陣ちかくの路地で
はや冬は塀のそばまで来てをるぞ /勝美

ならまちの無人販売所
冬ざるる町や無人の販売所 /勝美

奈良公園の落ち葉
道具立てよし語らひの場の落葉 /勝美

浜松ガーデンパークの殿様バッタ
いのちまだ漲る冬の飛蝗かな /勝美

レンタカーの車窓から
高速路は名残の空へつづきけり /勝美

カーナビ
神の旅カーナビといふ優れもの /勝美

ひねもす俳句:冬の前ぶれ

2005/10/26

眠ってると思いきや起きてたカエル
冬眠の迫るかはづの思ふこと /勝美

路地の落書き
落書きに意味あるごとし冬ざるる /勝美

ひねもす俳句:秋の路

2005/10/14

金木犀
木犀の金の降る径至福の歩 /勝美

赤い実の花水木
花水木の実の色付きし被災の地 /勝美

ひねもす俳句:食欲の秋

2005/10/13

蜜柑
山猿の謀議しきりや蜜柑山 /勝美

栗の渋皮煮
団欒の灯に甘露煮の栗の艶 /勝美

ひねもす俳句:霧雨の夜

2005/10/05

テールランプ
秋霖や尾燈の光る帯しきり /勝美

夜の踏み切り
肌寒し通過電車の起こす風 /勝美

雨傘
哀しみの身に霧雨の傘重し /勝美

ひねもす俳句:秋のとばくち

2005/09/25

でか瓢箪
青ふくべ物いはざれば腹ふくれ /勝美

すこしだけ紅葉
粧ひの整はぬまま初紅葉 /勝美

アザミとハナムグリ
美しきものは美を呼ぶ秋あざみ /勝美

初秋の竹林
竹の春風百幹を離れざり /勝美

ひねもす俳句:残暑の山にて

2005/09/18

マツムシソウ
遠目にも松虫草と判る色 /勝美

キャンプの晩飯(ポトフ)
ポトフ鍋主役を秋の野菜とす /勝美

浅間大滝
ほとばしる水の白さよ秋の滝 /勝美

ひねもす俳句:秋始め

2005/09/11

風力計
鳥渡る風車見る見る遠ざかり /勝美

台風の次の朝
街の声常に戻るや台風過 /勝美

売地
売出しの更地に残る虫の声 /勝美

ひねもす俳句:夏から秋へ

2005/08/23

自家製うめぼし
皺深き貌となるまで梅を干す /勝美

古道具屋の店先
塵払ふ敬老の日の古道具 /勝美

ひねもす俳句:暦ではとうに秋

2005/08/17

商店街のガチャガチャ
がちゃがちゃの一つ一つにある個性 /勝美

 註: がちゃがちゃ=くつわ虫
夏休み後半の夜空
テロ続く地や銀漢の尾の彼方 /勝美

ひねもす俳句:夏の低山

2005/08/06

木漏れ日の山路
木洩れ日の斑が飾る蟻の道 /勝美

トラノオとカミキリ
天牛(かみきり)のしとねにしだらなき姿 /勝美

城山の茶屋
山上にゐて涼風に身を任す /勝美

ひねもす俳句:真夏の草木

2005/07/27

空き地に咲いたアザミ
野あざみの茂みにも穴着弾地 /勝美

真夏の街路樹
傷口に樹脂吹き出せり酷暑の木 /勝美

ひねもす俳句:火・風・雨

2005/07/12

ノウゼンカズラ
凌霄花(のうぜんか)しきりに焔したたらす /勝美

せとものやの風鈴
風鈴屋風に客寄せ任せけり /勝美

雨の横断歩道
梅雨さなか老眼とみに進みけり /勝美

ひねもす俳句:夏の花

2005/07/02

蓮のつぼみ
古代蓮濁世(じよくせ)の花として開く /勝美

お地蔵さんの足元
三伏や地蔵の供花のすぐ萎れ /勝美

下野(シモツケ)
しもつけや幼きころの鹿の子帯 /勝美

ひねもす俳句:梅雨の中休み

2005/06/23

ハグマノキ(スモーク・ツリー)
スモークツリーと知らで学生憩ひけり /勝美

食料品店
缶詰で済ます一食キャンプ村 /勝美

建物の裏側
