アダムとイヴを祖となす一対年始め ／勝美
初夢の掌に百円を握り締め ／勝美
本物をなぞる虚しさ乙字の忌 ／勝美
飾るべき家は持たねど飾売 ／勝美
保護色に貌を彩る街寒夜 ／勝美
ひねもす俳句
ひねもす俳句：師走の街
寒林や響く「魔王」に固唾のむ ／勝美
短日や話さば長きことばかり ／勝美
寒星や叶ふ願ひの多からず ／勝美
小春風異彩を放つアルルカン ／勝美
みそさざいにも羽搏くといふ仕種 ／勝美
ひねもす俳句：寒い日曜日
膏薬の打ち身に白し寒稽古 ／勝美
面舵や船首は冬の虹へ向く ／勝美
さり気なく聖樹に吊すルビーかな ／勝美
今生の匂ひ鼻腔に穴まどひ ／勝美
手品師の指一瞬に紅葉生む ／勝美
ひねもす俳句：食文化
バーチャルの世界に生きて文化の日 ／勝美
ちまちまと仕切られ勤労感謝の日 ／勝美
オリオンはパンの眼鏡で覗くもの ／勝美
着膨れの嬰児（やや）の匂へりミルクの香 /勝美
ひねもす俳句：秋の日差し
岩稜の山の感触秋の蝶 ／勝美
彼岸花あへて近づく気になれず ／勝美
物好きや芋煮の鍋へ鶏の皮 ／勝美
飛入りの太鼓の名手秋祭 ／勝美
コスモスの風を妨げゐたる人 ／勝美
ひねもす俳句:秋暑し
椋鳥の満艦飾の日は来るか ／勝美
破裂せし茘子赤心さらけ出す ／勝美
立ち尽くす太陽の塔稲びかり ／勝美
秋刀魚食ぶ猫にやる骨のみ残し ／勝美
秋の空何処ともなくカレーの香 ／勝美
ひねもす俳句：蝉しぐれ
竜淵に潜むと言へど子は遊び ／勝美
リリパットの機械仕掛けの秋の虫 ／勝美
蝉の穴そは冥界の出入口 /勝美
無月かな貫一役のリハーサル ／勝美
悲しみは笑ひに転ず防災日 ／勝美
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