赤かぶの赤に高ぶる好奇の眼 /勝美
寒暁の涙にくもる窓硝子 ／勝美
年に一度はせめて聖樹になり切る樹 ／勝美
極月の祈り深かり百万塔 ／勝美
恋の眼にぼやけてポインセチアらし ／勝美
ひねもす俳句
ひねもす俳句：数へ日
数へ日に憶ふは故郷の母のこと /勝美
着ぐるみの中底冷えの身が一つ ／勝美
ブリッジを潜り抜けけり冬の蝶 ／勝美
猫の手も借りて売るなる大熊手 ／勝美
変転の世相にサンタ立ち尽くす ／勝美
ひねもす俳句：黄落
ぼろ市へ思ひ一つのバス走る /勝美
冬眠はまだまだ先のことなれど ／勝美
黄葉の爆弾破裂して止まず ／勝美
ひたすらに歩む外なし黄落期 ／勝美
七五三帯に疲れのまざまざと ／勝美
ひねもす俳句：冬近し
山海の珍味とりまぜ文化の日 /勝美
町角に馬頭観音時雨雲 ／勝美
網打つや飛び跳ねゐたる鰡の群 ／勝美
餡団子ひとつ大振り一葉忌 ／勝美
四次元の入口近し冬に入る ／勝美
ひねもす俳句：入院雑詠
秋晴や病室其処処電子音 /勝美
カーテンの隣も患者鵙の贄 ／勝美
体育の日や点滴に繋がれて ／勝美
点滴の支柱を杖にしてさやか ／勝美
黄落や退院許可のいまだ出ず ／勝美
ひねもす俳句：秋思
晩秋やひかりは直ぐに消えたがる /勝美
行く秋の絶滅危惧種ねむる土地 ／勝美
磔像に似たる案山子に意志ありや ／勝美
文化の日花に劣らぬ葉のありぬ ／勝美
暗黒に無数の銀河音もなし ／勝美
ひねもす俳句：秋はじめ
行く秋の乙女の祈り深かりし /勝美
帯締めを少しゆる目に茸飯 ／勝美
爽やかや円座の猫の端にゐて ／勝美
白亜紀の恐竜に遭ふ霧の夜 ／勝美
秋天を繋ぎ止めたる塔ひとつ ／勝美
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