人生の裏側寂し夏廃墟 /勝美

ひねもす俳句:ナント滞在その2

2005/06/12


ナントのホテルから
風死せりメインロードに街の音 /勝美

スーパーマーケット
今日明日の食料山と買ひ薄暑 /勝美

蕎麦粉のクレープ
ガレットを食ひつつ思ふ冷奴 /勝美

ひねもす俳句:ナント滞在

2005/06/11


ナントの街
雷の気を集め尖塔そそり立つ /勝美

ナントの路地
切り通しめきし路地裏昼寝どき /勝美

カテドラル
白南風(しろはえ)に白さ益しけりカテドラル /勝美

ひねもす俳句:パリの日々

2005/06/10


飛行機の翼
山開きたる雲中をひたに飛ぶ /勝美

セーヌ川
涼しさや水に流せしよしなごと /勝美

フランス窓
窓開けて種を飛ばせりさくらんぼ /勝美

スーパーの野菜売り場
巴里祭の市場青果を山と積み /勝美

セーヌ川橋の上
夏野より流るる水の果て大河 /勝美

ひねもす俳句:続・普通の日々

2005/05/24


ナスのショウガ醤油
夕餉には未だ日の高し焼きなすび /勝美

エビチリ!
舌火傷しさうに辛し汗にじむ /勝美

スズメと思いきやツバメだ
巣に帰ることも忘れて夏燕 /勝美

ツバメの巣
燕の子並ぶは歳の順なるや /勝美

ひねもす俳句:普通の日々

2005/05/21


薔薇の花
はなびらをベッドに散らし薔薇の夢 /勝美

100円パーキングのヒメジョオン
測量の器材どさりとヒメジョオン /勝美

高水三山
緑蔭に座すや睡魔に襲はるる/勝美

近所の更地
住み古りし地は片蔭もなく更地 /勝美

ひねもす俳句:五月

2005/05/03


たんぼは田植えしたばかり
ビルの影崩すさざ波植田水 /勝美

与野公園の池
若葉影映してゆらぐ池の面 /勝美

彩の国芸術劇場の内部
影を生む光射し込む聖五月 /勝美

へんな鍵店
防犯の鍵に安堵や五月闇 /勝美

ひねもす俳句:桜も過ぎて

2005/04/22


喜多院の池
八つ橋の板のじぐざぐ夏はじめ /勝美

招き猫みくじ
招き猫ひとつ売れけり初夏の寺 /勝美

街のパン屋
麦秋やフランスパンの焼き上がり /勝美

八重桜
春疾風枝を離るるもの哀れ /勝美

ひねもす俳句:春の花々

2005/04/09


夜桜
夜桜のための雪洞はや灯る /勝美

バイモ
敬虔に祈る姿や花貝母(ばいも) /勝美

イカリソウ
みづからを繋ぎ止めゐし錨草 /勝美

アネモネ
アネモネや風の便りの故郷のこと /勝美

ひなげし
潮騒やひなげし揺るるばかりなり /勝美

ひねもす俳句:春の空

2005/03/31


コブシの花
青空に白を象嵌花辛夷 /勝美

横浜大桟橋
みちなきをゆき踏青の果ては海 /勝美

大桟橋の夕暮れ
花ぐもり行き交ふひとのなきデッキ /勝美

横浜の夜景
花冷えの宵を粧(よそほ)ふ観覧車 /勝美

ひねもす俳句:蛙もさわぐ春

2005/03/28


サンシュユの花
山茱萸の花の星雲黄に烟る /勝美

晴天の木
彼岸会(ひがんえ)の風まだ硬き雑木山 /勝美

トノサマガエル
みづからの声に驚愕して蛙(かはづ)/勝美

ひねもす俳句 : 春の訪れ

2005/03/18


町を見下ろすビッキー
つながれて犬春愁を逃れ得ず /勝美

マンションの風グルマ
かざぐるま一つ止まればみな止まる /勝美

屋根の上の猫
出動の時間の待てず恋の猫 /勝美

ひねもす俳句 春愁

2005/03/08


梅まつり
梅の下世間話に花咲かす /勝美

馬酔木
青丹よき古都の大路や花馬酔木 /勝美

裏道の木
