ひねもす俳句:初冬の路地


枯れ葉のベンチ
枯葉のベンチ相寄らぬ影ふたつ /勝美

ネットに捕られたミカン
寒禽とネット越しなるご対面 /勝美

枯れ葉の公園
大勢の子供の去りし枯葉かな /勝美

さびれたアパート
独居房めくアパートも冬日濃し /勝美

「ひねもす俳句:初冬の路地」への2件のフィードバック

  1. >枯葉のベンチ〜
    別れのラストシーンか、オープニングか。
    いずれにしても悲し気な句ですね。
    >寒禽と〜
    寒禽って冬の鳥さんのことなんですね。
    鳥から守るため張られたネット。これで安心ですが、
    自由に飛び回る鳥と、ネットで囲まれたみかん。
    楽しいのは、どっちだ!
    >大勢の〜
    枯れ葉たちが、
    子供たちが走り回る時刻も過ぎて、
    「ようやく落ち着ける」
    と、安堵のため息をもらしているようです。
    >独居房めく〜
    牢の住人は東京という作業場に出かけています。
    そして、夜、戻ってきます。
    この夕日を見ているのは誰も居ない牢そのものだけなんですね。

  2. もうあっという間に冬ですよ。
    なんか秋が短かったと思うのは気のせい?
    「枯葉」は冬の季語。
    写真はひだまりの公園で、そんなに寒そうじゃないんだけど、
    句は寒々とした雰囲気ですね。もしくは夜か。
    「寒禽」が冬の季語。冬の鳥のこと。
    この句は、写真がないと、なんだかよくわからないものになってしまうかも。
    この家のひとは、やっぱり鳥から守ろうとして蜜柑にネットを
    かぶせたんでしょうね。句は、ほのぼのユーモラスな雰囲気。
    作者の、なんてことない写真からも楽しさを導き出す視点がよいなぁと思う。
    子供たちが駆け回っているとき、一緒に舞っている落ち葉。
    子供の去ったあとには、しーんと動くことなくとどまってる。
    でもなんとなく子供たちの声がまだ響いているような気配を
    残しながら。
    こんなかんじの古ぼけたアパートが、だんだん周りから
    消えてっていくこの頃。
    住んでないから言えるけど、さびれたアパートに冬の陽って似合います。
    このさびれ具合と陽の回りきらない感じが、
    作者をして独居房に見立てさせたんでしょうね。

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