鎮魂のツインタワーや春隣　／勝美

厳寒や地は一塊の瘤を生む　／勝美

一斉に声をそろへて群千鳥　／勝美

早梅や一途に受くる日の恵み　／勝美

寒明けやけんけんぱあの影を踏む　／勝美

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寒林や響く「魔王」に固唾のむ　　／勝美

短日や話さば長きことばかり　　　／勝美

寒星や叶ふ願ひの多からず　　／勝美

小春風異彩を放つアルルカン　　／勝美

みそさざいにも羽搏くといふ仕種　　／勝美

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膏薬の打ち身に白し寒稽古　　／勝美

面舵や船首は冬の虹へ向く　　／勝美

さり気なく聖樹に吊すルビーかな　　／勝美

今生の匂ひ鼻腔に穴まどひ　　／勝美

手品師の指一瞬に紅葉生む　　／勝美

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バーチャルの世界に生きて文化の日 ／勝美

ちまちまと仕切られ勤労感謝の日 ／勝美

オリオンはパンの眼鏡で覗くもの　　／勝美

着膨れの嬰児（やや）の匂へりミルクの香　/勝美

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岩稜の山の感触秋の蝶 ／勝美

彼岸花あへて近づく気になれず ／勝美

物好きや芋煮の鍋へ鶏の皮　／勝美

飛入りの太鼓の名手秋祭　／勝美

コスモスの風を妨げゐたる人　／勝美

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椋鳥の満艦飾の日は来るか ／勝美

破裂せし茘子赤心さらけ出す ／勝美

立ち尽くす太陽の塔稲びかり　／勝美

秋刀魚食ぶ猫にやる骨のみ残し　／勝美

秋の空何処ともなくカレーの香　／勝美

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竜淵に潜むと言へど子は遊び　　／勝美

リリパットの機械仕掛けの秋の虫　／勝美

蝉の穴そは冥界の出入口　/勝美

無月かな貫一役のリハーサル　／勝美

悲しみは笑ひに転ず防災日　　／勝美

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浮き出づる雲の存在今朝の秋　／勝美

信念にぶれなき門徒姫檜扇　／勝美

口遊ぶポーリュシカポーレポーチュラカ　/勝美

新涼や白地に紺の野良姿　／勝美

水中眼鏡竜宮城の門開き　　／勝美

注記：　姫檜扇水仙（ひめひおおぎすいせん）は別名「もんとぶれちゅあ」と言う。

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人類に尻尾は失せしさくらんぼ　／勝美

飛び出すな荒るる気配のはたた神　／勝美

犯人の逃げ込みし店土用前　／勝美

叶はざる願ひとはいへ星祭　／勝美

凌霄の花を灯りの闇夜道　　／勝美

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