花冷えや入り日を透かす欅の木 /勝美

越生弘法山
春愁や山といふには低すぎて /勝美

ひねもす俳句:早春の午後

2005/02/23


裏通りの夕暮れ
梅の香のひそと漂ふ裏通り /勝美

薄い月がでてた
鳥雲に惰性でテレビドラマ見る /勝美

ひねもす俳句:春を待つ

2005/02/11


梅の木
ひと雨に梅開かんとする予感 /勝美

つぼみの沈丁花
住むひとの絶えたる家や沈丁花 /勝美

凧上げ
揚げ渋る凧に因果を含めけり /勝美

ひねもす俳句:早春へむかう

2005/01/21


リュウノヒゲ
風雲の兆しも見えず竜の玉 /勝美

水仙
水仙や屈(かが)む高さの香に浸り /勝美

野鳥1羽
さへづりの仲間待つ間の一呼吸 /勝美

ひねもす俳句: 冬の午後 

2005/01/13


別所沼の鳩
雪消えし地になすことのなき土鳩 /勝美

いい天気の午後でした
午後の日をかへすさざ波寒の入 /勝美

ひねもす俳句:年の瀬の雪

2004/12/31


ロウバイ
臘梅や俄に白きものの舞ふ /勝美

けっこう積もりました
雪掻きは他人まかせや街眠る /勝美

ひねもす俳句:小春日

2004/12/14


あかい実
はや灯す家そちこちや枯れいばら /勝美

近所のお地蔵さん
数へ日の街角に立つ石地蔵 /勝美

オバQ!
冬ざるる時代遅れの古遊具 /勝美

ひねもす俳句:浅い冬

2004/11/23


南天
ならまちの無住寺ひそと実南天 /勝美

八つ手
商ひの地酒ずらりと花やつで /勝美

蒲団干し
有り余る日をふんだんに干蒲団 /勝美

ひねもす俳句:古都の晩秋

2004/11/13


京町家の坪庭
坪庭の紅葉明かりや虫籠窓 /勝美

水路閣
水澄める古都に異彩の水路閣 /勝美

高瀬川の一之船入
高瀬川一之船入落葉舟 /勝美

金福寺の山茶花
山茶花の白のはらりと芭蕉庵 /勝美

金福寺
小春日和蕪村の墓へ参らんか /勝美

身替わり猿
厄除けの猿を軒端に年の暮 /勝美

ひねもす俳句:秋の日曜日

2004/10/26


むかごはおいしい
零余子(むかご)蔓引けば雨粒降り掛かり /勝美

お蕎麦やさん
昼酒は蕎麦屋に限る酔芙蓉 /勝美

ひねもす俳句:秋の赤

2004/10/19


今年はざくろ豊作!
落ちてなほ哄笑止まぬ石榴の実 /勝美

赤とんぼを何匹も発見
草むらにかしぐ板碑や秋茜 /勝美

ひねもす俳句:小さな吃驚

2004/10/14


ススキ
しろがねの無垢のひかりのすすき原 /勝美

10月6日の夕空
善人で通す毎日秋の雲 /勝美

ひねもす俳句:秋の雨 

2004/10/09


雨の舗道
秋時雨今日も駅まで同じ道 /勝美

雨の街並
秋霖や空きの埋まらぬ駐車場 /勝美

ひねもす俳句:昼の空夜の空

2004/09/29


彼岸花
満ち足りて猫眠りをり鰯雲 /勝美

ケイトウ
犯罪の多き無月の街なるよ /勝美

ひねもす俳句:紅い花

2004/09/19


彼岸花
曼珠沙華沈む夕日に立ち尽くす /勝美

ケイトウ
鶏頭花本家分家は庭つづき /勝美

ひねもす俳句:身近な秋より

2004/09/12


八百屋に並ぶ栗
焼栗やつぶさに巴里の街の地図 /勝美

リンドウの花
竜胆や浅間に煙り低く垂れ /勝美

ひねもす俳句:秋の食卓

2004/09/07


さつまいも
命綱たりし甘藷や母は亡き /勝美

手作りパン
パン焼いてひとり夜長を紛らはす /勝美


ひねもす俳句:秋の夜

2004/09/01


やきとり屋
敬老日ひとりで祝ふ酒苦し /勝美

