ひねもす俳句:ふけゆく秋

野火止用水の散歩道
野火止のそぞろ歩きや冬日濃し /勝美

逆光のもみじ葉
冬の朝血潮漲る掌をかざし /勝美

紅葉に群がるカメラ中年
被写体に移ろふ影や日短か /勝美

古びた石灯篭
石塔の欠けるにまかせ寅彦忌 /勝美

墓地の珊瑚樹
珊瑚樹の実や御利益の降るごとく /勝美

紅葉ごしのお堂
紅葉散る一期一会を旨として /勝美

鐘突きする坊さん
鐘の音に紅葉散りゆくばかりなり /勝美

2 thoughts on “ひねもす俳句:ふけゆく秋

  1. >野火止の〜
    “冬日が濃い”という表現は、なるほど〜という感じです。
    確かに、この朝は、まぶしいくらいの日射しでした。
    でも、冬真っただ中。それがビシっと伝わってきます。
    >冬の朝血潮漲る〜
    実際に、陽があたっていない葉は、紅くなってなかったですね。
    もっともっと太陽をつかもうとしている掌でしょうか。
    >被写体に移ろふ〜
    すごい数でしたね、カメラ持って来てる人。
    なんだか、宇宙人がこぞって、計測しに来ているように思えましたw
    >石塔の欠けるにまかせ〜
    宇宙の真理を追い求めた寅彦にとっては、灯籠が欠けようが、
    どうしようがたいした問題ではないのかも知れませんね。
    >珊瑚樹の実や御利益の降るごとく
    これだけご利益あるとうれしいですね。
    ただ、ご利益を求める人の数も、かなりのもので…w
    >紅葉散る〜
    桜も紅葉も、短い期間を味わうのがイキなのかも知れませんね。
    どんどん色づいて、どんどん散って行く。
    その時そのものを愛でるのが贅沢というものかも。
    >鐘の音に〜
    時を告げる鐘の音。時が来たから鐘が鳴るのか、
    鐘がなるから時が来たと認識するのか。
    とにかく、来た時はどんどん過ぎ去っていきます。
    散り行く紅葉のように。

  2. もう冬日か。早いなぁ。私は秋のつもりで歩いていたのですが。
    そんなに先を急いでどうするんだ、俳句。
    現時点のことを表したらイカンのでしょうか?
    なんで紅葉は、手を広げたような形になってるんだろう、
    と、写真撮りながら思いましたよ。
    日照面積を広くするだけなら、切れ込みはいらないですからね。
    まさか、カエデ科の葉のきれいな形と色を
    人間が大事にするだろうと思ってのことだったりして。
    ちなみに私の頭の中では『手のひらを太陽に』がずっと鳴ってました。
    このところ陽の落ちるのが早くなって、寂しいような焦るような。
    今年は紅葉がいつもの年より遅いこともあって、
    この日は待ちに待った撮影日和だったのかも知れないですね。
    でも、傍からみてるとちょっと可笑しい光景ではありました。
    「寅彦忌」が冬の季語。12月31日を指すらしい。
    なので、まだ11月なのに「寅彦忌」では、ちょっと先走りすぎでは?どうでしょう。
    作者がこの写真でなぜ寺田寅彦を連想したのかは
    わからないけど、寺田寅彦の随筆の、淡々とした語り口と
    石塔の「欠けるにまかせ」る姿が、重なるようにも思う。
    久しぶりに随筆集を読んでみようかな。
    珊瑚樹が秋の季語。
    房状にたくさんついた小さな赤い実がみごと。
    写真のこの樹は、平林寺の松平家の公墓所内のもの。
    紅葉とはまた違う赤色が、石色のなかで目立ってました。
    なにかホッとするような木でした。
    参考URL:平林寺
    http://www.linkclub.or.jp/~kiyota/heirinji/heirinji.html
    まだ紅葉降ってないのになぁ。
    もうちょっとゆっくり紅葉の秋を味わいたいのに、
    アセらせないでくれと言いたい。
    でもホント一期一会。それはたしかにそう。
    写真に撮って保存するのは、本来できないものなのかも知れない。
    ま、シャッターチャンスも一期一会か。
    だからまだ散ってないって。
    私が、現在の時にこだわり過ぎてますかね?
    でもたぶんもうちょっと経ったら、鐘の響きで
    紅葉がはらはら散ってしまうようにもなるんだろうなぁ。
    そんな風景も冬の一部か。

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