飲み会の日
話まだ尽きず夜長の街にまで /勝美


ひねもす俳句:山の夏その2

2004/08/24


ウメバチソウ
千載の一遇得たり梅鉢草 /勝美

見下ろす山
限り無く雲湧く高きに登りけり /勝美


ひねもす俳句:山の夏

2004/08/22


曇りの日
低山の低きにありて秋の蝉 /勝美

田の原湿原
木道に人影見えず山残暑 /勝美


ひねもす俳句:創る夏、壊れた夏

2004/08/16


クレーン
蓑虫や貼紙に記す移転先 /勝美

壊れた階段
ひぐらしや改修遅々の被災跡 /勝美


ひねもす俳句:

2004/08/10


時計台
開幕の刻待ちゐたる残暑かな  /勝美

花火大会
奇を衒うことなき線香花火好き /勝美

ひねもす俳句:夏の朝・夏の夕

2004/08/06


朝顔の花
予定調和や朝顔の紺開く  /勝美

夕日をうける用水路
柳散る川面やバルビゾンの空 /勝美

ひねもす俳句:それぞれの夏

2004/08/02


セミの抜け殻つきの塀
ポンペイの遺骸にも似て蝉の殻 /勝美

マルタの砂浜
星砂を波の洗ひし今朝の秋 /勝美

ひねもす俳句:ローマ/ボローニャ

2004/07/24


ローマ・テルミニ駅前の合歓の木
旅人の列車待つ間や合歓の昼 /勝美

ボローニャのアーケード
回廊の大暑や柱ゆるぎなき  /勝美

ひねもす俳句:イタリアからの写真

2004/07/18


イタリア上空
窓外ははや梅雨雲のなき異国 /勝美

ヴェネツィアにて
ゴンドリエ棹さすあたり天の川 /勝美

ひねもす俳句:夏の気配の巻

2004/07/15


青い無花果
葉に載せて無花果三つ賜はりぬ /勝美

いつかの空
雲の峰貧しき町はしづかなり /勝美

ひねもす俳句:小さきものたちの巻

2004/07/10


店先の金魚
金魚一匹過保護して太らしむ /勝美

路地の猫
町内の猫の寄り合ふ夕薄暑 /勝美

ひねもす俳句:夏の扉の巻

2004/07/06


商店街の笹飾り
投票に行かうと誓ふ星まつり /勝美

八百屋の店先
値札付け替へても西瓜売り残す /勝美

ひねもす俳句:夕暮れの巻

2004/07/03


夕暮れの大工
夕焼やあと一本の釘を打ち /勝美

夕暮れの街
夕焼の底より夜の街開く /勝美

ひねもす俳句:別所沼の巻2

2004/06/28


風の神コツアルケアトル
風神像の遠まなざしの先は虹 /勝美

別所沼近くの廃屋
玄関に読めぬ表札黴の家 /勝美

ひねもす俳句:別所沼の巻1

2004/06/27


別所沼
逆しまに揺らぐ梅雨入りの木々の影 /勝美

別所沼公園内の小道
緑蔭のやしろへ朱き橋渡る /勝美

「ひねもす俳句」なんてカテゴリーを

2004/06/27

「ひねもす俳句」カテゴリを作ってみます。
コビンちゃんに俳句でコメントをつけるという、シチめんどくさい表現をしているので、俳句のカテゴリ作ったら載せる?と打診をしたところやってみてもいいという返事が。
申しおくれましたが、俳句投稿者は勝美さん(粟村父)です。
東京大仏TVチームが写真を撮り、それに合わせた句を付けてもらいます。
私にはどーもインチキくさい句に思えますが、けっこういいなぁと思える句もまた、勝美さん作ります。
俳句そのものへの感想はもちろん、何でも構いませんので気になったらコメントつけていただけると、本人ますますいい気になります。
短いセンテンスで空気感を伝える俳句はblogに最適!という後付けの理由も農宗が捻りだしました。
てなわけで、早速今日からレッツラゴー。